2014年9月30日火曜日

桂花醤 2014

金木犀開花! 今年は例年より2週間ぐらい早い気がしますが、八分咲きのタイミングを逃さずなんとか桂花醤を作ることが出来ました(理想は開き始めだけど・・)。
10月の料理教室では、早速桂花醤の香りを含む桂花馬蹄糕ーーーシャリシャリ食感の黒クワイを使う蒸し菓子ーーーを作ります♪ 


八分・・いいや、九分咲きだったかしらん・・・!?

この量が限界です。お花を摘む以上に大変なのが、その後の「お掃除」ーゴミや花のガクを取り除く作業。

キレイに仕上がると、やっぱり嬉しい・・・! 黄金ソースです♪
桂花:性味/帰経: 温・辛・甘/ 心・脾・肝・胃
         温裏・理気類  温中散寒、理気止痛、化痰止咳、方向除臭
         お腹を温め、気巡りをよくする働きがあります。

2014年9月21日日曜日

タルトタタン

素朴なものには、作る人とそれを好む人の嗜好が集約されている。
私は常々そう思っている。それが洋菓子となると、殊更に。

カスタードプリン、アップルパイ、シュークリームにフルーツケーキ。
これらが自分好みに仕上がっていたら、無条件降伏で、そのケーキ屋さんのファンになりマス。

アップルパイは、どんな種類のリンゴを使うか、どんな食感に仕上げるか、甘さ加減、焼き色加減等々・・・作り手の趣向がでるのです。

そう、リンゴのお菓子は深〜〜〜いのであります。

リンゴのお菓子といえば、タルトタタン。
アップルタルトから派生した(失敗から生まれた)お菓子らしいですが、強烈な郷土菓子の域かといえば、生まれたのは19世紀末と歴史はそんなに古くない。ロワールのプチホテル「タタン」を経営していた姉妹の失敗から生まれたというのがそのルーツとか。
その話の信憑性はさておき、フランス人はとにかくタルトタタンが大好きなんだそう。タルトタタン協会まであるんだとか。そんなタルトタタンを作っているお店は、フランス滞在経験がある方が多いと踏んでいます。特別な思い入れでも無い限り、何時間も掛けて鍋またはオーブンで煮詰めるあの手間暇をものともしない情熱は生まれないから。

製作工程がもうこれはお菓子ではなく煮物の域!ということなのか、すごいタルトタタンというのは、何故かケーキ屋ではなく、レストランで出会うことが多いです。

忘れられないのは、高田馬場のL'AMITE(ラミティエ)のタルトタタン。
一口食べて、思わず「リンゴの羊羹だ!!」・・・と、発してしまった。


このタルトタタンに出会って以来、私のタルトタタン水準は大幅にUPし、その後、なかなか呻るものに出会えないでいます。

ならば自分で・・!と、年に一度は、がっつりリンゴを買い込んで「リンゴの羊羹・・・リンゴの羊羹・・・」と呪文を唱えながら試みたりもするのですが、これがまた一筋縄ではいかない。


風の温度を頬が感じ、新モノのリンゴを見かけるようになった今日この頃。
ある番組で、フランスのタルトタタン協会から勲章をもらったという大正生まれのお婆ちゃんのタルトタタンが紹介されました。
京都在住の松永ユリさん(94歳)。今はユリお婆ちゃんの指導で、孫娘の若林麻耶さんがかつてのフランス料理屋を引き継ぎカフェでこのタタンを作っているそうです。

松永ユリお婆ちゃん曰く「干し柿のような食感」を求めて・・・(!)。

おぉぉぉ・・・これは・・・これは・・・きっと・・・!!!


そして、ついにゲットしてきました!!!




「プレーンヨーグルトを掛けて、お召し上がり下さい。」

そう言われたけれど、リンゴとバターのコクだけで味わってみるために、その食べ方には小さく逆らってしまった。(ゴメンナサイ)

干し柿の食感・・・足らしめてありました(!)。

随分久しぶりの、呻る美味しさでした。
またしてもタルトタタンの水準がUPしてしまった・・・。

あ〜〜〜〜〜〜・・・タンタン、永遠のタルトタタン。









島原の揚屋・角屋(於・丹波/京都)

京都・丹波口に江戸中期に公許の花街だった「島原」。
江戸時代の餐宴・もてなしの文化の場、揚屋の角屋、置屋の輪違屋が、期間限定で公開されていると聞き、行ってみました。

1Fの表座敷。


1F大座敷松の間の襖絵のひとつ、悠美な双鳳凰の絵。

揚屋とは、置屋から太夫や芸妓を呼んで歌舞音曲の遊宴を行ったところ、今で言うところの料亭。広い台所を備えているところが特徴なんだとか。
秀吉の時代に公認の花街が開設されて、丹波口に移転したのは1641年。(この時の移転騒動が当時の「島原の乱」(1637)」に似ているというところから「島原」とよばれるようになったらしい。)

建物内には、襖が緞子張りの緞子の間、豪華な襖絵があったり、自然光が反射するよう貝の象嵌が施された青貝の間、天井や障子などを桧垣組にした桧垣の間、ここかしこに扇のデザインを施した扇の間等々、特徴的趣向を凝らした宴会場が多数。(残念ながら2Fのお座敷は写真撮影禁止で写真がありません・涙)当時の職人技の粋が、そこかしこにみられます。

久坂玄瑞、西郷隆盛、坂本龍馬等々、幕末の獅子たちも密会を重ねた場所でもあるらしいけど、こんな豪華な「密会」やってたのか・・・(苦笑)。新撰組の出入りも多かった様子。ともあれ、いろんなエピソードが塗り込められている建物ですね。



さて、大料亭の台所。
「舞台裏」も黄色をあしらい華やかです(!)。写真左上や奥の間にある照明は「八方」とよばれるもので、広域を照らすことができるように考えられているもの。

竃、竃、竃・・・・・。


竃、竃、竃・・・・!!

