2006年10月29日日曜日

食育の講演会(3)


4)最後に、小泉前首相の刺客として衆議院議員に当選し、食育の活動をなさっている藤野真紀子先生。

「ティーパーティーをして食育を語りましょう」、「政治と料理は同じと考えております」といった大胆(?)発言が報道で流れ、一体どんな方だろうと、興味津々だった。栗原はるみさんと並んでカリスマ主婦と呼ばれ、お菓子やお料理の世界では、ハイセンスでエレガントとなイメージで大活躍。ニューヨーク、パリの駐在経験もあり「フランスの旅委員会」2001年の親善大使を努め、フランス政府からも文化普及に貢献したと評されるほどの海外通でおられ、華やかさが際立つ方。

1時間の講演でしたが、食育基本法の制定の意義やその内容について、その成立のいきさつなどからわかりやすくお話になった。

「食育」が法律で制定されたのは、世界でも日本が初めてなのだとか。決して海外通的なお話ではなく、庶民の目線で語り、お上からのお役目をきっちり務めておられた。時間がおしてきて早口になってもくずれないきれいな日本語))))。(フランス語もとてもきれいだとか・・)コンプレックスが無い人特有のアグレッシブさはあるけれど、チャンスに怯むことなく立ち向かい着実に自分の力にできる逞しく頼もしい方だという印象を持ちました。(・・・と同時に、一部分だけを切り取って報道するマスメディアの怖さも・・・改めて実感。)

「食育は、もちろんそれだけを取り上げるべき問題ではない。けれど、今や国としても、放っておけない程の社会問題になってしまった。法律の落とし込むことになったのです」と、藤野真紀子先生。

現在、食料の自給率は、オーストラリア 200%、アメリカ 120%、フランス 130%、ドイツ 97%、イギリス 69%、そして日本40%。

地球温暖化→砂漠化→作物減少。地球は、確実に食料不足へと向かっている。

そして、「飽食の時代」は、新たな飢えをも生んでいる。

朝ご飯をひとりぼっちで食べている子供、30%。朝食を食べない子供も増加している。

朝食をきちんと取ることによって、学習能力がアップすることは、すでに認められている。特に、理数系の能力アップに繋がっていることは、各学校の取り組みによるデータに出ているそうだ。そして、味覚は、国語能力のアップに繋がるのだそうだ。味覚の表現に言葉を使うので、味、音、匂い、歯触り・・・感覚と言語とを関連づけることで、表現能力が鍛えられるという訳だ。(ちなみに、味覚の教育は7才~11才までに行うのが効果的とか。11才以上になると、食べることに、余計な理由がでてくるので。)

合理性追求と消費生活の中で、いつの間にか歪み始めた私達の食生活。情報収集して健康を考えて暮らしているはずでも「情報」の意味を取り違えると、あさっての方向へ向かってしまう。

やはり、経験を通した情報を家族間で伝えていくことが大切・・ということか。言うは易し。根は深し。

日々、卵1パックXX円だの何だのと、目先の数字には敏感でも、税金の行方には疎い。これではいかんのですね。))ひとりひとりが賢い消費者になることからはじめなくては。そして人間らしい社会生活を送る。

総時間、約5時間の講演が導く先は、やはりココでした。

(了)

2006年10月26日木曜日

食育の講演会(2)


2)梅垣先生は、サプリメントや健康食品、あるいは体によいとうたわれる食品の安全性有効性、何をどう信用し判断していくかの手がかりを、わかりやすく解説。身近に見聞きしているいわゆる「情報」は、効果を過大評価し、安全性を過小評価されている。効果ばかりに注目しているものであることを認識し、情報提供者側の目的を理解して判断しましょうと語る。  (http://hfnet.nih.go.jp/

学会等も、「○○に効果がないということが判った」というものは、論文にはなりにくい。だから「効果がある」という結論を前提に試みられていると考える方がよい。情報というのは、常に「リスク < ベネフィット 」。ポジティブな側面だけが語られることを認識すべし。

3)の神田先生の弁も、安原先生に勝るとも劣らず。偏った情報、信憑性の低い情報に振り回されている世間の人々に警鐘をならす。

ハーブ製品、漢方というと安全なイメージがあることへの誤解、外国製品の安全基準は異なるということ、ダイエット食品の危険性について「健康食品には法律上の定義は無く、健康食品と一口に言っても、3種類あります。健康(になる)食品、健康(を願う)食品、健康(を損なう)食品・・、これら全て”健康食品”というんですよ」と説く。健康食品等に頼ったダイエットの危険性を「体は細身、脳も細身、あげくに認知症」「一笑にふすか、一生に臥すか」と、危機感迫る言葉で食事の大切さを解説。

朝食のことを、英語でBreakfastと言うが、"fast"とは、断食のことを言う。

すなわち、断食をbreakするーーー「断食を止めること」とという意味になる。これを「朝食が無くなると、親子共々"Break"  なのだ」と、食育についても、生活習慣としての在り方を言及。

真の知性とは、どんな人にもわかるようなかみ砕いた表現ができることだなあ))))。<しみじみ・・・>

「食育」という言葉に、どこか釈然としなかった自分の思いが何なのかが、少しずつ見えてくる気がしした。

2006年10月23日月曜日

食育の講演会より:藤野真紀子/神田博史/安原義/梅垣敬三(1)


