2017年12月25日月曜日

オー ボン ヴュー タンのケーキ



シュトレーンをいただくとか・・・
ちょっといいワインを開けるとか・・・
モンドールチーズを買っちゃったりとか・・・

毎年、世間の華々しさの、ほんの一部を取り入れるだけのクリスマス。

今年は、東京行きとタイミングが合ったので、オー ボン ヴュー タンのケーキを。


24日。お店は予約のケーキの受け渡しで大賑わい。イートインスペースを閉鎖して、対応に当たられていました。
何処までも妥協の無い本格フランス菓子のオー ボン ヴュー タンさん。クリスマスケーキも、ブッシュドノエルが主体でした。
私は、「オー ボン ヴュー タンの伝統菓子を網羅するゾ??ヶ年計画」を遂行すべく、今回も焼き菓子を。

河田勝彦さんのご本にもあるように、お菓子というのは、その殆どが宗教的意味を持つ。
だから、どのお菓子も、クリスマスに相応しいのだ〜〜と、私は拡大解釈しています。

写真は、コロンビエというプロバンス発祥のケーキ。
アーモンドの入った生地に果物のコンフィが混ぜ込まれた焼き菓子。
上に乗っかっている白いハト(ちょっとデブだが、ハトらしいw)は、聖霊や平和を象徴する存在で、本来、陶製のものを生地に忍ばせ、切り分けたとき、鳩が当たった人が結婚する(!)というものらしいのです。
最近日本でも浸透しはじめた年明けのお菓子「ガレット・デ・ロワ」とも似たニュアンスですね。

マルセイユでは、キリストの復活から50日目に、聖霊が天から降りてきたことを祝う降臨祭で食べるお菓子だそうで、タイミング的には、やはり年明けのお菓子なんですね。))

ちょっと先走った感が無いでもないけれど、平和は恒久的願いであり祈りなのだ。
・・・と、拡大解釈して、クリスマスから採用w。

コロンビエ(Colombier) =「鳩小屋」。

手の届くところにありそうなネーミング。
平和も、かくありたい・・・!


2017年12月13日水曜日

1月の料理教室


2018年から、点心をいろいろご紹介して参りま〜〜す♪

毎年、春節餃子から始まる料理教室。
水餃子、カラフル餃子・・・いろいろ作ってきましたが、新年は、一見ハードルが高そうなコチラ。

翡翠蒸餃子にチャレンジしていただきますよ♪

中国料理では、美しい緑の料理に、よく「翡翠」の名が付いています。
翡翠は、真珠、珊瑚と並んで、いや、それ以上に、中国で愛されてきた宝石。
柔らかい質感が温かみを醸しだし、細工もし易いところも魅力でしょうか?

玉(ぎょく)の名を名乗るなら、この餃子は、食べるお守り!?


 日時  2018年 1月、20日(土)、21日(日)、2月7日(水) 10:30~14:30
  ※ お申し込み受付開始は、2017年12月25日からです。






2017年11月25日土曜日

12月の料理教室

「中高年のための肉食」〜薬食い〜
 & 年末年始、いまどきのおもてなし料理

  ・アミューズ
  ・テールのコンソメスープ
  ・焼き野菜サラダ バルサミコ酢のソース
  ・和にも洋にも! 香ばしいローストビーフ
  ・パン
  ・スパイシー焼き林檎
  ・美味しい紅茶

  恒例: お屠蘇ブレンド


日時:  2017年12月16日(土), 17日(日), 20日(水) 10:30~14:30


2017年10月11日水曜日

11月の料理教室



中高年のための洋食スタイル

お元気な高齢者にお会いすると、あやかりたい気持ちから、ついお好きな食べもの、よく召し上がるモノをお尋ねしてしまいます。
そして、健康的な和食好き、意外に、洋食好き、肉好きの方が多いのに驚きます。
消化器系が丈夫であるということも、お元気な方の共通点です。

お元気だからお肉が美味しくたべられるのか、お肉を食べるからお元気なのか・・・。
卵が先か、鶏が先か・・の議論になってしまいますが、中医学でも、「脾胃論」というのがあり、いかに脾胃が大事かを説いています。
脾胃は全ての根源「後天の精/本(もと)」をつくり、五行の中心とされているのだから、消化器系が丈夫であれば、外から入れる栄養を、しっかりと気、血、津液をつくることができ、元気でいられるのは、至極当然ともいえますねえ。))


2017年も、残すところあと2回となりました。
クリスマスやお正月のことが、頭をかすめはじめるこの時期、改めて洋食について、肉料理について検証しましょう、というのが11月の教室の趣旨です。

・・といいながら、いつものように「出来るだけ安心な食材を美味しく食べるのが一番よね〜〜!」というオチになりそうな気が今からしているのですが(^^;)。

薬膳の考え方の視点から、洋食を、よりヘルシーに頂く手法を考えてみました。



  お料理内容:

     ・野菜料理
     ・変わり春巻ポテト
     ・芙蓉豚アイスバインで作るテリーヌ
     ・プリッツエル
     ・杏仁温のデザート
     ・美味しいスパイスティー

     *五香粉ブレンドづくり(お持ち帰り)


  日時:11月15日(水)、18日(土)、19日(日) 10:30~14:30


2017年9月23日土曜日

10月の教室案内


◇ ◇ ◇ お知らせ ◇ ◇ ◇

10月のサロン教室は、撮影等私事都合のため、お休みです。
次回は、11月15日(水)、18日(土)、19日(日)10:30~14:30。

尚、NHKカルチャーは、通常通り、
10/11(水)昼、14日(金)夜を予定しております。


春夏秋冬(3カ月に1度)の福田公民館の薬膳教室は、
次回12月15日(金)10:00~13:00
こちらは、福田エリア以外の方もご参加可能(駐車場OK)です。



2017年9月9日土曜日

六花亭 マルセイバターサンド



六花亭のお菓子なのに、マルセイ「○成」。
このパッケージデザイン・・・。

あれ、なんで!? と思ったことのある方、きっといらっしゃいますよね。

マルセイ「○成」という認識ならまだ優秀で、ワタクシなんぞ、
「"マルセイ"バター」だと思っていた輩です(^^;).

何で南仏でバターなんだ〜〜!?

そりゃぁきっと、フランスには違いないし、フランスはほら、
バター、バター、バター!
・・・・の国だから。
 
ひと昔前によくあった、
なんでも「オシャレそうな外国の名前を使う」的
アプローチなのかと。。。


六花亭は、そんな風に思ってしまったことを心から恥ずかしくおもうようなスバラシイ会社でした。

そして、この「マルセイ」は、幕末〜明治の北海道開拓  移民結社「晩成社」の「成」からきている(!)。

バターではなく「バタ」であることにも時代背景を感じさせます。
ほら、西洋かぶれ=「バタくさい」の「バタ」ざます。

そう、このマルセイバターサンドは、北海道の歴史を染みこませた真面目〜な正統派のお菓子なのです。 

ロングラン商品の真の魅力とは!?
企業理念の大切さ等々、改めてしみじみ考えさせられます。))


7年も前に、糸井重里主宰の『ほぼ日新聞』が、こんな社長インタビューを載せていました。
https://www.1101.com/oshigoto/rokkatei/2010-04-15.html

きっと皆さん、既に知ってて「六花亭のお菓子」への厚い信頼が購買意欲に拍車をかけているのかもしれませんが、私のように遅咲きの方、歴史は気がついたときが「旬」です。
そして、なんども反芻されて、伝えられていくものです。

是非ご覧下さい♪




2017年9月6日水曜日

鍋巴(おこげ)


