2020年9月17日木曜日

「ペンは剣よりも強し」!?




これは、9月12日、新内閣発足前の、静岡新聞のコラム。

この分もまた「縦読み」となっています。
ほら、よく中国新聞がテレビ欄のカープ関連でやるアレです。(横読みで絡繰りを解いて下さい♪)

facebook上で見つけた掲載ですが、読んだ後、思わず、


The pen is mightier than the sword.
「ペンは剣よりも強し」
・・という名言が思い浮かびました。

”民意を無視したかのような、無謀な政策を推し進める悪徳政治家の黒い部分を、一介の新聞記者が渾身の取材で暴き、失脚に追い込む…「文章の力が世直しをする」”

そんなニュアンスで使われることが多いこの言葉。

この言葉は、1839年ビクトリア女王の治世の作家エドワード・ブルワー=リットンの戯曲『リシュリュー』(英国)の台詞として出てきたものらしい。
作者は、劇作家で政治家で貴族。保守党政権の植民地大臣も務めたことがある人物。
リシュリューは、17世紀ルイ13世時代のフランスの宰相。ブルボン王朝の絶対王制の礎を築いた人物。

あれっ、権力側ではないか!!

このコラムに「言論は暴力に勝る」ではなかったこの名言の原典が。

https://precious.jp/articles/-/11298


この記事は世界各地の「言論は権力を制する」ことに日々奮闘している人々、そして「ごはん論法」政治に溜息の人々への励ましのメッセージです。





2020年9月7日月曜日

9月の料理教室


V. S.



詰め物も、餅(ピン)も・・・・
庶民の味 v.s.  宮廷点心


宮廷ドラマの話に花が咲きます(笑)。



2020年8月31日月曜日

甘酒



「飲む点滴」あまざけ。
   A "drinkable  IV-drip"

醗酵によって生まれる必須アミノ酸、ビタミンを含むところが、飲む点滴と言われる所以です。
でも、調べてみたら、その含有量は決して多くはないのです。主な栄養素は糖で、20%はブドウ糖。オリゴ糖も含まれるので腸活にもよいとされています。
ただ、微量ながらも、酵素と結びついてブドウ糖をエネルギーに変える為に必要なビタミンB群、体内では合成できない必須アミノ酸9種の全てが含まれている。沢山ではなくても、少しずつ幅広く含まれているところがいいみたい。

お粥を炊いて、温度が65℃に下がったところで米麹を加え、55~60℃をキープ・・・。
米麹が醗酵によりお粥を分解する過程で栄養素が生まれる上に、麹の力で既に吸収のいい形になっているので、体にやさし〜いのです。

「1日に必要な量の〇倍の栄養素」とか「レモン〇個分のビタミンC」みたいなうたい文句のサプリや、それらの液体ドリンク剤もあるけれど、体が吸収しきれないものは全て排出されるか、体のどこかに蓄積されるか。蓄積されるものは過剰摂取の原因にも!?

濃度が近い方がなじみやすいという原理と、乾いた土に水が染みこむが如く吸収するイメージの作用、体内ではどっちなのかな?


晩夏の猛暑、今年はせっせと甘酒を作っています。


2020年8月25日火曜日

茗荷

茗荷を食べるとバカになる!?

バカはバカでも「物忘れ」「物覚えが悪い」類のバカらしい。
お釈迦さまに頂戴した名前が覚えられなかった弟子に、その由来があるといいます。弟子のチューラパンタカ(周利槃特/陀伽(しゅりはんどく/だか)は、授かった名前がどうしても覚えられなくて、名札まで作ってもらってぶら下げていたそう。文字通り、生涯その名(茗)前を「荷」なって苦労したことが由来とか。
この弟子のお墓には茗荷が芽を出したとさ。

この夏、久しぶりに読み返したくなって大人買いした手塚治虫の『ブッタ』。
(昔、親戚のお家にあったのを読んだのですよ)
紀元前5世紀のインド東北部。シャカ族の国の皇子ガウタマ・シッダールタが悟りを開きブッタとなり人々を導き亡くなるまでの、一生の物語。現在のネパール国境付近からガンジス川流域はブッタの祖国を飲み込んだコーサラ国やマガダ国があったところで、ブッタが悟りを開いたブッタガヤ(ビハール州)はかつてのマガダ国領土。
緯度でいえば、台湾と同じ位で熱帯〜亜熱帯だが、山岳地だったり、内陸だったり・・・気候は単純ではなかったことでしょう。茗荷だって生えていたかも知れない(!?)。

茗荷。
なにやら日本語らしからぬ響きと思えてきました。
茗荷はショウガ科の多年草。
インド〜東アジア原産でもあるショウガは、英語でジンジャー(ginger) 。 [gingerは、サンスクリット語の [sringaveram] に由来する。
http://gogen-allguide.com/si/ginger.html
和食の薬味としても欠かせない茗荷ですが、まさかサンスクリット語のお顔をもっていたりして??

周知の通り、釈迦も如来も菩薩も阿弥陀も、皆サンスクリット語の発音を漢字に置き換えたものだ。なかなか絶妙な宛がわれ方で、サンスクリット語であることを忘れてしまいそうになるが、その響きには、なんともいえないエキゾティシズムがある。


『ブッタ』全巻。三分の二ほど読み進んだけれど、まだ名前が覚えられない弟子は出てこない。

インドの母国語ともいえるサンスクリット語も、インドの大学では第二外国語なのだとか。読める人も書ける人も非常に少ないと聞く。インドのことを学ぶのにも英語が公用語のようになっていることに、労しい歴史を彷彿させる。

おっと、冥加・・じゃなかった、茗荷の話でした。
薬膳では、辛温解表といって、葛根湯の葛根などと同じような効能ーー発汗により外感風寒の邪気を払うーーをもちます。微量ながら、針葉樹によく含まれる香成分 α-ピネンやゲラニオールを含み、これには抗菌作用、免疫機能賦活作用も確認されている他、集中力を助ける働きもある。
これら成分から鑑みると、茗荷はむしろ「もの覚えが良くなる」食べ物ではないか(!)。

素麺に、冷や奴、浅漬けに柴漬け、サラダにも茗荷・・・茗荷を沢山食べたから、いろいろ忘れたw ・・・という言い訳は、もう使えないデスね。。))

この夏も沢山食べたな〜♪

ツクツクボウシも鳴き、秋の気配もし始めたが、食欲維持のためにも、まだこの爽やかな香りの助けを借りたいところ。

あ、なんのかんのいっても、茗荷には年中お世話になってるんですけどね〜♥





『ブッタ』に描かれている風景





2020年8月16日日曜日

9月の料理教室

猛暑が続いていますが、殊の外長かった梅雨・・・
お米や夏野菜・果物にとっては、まだ日照時間が足りてないぐらいだと思います。
そんな中ですが、名残野菜を美味しく頂き、夏の疲れをしっかり取りたいところです。

さて、9月は - - - - - - -

 「体のリセット膳」

  ● 内容:
   ・粘膜強化スープ
   ・点心:窩窩頭(ウォウォトウ)v.s.  空心餅  
             & 詰め物おかず(炒め物)2種
   ・補脾の蒸し料理
   ・南蛮菓子
            ・デザートのフルーツ
   ・美味しい中国茶
            ・お茶請け怪味ナッツ
    ※内容は、食材等の都合で、一部変更になることがあります。ご了承下さい。


  ● 日時: 9月5日(土)、 6日(日)、12日(土)13日(日)、10:30 ~  

  ● 定員:各回4〜5名にて 

  ● 会費:6,000円


★美味しい山椒が入荷しているかもしれません。お楽しみに!!



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NHKカルチャー教室の9月

  次回は、9月9日(水)13:00~   2020年上期最終回です。

薬膳食材ベーシックを総おさらいし、暮らしの彩りにも役立てられるようご提案。
コロナ禍で活用できる漢方処方や薬膳もご紹介します。
下期も、引き続き、いろいろな薬膳食材&世界のヘルシー食材をご紹介しながら、
薬膳をご体験頂こうという主旨で展開していきます。

お持ち帰りのお料理内容は・・・

  ・獅子頭煮込み(醬油煮込みバージョン)
  ・花巻2種
  ・潤いデザート
  (会場にて)
  ・松の実入り潤いドリンク
  ・美味しい中国茶 


下期もひきつづき、新型コロナ対策として、会食ナシとのポリシーに従い、お料理は、全てお持ち帰り用にセットしてお渡し致します。


ガンパウダー



ガンパウダー(Gunpowder)とは、火薬のこと。

最近は、オーガニックガンパウダーもあるらしい(!?)

