2019年10月20日日曜日

『大草原の小さな家』— 料理編1




19世紀の開拓民が食べていたもの・・・??

インガルス家のお父さんは、兎を撃ってきたり、七面鳥をしとめたり、魚を釣ってきたりと、ドラマでは、かなり高い調達率。
鹿やバッファローも開拓民の食材に。ちなみにバッファローは、ローラたちの時代には乱獲で少し数が減っていたようです。お肉はほとんどジビエ。それらを調理するお母さんキャロラインも、さっきまで生きていた"獲物"を料理するのですから、なかなかワイルド(!)です。

ドラマ前半にはまだオーブンが無く、キャロラインはとても欲しがっていました。インガルス家にオーブンがくるのは、あるクリスマスイブ。お母さんが欲しがっているのを知ったローラは、なんとオルソンさんと交渉し、自分が可愛がっていた仔馬とオーブンを交換してもらい、お母さんにプレゼントするのです。
大いに涙をそそるローラの親孝行ですが、商売人のオルソンさんと、ちゃんと物々交換ビジネスを持ちかけるローラ、なかなか大したものです(!)。

オーブンが無い頃、お母さんのお料理の熱源は、ほとんど暖炉でありストーブ。
ダッチオーブンやスキレットを使って、殆どのお料理を作っていたみたいです。
暖炉でパンまで焼いてしまうキャロライン。強火、弱火、中火という火加減も、薪の出し入れで調節し、「料理上手 ≒ 火使い上手」で家族の健康と安全を守ります。
キャンプさながらの暮らしの中、ローラがプレゼントしたオーブンで、キャロラインのお料理レパートリーはグッと広がったことでしょう。

さて、どんなお料理を作っていたのか、この本で覗いてみます。

大草原の『小さな家の料理の本』
~ ローラ・インガルス一家の物語から〜
著者:バーバラ・M・ウォーカー
訳:本間千枝子・こだまともこ
絵:ガース・ウィリアムズ


目次を見ていてやたらと目に付くのは「トウモロコシ」に「コーンミール」の文字。
「とうもろこしの固焼きパン」、「とうもろこしパン」、「コーンミールのマッシュ」にポップコーンetc..
「- - -汗流そう 麦の畑で 土のにおいさせて〜♪」
・・・と、主題歌の歌詞にもあるように、麦畑を開拓していく「お父さん」ですが、麦はさほど主食ではなかったようです。
換金性が高い麦は、売って現金収入の元にしていたのでしょう。

折しもこの時代、ヨーロッパは戦争の混乱期で、小麦が不足していましたから、アメリカの小麦は高く売れたのです。
でも、美味しいパイやケーキに小麦粉は必須。それだけに、小麦をつかったお料理についての描写は、ハレの日感に溢れています。日本でお赤飯を炊くように、主婦は「パイ」を焼いていたみたいです。

   ・パンプキンパイ
   ・アップルパイ
   ・干しリンゴと干しぶどうのパイ
   ・ミンスパイ
   ・チキンパイ
   ・ブラックバードのパイ(!?)
   ・ビネガーパイ(!)

お肉のパイは、いつもの料理にちょっと手を加え、消化の良い小麦粉の生地と一緒に頂けるご馳走仕立て。パイは、食材の水分を失うことなくジューシーに柔らかく蒸し焼きにする調理法でもあることが、料理の描写から感じ取れます。料理の、ご馳走としてのプレゼンテーションだけでなく、肉汁も無駄なく食べる工夫でもあったよう。
椋鳥さん
ところで、「ブラックバード」とは・・・!?
これは、カラスではなく「椋鳥(ムクドリ)」の一種とのこと。

「ビネガーパイ」は、クエスチョンが浮かぶ一品ですが、これは本来はカスタードにレモンの酸味を利かせた甘酸っぱいレモンパイの、レモンの代用としてお酢をつかったもの。
レモンが買えないお家のパイということで、別名「貧乏人のパイ」なんて言われ方もあったそう。

   ・カエデの糖蜜(メープルシロップのこと)
   ・ラードとそのかす
   ・バター
   ・リンゴの芯でつくるビネガー
   ・ベーキングパウダー

「ビネガーパイ」に使うお酢だって自家製。「リンゴの芯でつくるビネガー」も、なかなか印象的です。

ターシャ・テューダー(1915~2008年/バーモンド州に暮らした絵本作家)のアップルサイダーのように、リンゴ果汁をふんだんに使ったリンゴ酢とは異なり、溜め込んだリンゴの芯を使い、プリザーブの上澄み(たぶんジャムを炊いたときすくったアクなど)や、糖蜜の樽を漱いだ水などに含まれる微かな糖を活かして醗酵を促すというもの。
キッチン科学を経験でマスターしていなければ、この時代の主婦は務まりませんね!