先週から数回、4先生方による「食育」をテーマにした講演会に足を運んだ。

1)「俺にも言わせろ ~社会と文化が正常なら食育はいらない~」by 安原 義先生(東京農業大学短期大学部 栄養学科教授)

2)「健康食品の安全性と有効性」 by 梅垣敬三先生(国立健康栄養研究所情報センター・健康食品情報プロジェクトリーダー)

3)「ダイエット食品を考える」 by 神田博史先生(広島大学薬学部助教授)

4)「食育を通じた人づくり」 by 藤野真紀子先生(料理研究家・衆議院議員)

ー日時順ー

タイトルから、講演内容はなんとなく察しが付くでしょうか。

1)の安原先生のお話は、社会の矛盾を食と栄養学の視点からもの申したもの。

人間は、情報をDNAだけではなく文化で伝えているのである。その文化は、家族揃った食事の中で培われ、文化の継承の中で、健康の維持能力も育っていく。知育、徳育、体育、食育がバランスよくできてこそという主旨のお話。

食物そのものに着眼するのではなく、あくまでバランスと自然を考えるべしと、マスメディアによる美意識や健康観の歪みを指摘し、「ブスは痩せても痩せたブス」「ジャンクフードはない。食べ方がジャンク」「栄養士らが健康によいと薦めた食品はアレルゲンだった(アレルゲンにならない食品はない)」「健康で長生きすれば、癌かアルツハイマーで死ぬ」・・・等々、綾小路きみまろさながらの毒舌で、子供や孫たちの食生活に釈然としない思いを抱えるおかあさんおばあちゃんを「うん、うん」頷かせる。

栄養学科の先生らしからぬ発言だが、意外に昨今こういう考えの栄養士さんは多いように思う。

癌で闘病生活を送った経験のあるベテラン栄養士さんと、以前一緒に食事をした時にも、自らの体を通して「栄養学の分子の世界で健康を語るのは人間のおごりだ」とおっしゃっていた。科学的知識があるからこそ、その矛盾にも気が付くことができるものなのかもしれない。

安原先生も「試験管の反応が体内で同じようになるとは限らない」と、異口同音に説かれる。

科学は、ある約束事の範囲で成り立っていることを認識しなければならない。

科学とは、複雑な事象を単純化して説明する遊び。複雑な物質は、それを構成する要素に分解し、それらの個別の要素だけを理解すれば素の複雑な物質全体の性質やふるまいも全て出来るはずだと想定する考え方なのだーーーと。

有るものを分け合って食べる時代から、選んで食べる時代への移行で、大切なものが抜け落ちてしまった!?。

自然の力、すなわち栄養素では語れない旬のエネルギーとバランス力。

ちょっと体調を崩した経験のある人なら、きっと思い当たることがあるはず。そして、自分の体の声を聞くことを覚えたら、聞こえてくるはずである。

私自身も、ストレスで体重が減ったことがあるのだが、その時は、体が冷え易い状態で、ちょっとした食べ物の違いで、体がぽかぽかしたり、シンシン冷えてトイレが近くなったりという違いを敏感に感じた。それを機に、陰陽説や医食同源などというコンセプトにも関心を持つようになったが、知れば知るほど、改めて自然の摂理に感服するばかりである。

進歩の中で、実は退化させてしまった感覚があるのではないかーーーー。

お話を聞くごとに、そんなことを考えさせられる。

<つづく/全3回>

2006年10月8日日曜日

酒まつり

酒祭りに行ってきました。

http://sakematsuri.com/

1杯100円~300円で、いろんなお酒が試飲できる。1500円で多数のメーカーのもの飲み放題、蔵モノ限定品飲み放題500円などなど、許容量と嗜好に合わせて選べる気楽さ♪
真っ昼間からのお酒はなんだか贅沢ーーー。

飲むときは、食べたい、食べないと飲めない私は、先ほど買ったイカのゲソを食べながらも目は次のつまみを探している。

商店街の魚屋さんが店頭で売るハモのフライ、一寸のすきで隣のおばさんに買い占められてしまった(涙)。コイワシの天ぷらもいいねえ)))。

ザル豆腐。薬味をしっかり入れてぇーーー。)))

美酒鍋は早くも完売の札が立っている。

おかもちを使っての薫製も・・・!(写真参照)。

モンゴルの乳酒(アルヒ)というのを売っていたので試飲してみました。
『神の雫』の神咲豊多香なら、一口口に含むと、目の前に、モンゴル高原が広がり、陸より広い空を雲がグングン流れゆく光景が浮かぶところなのだろうけれど、私にはそんな現象は起こりません。

アルコールは・・・大陸級。高い。白濁したその酒は、苦甘い(?)ちょっとアニスを効かせたリキュールにも通じるお味だけど、もっと素直であっさり。もっとヨーグルトっぽいかと思ったら、意外に酸味は無い。

瓶で買うには少々「異文化」すぎる味?。美味しいけれど、後で頭が痛くなりそうな味なので、おっちょこ1杯で好奇心を満たすに留めます。

☆写真左:おかもちで薫製!/右:白牡丹の酒蔵入り口付近のデコレーション。一升瓶6本を縄で束ねて・・・good Ideas!