ハイ、これはお茶です。

中国名を「平水珠茶」といって、浙江省平水の緑茶。
しっかりと小さく揉捻され球形なので「珠」茶。

写真は、保存版にしているちょっと古いものです。(古いですが、見た目はそんなに変わっていません。)
数年前、日本のお茶屋さんで「上等のガンパウダーです」というのをみせてもらった時「え?これが??」と思ってしまった。お茶づくりもだんだん技術が変わってきちゃってるのかと、少し残念な気持ちになり、手元に残っていたものをサンプル用「保存版」にしました。
世の中が変わっても、自分の中のスタンダードは守りたい。


それにしても、お茶にこんな物騒な名前を付けるなんて、茶を輸入していたイギリス人の仕業かな。緑茶だけど少し燻香があるところも、このネーミングの「引き金」になってたりしてw

17〜18世紀、専ら輸出用だったらしいガンパウダーは、今はイギリスの紅茶専門店などで見かけることがあるくらいで、他では滅多にお目に掛からない。元々油脂の多い食文化圏であった欧米では、緑茶より発酵茶が好まれるのは必然。19世紀後半英国がインドでの紅茶栽培に成功して以降、欧米は専ら発酵茶(紅茶)を所望し、高価で品質管理が難しい緑茶とは縁遠くなっている。

フランス領でもあったモロッコでは、今でも緑茶がたっぷりのフレッシュミントとお砂糖と共に「ミントティー」として飲まれています。
フランス経由ではなく、アラブ人のルートでスパイスと共に流通していたのでは?などと想像が膨らみます。

モロッコ式ミントティーに出会ったのは、アメリカ東海岸で在学中。中近東料理のフードトラックが供するのが、コレでした。
一日の終わりのハーブティーのつもりで購入したら、なんともストロングな煮出し緑茶。
苦み、渋みにスーッとパンチのある清涼感。
眠気覚ましのガムみたいな味で、リラックスどころか、あらゆるスウィッチがオンになってしまったのでした。

何年かして、同様のものをモロッコで味わいました。
ドライミントがフレッシュになり、砂糖倍倍増(!)。
しぶっ!
あまぁ〜っ! 
スー〜〜!

圧倒的に違うのは砂糖の量で、モロッコでは、それはそれは・・甘〜くして飲むのだ。
聞けば、モロッコ国内でも沙漠に近い地方に住んでいる人達は、更に甘いのを飲んでいるのだという。ベルベル人(サハラ付近に暮らす沙漠の民)のお茶は確かに一層甘かった。))

これは飲む点滴。何日も飲まず食わずで沙漠を旅してきた人にとっての気付け薬だった名残なのだ・・!ーーー強い陽射しと乾いた風の中で頂いた一杯のお茶から得た持論です。

遠く中国から運ばれた緑茶。
スパイスと並んで取り扱われる砂糖。
地の逞しいミント。

旅の思い出と東西歴史絵巻の一片が、脳裏にぶわぁ〜〜っと広がったのでした。



記憶のトリガー(引き金)、ガンパウダー。

おや、物騒な響きも、的を得た名前に思えてきたぞ。

暑さでぼ〜っとしているところに ズキューン!



2020年8月15日土曜日

「知之者不如好之者、好之者不如楽之者」

これを知る者はこれを好む者にしかず
これを好む者はこれを楽しむ者にしかず

ビジネスシーンで、よく引用される孔子の言葉。
要は「好きこそものの上手なれ」。

好きな事がどんどん得意になっていくのは自然なことなのだ。「下手の横好き」ってのもあるけれど、あれだってきっと「横好き」をしているうちにいつの間にかエキスパートになっちゃう。

猛暑も加わり、流石にコロナ疲れしている昨今。それでもできていることは、ストレスがある時でも出来ること。ひょっとしたらとっても大切なこと、または大好きなことかもしれません。
人は、追い詰められたり余裕が無くなってくると本性を現す。な〜んて言うと、ちょっとおどろおどろしいけれど、自分にとって必要なものを残して、そぎ落としていくというのは本能の成せること。人物も組織も、実際、核心が見えてきているではないか。

大切なもの、大切な人、好きなこと、欲しいもの、知りたいこと・・・そして、食べたいものも(!)。
食欲がなくても食べられるものは、きっと自分にとっての滋味。

きっと、どれも複雑ではない。

私達は、何かと暮らしを複雑に、生きづらくしてきていたのかも。
気楽に気持ちよく、すっきり暮らせる生き方をーーーー。

それはやっぱり、大切なもの、好きな事を知ることから始まるのでは。

「知之者不如好之者、好之者不如楽之者」

これは、令和ルネサンスの精神でもある気がしてきたぞ。

ルネサンスの前の乱世も、自分にとって滋味な暮らしでしぶとく乗り切るべし。

一杯の緑茶。何よりホッとする必須のアイテム
一杯の緑茶。何よりホッとする必須のアイテム。
エヘヘ、ズボラな日はお茶漬けに救われるしネ (^_-)-☆


2020年7月30日木曜日

南インドの味 お持ち帰り




NHKカルチャー5月、緊急事態宣言で中止になった講座の振り替えは、季節に合わせて内容を変更、テーマも中国から南インドへ。
スパイスの原産地と郷土料理に見られる特徴を、お土産料理に込めて。
所変われば品変わる「酸っぱい」味のひ・み・つ・・・。
料理の語源と民族移動の謎解き・・・。

料理の余白はたっぷりと…♪


2020年7月29日水曜日

今年の奈良漬け




叔母から受け継いだ奈良漬けづくり。
毎年、4〜8キロの酒粕で漬けます。

一昨年前は、教室でも皆で漬けました。
下漬けは私が、本漬け(粕)を皆さんで。

酒粕30キロ。
凄かった・・・・!

あの時漬けた奈良漬けを、少しだけ漬け直しして残しています。
奈良漬けも、何年も重ねて取っておけるお漬けもの。
なんかマニア受けしそうなアイテムです。

写真(下)は、1カ月ほど漬かった“ヌーヴォ” ですw

今年は丹波の白っぽい酒粕を使ったので出来上がりも明るい色。


あ〜新米が待ち遠しい。)))


長梅雨、長雨、豪雨・・・

本来なら大飢饉の年になったかもしれません。

食べ物、大事にしなくてはと、炊きたての御飯とお漬けものの贅沢を噛みしめる。





2020年7月25日土曜日

シナボン


シナボン MAKI

Cinnabon USA
あま〜い朝食。
シナボンは、アメリカの休日の味。
ズシリと大きくて "1ケ1200cal" というのが売り(?)だった。
フィラデルフィアのショッピングモールにフランチャイズ1号店が出来たのが1986年。
いつも人気で、焼き上がるのを待って買う感じ。
熱いところへもって、クリームチーズ入りのアイシングがたっぷり掛かるので、溶けてとろ〜り・・・渦巻の間に染みこんで、シナモンと混ざり合うのです。一言で表現するなら「パンの砂糖浸け」😅
(それなのに、さらに小さな容器に追加のアイシングが付くのです!)
以前『大草原の小さな家』のことを書いたときにちょこっと触れたアップルパイ然り。アメリカン・ベイキングは、往々にして大味なのですが、ボリューム感でせまる美味しさがある。このシナボンのダイナミクスは、サイズでもなくアイシングの量でもなく、実は、シナモンの量にある(!)と私は思っています。
この製造プロセスをお見せできないのが残念極まりないですが、元祖シナボン(というのも、30数年を経てけっこう諸々経営が変わっているようなのだ)は、店頭で大きくパン生地を伸ばしてバターを塗り、缶入りのシナモンをその上にた〜っぷり惜しみなく降らせてクルクル巻く。
この大量のシナモンなくして、滴るアイシングは食べられない。
シナモンは、甘さをプラスしてくれる香りでいながら、甘さのくどさを消してくれるスパイスでもある。胃腸薬ともされる所以がここにある!?

嗚呼、懐かしの、シナボン。
これはシナモンロールについた固有名詞のようにおもえるかもしれないけれど、実は「シナモンロール=シナボン」ではない!(←・・あくまで持論)
なぜって、シナボンは、レーズンも胡桃もキャラメルソースも寄せ付けないんだもん。

恋しくなると、時々「日本サイズ」で作ります。
21世紀になって、日本にも上陸しているようだけど、元祖のダイナミクスはそのままだろうか??