「お焦げ」と書くか、「鍋巴」と書くかで、おこげの何たるかが違ってくるが、鍋にこびりついたぱりぱりを指すなら、後者でなくちゃ。
巴=「こびりつく、へばりつく、くっつく」という意味の中国語。

かつては始末の心の一品だったであろうおこげ料理。
おこげ専用に、もち米を蒸して干して、揚げて・・・とくれば、すっかりハレの日のご馳走です。

おこげ作りの、ちょっとしたコツと揚げ方のコツを皆さんに♪


※ちなみに、「巴」の文字は、日本では物や物事が円形をえがくようにめぐるさまをあらわしているのだとか。 二つ合わさって、陰陽の記号にも。


2017年8月25日金曜日

9月の健美膳

猛暑の疲れが溜まっている頃と思います。
残暑はまだまだ続きそう・・・。

健美膳では、秋の足音に耳を澄ませて、体の中から秋仕度。
清熱、滋陰ーーー熱を取って、潤いを・・・。

 料理内容
 ・welcome drink     台湾茶花醋ドリンク
 ・皮蛋汁棒棒菜 〜ピータン入りディップソースとベジスティック
 ・タイ風ココナッツディップとおこげ
 ・ピータン豆腐和え
 ・茶粥とお漬け物の盛り合わせ
 ・胡瓜のデザート

 エッセンシャル食材:皮蛋 ココナッツミルク 他



  日時:2017年 9月 2日(土)、3日(日)、6日(水)10:30~14:30

2017年8月19日土曜日

アラック酒 = 阿刺吉酒

『薬膳の原典 飲膳正要』(忽思慧・著/金 世淋・訳)八坂書房

先般のオランダ茶会、お菓子の材料に「アラック酒」とあるのが気になりました。
アラック酒=ARAKとは、中近東のアラブの国、特にイラクやシリア、エジプトなどの伝統的な蒸留酒。なつめ椰子や葡萄の実などの糖度が高い果実から作られています。
とってもアルコールが強いのだけれど、独特の芳香があります。
このお酒とスパイスを加えたチョコレートは、なんともエキゾチックだったな〜。)))

ところで、イスラムではお酒は禁止されているはずなのに!と思われませんか?
禁止されているにもかかわらず、トルコではラク、ギリシャのウーゾ、モロッコでは無花果が原料の「マフィヤッ」というのがありましたし、各地で強いお酒があるようです。
そもそも、蒸留酒を世界中に広めたのはアラブ人。アルコールという言葉も、アラビア語のアランビックが語源なのも、アラブ人がこれを広めたところに寄るものでしょう。

蒸留技術の歴史は古く、ギリシャ〜メソポタミア辺りで紀元前ともいわれますが、醸造酒から蒸留酒を造る蒸留機が生まれたのは8世紀頃なのだとか。
中国に伝わったのは、13世紀、西域に及ぶ領土を支配した元の時代です。
モンゴル民族は、異民族の文化に寛容で、食文化の交流も盛んであったといいます。

丁度この頃記された食養生書『飲膳正要』(忽思慧/こつしけい著)に、アラック酒が載っていました!!

「阿刺吉酒」というのがそれです。
これがはじまりで、中国の白酒(パイチュウ)が生まれ、沖縄〜九州に伝わり、焼酎が生まれるのが14〜15世紀。この頃には、世界各地に強いお酒が出回っていたことになりますねえ。)))

ちなみに、阿刺吉酒の解説は・・・
「味甘辣、大熱、大毒あり。冷堅積を消す。寒気を去る。上等の酒を蒸留して阿刺吉酒にする。」とあります。
蒸留する前の醸造酒は何だったのでしょう??

これと並んでいろんな薬酒が載っていますが、酒は呑み過ぎると「有毒である」との見解は、この書にすでに書き下ろされています。

それはさておき、強いお酒の危なっかしさも早々に悟り、イスラムの教では規制されてしまったのですね。

ヨーロッパに伝わった方は、南仏のアブサンになったり、北欧のアクアビットになったり・・・。
共通して、水で割ると、白濁します。

モンゴルの馬乳酒の始まりも、コレなんだとか。
馬乳酒にご興味がある方、10月第2土日、広島西条の酒まつりへ行けば、おそらくグラスで頂くことができると思います。とーっても強いお酒です。)))
お気をつけあそばせ。





2017年8月3日木曜日

花茶 お花の香り 

説明を追加

茉莉花、忍冬、菊の花、玫塊花、金木犀(桂花)・・・
香りを楽しむお花のお茶。
良い香りはそのまま脳を刺激し、緊張を解き放ち、気と血を巡らせ、健康へと導いてくれるのです。その上、お花の花粉の鉄分やポリフェノールなど、ミネラル、ビタミン等も含まれているから嬉しい。

お花の香りを取り入れることが、健康に繋がっているなんて、何よりの自然からの贈り物。)))


ところで、最近芳香剤のつよい洗剤や柔軟剤が普及したせいか、ベランダからどこからともなく漂ってくる洗濯物の香り。。。
人工的な香りは少々強すぎる刺激に感じます。
お菓子にも香料の強いものが増えた・・・!
バターの香料、卵の香料、お出汁の香料まであります。

ストレス社会を生きる現代人は、香りへの欲求も増したのかも知れませんが、強い刺激にさらされ続け、本来自然が持つほのかな香りを感じ取ることが難しくなっていくのではないかとちょっと心配になります。 

 杏仁豆腐の自然な杏仁の香り・・・

 烏龍茶  鳳凰単ソウの醸し出す「蜜蘭香」・・・

 甘酒や日本酒の糀の香り・・・

 引き立ての出汁の香り・・・

そんなほのかな香りをキャッチできる健全な五感を維持することも養生と思う今日この頃です。


2017年7月31日月曜日

オランダ茶会

「望遠鏡」と名付けられたお菓子は、サフランと洋酒が香り、
最後にピリッと胡椒の後味が残る。

石見銀山の重要文化財熊谷家住宅で、銀を通じてつながっていた平戸 × 石見 × オランダがテーマのお茶会。

オランダのクリエータ—によるデザインを、平戸の菓子職人が仕上げたというお菓子たちは、ユニークな折衷のお味。オランダ東インド会社が交易したであろうモノが散りばめられたお菓子の数々には、大いに魅了されました。
コレ、平戸藩松浦家に伝わる「百菓之図」が、発想の起点とか。

大名茶鎮信流は、真・行・草の「行」をいくお茶だとのこと。
本質を押さえつつも今流をーーーー。

そして、控えの間の設えには、こんなお軸が♪
花器にはインドの真鍮のスパイス潰しが・・・!

