2008年1月24日木曜日

三不粘(サンプチャン)


緑豆デンプンと砂糖、卵黄だけで作る、中国北部の幻のスウィーツ。

歯にも、皿にも、箸にもひっつかない。

歯、皿、箸・・これら三つが粘ら不というのが名前の由来だそうです。

「シンプルなものほど難しい」の極みみたいな料理で、材料を合わせて、中華鍋に入れ、火にかけ、濃いカスタード状になったものを、カッ、カッ、カッ・・・と2000回以上リズムよく混ぜ込んでいきます。その間、同時に鍋肌にラードを垂らし入れます。

卵も砂糖もデンプンも、ともすれば焦げ付きの原因となる素材。
それを、中華鍋ひとつで、テンポ良く混ぜ合わせていくうちに、やがて生地は、鍋にもくっつくことなく、餅のように、鍋の中でうねり踊りはじめます。火は、ラード特有の豚臭みが飛ぶほどに、ほどほど強火。

カッ、カッ、カッ・・・・。

生地がほのかにオレンジ色味を帯びてきて(焦げていないけれど焼いている!)、均一の伸びと粘りが満ちたら完成。

お皿にスルリと滑らせた三不粘が、ちょうどきれいな満月のようなら、120点。

この日の三不粘は、ちょっと満月が潤んだ感じでしたが、完璧な色とツヤで、観客の喝采を浴びました。

箸でつまむと、できたてのういろうのように、ふにゃっと伸びて、ぷるんと切れました。

大変な技術を要するスウィーツらしく、日本の中国料理シェフでも、これが作れるのは数人なのだそうで、シェフの間では「腱鞘炎料理」との別名をとり、失敗したら「お勘定にも付かない」四不粘になってしまうから、これをメニューに乗せている店は、ほとんど無いそうだ。

今回は、春節の特別料理ということで、竹爐山房の山本豊シェフが、特別に腕をふるい、振る舞って下さいました。

素朴と洗練が同居したこのデザートは、まさに中国料理のマジック!




2008年1月12日土曜日

白龍髭


横浜中華街展で、肉まんね・・・餃子ね・・・ウーロン茶ね・・・月餅ね・・・と、いつも通りの出店ぶりを横目に早足に通り過ぎようとしていたその時、目に留まったのがコレ。「白龍髭」の実演販売。

白竜髭(パイロンシュー)

蜂蜜や麦芽糖、糯米などでできた飴を細く細く、ラーメンをのばして倍数で本数を増やしていく要領で16384本の糸状にまで伸ばしていくとマユの絹ワタのようになる。その細い糸の束で、落花生、アーモンド、胡麻、かぼちゃの種、松の実、ココナッツを小さく刻んだものをくるりと包みこんである。

口に含むと、綿菓子よりコシがありさっぱりと自然な甘さ・・・。

なんでもない材料を、こんな面白い食感のお菓子に仕立ててしまう発想と技術に感嘆(!)。




2008年1月4日金曜日

黒い大根 from France




数年前(それも3年以上前)、フランスから買って帰った黒大根の種を、親戚が植えて育ててくれていました。

ワタシの「種まき」は、たいていあちこちの風土の違う土地に住む親戚や友人に「作ってみて~~」と種を振り分けるところ止まりなのだが、その種をちゃんと土に撒いてくれ、こうやって時々「あの時のがこんなになったわよー」と、野菜になっていただけるなんて、ほんとうに感謝。

さて、この黒大根、中は・・・・。

ざくっと切ってみると、白い。
パクッと口にいれてみると、ちょっと硬くて辛味がある。
黒い皮の部分は・・・・やっぱり剥くほかなさそうだ。
大根は締まっているので、煮物にいいかな。
それこそしっかり煮込む大根カレーなんぞには案外いいかもしれない。

フランスの方、どうやってたべてるんですかー??

「種まき」もいいけど、そこのところをしっかり押さえて「種まき」しなさいって、無言のメッセージも含めてか、出来た大根の殆どを惜しみなく渡して下さいました。