ググってみると、21世紀のシナボンは、ナッツ等のトッピングがついたりと、厚化粧ぎみのよう。
私は俄然、プレーンを推奨致します!


2020年7月23日木曜日

「人体 v.s.ウイルス」

7/12のNHKスペシャル
山中伸弥とタモリの「人体」シリーズ特別版です。

「生きてるだけで 丸儲け」は、明石家さんまの座右の銘だったっけ。
大昔、「ま、命までは取られないさ」と慰められたことがあった。(その時は、あまり慰めにはならなかったけどw)

人は往々にして、なんとなく寿命まで生きるのだろうな〜と思っているけれど、それは平和ボケ、安全ボケの極みなのかもしれない。
生まれてきたことも、また天寿を全うすることも、すごいラッキーが重なって成り立っていること。まさにさんまさんのおっしゃるとおり!ってこと。

番組では、5億年前のウイルスと人類以前の生命体の関係性にまで遡り、変化の推移を追って、現在の新型コロナと私達の人体の免疫ネットワークを紐解いていきます。

どうしたら、この命を全うできるのかーーー。
できる限り命を全うできるようにと、体はいろんな仕組みを備えている。
その仕組みは、どのようにして作り上げられたのか。
また、どこまで新型コロナウイルスに有効なのか。

そこに迫るには、なんと人間以前の生物の進化の過程を探ることになるのです。
遠いご先祖さんである生命体は、5億年前のカンブリア期からウイルスと向き合ってきており、人になる進化の過程で、実はウイルスを利用したりされたりしながら、そのしくみを取り込んで進化の原動力にしてきたという事実がある。

例えば精子と卵子の受精のメカニズム。これは、ウイルスが細胞に侵入する瞬間と同じ原理で、太古に取り込んだウイルスの遺伝子がなせるわざなのではないかと考えられているそう。また、脳の長期記憶のしくみにも同様の原理が働いていると考えられるのだ。

気の遠くなるような年月を経て、人間の免疫もウイルスも、互いに切磋琢磨して進化してきた。そして、ここへ来て戦いは激化。新型コロナ、COVID−19との戦いは、いよいよ「進化上の頂上決戦」ということのようです。

本来、私達の体内にあるミクロの防御は、何重にも網を張りウイルスを撃退するような仕組みをもっているけれど、新型コロナウイルスもまた、それをすり抜ける為の驚異的な能力をを身に付けているようなのです。しかも、世界各地で器用にその特徴を微妙に変化させたりしている。知れば知るほど手強いウイルスです。。。。

GO-TOキャンペーンもはじまり、経済活動も回していかなくてはならない状況下で、これからもいろいろな判断が迫られる機会がふえてくることでしょう。お上の導きも釈然としない中、今私達にできることは・・・?

まずは「私達が向き合っているウイルスは、こういうヤツなのだよ」と、認識をUP-DATE しておくことが肝要かと思う次第です。

以下、番組より、ウイルスと人体の攻防のシステムについてまとめてみました。
*添付の画像は、テレビ画面をデジカメで撮ったものです。

攻防の入り口:線毛

ウイルスは、異物です。
人間の[口][鼻]などから侵入してきますが、まず[気道]の線毛が、細かな動きで異物であるウイルスを、外へ外へと押し戻そうとします。

それをすり抜け、ウイルスが 肺 に到達したら・・・
ウイルスは、肺の細胞表面にある突起(本来は、栄養などの必要な物質を細胞に取り込むための鍵穴のようなもの)に、ウイルスの棘(この棘部分を"コロナ(=王冠の意)"とよぶ)を結合させ、細胞の中にもぐり込みます。
ウイルスは、偽の鍵(その棘=コロナ)を使い「栄養ですから受け入れてね—」と騙して侵入するのだ。

細胞に入り込ませてしまった状態が「感染」。

 ウイルスの狡猾な手口その1:偽の鍵=突起 コロナ” を持ち侵入

偽の鍵で細胞内に取り込まれようとしている新型コロナウイルスの図
細胞に入り込んだ新型コロナウイルス

肺の細胞に入り込んだウイルスは、次々と増殖を始めます(肺の細胞が次々犯されて、肺炎を起こします。レントゲンには、犯されている範囲が白い陰に写る)。

が、人体には、次の砦が用意されています。

体内の攻防その1:「自然免疫」 
         警報物質インターフェロン〜防衛隊” 免疫細胞(食細胞)の発動

ウイルスに乗っ取られた細胞は「敵がきたぞ〜!」と知らせる警報物質「インターフェロン」を放出します。*インターフェロン:異物の侵入に反応して細胞が分泌する蛋白質。
インターフェロンは、血流に乗って、全身の免疫細胞(食細胞)にメッセージを伝えるのです。免疫細胞(食細胞)は、メッセージを受け取ると、血管から外に出て移動を開始。感染が起きている現場へ急行し、ウイルスを丸呑みしていきます。



この警報〜食細胞の出動システムが、生まれつき持っている「自然免疫」というものです。

感染しても、無症状の人は、体内で食細胞が大活躍している=この自然免疫がしっかり仕事している人ということになります。

*食細胞(好中球):マクロファージ。アメーバのような白血球の一種。死んだ細胞や細胞の破片、または体内に生じた変性物質や侵入した細菌、ウイルスなどの異物を飲み込む掃除屋的役割を担う。

しかーし!
新型コロナウイルスは、この自然免疫をすり抜けてしまう驚きの能力を持っている可能性が!!(東大医科学研究所・佐藤 佳  准教授)

ウイルスの狡猾な手口その2:遺伝子情報 ORF3b


膜の内側の核には遺伝子RNAが


それは、ウイルス核内にある特別な遺伝子ORF3bが、自然免疫を欺くというもの。
遺伝子ORF3bが 働くと、警報物質が作られる量が10分の1に押さえ込まれてしまうのだ(!)すると、食細胞に警報が行き渡らず、十分に出動しないため「ウイルスの増力>食細胞の活動」となり、感染が広がっていく。
警報物質が出ず、食細胞の出動が阻まれている、そのもたついている数日が、いわゆる「症状が出てない状態でも感染する」あるいは「見せかけの無症状」の期間なのだということが、わかってきました。警報物質が出ていないので、この時感染しているのに発熱はありません。



警報が出ない場合、ウイルスは、2日で1万倍にも増殖し、急な重症化となります。
実際、重症化した人は、著しく警報物質インターフェロンの産出量が低くなっており、体内でこの現象が起きていたと考えられます。

世界中の新型コロナウイルスの遺伝子* ORF3b を調査した結果、エクアドルなど、ホットスポットとよばれる地域での検体では、警報物質が20分の1だったという報告もあるのだそう(!)。
また、新型コロナウイルスの遺伝子情報ORF3b は、昨今、より強力に変化してきていることが分かってきたそうです。
*ウイルスには脳も細胞も無いけれど、遺伝子を持ち、他の細胞を利用して増殖する。

新型コロナは、警報を隠す手を何重にも持っていそうで、「ここが当に研究対象」と、中山教授。

それでも人体は、まだ頑張るんです。第2の防衛隊が立ち上がります。

体内の攻防その2:獲得免疫 
         キラーT細胞 & B細胞 の出動

伝令役の食細胞(樹状細胞)が移動して行って戦い、その時に飲み込んだウイルスの断片を、別の免疫細胞に差し出すと、それが翼を付け、キラーT細胞に変化するのです。

キラーT細胞は、感染した細胞に取り付き、学んだウイルス情報と一致すれば攻撃を開始します。攻撃を受けた細胞は、ウイルスもろともバラバラに。


食細胞(樹状細胞)
食細胞(樹状細胞)が別の免疫細胞に飲み込んだ
ウイルスの断片を差し出しウイルスの情報を伝える。
免疫細胞、キラーTへ変〜身!
感染した細胞に取り付くキラーT細胞

感染した細胞が差し出すウイルスの断片をキラーT細胞がキャッチし、
情報が一致したら、破壊攻撃開始!

しかーし!!
このキラーT細胞をも退ける、特殊能力を・・・身に付けている新型コロナ!!

ウイルスの狡猾な手口その2:ウイルスのサインである突起を分解

キラー細胞が狙うのは、あの取っ手。感染しているサインになるあの突起(手)を、表面に出る前に分解して、迫り来るキラーT細胞をかわしてしまうのです!!


キラーT細胞は、ウイルスの断片に触れて敵であることを認識するのですから、突起がなければ、ウイルスが潜む細胞を見つけることが出来ないのです。

そこで、更なる部隊が投入されます。

免疫細胞B細胞、抗体を放出!!

