2017年4月24日月曜日

お出汁



故郷の味ってなんだろう??


何でも手に入る時代になって「故郷の味」というのも、影が薄くなりつつある気がする。

ある日電話で、人生の大先輩が「何がって、この歳になると、美味しさってのは馴染んだ味なのよね」と。
若い頃は、目新しさに美味しさを感じたりする時期もあるけれど、あれこれ食べ尽くした年齢になると、美味しさとはそういったものかもしれない。
そして、その馴染んだ味の要が出汁の味。

先の一言の後に大先輩、こう言いました。
「大羽いりこで取った出汁はたまらん。」

実はワタクシ、カツオ出汁を常用しています。
実家の味はいりこ出汁。栄養のことを思ってか、出汁いりこが具の顔をしてそのまま入ったお味噌汁。なんとなく、手抜きで野暮ったいと感じていたのです。
いつだったか、旅先の旅館で湯気の中にカツオの燻製香がふわ〜っと漂う美味しいお味噌汁を頂き「お味噌汁ってこうでなきゃ!」なんて思った日から、鰹のお出汁にはちょっとご馳走のイメージを持ってしまったのです。

もうひとり、いりこ出汁派・瀬戸内人間の友人がいますが、彼女は、自慢のけんちん汁談でこんなこと言ってましたっけ。
「出汁はいりこよ。カツオのお出汁なんて、旅館の朝食みたいで、どうもね・・・」

「!!!」

きっと彼女のお家の朝ごはんは、イリコが取り除かれたお味噌汁だったに違いない。


ある日、いりこ出汁で炊いた大根をご馳走になりました。
「懐かし〜味!美味しい!!」
・・・と、思ったのでアリマス。

どうやら私も「慣れ親しんだ味=美味しさ」という境地に突入したか。))

先の大先輩にならい、青光りするような立派な大羽いりこを取り寄せてみました[写真右]。
ちなみに、左のあじ子もいい出汁が出ます。

故郷の味は出汁にアリ! 
なーんて、いつもの味噌汁に、妙に力が入る、今日この頃です。


2017年4月21日金曜日

5月の健美膳

生薬に親しむ(2) 『ちまき道場!』
  〜 補気ちまき 〜

昨年、一昨年前は、灰汁巻をご紹介してきましたが、今年は久々(6年ぶり!)に竹の葉で円錐に包む中国の肉粽!

中国料理は、一度に沢山作ることを得意とし、食事が一族繁栄の喜びを噛みしめるひとときであったことを改めて痛感させられます。
粽は、とりわけ皆で集って作るのが楽しく美味しい一品。 
節句のお料理のエッセンスですね♪

節目の養生。5月は心を温め生命力を養うひととき。
5,6月の養生で、夏バテ防止も、既に始まっています(!)
薬膳効果をプラスした補気ちまきをご紹介します。

内容:
 ●補気肉ちまき
 ●野菜料理 
 ●スープ
 ●美味しいお茶とお茶請け

      


   2017年 5月13日(土)、14日(日)、17日(水) 10:30〜14:30




粽は、中国では、無くては成らない行事食。
お総菜屋も夏頃まで、あらゆる粽で賑わいます。
台湾の市場にて。布巾やペンを置きっぱなし・・・(^^;)
こういうのは、日本では見かけないですね(苦笑)。


来年は、蓮の葉の粽もいいな〜〜・・・♪









2017年4月19日水曜日

煮玉子 〜たまご談〜



4月の教室より、限りなくシンプルな一品。
でもこれがなかなか好評なのです。

煮玉子のタレと、卵のゆで加減が決め手です。
好みは人によっていろいろでしょうけれど、私は半熟とろ〜りより、黄味のところにしっとり感を残した8分茹でがぴったりだと思っています。
そして、外側にしっかりと味が付いていてそれでいて白さが際立つ美しさ♪

