2017年8月19日土曜日

アラック酒 = 阿刺吉酒

『薬膳の原典 飲膳正要』(忽思慧・著/金 世淋・訳)八坂書房

先般のオランダ茶会、お菓子の材料に「アラック酒」とあるのが気になりました。
アラック酒=ARAKとは、中近東のアラブの国、特にイラクやシリア、エジプトなどの伝統的な蒸留酒。なつめ椰子や葡萄の実などの糖度が高い果実から作られています。
とってもアルコールが強いのだけれど、独特の芳香があります。
このお酒とスパイスを加えたチョコレートは、なんともエキゾチックだったな〜。)))

ところで、イスラムではお酒は禁止されているはずなのに!と思われませんか?
禁止されているにもかかわらず、トルコではラク、ギリシャのウーゾ、モロッコでは無花果が原料の「マフィヤッ」というのがありましたし、各地で強いお酒があるようです。
そもそも、蒸留酒を世界中に広めたのはアラブ人。アルコールという言葉も、アラビア語のアランビックが語源なのも、アラブ人がこれを広めたところに寄るものでしょう。

蒸留技術の歴史は古く、ギリシャ〜メソポタミア辺りで紀元前ともいわれますが、醸造酒から蒸留酒を造る蒸留機が生まれたのは8世紀頃なのだとか。
中国に伝わったのは、13世紀、西域に及ぶ領土を支配した元の時代です。
モンゴル民族は、異民族の文化に寛容で、食文化の交流も盛んであったといいます。

丁度この頃記された食養生書『飲膳正要』(忽思慧/こつしけい著)に、アラック酒が載っていました!!

「阿刺吉酒」というのがそれです。
これがはじまりで、中国の白酒(パイチュウ)が生まれ、沖縄〜九州に伝わり、焼酎が生まれるのが14〜15世紀。この頃には、世界各地に強いお酒が出回っていたことになりますねえ。)))

ちなみに、阿刺吉酒の解説は・・・
「味甘辣、大熱、大毒あり。冷堅積を消す。寒気を去る。上等の酒を蒸留して阿刺吉酒にする。」とあります。
蒸留する前の醸造酒は何だったのでしょう??

これと並んでいろんな薬酒が載っていますが、酒は呑み過ぎると「有毒である」との見解は、この書にすでに書き下ろされています。

それはさておき、強いお酒の危なっかしさも早々に悟り、イスラムの教では規制されてしまったのですね。

ヨーロッパに伝わった方は、南仏のアブサンになったり、北欧のアクアビットになったり・・・。
共通して、水で割ると、白濁します。

モンゴルの馬乳酒の始まりも、コレなんだとか。
馬乳酒にご興味がある方、10月第2土日、広島西条の酒まつりへ行けば、おそらくグラスで頂くことができると思います。とーっても強いお酒です。)))
お気をつけあそばせ。





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