2016年5月29日日曜日

ぐり茶  玉緑茶


写真1:嬉野玉緑茶(佐賀)

写真2:グリ茶(熊本)


ちょっと遅ればせながら、今年のお茶を買いました。
ここ数年、恒例となっているのが「釜炒り玉緑茶」。

茶葉を蒸さずに釜で炒り、さらに茶葉を揉んで整える行程(製揉)なしで作られるので、くりっと丸まった自然な形に。その形からぐり茶と、愛称めいた呼び方もあるそうな。
釜炒りの、ほのかな香ばしさ、製揉しないことで押さえられた渋み。
この時期の新茶でいただくのが一番な気がして、毎年新茶はコレをいただいています。

中国から伝わった製法の「炒る」という行程が九州に根強くのこっているのは興味深いことです。
世界で最初に飲まれた日本のお茶。
なんと戦前はソヴィエトに輸出していたというから驚きです。1991年、ソヴィエトが崩壊して二十数年、今再び世界的な日本食ブームもあってか今までになく関心が高まっているのだとか。どんな飲まれ方をしているのかと想像すると、ちょっとヒヤヒヤしてきますが(苦笑)。
ロシアのお茶文化に言及した書物はなかなか無いのですが・・・この絵画は、20世紀初頭、ロシア商人のご夫人がお茶を飲んでいるところ。
『商人の妻』/ポリス・クストーディエフ(1918年)---『TEA  EAST AND WEST』より
向かって左のサモワールも気になりますが、何と言ってもカップではなくサーバー(お皿)側で飲んでいるのが印象的(!)。決して、このご婦人が猫舌だったという訳でも、右の猫にお茶を飲ませようとしているわけでもなく、こういう呑まれ方をしていた時期が(イギリスの片田舎にも!)あったのでした。 

ロシアンティーといえば、ジャムを入れる飲み方で有名ですが、一般に、お茶は甘くして飲むのが主流なんだとか。モンゴル等の影響か一部バターやミルクを加えてスープ的にバター茶にする飲み方もあるとか。(ロシアには陸路でお茶が入ってきたのが最初です。)
ロシアンティー今昔物語にはちょっと度肝を抜かれました。
外来品は、時としてとんでもない形で使われていたりするのでビックリですが、その地域の生活文化や民族的な感受性が滲み出ていて面白くもあります。

こんなロシアのお茶文化を見ると、日本は中国から伝わったお茶を、かくも上手に自分のスタイルに変えたものだと感心します。
日本のオリジナリティーを兼ね備えた新しいお茶が、再び世界へ広がっているかと思うと、なんだか感無量。食文化としての枠を越え、アートの域へと変わったお茶文化の美意識も、併せて知ってもらえるといいな。


さて、今年は熊本支援の気持ちも込めて、熊本のぐり茶【写真2】も一緒に購入。
双方とも、香ばしいきな粉や気取らない豆菓子といただくのにぴったり。
大きめのお湯のみで、縁側でずずずーーっと啜りたいお茶。
縁側も、炒り豆もないので、川通餅などつまんでいただきましょ。





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