「楽弐」=らくに。
「まぁひとつ楽しんで下さいな」

そんな軽やかなささやきが聞こえてくるようです。

あらゆることに通じる概念を、この上なくシンプルに、雄弁に語るお茶。
「らくに」親しみたいもの。




2017年7月15日土曜日

ヌワラエリヤ 2017

NUWARA-ELIYA  MAHAGASTOTTE T.E
マハガストーテ茶園 ペコ

紅茶の産地は沢山ある。
茶園の数だけ、いやそれ以上に味わいの違いがある。

これまでいろいろ試してきたけど、ここ十数年、我が家の紅茶は、1974年創業の神田神保町の、ティーハウス・タカノのヌワラエリヤ(スリランカの高山茶)に落ち着いています。

オーナーのタカノさんは、味の絶対値を持つお方。
毎年産地に足を運び、テイスティングして、厳選紅茶を買い付けてこられます。
ご自身の舌に叶う茶葉が無くて、仕入れなかった(!)なーんて年もありました。
サンプルテストの中で一番を選ぶのではなく、たとえその年のナンバーワンでも、タカノさんの基準の美味しさに満たないものは仕入れられないのです。


タカノさん曰く、
「丁寧な暮らしをすることは、決してお金をかけた贅沢な生活をすることとは違います」
「50g3千円位で販売しているものをよく見かけますが、現地で買い付けしている私にとってそんな法外な価格は考えられない」

日本の紅茶市場の異常ぶりや紅茶の扱いの滑稽さ、ティーポット離れ、(いわゆる作法ではなく常識としての)マナーについて等々、ちょっと辛口に語られるところも、確固とした立ち位置を感じさせます。


お茶だけでなく、今はお菓子、加工食品、調味料、あらゆるものが、パッケージや広告の力に異常に依存しているように感じることが、多々あります。
もちろん、デザインやパッケージが垢抜けていくことは、喜ばしいことですし、日本らしい文化のひとつ。買ってもらうことの一層の工夫が必要になっている中での企業努力。

でも、お茶ばっかりは、見た目だけでは味わいはわかりません。いろんなものが手に入りやすくなり選択肢が広がった一方で、試飲して買う機会が減り「自分好み」を見つけることが難しくなているかもしれません。

そこで、デイリーな自宅使いの紅茶に関しては、私はタカノさん選択に委ねることにしています。

今年のヌワラエリヤは、マハガストーテ茶園のもの。
茶葉がほんのり青みがあり少し大きめ。
ストレートで美味しく頂ける紅茶です。

おっと、ダージリン・ファーストフラッシュ、セカンドフラッシュのセレクションも、毎年の楽しみですよん。
今年は、何度目かのッキャスルトン茶園のファーストフラッシュ、名門バラサン茶園のセカンドフラッシュ。
ダージリンは、中国種らしさがでているものが高評価のようです。

2017年7月12日水曜日

夏の薬膳ドリンク

説明を追加

酸梅湯(右)と五味子(左)のドリンク。

酸梅湯。青梅のような爽やかさはありませんが、ほのかな燻製香と酸が、絶妙なバランスで混在するドリンクです。

日本は純粋さを味わう、中国は調和(ハーモニー)を味わう食文化。
そのエッセンスは、水に恵まれた日本と、必ずしもそうは言いがたい中国の、食材のとらえ方と調理法にあることが、梅ひとつとっても、見えてきます。

今年は梅の出来が良くなかった(裏の年?)だったようなので、青梅ではなく烏梅のドリンクで。
五味子は、中国北部〜朝鮮半島が主産地の、渋みのある実。
そのエキスをドリンクに。

亜熱帯の日本の夏。大陸的なドリンクで、骨太に、乗り切りたい♪



2017年7月6日木曜日

アリのお薬

ヒアリ(飛蟻というヒアリもいるそうですが、こちらは火蟻)発見のニュースが頻繁にきかれるようになって、もはや既にあちこちで繁殖しているのではという懸念が渦巻いています。ヒアリ、侵略的外来品種ワースト100に入るのだとか。

何故に南米の生き物は、そんなに強烈なのでしょうか?
強い土地には強いものが育つということなのでしょうか?
動物も昆虫も植物も、外来のものはどうしてこんなにもことごとく強いのでしょう??

若い親御さんから「ありんこで遊んでいる内に、ちょっと舐めてみたら酸っぱくてビックリした」なーんて息子ちゃんのエピソードを、微笑ましく聞いたのはついこの前。
自身の、ありんこの巣をいじくって遊んだ子供の頃の思い出も併せて思い出しながら、こんな話もこれからは聞けなくなるのかも・・と、寂しさを覚える今日この頃です。


ところで、アリって漢方薬にもなっているのをご存知でしょうか?

「益宝(イーパオ)」。
擬黒多刺蟻という種類の蟻が主成分で、痺証(しびれ)や、リウマチ、関節痛などに使われるお薬です。ミネラルが豊富で、サプリのような感覚で使われるようです。

擬黒多刺蟻は、自重の400倍もの荷物を担ぐことが出来、1600倍ものものを引っ張ることができるのだそうです。(身近なアリもかなり力持ちのはずですが、数字データはありません。)
蟻を食べてみようなどと思った人は、こんな力持ちの蟻さんにあやかろうとしたのでしょうか??

 「なりたいものを食べる。」

中国人の、食に対する逞しい考え方。
あながちハズレでもないところが実に興味深い。

力持ちのアリさんにあやかってアリを食べたら、足腰が丈夫になりました!なーんて。
実際、イーパオは、そんなお薬のようです。

食用にできる蟻はごく一部のようですが、このヒアリも、どうせなら何かの役にたたないものか・・・。毒を以て毒を制すの原理でいくと、かなり強力なお薬になりそうですが??
あ、いや、ハブ酒じゃないけど命がけの焼酎漬けなど、くれぐれもお試しにならないよう(苦笑)。

あ〜〜、くわばら、くわばら。

アリさんの写真をココ↓から拝借しました。(「アリさん、力持ち」で検索したら、こんな画像が♪)
https://matome.naver.jp/odai/2133277715185523201

2017年6月26日月曜日

恒例の特製辣油


今回は、小茴香、月桂樹の葉(ローリエ)増量です。

辣油はスパイスをいろいろ加えて作りますが、基本は唐辛子オイル。
唐辛子の赤が油に溶けやすい成分なので、オイルに溶かして使うようになったようです。
中国北部では、唐辛子オイルのニュアンスで使われることが多いそうですが、南方の潮州辺りでは蒸した魚介などにかけるソースのような辣油が人気。複数のスパイスの他にも、胡麻や揚げ葱、ニンニク、塩などが加わり、味付きのものもあります。南方の料理に合わせてソース化した「潮州辣油」は、きっと「食べる辣油」の原点です。

一時辣油ブームで、ラー油を御飯に掛けて食べるのが流行りましたが、ブームの火付け役、ペンギン食堂の「石垣ラー油」は、沖縄の島胡椒とウコン(ターメリック)、黒糖入りで、ニンニクを効かせ、白胡麻や黒豆、黒砂糖も入ってほのかに甘辛い感じ。御飯との相性の良さで人気でした。当時は、ラー油で「太った・・!」という声をよく聞かれたもの。そりゃ〜、やっぱり油ですもの、然もありなん(笑)。これも潮州タイプの辣油です。

これを生み出したご夫婦の物語は映画にまでなっているらしいので(スミマセン、観ていません)その辺のことはココでは省略しますが、辺銀暁峰さん(帰化名)は、西安出身とか。
西安といえば、餃子文化のメッカ。古くは西周、秦、漢、そして隋〜唐代の首都。西域の遊牧民族のお目付役みたいな位置付けの都。小麦が西アジアから伝わり、西安は餃子や麺類のメッカに。刀削麺も西安名物。
そんなお土地柄の西安出身である辺銀さんが、沖縄でビビビっときてラー油を作り始めたのも、当然の成り行きかもしれません。

さて、そのラー油、今でこそ餃子や麺にラー油などの唐辛子風味が添加される食べ方は普通になっちゃってますけど、唐辛子は中南米原産。"唐"辛子というから誤解しそうですが、15世紀の「大航海時代」にコロンブスが伝えるまでは、唐辛子はまだユーラシア大陸には存在しなかったはずです(!)。

ちなみに、唐辛子が中国に伝わったのは17世紀半ば、明朝末期ですから、ラー油の歴史もそんなに古くないということになります。

昔の餃子は、おそらくお酢とお醤油でいただいていたのではないでしょうか??
そういえば、中国では、餃子に辣油は必ずしも定番ではありません。酢醤油には生姜や生ニンニクを加えて食べたりしています。

この辣油は、教室の皆さんの分です。
皆さん、何のお料理にどんな風にお使いになるのかな〜???