竃の後ろが広い配膳室になっています。 天井高〜い。

竃の対面には水場。天窓から光が入ります。

ピーク時は、この竃からぽっぽっぽっぽ、湯気が上がって大きなしゃもじでかき混ぜたりなんかしていたのでしょうか。))なかなか豪快です。お膳も沢山積まれていたことでしょう。

台所の裏手。赤壁が何とも華やかで贅沢です。
もう1カ所、冷蔵庫を兼ねた大きな井戸がありました。地下鉄が出来てから、水源からのルートが断たれ、今はもう水が溜まらなくなったそうです。

             * * * * *

さて、揚屋に派遣される太夫や芸妓の置屋さん「輪違屋」も公開ということでしたので、いってみました。



箱庭には陰陽石。花街らしい・・・。

京都中心部からは徒歩だと1時間半の距離。この立地から、徐々に衰退し、花街の栄華は非公認の祇園界隈へと移行していったそうですが、島原太夫や芸妓の技量、教養の高さが忍ばれる歌や書、財界人との交流の形跡も・・・・。

折があれば、丹波まで足を伸ばしてみてください。

2014年9月16日火曜日

10−11月の健美膳

「肌美人御膳」〜内から外からお肌を乾燥と老化から守る秋の美肌膳。

 サブテーマ:「油と脂」
         即席葱油づくり

   【内容
   ・豆腐の中華風和え物 即席葱油風味
   ・揚げ玉子の濃厚コラーゲン餡かけ
   ・花巻
   ・桂花馬蹄糕 クワイ蒸餅 
   ・鉄観音茶または普洱茶

    ★オリジナル紫雲膏を作ろう♪ 料理教室後30分程度(+1,000yen)
     作りたての軟膏1ビンお持ち帰りアリ。



エッセンシャル食材:馬蹄粉(クワイ粉)、クワイ、桂花(金木犀)、豚足、紫根、当帰


2014年10月5日(日), 6日(月)満席*,  23日(木)満席*,  11月2日(日)



2014年9月9日火曜日

中秋の名月と月餅

東の空に、月が出た。


食卓にも 月が出た。


 中秋の名月は英語で「The harvest moon」収獲の月。
日本では、ススキなど活けて、穀物の収穫に感謝し、米の粉で作る団子をお供えする中秋の名月。
秋の収獲はお芋も。別名「芋名月」とも言われ、里芋や薩摩芋をお供えするのだそうです。さすれば、お月見をするその土地土地の収穫物をお供えすればいいのかな。

今なら葡萄、梨、無花果も・・・!?? なんでも葡萄などの蔓モノは、月と人の繋がりが強くなるとして、縁起もいいお供えものなのだとか。

さて、所変わって中国文化圏では、中秋の名月といえば月餅です!!

小豆餡なら「豆名月」といったところでしょうか。
蓮の実餡も美味しいですし、棗餡、椰子餡・・・いろいろ。
南瓜の種、胡麻、干し葡萄、ピーナッツ、松の実、胡桃、等々、色んな木の実を使った五仁の月餅は、私の大好物ですが、お店によって具がピーナッツに偏っていたり、いろいろ・・・当たり外れも多い種類かもしれない。)))
とあるプロ向け料理本のレシピには、橄欖(かんらん)の仁(種)=オリーブの種の仁や緑鮮やかなピスタチオ、オレンジピール、アーモンドなどもリストアップされていて、これなんか是非食べてみたい五仁月餅です。毎年自分で作って見ようと、道具や具材を揃えて意気込むのですが、中秋節には間に合わず(涙)。

写真の鹹蛋(アヒル卵の塩漬け)入り月餅は、広東式の月餅。カットしたとき、夜空の月のごとくまん丸く上手く真ん中に納まってくれていたら、なんかいいことありそうな気がしてきます。

美味しい鳳凰単ソウを淹れていただきます。

2014年9月1日月曜日

無花果


毎年尾道から無花果が届きます。
「無花果」。花が無い果物だなんて名前に哀愁を感じるのは、秋の風を感じる頃だからでしょうか。でもこれ、実際には実が花なのだそうで、私達が果実と呼んでいる壺形の実の中にある小さなつぶつぶ一つ一つが花で、実と呼んでいる部分は花托にあたるのだとか。

この独特の植生や風貌に、何か古代の匂いをかぎ取り、ちょっとルーツを調べてみたら、聖書(アダムとイブが裸を隠すために使った葉が無花果でした)よりも遙か昔のヨルダン渓谷にある1万1400年前の遺跡から野生種でない無花果の実が発掘され「小麦の栽培よりも古く、人類最古の栽培植物ではないか」といわれているようであります。

日本での歴史は意外に浅く、江戸初期に、中国を経て伝わったそう。
その時の品種が「蓬莱柿(ほうらいし)」。
広島〜瀬戸内は、この品種が多いようです。

その他、フランス原産の黒っぽい「ビオレ・ソリエス」とか、トルコのドライフルーツにもなっている白っぽい果皮の「スミルナ」という品種。イタリアに「カドタ」と呼ばれる似たような品種の白いちじくもあります。
「ビオレ・・」は、最近尾道でも作られていて、ちょっと時期が遅く9月下旬から10月上旬。ガーネット色の赤がちょっとおフランスして気取ってみえる(笑)。

手を広げたような大きな葉っぱ、低く横に伸びる枝・・・古代からの姿に思いを馳せると、無花果って、う〜〜ん、なんだかちょっと神秘的♪