B細胞も、ウイルスの断片に触れて情報を入手します。そして、強力な、Y字型のトビ道具(抗体)を放出し、偽モノの“鍵”に取り付いていきます。
ウイルスは細胞に侵入出来ず、よって増殖出来なくなるのです。




ウイルスに“トビ道具”を引っかけ細胞に進入できなくし・・・
浮遊しているところを、食細胞がパックリと飲み込んで撃退
これらキラーT細胞やB細胞は、その後も、ウイルスの情報を保ったまま、体内で待機し続けます。

獲得免疫は、ウイルスの記憶によってウイルスを探し当て、撃退するのです。

私達の体には、40種以上のいろいろな免疫細胞があり、それぞれが「免疫ネットワーク」でウイルスと対峙しているのだといいます。

※実はこの番組で、私がひとつ釈然としなかったところがありました。
B細胞もキラーT細胞同様、ウイルスの断片(取っ手)に触れてウイルスを認識するということですが、取っ手が出ないようにする能力を持ったウイルスに、どうやってB細胞は触れることが出来るのでしょう?
全部が全部できるわけではないのか、あるいはキラーT細胞に対してのみ取っ手を分解するのか・・??
ま、ウイルス学者じゃないから、ここはとりあえずスルーしておこう

要するに、自然免疫での攻防と、獲得免疫での攻防とで(まだ紹介されなかったものもあるのかもしれないけれど)ウイルスに対峙する形となっているということ。

B細胞が生み出す飛び道具(抗体)の形は、病原体によって違っています。
例えば、アフリカにはマラリア原虫の病原多の形に、南米ではライ病の形に合致するトビ道具を持っている人が多いので、現地の人はほとんど感染しません。

今、このトビ道具である抗体や免疫細胞を培養する研究が進められているのだそうです。
山中教授の分野でもIPS細胞などを使い、抗体を実験室で作り出せないか・・・ということも研究が進められているとか。


山中教授の「私達が打ち勝てないはずはない」と、極めてポジティブな見解には、大いに励まされるところですが、ざっとこの「免疫 v.s.ウイルス」の仕組みを見せつけられると、それが決して簡単ではないことは明らかです。
なんといっても「進化上の頂上決戦」なのですから。

番組終盤で、サイトカインストームという免疫の暴走が起こり、免疫が過剰に活性化するこわいケースが紹介されていました。 キラーT細胞が感染細胞を攻撃する際、自爆行為をし丸ごとネバネバを出します(写真の緑部分)。その細胞の死骸や赤血球など血液成分などをネバネバに絡めて巻き込んで血栓ができてしまい「肺血栓塞栓症」という病気に至るとか。急に重症化した患者によく見られる現象なのだそうです。



「なめたらいかんウイルスである」と、この番組を見て、改めて心した次第です。


製薬会社が進めるワクチンも希望ではありますが、まだまだ不確かなことが多いようですし、何と言っても、新型コロナウイルスの遺伝子は、変化しやすいRNA型ですから、現段階のウイルスに対してのワクチンが出来たとしても、それをかわす術をもったものが生まれてくるかも知れず、いたちごっこが続くこともあるのではないかしら?と、素人考えですが思ってしまいます。

いろいろ暮らしの中での制約は続きますが、さんまさんの「生きてるだけで 大もうけ」。そんな気分で、出来ないことに執着せず、出来る事を楽しみながら過ごしていきたいなあ。

<おさらいと補足>
※免疫のシステムは、ここで紹介された限りではないし、もっと複雑でまだ判っていないことが多々あることを前提に、番組ではシンプルにまとめてありました。
以下、相談した薬剤師さんのお話なども参照しながら、語彙の解説をまとめてみました。

①自然免疫:
 警察官のように、日夜全身をパトロール。侵入してきたウイルスを見つけると、食細胞(マクロファージ)がその場で撃退します。
 現場で取り押さえるので、発動が早く、数分〜数時間で処理。 
 症状が無いまま治っていきます。

②獲得免疫:
 パトロールで警官が察知した危機情報を得た国防軍(リンパ球)がウイルスを特定。特定ウイルス(コロナ)だと判断すると、国防軍から密命を受けた殺し屋部隊「キラーT細胞」がウイルス感染した細胞を、細胞ごと殺しにかかります。
発動まで、情報処理の為、1週間近く掛かります。
故に体は、既に発熱や咳などの症状が出ています。

③キラーT細胞(キラーTリンパ球)&B細胞:
リンパ球の一種で免疫を担う重要な細胞。リンパ球の20~30%を占め、骨髄で生み出される。

④抗体(トビ道具)を作り出す免疫細胞。


 *抗体検査:過去の検査歴を調べるものですが、感染8週間後で軽傷者の4割、重傷者の2割で抗体が検出不可能なほど減ることがわかってきている。
これは「抗体の保持率≠治った割合」とは言えないことを意味します。

*免疫とは、多種の細胞の共同作業で成り立っている。
 例えば血液中の白血球も、免疫系を担当している細胞のひとつ。
 白血球には、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、ナチュラルキラーT細胞などの
 「リンパ球」、好中球やマクロファージといった「食細胞」、樹状細胞などのリンパ球
 に抗原を提示する「抗原提示細胞」などを含みます。

白血球内の免疫細胞 その他
※免疫細胞は、この限りではない

*http://www.pf.chiba-u.ac.jp/medemiru/me13.htmlより借用した図です

2020年7月18日土曜日

「くやしい」

新型コロナで、まだあちこちドラマも足踏み状態のところ・・・いよいよやっと『半澤直樹』(!)。
前回の総集編もバッチリ見て、スタンバイしています。

前回は、半澤が、ネジが食い込み血が滲むほどに握りしめた悔しさをバネに大奮闘で、見事な大逆転!
水戸黄門にも通じる爽快感と、青春ドラマにみる熱量、それに仇討ちとサラリーマンの哀愁が盛り込まれ、圧巻でした。
今回も、華のあるベテラン俳優陣のキャスティングに更なる+αとなれば、そりゃもう大ヒットに決まってる。

超アグレッシブで挑発的な台詞も、堺雅人のちょっと高くて明るい声で言われると、熱いのに涼しい(笑)。スリムなのに体幹の定まった体で機敏に動くさまは、ドラマ全体に軽快なリズムを作っている。あ、これは堺雅人さんだけではなく、及川光博さん、愛之助さんもそう!  皆さんとっても軽やかで、まるでワルツのステップのような美しい動き。))

嗚呼、でもまだ戦いは続くのだ。))

一筋縄にハッピーエンドにならないところがまたリアルで、目が離せないのであります。
全く世の中ってそんなもの。不公平、不平等にできている。これはもうほとんど人間の性ではないかと思うくらい、昔からずーっとそうなのだ。が、そんな中でも、小さな不公平や不平等をいちいち嘆くのではなく、エイヤッ!と、飛び越えてしまう人がいる。
半澤も、そんなひとりなのでは?
理不尽さを越え、社会的にも生き抜く生命力が、私達を惹き付けて止まないのでしょう。

新型コロナで、生物学的な生き残りの方が大変な昨今ではあるけれど、それでも、社会的にも生き抜かねばなりません。命ある限り、大小の葛藤と戦い続けるのが生きるということなのかも知れません。

半澤・・といえば、堺雅人さんの「くやしい」顔が真っ先に浮かんできますが、今回も何度も見ることになるのでしょうねえ、あの顔のクローズアップ。)))


ところで、「くやしい」ってどんな感情なのでしょう?