2017年6月12日月曜日

7月の健美膳

今年の夏は(も)猛暑!?
中高年のための夏バテ防止対策

夏バテ予防、熱中症予防、夏の美容に清熱解毒の涼茶

「涼茶」とは中国南部、広東の智恵。
蒸し暑さにやられ易い胃腸を労り、余分な水分「湿」や「熱」毒素を排する効果が期待できる食薬を煎じる漢方茶の総称です。
ミネラルいっぱい、高タンパク、胃腸の負担にならない食事で、この夏も乗り切りましょう!

   <内容>
   ● 夏の補養ドリンク
   ● 冬瓜と枝豆のスープ
   ● 牛しゃぶの豆乳ソース
   ● 冬菜和飯(まぜごはん)
   ●作り置きの1品
   ● 酸梅湯ゼリー
   ● 涼茶


 2017年 7月1日(土)、2日(日)、5日(水) 10:30 ~ 14:30

 ※8月はお休みです。

    2017年6月11日日曜日

    熊掌


    「なりたいものを食べる」
    中国人の、食への姿勢を現すことば。
    神田雲林の「蜂蜜熊掌」

    ・・という訳では決して無いのですが、く・・熊を食べてしまいました〜・・・・!

    後ろ足だそうです。
    「よく蜂の巣(蜂蜜)を食べる左手だけを使う」「左手は蜂蜜の味がしみているので美味しい」なんて言いますが、ちょっと調理の手順等お聞きしたら、それはあり得ないということがよく分かりました。
    皮を剥がして、何度もゆでこぼして臭みを抜き、煮込んで骨をハズして・・・といろいろ手を掛けた後、最終的にまるでそのままであるかのような姿に整えるのです。そんな行程ですから、蜂蜜の味なんてあり得ない、あり得ない(笑)。
    ちなみにこのお料理は、蜂蜜と香醋で仕立ててありましたので、蜂蜜入りです。
    蜂蜜入りではありますが、決して蜂蜜が立たないようなバランスですのでやっぱり蜂蜜味ではありません。
    (写真にある、毛に見立ててある部分は髪菜(ファーツァイ)という藻の一種です。)

    この手の掛かるお料理と同じテンションで作っていただいたもう一品の逸品もご紹介したい!

    黄燜鹿筋翅
    宮廷式フカヒレと蝦夷鹿アキレスの譚家菜『黄燜』スープ煮込み。
    上海から提げてかえったフカヒレにスープを濃く濃く取った上級スープを浸ませた宮廷式。「燜」とは煮込みのこと。「譚家菜」とは、新王朝末期の高官だった譚宗浚の譚家の、宮廷に伝わる料理。調味料を一切使わず食材本来の味「素」を最大限に活かした調理法がその特徴。ソースやアンなど、全て同様に長時間かけて食材の旨みだけで仕上がっているんだそうです。
    その代表が、このフカヒレということになろうかと思います。味の希薄なコラーゲン質のフカヒレの旨さは、煮含められるスープにあるのですから。そのスープ(アン)を、譚式で仕上げてあるという訳です。金華ハムの塩分があるとはいえ、しっかりとした味を出すのに大変な手間と時間が掛かっています。
    甘すぎず、鹹すぎず、濃すぎず(濃いはずなんだけど)、油っぽくなく・・・という、中庸の味こそが究極の滋味なのではないでしょうか。

    張競さんの著書『中華料理の文化史』によると、フカヒレの料理は、明末清初頭頃に僅かな記述があるものの、料理として認知されるのは乾隆帝の時代の1760年代ではないかとのこと。
    中国4千年といえども、古典として今日に伝わり残るものは、せいぜい二百年ぐらいのものなのか・・・。時の流れ、世の動きと共に進化に順応できたものだけが伝わるのでありますね。

    「宮廷料理は薬膳」という言葉の所以も、こんなところにあるのでしょう。
    私はこのフカヒレこそ「薬膳」といいたい!!

    時短と舌先の美味しさに翻弄される昨今の食に一石を投じるような一品でした。

    さて、なりたいものを食べたはずの私。
    ごまかしの利かない、重ねられた旨みが出せる人になれるでしょうか???
    (熊になってたりして・笑)

    6人での食事でしたが、この二品を食してから15~30分後、気がつけば、みな一皮(シャツ1枚)脱いでおりました。熊、温まる!!
    フカヒレの濃密なスープ(鹿もはいってるし)、温まる〜!!!

    食する季節はちょっとずれ込んだものの、料理のチカラを体感する素晴らしい機会となりました。

    僭越ながら、これからこういう食体験を皆さんにも食事会という形で折々に提供していきたいと切に思う今日この頃です。



    2017年6月7日水曜日

    パンデピス 


    Pain d' epice

    パン・ド・エピス=スパイスのパンという名のお菓子(パン?)。
    フランスはブルゴーニュ地方の郷土菓子。

    フランス菓子のバターたっぷりのイメージとは離れ、油脂を使わず蜂蜜とお粉(小麦粉とライ麦粉)と重曹、スパイス…という限りなくシンプルな材料で作られています。
    そのシンプルなお菓子をここまで魅力的にしているものは何なのか・・??

    それはきっと、溜息が出るような、長〜いお話が付いているから。

    パン・デピスのルーツは、フランスを代表する食物史家マグロンヌ・トゥーサン=サマの言葉を借りれば「パン・デピスの道はシルクロードと同じくらい重要で、ときにはそれと、地理的に重なる」のであります。
    10世紀の中国を支配していた宋王朝の頃にはあったと確認される「ミ・コン」=保存食の蜂蜜パン。チンギズ・ハン率いるモンゴル軍がこれを兵糧としたことで、東欧へと伝わることになったといいます。
    その頃のヨーロッパといえば、十字軍遠征(1019年から1272年まで全8回に渡る!)が続いており、巡礼者によって「ミ・コン」がヨーロッパへと伝わるのでした。その過程(トルコあたり)でスパイスが加えられるようになり「ミ・コン」は、「蜂蜜パン」から「スパイス蜂蜜パン」となっていったのですね。))
    蜂蜜もスパイスも、当時は大変貴重なもの。さらにエルサレム巡礼者により神聖性を増し「レーベンスクーヘン(命の菓子)」としてヨーロッパにもたらされたというのです。十字軍の実体(特に後半)は、決して神聖ではない利害にまみれもしますが、巡礼という名の遠征 - - - - しばしば飢えすら伴う長旅 - - - - で、この滋味な保存食が多くの人々を癒したであろうことは想像に難くないところです。

    形状は異なるけれどパン・デピスと同様の風味のお菓子がドイツ・・アルザス・・ヨーロッパ各地に存在するのはこういった経緯であり、東西食文化の伝播という視点で、マグロンヌさんのいうところの「シルクロードと同じくらい重要」なのでした。

    兵糧だった蜂蜜パンがヨーロッパでは宗教色をおびた食べものになっていった訳ですが、さらに時を経て、スパイスや蜂蜜や砂糖が身近な食材になっていくにつれ、有り難くも庶民のお口に届く代物となって今日まであるという・・・・。

    ふう・・・。)))

    ね、溜息が出る長〜いお話でしょ。

    この長〜いストーリーに思いを馳せてパンデピスを味わうと、カトルエピス(MIXスパイス)とライ麦の醸し出す香りが、ますますエキゾチックな味わいになるのであります。

    パンデピスは保存食の顔も持つお菓子。中国にルーツのあるお菓子なのですよ!