<つづく>



2019年10月19日土曜日

『大草原の小さな家』



懐かしいドラマが、再び(!!)
が、な〜んだ、BS4Kだけかぁ)))
・・・と、肩を落としていたところ、BSプレミアム(土曜日8:30am~)でも始まっていた!♪
いや〜懐かしいなあ)))。
第1話のネイティブアメリカンが出てくるシーンなど、強烈に覚えています。
町で唯一のよろず屋を営むオルソンさんの離婚騒動や、先天的に足の悪い女の子の為に、お父さんが靴をつくってあげる回もあったし、お母さんが破傷風で生死の境を彷徨う話もあったなあ)))。
傷の消毒に熱湯消毒した布巾をジュッと当てている(火傷しちゃうじゃないか!)シーンは、衝撃だった。))
電気も水道も無い暮らし。暖炉の火で、コーヒーを湧かし、パイを焼く。自宅出産に、訪問医療。

ちょっと時代考証してみました。

原作者のローラ・E. インガルス・ワイルダーは、1867年生まれ。この物語は彼女自身の家族のことを書いたお話です。(原作「Little House in the Big Woods」,「インガルス一家の物語」)

1867年といえば、日本は幕末、近江屋事件で龍馬が殺害され、大政奉還がなった年。
ペリー来航(1853年)から 14年。捕鯨船に助けられ、アメリカに渡ったジョン万次郎もとっくに帰国して薩摩藩に招かれている。インガルス家のランプの燃料も、クジラの脂だったろうか・・??
ゴールドラッシュはローラが生まれるちょっと前のカリフォルニア。(インガルス家のお父さんも、ゴールドラッシュに乗って金を取りに行く回がありました。ジョン万次郎も日本への渡航費を金で稼いだけど、お父さんとニアミスしてたかもw。)
この頃には南北戦争は既に終わって、リンカーンも暗殺されている。

お母さんのキャロラインと『風と共に去りぬ』のスカーレットが同世代ぐらいだろうか。
スカーレットの暮らしぶりと照合すると、こちらはなんだかえらいワイルドライフ。南部の繁栄と、南部が軽蔑する“ヤンキー” の格差といったら・・・。
オルソンさんは東海岸の商売人で、この集落では一番のお金持ち。その娘ネリーは、お嬢様気取りでいるけど、「南部のお嬢様」に比べたら、全く歯が立たないですね。でも小さな町の女王様もプライドだけは負けないw。

黒船来航から20-30年後のこの頃、西洋列強の文明に目を白黒させていた日本だけれど、開拓民の人達の暮らしをみるにつけ、いやいや、大して変わらないのでは??という気もする。どこも地方はそんなものだったのでしょう。
西部開拓・・といっても、まだまだ中北部のサウスダコタ州。

世界は激動の19世紀。これもまた、「世界の片隅で」のお話。

250歳のアメリカ、若い!

子供の頃、素直にエピソードを楽しんだドラマ。50年の時を経て、「世界の片隅」が伝える時代の風俗ーーそんな視点でこのドラマを見ています。

次回から、お料理を切り口に、少し語ってみるとしましょ。


2019年10月17日木曜日

桂花醬 と 桂花茶会



猛暑の影響でしょうか??
今年の金木犀は小さくて、花の数もちょっと少ない気がします。

それでもなんとか恒例の桂花醤をジャム瓶2ケ分仕込むことができました。

この桂花醤、桂花茶会で初モノとして、加わりました。

お饅頭にも香りを添えて・・・♪

秋の名月は、月の金木犀が満開だから。そんな言い伝えは、きっとどこからか漂う金木犀の香りと共に、月を愛でていた人が語ったのではないだろうか。

お茶の香りも桂花香。個性豊かな鳳凰単ソウの醸し出す甘い香り。
あ〜〜えぇ〜〜なぁ〜〜)))





2019年10月10日木曜日

桂花茶会


台風の心配をしながらの茶会の準備。
本日、広島は大丈夫圏内に♪
(でも、房総半島はじめよそがあちこち心配です・・・)

さて、明日から茶会。
13日に1席キャンセルが出ました。
お席ご用意できます!!

ご希望の方は、HPのお問い合わせ窓口からどうぞ。
http://epice.biz



2019年10月5日土曜日

11月の料理教室 



お待たせしました!

いよいよ、やっと、肉まんです!

これまで度々リクエスト頂いておりましたが、醗酵モノは、時間的に厳しいことが多く・・・タイミングがあいませんでした。

今年は、「定番料理を一層美味しく!」をモットーに展開しています。
今年もあと2カ月となり、秋の風を感じる頃。ここはやっぱり、美味しさと安全の豚まんを、ご紹介しなくてはと思います。
わりと買いやすい加工食品ではあるけれど、満足のいくものにはなかなか出会えないのが豚まんだと思います。
手間暇掛けるなら、市販品より一段二段上の美味しさと安心がなくては。

そんな訳で、具だくさんで、ヘルシーな豚まんと、あんまんを作ります。
あんまんも、特別な手作り餡で作ります。

お楽しみに!!