辻 静雄 氏のエッセイやコラムをまとめてある『料理に「究極」なし』(文芸春秋)に、「くやしい」というタイトルのものが載っていました。
これは、日光山輪王寺での文化講座でお話された内容を活字におこしてあるものなのですが、「くやしい」とは、その講座のタイトルだったようです。

飲食の商売の現実を様々な角度から、どうしようもなくくやしい思いをすることが実に多いのだというお話をされた後で、「くやしい」とは何なのかを、以下のように語っておられます。

"悔しいという感情には非常に微妙な、自分自身を痛めつけると同時に、ほかの人に頼むことが出来ない、お願いすることが出来ない、違う方法で考えてくれという訴えを起こすということと違う分野の感情がこちら側にあるんだということで、非常に悶々とするということ。
 くやしいという言葉は、満足していないとか、あるいは不安であるとか、そういうのとは余り意味が近いところにないんですね。非常に画然としたくやしさというのがあって、自分がくやしい思いをしていると言うこと自体、非常に確固とした意思を持って、自分の心の中にあり、その感覚なり感情を押しとどめて我慢しているものなんだというふうに考えております。 
 例えば、私がこれだけのことをしてあげたのに、あの人はそのように受けとめてはくれなかった。それを自分が考えているように、あの人も一緒に考えてほしい。同じ理論上の考え方を感情的に通してほしいということは、ひとには頼めないことですね。これがくやしいと言うことだと思います。”


ちょっとスッと入ってこない言い回しが、ある実感をもって語られているのだとも思います。不満や不安ではなく、自分がダメージを負いつつも、耐えている状態で、思いと反したことを受け入れるという決断であり、怒りと情けなさも交じった非常に理不尽な状態。
涙、嫉妬、怒りという感情については説明がついても、改めて、くやしいという感情を弁明するのは難しい。それは、やっぱり「人には頼めない」「分かち合えない」性質で、かつ、それを「押しとどめている」状態のことだからなのでしょうか。

理不尽なことが多発する新型コロナ下で、くやしさを噛みしめている飲食店の方々や経営者さんその他、沢山おられると思います。
サラリーマン半澤の悔しさは、一見飲食経営者のそれとは異質のようにも思えますが、悔しさの本質は同じであることがわかってきます。
妻の花ちゃんとも分かち合うことができない質のもの。故に、半澤は、ネジを握りしめてそのどうしようもない悔しさと対峙しているのです。

半澤直樹、今回も英知と頑張りでの大奮闘、楽しみです。
そして…今回こそ、抱えてきたくやしさを、昇華させてほしい…!!
(ああ、でもそれは、社会を変えるって次元までいかないと無理なのかもしれませんが。)

様々に悔しさが溢れる昨今。エネルギッシュなドラマを見て、自らの生命力も鼓舞したいものです。





2020年7月17日金曜日

夏の点心 



揚げワンタンに、焼き餃子・・・etc...
夏の点心はビールがススム君。

心の栄養は、どこまでも手作りで実践。
でも暑い夏、賢い手抜きも必要ですね。

1度の仕込みで2度美味しく、
ソースを変えて3度美味しく、
点心バラエティーは、智恵と工夫の宝庫。

嗚呼、点心、飲茶、たそがれ香港。

2020年6月26日金曜日

澱粉いろいろ



今更ですが、澱粉いろいろ。
片栗粉、コーンスターチ、くず粉、浮き粉、タピオカ粉、緑豆澱粉 etc...

お家にあるのは、まあせいぜい片栗粉とコーンスターチぐらいでしょうか。

仕事柄、ウチにはこの全てが揃っています。

とろみ付には片栗粉。お菓子作りでよく使うのはコーンスターチ。
浮き粉や緑豆澱粉は、専ら特定の中国料理で。

タピオカ粉を何故買ったのか・・・思い出せません(笑)。

・・とまあ、こんな調子です。

7月は澱粉にスポットライトを当てて、意図的に澱粉を選んでお料理に使ってみたいと思います。

お楽しみに!!

2020年6月16日火曜日

7月の料理教室

元々少人数制だったことで、あまり変化は感じられない?料理教室ですが、7月、開催です。「再開」というより、1回1回を完結で、これまでより少し定員数を減らしての展開です。

さて、7月は - - - - - - -

 「夏のお手軽点心」
  ● 内容:
   ・涼のスープ
   ・市販の皮を一工夫 夏の餃子(南国スタイル)
    マンゴーソースで♪  
   ・蝦仁腸粉(広東のお米クレープ?) 
   ・デザート
   ・美味しい中国茶


  ● 日時: 7月4日(土)、 5日(日)、11日(土)10:30 ~   ※全日満席

  ● 定員:各回5名

  ● 会費:6,000円



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NHKカルチャー教室の7月

  7月8日(水)13:00~  梅を使ったお腹に優しい夏バテ予防の中国薬膳料理と、ドリンクをご紹介します。
尚、5月に中止になった講座の振り替え講座が、7月29日になりました。
スパイス料理をご紹介予定。
現在、新型コロナ対策として、会食ナシとのポリシーに従い、お料理は、全てお持ち帰り用にセットしてお渡ししています。(再加熱して召し上がっていただける内容に一部変更しております。)

自家製ロースハム



ハム(ham)は、Hamstring(モモ肉のヒモの意)=モモの筋肉のこと。
モモ肉で作るからハム。
イタリアのプロシュート(prosciutto)もスペインのハモン(Jamon)、中国の金華ハム(金華火腿)も、太腿の大きな肉塊で作られる。
太モモは最も大きく最もよく使われている筋肉部位。
最もよく使われる筋肉だから、グリコーゲンを豊富に含んでいるのだ。
だから旨みがたっぷりなのだ。

グリコーゲンは、ブドウ糖分子が結合した形の多糖類。筋肉の収縮のためのエネルギー源。
体は、栄養分を肝臓や血液だけでなく筋肉にも蓄えている。いざというとき、空腹時(血液中に糖分が少ないとき)には、この糖が使われるわけで、いきなり皮下脂肪を分解してエネルギーが作られるわけではない。むかーし、運動生理学の授業でそんなことを勉強したのを微かに覚えていたので、昨今の「糖質制限食」というものが、どうもピンと来なかった。
足が攣れば「あらら、グリコーゲンが足りないのかしら?」なんて、思ったりしたけれど、足がつるのはカリウムやマグネシウムなどのミネラルバランス(イオンバランス)もあるようで、グリコーゲンの問題だけではないらしい。

齢50を過ぎるとコチラの話も気になるけれど、今日は、運動生理学の話ではなく、おいしいハムのお話です。

先の、豚 "ハムストリング” を使った正統なハムは、旨み食材の代表格。元々たっぷりグリコーゲンが含まれているところへ、醗酵の力を借りて旨み分を増量し、さらに水分を抜いてそれを凝縮してある。そう、肉食文化圏の「スルメ」なのです。
中国料理では、金華ハムは、専ら小さく刻まれて振りかけのようにトッピングされたり、スープを取ったり・・と、旨みエッセンスのように使われ、料理の美味しさを底上げする大切な役目を担っています。
ちなみに、香港バブルを感じさせるXO醬は、海の旨みが凝縮された干し貝柱とこの金華ハムのエキスを贅沢に詰め込んだ「これでもかソース」なのでした。

が!

上半分が均一の白い脂肪層で覆われたロースハムにすっかり馴染んでいる私たち。
ロース(背肉)なのにハム(モモ)なのか!??と、横文字表記だとおかしなことになってしまうけれど、ハムはもはや帰化した日本語なのだと思おう!
ハムは、旨みをしゃぶる「スルメ」でもなければ保存食でもなく、陰の立て役者でもなく、程良い塩加減でしっとりと低温調理された一品料理なのです。

だから、それを商品として店頭に並べるためには、当然添加物の助けが必要となってしまうのでしょう。ハムは添加物の宝庫なんて言われたりもします。

添加物を含まない美味しいハムを作りたい。
ミネラル塩とスパイスを擦り込んで、香味野菜を一緒にして、ほんのりスモーキーな香りは㊙のアイディアで(^_-)-☆

美味しい「ロースハム」が出来ました♪

パンに挟むもよし、サラダに加えるも良し。
でも、まずはそのまま召し上がれ。





2020年6月11日木曜日

「Black Lives Matter(BLM)」

体脂肪率の話ではない。BLM=Black Lives Matter は、黒人に対する暴力と社会システム全体に広がる人種差別の根絶を訴える人権運動。

5月25日、米ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警察官に約8分間にわたって膝で首を押さえつけられ、死亡した事件が起きました。衝撃的な映像がSNSで拡散したのがきっかけとなり、黒人差別根絶を訴える「Black Lives Matter」運動から、人種差別全般に抗議する活動にまで発展。世界各地で大きなうねりとなりました。

この動き、引き金の原因となったのはG.フロイドさんの事件だけではないでしょう。

14世紀に起きたペストのパンデミックでは、「疫病は、どんな宗教の人も、お金持ちも貧しい人も、地位も身分も関係無く、みな無差別に襲いかかる」と語られました。しかし今回の新型コロナでは、社会的弱者から多くの感染者が出ていると統計で明らかになってきました。「社会のためにステイホームを求められていた結果がこれか」。常々くすぶっていた社会システムや政治体制への不満、恐怖や不安の中で蓄積されたストレスが、一気に爆発した結果だと感じています。
古くならないキング牧師のメッセージ
マーティン・ルーサー・キングJr.牧師の自由民権運動 (1964〜)の頃は、黒人によるムーブメントでした。
運動の中で、キング牧師は、数々の名言を残しましたが、そのひとつに「In the end, we will remember not the words of our enemies, but the silence of our friends.(意訳「最大の悲劇は、悪人の圧政ではなく善人の沈黙である」)というのがありました。
でも50年を経た今、黒人に限らず皆が沈黙を破り、行動を起こし始めたのです。
フロイドさん殺害事件に関わる元警察官は起訴されたものの、まだ有罪判決となったわけでは無いし、問題はまだまだ余談を許さない状態で決して楽観視はできないけれど、この変化にちょっとだけ明るい未来を感じます。