    昨今のパン屋さんやお菓子屋さんのパン・デピスは、短時間で作れるパウンドケーキ風のものが殆どですが、オーボンビュータンのそれは、古典の製法に忠実な「保存食版」。ずしりと重く、コックリとした食感。アニスではなくスターアニス(八角)が使われています。
    その製法は・・・しっかり時間が掛けられています(!)。
    『「オーボンビュータン」河田勝彦のフランス郷土菓子』河田勝彦/誠文堂新光社
    をご覧下さい。 


    昔、ブルゴーニュ地方のディジョンで、肉料理にパンデピスが添えられてきたことがありました。食べ方、使い方もいろいろあるものだなぁ〜))と思いました。
    自由な発想でいろいろ使っていいのだ♪

    ・・という訳で、6月の料理教室「スパイス特集〜カレー道場〜」では、ミルクティーと一緒にマサラティーの味わいとして召し上がって頂きました。



    2017年5月22日月曜日

    スフォッリテッレ (スフォリアテッラ)


    この覚えにくそうな名前を覚えてしまった。
    好物のチカラです。
    デパートのイタリア展などあると、決まってコレを捜しています。

    Sfogliatelle / スフォッリテッレ (またはスフォリアテッラ)
    イタリアはナポリ地方の郷土菓子。
    17世紀、今では高級リゾート地としてしられるアマルフィにある修道院で生まれたお菓子だとか。ヨーロッパのお菓子は、多分に漏れず宗教的な行事や修道院と関わりがありますが、これもその類です。イタリアのミルフィーユ?それともクロワッサン??
    Sfogliatelleは「ひだを重ねた」という意味といいますから、ミルフィーユに近いですね。
    ちなみにクロワッサン(croissant)は、フランス語で三日月。コレ風にいうならスフォッリテッレは「貝」「貝の形」=crostancei  または cronchigliaということに。なんと意味は違えどどこかクロワッサンと似たスペルではないか。

    フィリング(具)には、甘いクリームチーズや、マジパン(アーモンドパウダーのペースト)、ドライフルーツなどいろいろ。フィリングが何であろうと、この美味しさの所在はサクサクの食感です。

    そして!!
    フランスのそれらと大きく異なるのは、バターではなくラードを使っていたらしいのです。
    お菓子の歴史について書いてある本をめくってみても、詳細の記述は見つからないのですが、海辺の町で、パイに使う油脂は、バターではなかったかもしれないというのも自然なこと。

    今の世の中から思うと、お菓子やパンの先駆けはフランスのような印象ですが、お菓子作りの先駆けは、恐らく白砂糖を最初に手にした中東の人(現在のイラン〜アラブの地域)。小麦粉も、西アジアから広がりました。香料も・・・! 蒸留技術の先駆者もアラブ人でありました。 麺もパイも、東西へ伝わった小麦文化が昇華したクリエーション。どっちが先云々という話はもはやナンセンスで、只只食文化の伝播のスピード感に感服(!)。そんなことを思わせるスフォッリテッレ(またはスフォリアテッラ)です。

    スフォッリテッレ(またはスフォリアテッラ)にそっくりな中国点心があります。
    こちらはラードでつくる揚げ菓子。
    具材次第で甜点心にも鹹点心にもなります。
    昔、故・鄭先生に習ったのコレは、具がカレー風味で、美味しかったな〜〜♪

    手間暇の味、心と時間のゆとりをもって作りたいものです。


    写真は辻の中国料理の先生、吉岡勝美氏の本より(柴田書店)。

    2017年5月20日土曜日

    6月の健美膳

     『カレーは薬膳か!?』
     〜南インドの風〜

    スパイスは、宇宙! カリーは金星だ!!


    毎年、健美膳では、6月はスパイス月間。いろんなお国のスパイス使いをご紹介して参りましたが、今年は3度目の「カレー道場」で、本家本元のインドカレーを取り上げます。
    中国同様広い国土を持つインドは、お料理も地方色満載。
    「カレー」とひとくくりになどできないバラエティーをもつインド料理を、Curryという言葉から紐説きつつ、薬膳ぶりを吟味します。

      ・あっさり南インドのカリー
      ・北インドの野菜料理
      ・香味ライス
      ・パパド
      ・デザート&おいしいドリンク
      ・体をニュートラルにする薬膳茶

     6月3日(土)満席、4日(日)満席7日(水)満席 キャンセル待ち受付中

    2017年5月17日水曜日

    粽子 〜5月の料理教室より


    マクロレンズに挑戦中のワタクシ。
    大きなカメラを構えると、皆さんが「道」を開けてくれる感じ(笑)。
    手早く撮ろうとしたところ、

    「先生、(カメラの)フタがついてますよ!」

    とほほ・・・
    笑いの中でパシャリ!といった1枚です。
    皆サン「粽づくりはハードルが高い」といいながら作った割りには上手〜〜♪
    漢方薬を忍ばせた肉ちまきの完成に歓声です。


    来月は、南インドのサラサラカリーと野菜料理を予定しています。
    スパイスは、健美膳の原点。気合いが入ります!



    2017年5月12日金曜日

    夏みかんの皮


    今年もコレを作る時期がやってきました。
    立夏の頃の、季節を先取りしたような名前。

    最近は、酸っぱい夏みかんがマイルドになって「甘夏柑」と名を改めたものが多く出回っているけれど、「夏みかん」と呼びたいな。
    明日の料理教室では、お茶請け。
    沢山つくって、冬のフルーツケーキにも使います。





    2017年5月8日月曜日

    苔玉抹茶アイス










    田中達也さんのミニチュア(ジオラマ?)アートを見に行きました。(於・エディオン蔦谷家電)
    ここにUPしたものは食べもののモチーフのみですが、ユニークなシチュエーションの発想豊かな作品が沢山並んでいました。

    ・・・・で、抹茶アイスが食べたくなり、おうちでお抹茶&アイスのティータイム。


    4月に釉すがさんで頂いた平野寅和さんの茶碗[写真右]。
    苔のように濃い抹茶アイスに迫るには、緑 x みどりで(^_-)-☆

    茶を飲み飲み暮れる、連休の一日。


    2017年5月5日金曜日

    今年の灰汁巻




    毎年恒例の灰汁巻作り。
    今年も美味しく出来ました。

    来週は、三角すいの、肉粽道場〜!!





    2017年4月24日月曜日

    お出汁



    故郷の味ってなんだろう??


    何でも手に入る時代になって「故郷の味」というのも、影が薄くなりつつある気がする。

    ある日電話で、人生の大先輩が「何がって、この歳になると、美味しさってのは馴染んだ味なのよね」と。
    若い頃は、目新しさに美味しさを感じたりする時期もあるけれど、あれこれ食べ尽くした年齢になると、美味しさとはそういったものかもしれない。
    そして、その馴染んだ味の要が出汁の味。

    先の一言の後に大先輩、こう言いました。
    「大羽いりこで取った出汁はたまらん。」

    実はワタクシ、カツオ出汁を常用しています。
    実家の味はいりこ出汁。栄養のことを思ってか、出汁いりこが具の顔をしてそのまま入ったお味噌汁。なんとなく、手抜きで野暮ったいと感じていたのです。
    いつだったか、旅先の旅館で湯気の中にカツオの燻製香がふわ〜っと漂う美味しいお味噌汁を頂き「お味噌汁ってこうでなきゃ!」なんて思った日から、鰹のお出汁にはちょっとご馳走のイメージを持ってしまったのです。

    もうひとり、いりこ出汁派・瀬戸内人間の友人がいますが、彼女は、自慢のけんちん汁談でこんなこと言ってましたっけ。
    「出汁はいりこよ。カツオのお出汁なんて、旅館の朝食みたいで、どうもね・・・」

    「!!!」

    きっと彼女のお家の朝ごはんは、イリコが取り除かれたお味噌汁だったに違いない。


    ある日、いりこ出汁で炊いた大根をご馳走になりました。
    「懐かし〜味!美味しい!!」
    ・・・と、思ったのでアリマス。

    どうやら私も「慣れ親しんだ味=美味しさ」という境地に突入したか。))

    先の大先輩にならい、青光りするような立派な大羽いりこを取り寄せてみました[写真右]。
    ちなみに、左のあじ子もいい出汁が出ます。

    故郷の味は出汁にアリ! 
    なーんて、いつもの味噌汁に、妙に力が入る、今日この頃です。


    2017年4月21日金曜日

    5月の健美膳

    生薬に親しむ(2) 『ちまき道場!』
      〜 補気ちまき 〜

    昨年、一昨年前は、灰汁巻をご紹介してきましたが、今年は久々(6年ぶり!)に竹の葉で円錐に包む中国の肉粽!