シンプルなお料理を理想的につくるのは、案外むずかしい。
ごまかしようがないそのシンプルさ。
たかが卵と思いがちですが、卵料理はあなどれませぬ。


卵を茹でながら、昔見たイギリスの料理番組を思い出しました。
イギリスのカリスマ料理研究家デリア・スミスさん。
第1回目が、なんと「ゆで玉子と目玉焼き」でした。
お肉同様、レア、ミディアム、ウェルダンを卵でも確実にやってのけることが大切とあって、卵にも、これだけ考察があるものかと思わせる解説。
流石「朝食だけは美味しい!」と評されるイングリッシュ・ブレイクファーストの、まさに "目玉"の一品。こだわりもひとしおなのです。
ダリアさん、ふだんは正統派で硬派な印象ですが、実は、熱狂的なサッカーファンで、応援チームが大切な試合で続けざまに失点したとき、思わずピッチに降りて「なにやってんのよーっ!」と、カツを入れたなーんてエピソードもあるのだ。そんな熱い一面を知り、大いに好感度を上げました。 

イギリス卵談ついでに、デモや抗議の際によくあるのが「生卵を投げつける」という行為。映画などでもよく見られます。ぱっと思いつくだけでも『リトルダンサー』('80年代炭鉱閉鎖につき労働者のデモで)『マーガレット・サッチャー  鉄の女の涙』(先述と同時代)、『未来を花束にして』(1910年代女性参政権をめぐるデモで)・・と、車や家の窓に投げつけられた卵がタラ〜リ垂れたシーンが目に焼き付いています。
安価なのに相手への心理的ダメージが大きい(が、怪我はしない)のがその理由とか。
イギリスに限ったことではないのかもしれませんが、何故かとってもイギリス的と感じてしまった。

卵といえば、ゆで玉子、オムレツ、かき玉汁にだし巻き、茶碗蒸し、プリン・・・はてはマヨネーズに到るまで、調理科学とのこれ以上ない絡みでバリエーションが果てしなく広がる食材。
それらを心得ればきっと、アナタが料理上手の称号を手にする日も夢では無い!!
卵料理、やっぱりあなどれませぬ。


2017年4月15日土曜日

肉まん


肉まんの季語って何時だろう?


学生時代、まだコンビニも今ほどそこかしこには無かった頃ですが、コンビニやヤマザキに蒸し饅頭の保温器が設置されたら「おっ・・季節だな〜♡))」と思ったもの。部活帰りの食べものが 冷めたいモンから「温」にシフトするときの代表的存在。何を食べても美味しいお年頃の胃袋には季節なんて関係ないようでいて、やっぱりあったのだ。

粕の甘酒、焼き芋(これは案外贅沢だった!)、二重焼き、フライケーキという名のアンドーナッツ・・・。
最近の若者は、どんなモノを食べているのかな??

 点心 ≒ おやつ。

点心は、「点=少し」「心=お腹」。

小腹が空いたときにお腹に入れる軽食。


点心という言葉は、南宋( 12~13世紀)の時代、名将の妻が北方民族と戦う前線の兵士に、一意 - - - ほんのちょっとの感謝のしるし - - - として労いの糕餅を送ったことに由来するとか、もっと昔の唐の時代の小説が由来とか、いくつか説があるけれど、既に唐代には存在していたという。

「今日のランチは点心♪」と、点心だけでお腹をいっぱいにしたりというのは本来の意味からすればちょっと違うということになりそうだが、今では中国の食事構成にガッチリと組み込まれ、2度の食事「吃飯(チーファン)」と三度の吃点心(朝食にあたる「早点(ザオティェン)、3時のおやつ「午点(ウーディェン)、夜食の「晩点(ワンディェン)」)といった風。 
なんだか常に一日中たべているかんじだ・・・(笑)。


さて、写真の肉まんは、仕込みの青菜まんと一緒に作った朝食、もとい、早点(ザオティェン)。 季節外れ(?)の湯気ながら、はふはふかぶりつくとなんだか幸せ感を覚える。

実は青菜まんの方は、今月のNHKカルチャー用です。


秋には「豚まん道場」展開予定です♪