  内容:・豚まん
     ・あんまん2種
     ・白灼油生菜
     ・スペシャル烏龍茶


  日時:2019年   11月 2日(土) 10:30〜14:30 あと1席
               6日(水) 10:30〜14:30
               9日(土) 11:00〜15:00 あと1席
              10日(日) 10:30〜14:30 


10月 桂花茶会



まずは前回ご参加の方、そして料理教室の皆さんに先行予約で受付・・・としたところ、blogにUPする前に、満員御礼になってしまい、お知らせ出来なかった方が沢山でてしまいました。
お声掛けできなかった方々には、心よりお詫び申し上げます。

前回の紅茶のいろいろ・・に続き、今回は、私達がいわゆる「烏龍茶」と呼んでいる最も身近な中国茶をご紹介する企画。
大航海時代からの世界のおおきなうねりと共に、大きく変わった中国茶。
本当に美味しい烏龍茶って??

テイスティングをしながら、舌磨きになるお茶を召し上がって頂きます。

来年度、中国茶シリーズ検討中ですので、今回ご参加叶わなかった方で、ご興味の或る方は、是非メール等でご一報下さい♪

maki@epice.biz


2019年9月5日木曜日

朝ごはん


朝ごはん。皆何を食べているのでしょう??

私は二十歳になるまでは、自宅暮らしで、朝食といえば九割方、御飯と味噌汁に漬物・・・冷や奴がしばしば(+お弁当のおかずの残り)、といった感じでした。

毎日毎日、毎朝毎朝・・・味噌汁(いりこ出汁です)。
漬物は季節でほとんど同じでしたが、一応味噌汁の具は日替わり。

70年代になってから、近所に焼きたてパン屋が出来て、時々日曜日は「焼きたての食パンに珈琲(だったのかな?)」みたいなこともありました。
熱々の食パン。ふわふわすぎて、カットできないのですよ。
だから超厚切り。
今考えると恐ろしいけど、たっぷりジュワ〜〜っとマーガリンを滲ませて・・・。
パンと牛乳たっぷりのミルクコーヒー(※当時はカフェオレという言い方はしなかった)なのに、非日常のそれは、しばしばご馳走気分にしてくれていました。
目玉焼きが付いてたかな?? 
ホテルの朝食も知らない頃のあやしいイングリッシュブレイクファーストですw。


東京ひとり暮らし時代は、只只時間に追われ、朝は菓子パンと紅茶なんてことが多かった。
仕事上の接待等々で、結構ご馳走も頂けていたはずなのですが、それ以外のデイリーには何を食べて生きていたか、ほとんど思い出せません。
今振り返ると、この時期に、体の貯金を沢山使ってしまいました。

若い時の貯金(必ずしも体脂肪とイコールではありませぬ、肝臓に蓄えられるグリコーゲンとか、血液の充実とか・・そんなもの)は、いざ出産!とか、大病したときの為に必要なものだから、デイリーに無駄遣いしてはいけないのだと、今はひしひし思う次第。

だから、蓄えを使わずして補充するには、やはり活動時間のエネルギーとなる朝食と昼食をしっかり摂ることがとても大切だと考えます。
(考えても出来ていないことがおおいのですが・・・。)


写真は、この夏の、比較的時間にゆとりがあるときの我が家の朝食。

・和定食は、気張って出汁たっぷりの出汁巻玉子に味噌汁。
 玉子5ヶに出汁を100cc以上(二人分です)。
 何度作っても"チャレンジャー企画"な出汁巻。

・チーズトーストと作り置きのキャロットラペ(+ゆで玉子)と紅茶。
 キャロットラペは、コールスローやポテトサラダに代わることも。

・取り寄せた横浜中華街の豚まんと豆乳に中国茶(hot)。
 蒸し器で温めるだけですが、肉感いっぱいで温まり、気合いが入ります。

・玉子たっぷりのヨークシャープディングにカスタードクリーム+紅茶、
 ヨーグルト入りの果物ジュース。
 これはちょっとお菓子っぽくてヘルシーといえるかどうか・・・。
 でも、気分がUPする朝ごはん(?)です。
 

そもそも、朝ごはんにバリエーションなんて必要ない。毎日同じように食べても飽きることのない食事が健康食なんだと、半生を振り返って思います。
ごはんとお味噌汁。そんな食事が、今は当たり前でなくなりつつあるようで。

「変化はご馳走」子供の頃からの印象は根強く意識に残っていますが、「変化は健康」とは必ずしもいかないのだ。アレが悪い、コレが悪いと食材やその成分や添加物について語る以前に、バイオロジカルな変化のスピードと合わないハイペースライフについても、再考が必要かと思う今日この頃。反省も込めて。

気ままな朝食で始まる一日ですが、一日一食は、「ごはんと味噌汁」を。
それが私のささやかな心掛けです。

今はオクラと豆腐の、ちょっとトロッとしたお味噌汁が気に入ってます(^^)。

つづく