    中国料理は、一度に沢山作ることを得意とし、食事が一族繁栄の喜びを噛みしめるひとときであったことを改めて痛感させられます。
    粽は、とりわけ皆で集って作るのが楽しく美味しい一品。 
    節句のお料理のエッセンスですね♪

    節目の養生。5月は心を温め生命力を養うひととき。
    5,6月の養生で、夏バテ防止も、既に始まっています(!)
    薬膳効果をプラスした補気ちまきをご紹介します。

    内容:
     ●補気肉ちまき
     ●野菜料理 
     ●スープ
     ●美味しいお茶とお茶請け

          


       2017年 5月13日(土)、14日(日)、17日(水) 10:30〜14:30




    粽は、中国では、無くては成らない行事食。
    お総菜屋も夏頃まで、あらゆる粽で賑わいます。
    台湾の市場にて。布巾やペンを置きっぱなし・・・(^^;)
    こういうのは、日本では見かけないですね(苦笑)。


    来年は、蓮の葉の粽もいいな〜〜・・・♪









    2017年4月19日水曜日

    煮玉子 〜たまご談〜



    4月の教室より、限りなくシンプルな一品。
    でもこれがなかなか好評なのです。

    煮玉子のタレと、卵のゆで加減が決め手です。
    好みは人によっていろいろでしょうけれど、私は半熟とろ〜りより、黄味のところにしっとり感を残した8分茹でがぴったりだと思っています。
    そして、外側にしっかりと味が付いていてそれでいて白さが際立つ美しさ♪

    シンプルなお料理を理想的につくるのは、案外むずかしい。
    ごまかしようがないそのシンプルさ。
    たかが卵と思いがちですが、卵料理はあなどれませぬ。


    卵を茹でながら、昔見たイギリスの料理番組を思い出しました。
    イギリスのカリスマ料理研究家デリア・スミスさん。
    第1回目が、なんと「ゆで玉子と目玉焼き」でした。
    お肉同様、レア、ミディアム、ウェルダンを卵でも確実にやってのけることが大切とあって、卵にも、これだけ考察があるものかと思わせる解説。
    流石「朝食だけは美味しい!」と評されるイングリッシュ・ブレイクファーストの、まさに "目玉"の一品。こだわりもひとしおなのです。
    ダリアさん、ふだんは正統派で硬派な印象ですが、実は、熱狂的なサッカーファンで、応援チームが大切な試合で続けざまに失点したとき、思わずピッチに降りて「なにやってんのよーっ!」と、カツを入れたなーんてエピソードもあるのだ。そんな熱い一面を知り、大いに好感度を上げました。 

    イギリス卵談ついでに、デモや抗議の際によくあるのが「生卵を投げつける」という行為。映画などでもよく見られます。ぱっと思いつくだけでも『リトルダンサー』('80年代炭鉱閉鎖につき労働者のデモで)『マーガレット・サッチャー  鉄の女の涙』(先述と同時代)、『未来を花束にして』(1910年代女性参政権をめぐるデモで)・・と、車や家の窓に投げつけられた卵がタラ〜リ垂れたシーンが目に焼き付いています。
    安価なのに相手への心理的ダメージが大きい(が、怪我はしない)のがその理由とか。
    イギリスに限ったことではないのかもしれませんが、何故かとってもイギリス的と感じてしまった。

    卵といえば、ゆで玉子、オムレツ、かき玉汁にだし巻き、茶碗蒸し、プリン・・・はてはマヨネーズに到るまで、調理科学とのこれ以上ない絡みでバリエーションが果てしなく広がる食材。
    それらを心得ればきっと、アナタが料理上手の称号を手にする日も夢では無い!!
    卵料理、やっぱりあなどれませぬ。


    2017年4月15日土曜日

    肉まん


    肉まんの季語って何時だろう?


    学生時代、まだコンビニも今ほどそこかしこには無かった頃ですが、コンビニやヤマザキに蒸し饅頭の保温器が設置されたら「おっ・・季節だな〜♡))」と思ったもの。部活帰りの食べものが 冷めたいモンから「温」にシフトするときの代表的存在。何を食べても美味しいお年頃の胃袋には季節なんて関係ないようでいて、やっぱりあったのだ。

    粕の甘酒、焼き芋(これは案外贅沢だった!)、二重焼き、フライケーキという名のアンドーナッツ・・・。
    最近の若者は、どんなモノを食べているのかな??

     点心 ≒ おやつ。

    点心は、「点=少し」「心=お腹」。

    小腹が空いたときにお腹に入れる軽食。


    点心という言葉は、南宋( 12~13世紀)の時代、名将の妻が北方民族と戦う前線の兵士に、一意 - - - ほんのちょっとの感謝のしるし - - - として労いの糕餅を送ったことに由来するとか、もっと昔の唐の時代の小説が由来とか、いくつか説があるけれど、既に唐代には存在していたという。

    「今日のランチは点心♪」と、点心だけでお腹をいっぱいにしたりというのは本来の意味からすればちょっと違うということになりそうだが、今では中国の食事構成にガッチリと組み込まれ、2度の食事「吃飯(チーファン)」と三度の吃点心(朝食にあたる「早点(ザオティェン)、3時のおやつ「午点(ウーディェン)、夜食の「晩点(ワンディェン)」)といった風。 
    なんだか常に一日中たべているかんじだ・・・(笑)。


    さて、写真の肉まんは、仕込みの青菜まんと一緒に作った朝食、もとい、早点(ザオティェン)。 季節外れ(?)の湯気ながら、はふはふかぶりつくとなんだか幸せ感を覚える。

    実は青菜まんの方は、今月のNHKカルチャー用です。


    秋には「豚まん道場」展開予定です♪



    2017年3月29日水曜日

    味覚談 「五味」「六味」


    薬膳を作る上で、考慮する「五味」というのがあります。「五味」とは、酸味、苦味、甘味、鹹味(塩味)、辛味の5つで、味によって体への特徴的な作用があるのです。

     酸味には、引き締める作用。
     苦味には、熱を冷ましたり、消炎、解毒、通便の作用。
     甘味には、滋養、中和緩和する作用。
     辛味には、発汗、発散作用、体を温める作用、気血の巡りをよくする作用。
     鹹味には、塊(しこりなど)をほぐす作用、便を柔らかくして排出する作用。

     ・・・といったふうです。

    昨今ではこれに、「淡味」を加えて六味とするのが一般的になっています。
    刺激のない淡い味わいには、体の潤いを助け、水分バランスを調整する働きのものが多いといわれます。冬瓜やはと麦、菊花、イ草(←生薬なのだ!)などがこれに当たります。
    この6つの味「六味」で体の過不足のバランスを整えるのも、薬膳を作る上でのポイントなのです。
    科学的なことを、科学的な認識なくしなやかに暮らしに取り入れることができる優しいバランス学だと思います。このバランスは、動的な作用のバランス。