人種問題は、本当に根が深くて変わらないのだろうな・・・。
実は、1980~90年代のアメリカを目の当たりにした私には、そうインプットされていました。黒人街はやっぱり恐かったし、身近に犯罪があったのも事実です。差別の感情には、恐怖と脅威、不条理の正当化、そして背徳感があるのだと思います。
アメリカの人種差別問題の根っこはどこにあるかと言えば、17世紀をピークとする奴隷貿易。(※「アメリカの」とあえていったのには、その前の旧大陸の様々な民族意識など、遡ればいろいろあるから。)
大西洋で展開する三角貿易は、奴隷(黒い積み荷)-- 銃 -- 砂糖/綿花(白い積み荷)でした。
50万人のアフリカ人が労働力としてアメリカへ運ばれ、南北戦争の頃には黒人の人口は400~500万人になっていたといいます。(『一冊でわかるアメリカ史』関眞興/河出書房より)

アレックス・ヘイリー原作の自伝的小説『ルーツ』がドラマ化されたのは、1977年。 奴隷として狩られ、売られて船に乗せられ、3世代に渡ってアメリカ開拓時代の労働力とされてきた歴史が細やかに描かれていました。
このドラマにある後半(アメリカ生まれの黒人の世代となった時代)の様子は『風と共に去りぬ』(1952)の中でも見て取れます。スカーレット・オハラと、ビッグサムやマミー、プリシーたちとの絡みは、この映画の時代背景を描き出す名シーンにもなっています。
『風と共に去りぬ』がなぜ、不滅の名作と言われ続けているのか。それは、アメリカの建国からの様子---スカーレットの両親の背景からわかる移民の状況(父アイルランド人、母フランスの亡命貴族、双方ともカトリックだった)や南部の暮らしぶり--- プランテーション農業での綿花栽培の様子、(多くの黒人が南部側で闘った)南北戦争のこと、その後の黒人解放などが描写されている所にもあろうかと思います。

南北戦争後、名目上の「解放」「自由」を得た黒人たちは、かえって路頭に迷い、仕事を求めて都市へと集まりスラムを形成していった--。マンハッタンの北にあるハーレムも、ノース・フィラデルフィアもワシントンDCのバリーファーム地区も、黒人集落はみな、そんなふうに形成されたスラムなのです。
学問もないまま都市部に流れ、仕事も得られず、社会の受け皿もない黒人たちは、どうやって生きていくのでしょう!?
そうやって、犯罪と黒人のイメージが徐々に結びつけられていきました。

厳しい環境の中でも、教育を受けようと努力したり、芸能を磨いて脚光を浴びる黒人達が、少しずつ・・少しずつ・・権利を主張する術を身に付けたりして、今に繋げて行っていたかと思うと、胸を打つものがあります。

キング牧師の導きは大きかった。最初は戦闘的/好戦的だった黒人たちも、戦い方を変えていきました。

昨年のアカデミー賞受賞作品は『グリーン・ブック』(2019/ピーター・ファレリ監督)でした。
ここに出てきた黒人天才ピアニスト シャーリーも、そんな1人。

芸能界では、ウィットに富むハンサム黒人エディー・マーフィー、そして知的ハンサムのディンゼル・ワシントンらが世界中を魅了し、人種の壁を取り除いていきました。

スパイク・リー監督などは、映画という手段で表現する黒人。
『マルコムX』(1992)
『ブラック・クランズマン』(2018) 
つい先日、スパイク・リー監督(63) は、BBCのインタビューで「人種差別はパンデミック」と語っています。
   ↓
https://www.bbc.com/japanese/video-52901257

『大統領の執事の涙』2014) ダニエルズ監督(原作:ウィル・ヘイグッドの「The Butler: A Witness to History」)
『グローリー 明日への行進』(2014)エイヴァ・ディヴァーネイ監督
『私はあなたのニグロではない』(2016)ラウル・ペック監督 なども。

そして、世界のマイケル・ジャクソン!! 
1980年、アルバム『Off the wall』が数百万枚売れた後のこと。雑誌「Rolling Stone」の表紙デザインの話になったとき「マイケルはスターだが、表紙には載せられない(黒人を表紙にすると本が売れなくなるという理由)」と言われたことがあるらしい。(ベストヒットUSA 小林克也談より)
あのマイケルが !? ・・・です。
後日、マイケルは「黒人だと、雑誌が売れないんだってさ。今に見ていろよ。一流雑誌がみんなオレのインタビューが欲しくてやってくるようになるから。その時はインタビュー受けようかな、いや、やっぱりやめよっかな」と、復讐宣言で応襲。
『Black or White』(1991)では、CG技術を使って次々と踊る人の顔が、様々な民族や人種に変化していく楽しい演出で、人種の壁を越えた人類を表現。圧倒的才能で世界に発信したのでした。

黒人だけでなく、白人監督の映画作品もいろいろ。
アラン・パーカー監督の『ミシシッピ・バーニング』(1988)
スピルバーグ監督の『カラーパープル』(1989),『ブラック・クランズマン』(2018)
ブルース・ベレスフォード監督の『ドライビング・ミス・デイジー』(1990)
etc...ダイレクトに差別を扱っていなくても、社会のワンシーンとして描かれているものは、捜せばいくらでも出てきます。
それは、差別がアメリカの風景と化していたことでもあります。

もうひとり、違う畑のスゴイ黒人を挙げておきましょう。

マドンナが僅か35ドルを握って上京したNYCで、最初に所属したダンスカンパニーを率いていた黒人の振付家、アルヴィン・エイリー。アフリカンダンスをコンテンポラリーダンスという新しいスタイルへ昇華させ、一流アートの舞台にのし上げた人物です。

その他、スポーツ界に目をやれば、バスケットボールから陸上から、その身体能力の高さ、スター性の高さが際立つ選手達は、それこそ枚挙に暇がありません。

 "WHERE DO WE GO FROM HERE ~ Chaos or Community? "

この嵐の後、どんな世界になっていくのか。

たとえ理想的な展開になったとしても、気を緩めてはいけないのだ。
たった1人の為政者が、世の中をダークワールドに変えてしまうことを、私達は、ついこの数年で体験したばかりなのですから。


2020年6月6日土曜日

マクビティビスケット


ヤンヤーヤ マクビティ〜♪
 
「ヤンヤーヤ」は、合いの手の言葉なんだとか。
ビスケット同様にイギリス生まれの民謡かなにかのフレーズかと思ったら、日本人 - - -「それ行けカープ」も手がけた宮崎尚志氏の作曲。

日本が戦後の安保闘争を経て経済の時代を迎えた70年代、食文化も大きく豊かさを求めはじめた頃の、外国人登用のCMでした。

この頃、ビスケットといえば、森永ビスケットシリーズ。
マリービスケット、チョイスビスケット(四角いヤツです)、ムーンライトクッキー、ハーバードクリーム・・・・。子どものお小遣いではちょっと手が届かない高級イメージでした。
遠足の時のスペシャルとして、毎回1種ずつ買ってもらっていたものでしたが、マクビティが現れたのも、そんな頃でした。

マクビティ(McBitie's)は、イギリスのユナイテット・ビスケット社の商標。明治製菓が商標権をもち、合弁で明治マクビティ株式会社を設立して国内生産していた商品です。

「戦争が強い国は食文化が乏しい」とか「カトリックは美味しい、プロテスタントは美味しくない」なんて言われ、食の名物が少々貧相な印象のイギリスですが、何故かビスケットとクラッカーだけは美味しいお国柄(!)。ビスケットには保存食の役割もあったせいでしょうか??
(イギリスの食を大切り、随分な言い方ででゴメンナサイ! その内「イギリスだって美味しい!」談致しますのでご容赦下さい。)

ちなみに、マクビティのサイトに行くとこんな解説が。

" マクビティブランドは1830年にロバート・マクビティ (Robert McVitie) がスコットランドエディンバラにおいて、パンの製造販売所として開業したのが始まり。最初のビスケットは、1839年に当時新入社員だったアレクサンダー・グラント (Alexander Grant) によって開発されたマクビティ・ダイジェスティヴ・ビスケット (McVitie's Digestive) である。消化作用のあるビスケットとしては、このとき世界初だった。この名前は、高い消化作用がある重曹が多く含まれていることから名付けられた。"

マクビティは、その名前(Macの接頭語)が暗示している通り、正確にはスコットランド生まれなのでした。(マクドナルドも、マコーミックもスコットランド名。俳優、実業家にも結構多いMc~のお名前です。)

それから、上の引用文の最後にある「ダイジェスティブ・ビスケット」という言葉も、当時は斬新な響きでした。
ところで、全粒粉で胚芽入りなのがなぜ「ダイジェスティブ」なのか?
玄米より白米の方が消化にはいいでしょ!?