    一方、科学の視点は、とても物質的。五味を栄養面でのバランスで考えるアプローチが可能です。

     酸味は水素イオンの存在を、苦みはアルカロイドなどの自然の毒性を察知。
     酸味や苦みは、植物の実が未熟であることを判別する味覚でもあります。
     強すぎる酸味や苦みには要注意であると共に、量は控え目がいいようです。
     甘味は、糖質の存在を判別するセンサー。
     塩味は、ナトリウムなどのミネラルの存在を察知。
     そして5つ目には「旨み」。
     体を構成するタンパク質の原料であるアミノ酸や核酸などの存在を示唆しているととらえることもできます。

    舌は本来、人間の動物的センサーで、味覚は生きていく上で必要な食べものや食べない方がよい毒などを察知する能力。進化と共に、酸味や苦みにも利点があることも認識され、それを中和する調味も覚えて、更に味覚も磨かれてきたのだと思います。

    そう考えると、ある意味、味覚の発達と共に、脳も発達し、味が及ぼす体への影響もわかってきたと考えられなくも無いです。
    陰陽五行説にある五味(六味)は、自然観察による分析であると共に、脳の働きとも大いに関わっているのではないかな〜と思う今日この頃です。

    人間の行動範囲が広がったことと同時に、様々な知識も必要になってきた訳ですねえ。))) 食のグローバル化は、これなかなか脳には忙しい時代の流れなのかもしれませぬ。




    2017年3月21日火曜日

    『ブルゴーニュで会いましょう』



     Premier Cru (仏題)

    2014  フランス映画
    監督・脚本:ジェローム・ル・メール
    脚本:レミ・ブルザンソン
    主演:ジャリル・レスペール(シャルリ・マレシャル役)
       ジェラール・ランヴァン(フランソワ・マレシャル役)
       アリス・タグリオーニ(ブランシュ・モービュンソン役)

    http://bourgogne-movie.com

    ワインを造り伝える人達のちょっと素敵な物語。

    「テロワール」という言葉が好きです。
    テロワールとは、気温、日照、標高、土壌などの自然条件が形造る葡萄畑の個性のことで、これらがワインに映し出されます。
    多くのボルドーワインのようにブレンドしてしまったら、分からなくなってしまいますが、ブルゴーニュには、特定の葡萄品種、単一品種で造らなければならないことが定められているので、テロワールという言葉は、言わばブルゴーニュワインの代名詞であり、味わいそのものでもあるのです。

    映画は、そんなワインのテロワールを嗅ぎわけるような利き酒のシーンから始まります。ワインのテイスティングは、ほとんどが香りを嗅ぐところで識別されてしまうのですが、それは臭覚が味覚と一体化してとらえられるからだといいます。
    香道や中国茶芸で「匂いを聞く」ことを「聞香」というけれど、ワインの利き酒はまさに聞き酒。)))

    「熟した革」「ドライポルチーニ」「スモーキー」「粘度がある」「石灰土壌のミネラル」「火打ち石」「腐葉土」「インパクト」・・・etc... ワイングラスに鼻を突っ込みながらワインの味わいを表現していく主人公。「ワインを描写する語彙を日本人は持っていない」と、どこかの評論が語っていましたが、それが正に風土から生まれた言葉故でしょう。
    先祖代々その土地に暮らす人のDNAに組み込まれた感性には、どう逆立ちしても叶わない何かがありますもの。
    だから、ワインがテーマの映画には、さり気なくも味わい深い新鮮な言葉が沢山出てくるのです。
    『モンドヴィーノ』(2004) では、醸造家の哲学が満載のグローバリゼーションへの提議がテーマでしたが、『ブルゴーニュで会いましょう』はワイン作りを守ることと家族、言わばDNAに組み込まれた"テロワール" についてのドラマ。

    「(息子の罪について)父と伝統に背いた」
    「伝統を捨てたら骨抜きになる」
    「(ワイン造りに大切なことは)他のまねをしないこと、辛抱と忍耐」
    「この土地で尊いことが二つある。ワインを造ることと、伝えること」
    「革命以来所有してきた畑」

    あとはもう、名優たちの名演技がこれ以上ない言葉になっています。
    あ、それからブルゴーニュでの完全ロケという絶対的オーラ。

    伝統とは、土地との結びつきの強さがあってこそなのですね。


    コート・ド・ニュイの風景の中に浮かぶシャトークロ・ヴージョ(Clos de Vougeot ) は、ちょっと懐かしい思い出の場所。
    20世紀になってからワイン利き酒騎士団の所有となり、平たく言うと、ブルギニオン(ブルゴーニュ民)の公民館みたいな拠点にもなっている。イベントの仕事でディジョンに滞在したときの会食パーティーでは、中世の風情漂う石造りの空間があっという間にレストランになり息吹が吹き込まれ、騎士団の歌や踊りの演出が・・・♪ 思えばあれも、ブルゴーニュという土地の、どうしようも無くスゴイ説得力なのでした。

    先の『モンドヴィーノ』で出てきた醸造家の言葉に、「ワインは、造る人に似るのよ」というのがありました。ドメーヌ・マレシャルのワイン、きっと主人公のように古くて新しくて強い意志を感じられるブルゴーニュらしさに溢れた魅力敵な味わいにちがいありません。

    そんなワインをいただいて、自分を一喝したい今日この頃。
    自らのDNAに眠るアイデンティティを目覚めさせてくれる美酒となるかもしれません。

    ※ちなみに、映画はドラマですが、マレシャルは実在している(クロード・マレシャル)けれど、父親から畑を譲り受けた訳でもなく奥様もブルギニオンではないらしいけど、ブルゴーニュらしいワインを生み出している作り手のひとりとか。


    さいなら〜〜(淀川さん風に)


    2017年3月14日火曜日

    4月の健美膳

    生薬に親しむ(1)
    ~養血養肝の巻〜

    ストレスを受け止める肝。新しいスタートは、楽しくも嬉しくも何かと知らず知らず負荷をかけているようです。食で肝のキャパを広げ、サポートしましょう♪

      内容
        ○冷製アワビの肝ソース 前菜プレート
        ○何首烏煮卵
        ○野菜料理
        ○筍ごはん(?)
        ○健康ジュース
        ○美味しいお茶

    日時:4月1日(土),2日(日), 19日(水) 10:30〜14:30 

    2017年2月20日月曜日

    3月の健美膳 

    続・血液サラサラ食
    〜お肉を賢く食べる!〜

    お肉を敵視していませんか?
    食べ方を工夫すれば、お肉は強い味方になり得る食材です。
    「なんでも食べる」「賢く食べる」が薬膳のモットーです♪

      内容
        ○ 黄油紅花湯
        ○ 肉団子の山査子甘酢アン
        ○ ついでにできる山薬肉豆腐
        ○ 花巻
        ○ 柑橘のテリーヌ
        ○ 美味しいお茶


       2017年2月21日(火)、3月4日(土)、5日(日) 10:30〜14:30

    2017年2月18日土曜日

    チョコレート(2)栄養

    しばしば栄養学にも言及した『食道楽』ですが、流石にカカオ&チョコレートの栄養についての言及には到らず・・・。なにせ、栄養科学は1910年代、大正以降。村井弦斎の活躍した時代は、まだ脚気の原因も解明されていなかった時代です。
    今ですら、チョコレートをミネラル分ととらえている人は少ないでしょう。殊、日本においては、規定もなく、カカオ以外の成分が沢山使われているのですから。