先の解説文によると、その答えは「重曹」であるとのこと。
でも、そもそもビスケット全般に重曹は使われています。重曹説にはどうにも合点がいきません。確かに、アルカリである重曹は、胃酸を中和してくれる働きがあり、実際、多くの消化剤にも使われていますが、ビスケットの中に入っている微量の重曹がその効果を発揮しているかどうかは疑問です。

一方で、全粒粉の食物繊維が腸の働きを活発にするという解釈も見つかりました。
野菜が取りづらかったイングランドの食生活の中ではそれなりの効果が見いだせたかもしれません。イギリス紳士も淑女も、その食生活から、実はお腹にガスが溜まりやすいなんて話を耳にしたことがあります。もっとも、腸が変わるくらいの繊維質が、粉から取れるとは思えないのですが・・・。

ちなみに、中医薬膳学では、小麦粉やふすま、赤小豆粉などを醗酵させた「神曲(神麹、六麹などの別名あり)」というものがあり、主にデンプンの消化を助ける薬膳食材とされています。これには、食物繊維云々というより発酵させてあるところに意味があるように思えますが、いかがなものか。塩麹、酒醸(チューニャン)やヨーグルトなどの醗酵食品は、食材を柔らかくしてくれるだけでなく、実は消化にこそ大いに関与していることが経験的に知られていて、各文化圏でそれぞれ絶妙に組み込まれています。
例えば、インドやトルコ〜東欧では、ヨーグルトがそんな位置づけではないでしょうか。

このマクビティビスケット然り、美味しい工夫が結果的に健康的なのか、または健康的な工夫が結果的に美味しいのかははっきりしませんが、健康にいいからではなく美味しいから買い求めていた気がします。


明治マクビティビスケットは、昨年夏に終了となってしまいました。
現在は、商社が扱うトルコ産のマクビティが輸入食材店などで売られているようです。

私のモットーは、無いものは自分で作る!

本格的な夏になる前に、せっせとオーブンに火を入れる今日この頃です。


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PS:コチラは、ウォータークラッカーで知られるCarr'sの全粒粉クラッカー。(イギリスです!)甘さ控え目でおいしいですよ♪

Company Profile
 カーズ ”Carr's”は、設立は産業革命中の1841年。元々は、ジョナサン・カー (Jonathan Carr) 氏がイギリス・カンブリア州カーライルで営む小さなパン屋さんでした。1831年、保存食の堅いパンを元に、美味しく食べられるように工夫して作られたビスケットを販売したものが、船乗り達に人気が出て、瞬く間に知れ渡り、僅か10年で、ビクトリア女王から王室御用達に認められる程になりました。
その後現在に至り、1972年に、McVities ブランドで知られるユナイテッドビスケット社の一部として運営され、アメリカでは、コーンフレークで有名なケロッグ社から販売しています。

Carr'sの情報源はこちら→http://import-selection.ciao.jp/itm/item-0191.shtml

※Water Biscuitsは、フィラデルフィアで暮らしていた1988年にイギリス人のハウスメートがオススメだったクラッカーです。あまり見かけませんが、ブラックペッパー味があるのです!オススメです!!



2020年5月29日金曜日

6月の教室

ひと月の「おこもり」、いかがお過ごしでしたでしょうか??
そしてお籠もりを経て、皆さんいかがお過ごしですか?


5月教室は「お籠もり月間」で、教室もお休みとなりました。
そして、6月13日は、ホントならお江戸で食事会の予定でしたが叶わず。)))

そこで、急ではありますが、食事会にお申し込み頂いていた方々を対象に13, 14日特別料理教室を設定することにしました。

緩まずに過ごす為にも、自宅の時間をより一層充実させる為にも、お家のご飯が美味しいことは本当に大切。

内容は、お家で簡単に作れるおやつと作り置きも可能なお手軽料理 <第1弾> 。

アフタヌーンティー気分でご参加下さい♪


 ● 内容:
  ・ハム作り ★お持ち帰りあり。
  ・サラダ2種
   →自家製ハムのプレート(ハム、サラダ2種)    
  ・モロッコパン(最もシンプルなパン)
  ・デザートになったヨークシャープディング 
  ・推移がわかる、中 → 印 → 英 の紅茶
  ・フルーツ


 ● 日時: 6月13日(土)、 14日(日)11:00 ~

 ● 定員:6名

 ● 会費:6,000円

尚、7月の教室については近くご案内予定です。







2020年5月26日火曜日

パンデミック・エピデミック(12)変わる世界3

緊急事態宣言の解除から数日。
再び街に人が増えると、まるで何事も無かったかのような錯覚に陥ります。
でも、再び第2波が来ることは世の法則といってもいいくらい確実だそうですので、そろり、そろりと踏み出しております。

さて、4月11日の、ETV「パンデミックが変える世界」〜海外の知性が語る展望〜
世界の知性三人の対談3人目。ヨーロッパを代表する知性、フランス歴代の政権の顧問も務めた、経済学者で思想家のジャック・アタリ氏のインタビューです。
一人目は5/12二人目は5/18に紹介済み)


放送から2カ月近くになるけれど、2020年の危機を10年前から語られていた賢者の方々の語るところは、今もって新鮮にひびく・・・というより、これから、私に・・そして多くの人々に、実感を持ってビンビン響き始めるのではないかと。))

以下、全トークの書き出しです。

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ナレーション:アタリ氏は、2009年出版の著書『危機とサバイバル』で、「市場のグローバル化や自由な流通により今後10年で破滅的なパンデミックが発生する恐れがある」「パンデミックは、多くの個人、企業、国家のサバイバルにとって非常に大きな脅威である」と、未知の感染症によるパンデミックが起こる危険を警告していました。

Q.2009年にパンデミックを予告されていました。今回のことは、驚くに当たらない、予告した通りのことが起きたとお考えですか?

10年前、確かにパンデミックのことを書きました。確立が低くても、そうした声には耳を傾けるべきだし、リスクが高い時には行動を起こすべきなのです。私達の生きている時間は短いのですから。


Q.このパンデミックは、私達に何を警告しているとお考えですか?

多くのことです。衛生、社会の透明性、そしてパンデミックの警告を世界で共有するルール作りの重要性について。


Q.パリでは今(※4月初頭のことです)、都市の封鎖が実施されていますが、感染拡大が終息する兆しは依然見えません。パリ市民はこの困難にどう対処していますか?

フランスは、起立を守る中央集権型の国家で、政府がひとたび決定すれば、皆最善を尽くします。もちろん、とても困難な状況ではありますが。
日本やフランスでも多くの人々が、今尚任務についていることに感謝したいと思います。医療や食料品、流通、メディアなど、仕事をしている大勢の人が家の外へ働きに出ています。例えば、ゴミの回収や病院の清掃を行うひとなどもそうです。彼らは、私達の都市が生き延びる上で絶対的に必要な仕事を担っています。

社会階級や社会的要求の違いによっては困難も生じます。都市が封鎖されて家に閉じ込められても、裕福な人は家に居れば良いでしょう。しかし、狭い場所に詰め込まれた人にとっては困難が伴います。


Q.3月半ば、このパンデミックの及ぼす深刻な問題を分析しておられますね。新型コロナウイルスは、何を生むのでしょうか?

今、世界を襲っている危機を乗り越えることほど緊急の課題はありません。もし国家がこの悲劇をコントロール出来ないと証明されてしまったら、市場と民主主義という2つのメカニズムは崩壊してしまうでしょう。


Q.経済学者であるあなたから見て、世界経済に与える打撃はどれほど深刻になると思いますか?

最悪の事態を避けるためには、最悪を予想する方が良いと思います。

私達は今、1929年以来の最悪の危機に陥っており、2008年(金融危機)と比べても遙かに深刻です。世界経済の損失は、(プラス1とかマイナス1ではなく)GDPで20%にも及ぶかもしれません。

もちろんこれは、世界経済の最も重要な牽引国のひとつであるアメリカが、殆ど備え無しにこの危機的自体に突入していることと明らかに関係しています。

この損失は、決して小さくは済まないでしょう。もちろん各国の政府は、状況を改善する為に中央銀行による金融政策、思い切った財政など、できることは既に全てやっています。
上手くいっているかどうかはともかく、世界中で多くの支援が行われていることは確かです。但しそれは、結果を先延ばしにしているに過ぎません。レストラン、ホテル、店舗、スタジアムや航空業界など、人々が集まることが予想される業種は、とても大きな影響、10%などでは無く60%、あるいはそれ以上の影響を受けるでしょう。


Q.とても恐ろしい見通しですね。貴方は、第二波、第三波にも備えるよう警告されています。状況はあとどれくらい続くのでしょうか?

私は、医者ではないので、それはわかりません。
只、過去の例を見ると、パンデミックの最初の封じ込めや都市封鎖によって上手く終息したときに外出して感染するという間違いを多くの人が犯しています。
1918年のヨーロッパでは、スペイン風邪が蔓延したとき、第一波で既に多くの犠牲者を出しましたが、外出するタイミングが早すぎて、第二波では更に多くの犠牲を出していました。

Q.私たちは、医者でもなければ未来を占う水晶玉も持ち合わせていません。ですが、コロナ後の世界は、どうなっているのでしょうか?最悪のシナリオとは??

最悪のシナリオは、世界的な恐慌、失業、インフレ、ポピュリストによる政府の誕生、そして長期不況による暗黒時代の到来です。
そうならないとは思いますが、最悪のシナリオが起こるとすれば、さっき言ったように早く外出し過ぎて第二波に遭遇し、経済に打撃を受けるということでしょう。

他にも非常に悪いシナリオが起こり得ます。
新しいテクノロジーを使って、国民の管理を強める独裁主義の増加です。
例えば、中央ヨーロッパで、ハンガリーなどの政府がしたように、パンデミックを独裁主義に向かうための口実にするのです。 それがひとつの脅威です。
さらに、経済、健康、そして民主主義への脅威もあります


Q.緊急事態が民主主義に与えるインパクトについて、お尋ねします。
たとえ民主的な指導者であっても、緊急時には前例のない権力を手に入れることがあり、大衆も厳しい政策を支持することがあります。それは民主主義にとってどのような意味を持つでしょうか? 

確かに、安全か自由かという選択肢があれば、人は必ず自由ではなく安全を選びます。それは、強い政府が必要とされることを意味します。しかし、強い政府と民主主義は、両立し得るものです。
第二次世界大戦の最中のイギリスが良い例です。協力な政府を持ちながら、民主主義でもありました。


Q.このパンデミック中で、差別や分断が以前より目立ってきているのではと懸念しています。それについては同意されますか?

はい、連帯のルールが破られる危険性が極めて高い - - -つまり利己主義です。経済的な孤立主義が高まる危険性もあります。他の国に依存し過ぎるべきではないというのは事実です。
例えば「どうかエチオピアにマスクをうってくれ」と、中国などに懇願しなくても済むように。しかし、だからといって国境を閉ざしてしまうべきではありません。私達は、もっとバランスの取れた連帯を必要としているのです。



ナレーション:  "パンデミックという深刻な危機に直面し、今こそ「他者のために生きる」という人間の本質に立ち返らなければならない。協力は競争よりも価値があり、人類はひとつであることを理解すべきだ。利他主義という理想への転換こそが、人類のサバイバルの鍵である。"

危機的な状況の中でも、アタリ氏が選ぶ言葉はあくまで前向きです。
今こそ連帯が必要だというアタリ氏は、「利他主義」という思想を主張してきました。
今回の危機を受けて、改めて「利他主義」への転換を強く呼び掛けています。

Q.貴方のブログをずっと読んでいますが、その一貫した楽観主義が印象に残りました。そのポジティビズムや楽観主義は、どこから出てくるのですか?

    Cheers for Life!

    Thank and Live Positive!

ポジティビズムは、オプティミズムとは違います。例えば、観客として試合をみながら、自分のチームが勝ちそうだなとかんがえるのは、楽観主義です。一方、ポジティビズムは、自らが試合に参加し、上手にプレイできればこの試合に勝てるぞ!と考える事です。そういう意味では私はポジティブであると言えるでしょう。 

私は、人類全てがこの試合に勝てると考えています。

自分達の安全の為に、最善を尽くし、世界規模で経済を変革させていくことが出来れば、きっと勝てるでしょう。今の状況は、私が「ポジティブ経済」と呼ぶものに向かうとても良いチャンスだと思っています。
ポジティブ経済とは、長期的な視点に立ち、私が命の産業 (Life industry---what's needed for life) と呼ぶものに重点を置く経済です。

生きる為に必要な食料、医療、教育、文化、情報、研究、イノベーション、デジタルなどの産業です。生きるのに本当に必要なものに、集中することです。


Q.共感と利他主義について語っておられますが、人々がパニックによって買い占めを行ったり国境を封鎖したりする中で、「利他主義」とはどのような意味を持つのでしょうか? 貴方のことを「無私の聖人(selfless Saint)」のように言う人もいるのでは?

いえいえ、利他主義は合理的利己主義に他なりません。
自らが感染の脅威にさらされないためには、他人の感染を確実に防ぐ必要があります。利他的であることは、ひいては自分の利益となるのです。
また、他の国々が感染していないことも、自国の利益になります。
例えば日本の場合も世界の国々がさかえていれば、市場が拡大し、長期的にみると国益に繋がりますよね。


Q.利他主義とは、他者の利益のために全てを犠牲にすることではなく、他者を守ることこそが我が身を守ることであり、家族、コミュニティ、そして人類の利益にも繋がるのですね。

その通りです。利他主義とは、最も合理的で自己中心的な行動なのです

今回の危機は、乗り越えられると思います。
苦しやワクチンが見つかるかは分かりませんが、数カ月の間に打ち勝てるでしょう。医者ではないので、それが何ヶ月かはわかりませんが。
但し、長期的にみると、このままでは勝利は望めません。経済を全く新しい方向に設定し直す必要があるのです。戦争中の経済では自動車から爆弾や戦闘機へ、企業は生産を切り替えなければなりません。今回も同じように移行すべきです。ただし、爆弾や武器を生産するのではなく、医療機器、病院、住宅、水、良質な食料などの生産を、長期的に行うのです。
多くの産業で大規模な転換が求められます。はたして私達に出来るかわかりません。パンデミックの後、人々が再び以前のような行動様式に戻ってしまうかもしれないからです。


Q.「歴史を見ると、人類は恐怖を感じるときにのみ大きく進化する」と以前おっしゃっていました。私達はまさに今、進化するために、コレまでの生き方を見直すべきだと思いますか? 人々への提言とはーー?

まさしくそう思います。前身するために、恐怖や大惨事が必要だというのではありません。私は破滅的状況は望みません。むしろ、魔法によって今すぐにでもパンデミックが終息してほしいです。しかし、良き方向に進むためには、今の状況を上手く生かすしかありません。

利他的な経済や社会、つまり私が「ポジティブな社会」「共感のサービス」と呼ぶ方向に向かうために。しかし人々は、未来について、考える力がとても乏しく、また忘れっぽくもあります。問題を引き起こしている物事を忘れてしまうことも多いのです
過去の負の遺産(dark souvenir)を嫌うため、それが取り除かれると、これまで通りの生活に戻ってしまうのです。人類が今、そのような弱さを持たないよう願っています。

私達全員が、次の時代の利益を大切にする必要があります。
それが鍵です。
誰もが親として、消費者として、労働者として、慈善家として、そしてまた市民として、投票を行う時にも、次世代の利益となるよう行動を取ることができれば、それが希望となるでしょう。

私達は、同じ時間を生きている。
それを痛感させられるインタビューでした。


今、日本でも、様々な政治的事象が吹き出しているのを目の当たりにしています。

世界の知性お三方が語る事は、根っこは同じ所。
健全な民主主義と健全な市場経済にあると、ヒシヒシと感じます。
そして、これは、実はとてもシンプルなことにあるのだとも。

長年塗り重ねられた様々な思惑で複雑化されたものを、ひとつずつ、もつれた紐をほぐしていくように、シンプルにしていくことが、21世紀の課題かも。