    一方、世界のチョコレートの1/3を消費しているEUの国々では、「総カカオ固形分35%以上、カカオバター31%以上、無脂カカオ固形分2.5%以上、カカオバター以外の代用油脂5%でないと、チョコレートとは言えない」という決まりがあるのだそうです。ベルギーに至っては「カカオ以外の油脂が入ったモノはチョコレートではない!」と100%宣言。こういう事情なら、話は別です。

    カカオには、カルシウム、ビタミンA,マグネシウム、銅、鉄、リン、亜鉛、マンガン、等々、ミネラルが豊富(!)。そうそう、ポリフェノールもいっぱいです。

    「カカオいっぱい=ヘルシー」のイメージがわいてくるではありませんか。

    食材辞典をみると
    ココア 性味:平・苦・甘 帰経:肺・心・大腸・胃 
        効能:経絡を暖め、気巡り、血流促進。
           肌の若返り効果、抗酸化作用、整腸作用がある。


    思い立って10年(?)ぐらい前にマイブームでしこたま作ったショコラフォンデュを、久々に作ってみました。
    カカオとチョコレートに卵とバター、小麦粉少々が加わりますが、チョコレートたっぷり。エクストラビターで濃く濃くビターに。
    ケーキの形態にすると、どうしても砂糖+バターが加わるので、やはりチョコレートのまま頂くのが一番かもしれません。ま、たまには心の栄養を♪




    2017年2月14日火曜日

    チョコレート(1)明治(時代)

    今日はバレンタインデー。昨今のチョコレートは、もはや食べものらしからぬ価格で流通しており「バレンタインて、不景気を忘れるお祭りだっけ?」と錯覚すら覚える今日この頃ですが、これも間違いではないかしら。
    普段は店頭に並ばない高級チョコレートに触れる日。そして小市民の私達がそれを手にすることが出来る日なのでした。
    フランス人ショコラティエが訪問!
    ニッコリ紳士な笑みを浮かべる彼らの飛行機代もギャラも、チョコの値段の一部になっているにちがいありません。
    皮肉まがいなことをいいながらも、デパートに足を踏み入れれば、チョコ祭を楽しむ一員に。ハイ。手には「コートジボアール」(ベルギ−)のチョコレート・・・。

    チョコレートといえば、いつも思い出すのが、大正生まれのヒサエおばあちゃん(知り合い)。戦争が終わって、最初に思ったのが、当時ちょっと不謹慎ではあったけれど「あ〜これでまたチョコレートがいただける♡」だったとか。
    このおばあちゃんの言うチョコレートは、米軍占領下の「ギブ・ミー・チョコレート」のことではありません。さてはそうとうハイカラな大正モダンガールだったとお見受け致す。

    ヒサエおばあちゃんの愛したチョコレートとは、どんなものでしょうか??
    大正からはちょっと更に遡りますが、明治30年代の社会状況、食状況を反映した実用グルメ小説『食道楽』(村井弦斎/1864-1927)*にチョコレートの項がありました。



    「お登和や、何か飲むものをこしらえてあげたらよかろう?」と、家の老母が、若いご令嬢に指示。
    お登和嬢、「何が宜しいでしょう?」
    老母「なんでも皆さんの好きなモノをこしらえて差し上げなさい。チョコレートでも、ボストム珈琲でも、セイロンの紅茶でも、烏龍茶でも、昆布茶でも・・・・」
    ・・・と、続き、老父は昆布茶、老母はボストム珈琲が好物、居合わせた玉江嬢は紅茶、新太郎という若い男性がチョコレートをご所望する訳です。

    料理上手なお登和さんは、(ホット)チョコレートの美味しい作り方も心得ていて、チョコレート(塊)を少量の湯を加えて火にかけて溶かし、「茶筅型の卵廻し」なる泡立て器のようなもので掻き回し、三度に分けて牛乳を加えて攪拌すると美味しくできますよと語ります。
    なかなかのものではありませんか!?

    ココアではなくチョコレートがホットチョコレートを指していたようです。
    (ちなみに、ココアはカカオと同じ意味で記されています。)

    著者は渋沢栄一ご子息の家庭教師を務めるほどの教養人で大隈重信のご親戚筋と、ちょっと上流階級の食状況ではありますが、当時の飲み物の選択肢の多さに驚かされます。きっと高価ではあるけれど、これらが既に流通していたのです。

    当時の女性が、開国後、海外からの相当な食情報を短期間でけっこう何とかこなしていくようになるのは、日々出汁を取りお三度を手がけ諸々の料理の下地ができていたからでしょう。(その点が、昨今とは大きく違う気がします。)

    しばしば栄養学にも言及した『食道楽』ですが、流石にカカオ、チョコレートの栄養には到らず・・・って、今だって、チョコレートが体にいいと思っている人は少ないでしょうね。なにせ、油脂と糖(香料も)がたっぷりつかわれているのですから。

    次回はちょっと、チョコレートの栄養について「つづく」。


    2017年2月6日月曜日

    血液サラサラ餃子 comes true!


    2月の料理教室は、この食材で。
    コレが全部餃子に包まれる♪

    餃子は肉料理か麺料理か!?
    ワタシの答えは、いえ、ワタシの餃子は「餃子は完全食!」です。

    小麦粉にお肉、エビも加え、野菜も根菜、青菜、淡色野菜、更に生薬も少々忍ばせる。
    タレにもまたひと工夫ふた工夫。スープ餃子にもしたりして。
    温で陽の体に優しい餃子を、お茶の力でするするサラサラさっぱりと頂く。

    餃子コースの最後は熱々の焼き餃子。やはり日本人はコレが好きですね(笑)。

    餃子料理、春節の真骨頂でござるっ。







    <サラサラ食材>
    ネギ類、青菜、蓮根、紅花、鬱金、姜黄、お酢にお茶・・・・。

    お茶は血糖血の急上昇を抑えてくれリラックス効果。烏龍茶はぷらす血中性脂肪を提げる作用アリ。







    2017年1月17日火曜日

    今年の餃子道場は・・・?

    2015年に練習しまくった蒸し・焼き用の皮での包み

    今年は1月28日が春節。中国では、こぞって皆、水餃子をほおばる。
    餃子という名前には「行く年来る歳の交わり」を意味していることから、元旦の零時に食べられるのだとか。日本でいうところの「年越し蕎麦」みたいな存在。
    その形は、古代の金銭の形に似ていることから、吉祥如意の象徴と見なされています。おめでたいこと、お金に恵まれ幸せに過ごせますようにと思いを馳せる節句食。

    その歴史は大変古く、唐代の餃子の化石が、新疆ウイグル自治区のトルファンで見つかっていることから、唐代には既に食べられていた料理だということが分かっています。
    当時は「扁食」と呼ばれていたとか。餃子と呼ばれるようになったのは、明代以降だそうです。
    餃子は、元々は西域の食だったようですが、その美味しさは、民族の壁を越えて魅了され、様々な姿と食べ方で、世界各地に根を下ろしています。


    「南粒北粉」の中国でも特に餃子が有名なのは、西の都、西安。西安では、あらゆる山海の美味が餃子となってバリエーション豊かな「餃子宴」なる餃子尽くしのコースまであるのです。
    20年前に知っていたら、椀子そば大会に挑む気持ちで臨んでいたかも知れません(笑)。


    さて、餃子は何料理か?

    西安でもう一つ有名な刀削麺。これの生地は餃子とほぼ同様。
    だから、麺料理か。しかし、お肉がたっぷり詰まっていたりすると、皮より具の比重が多くて肉料理とも呼びたくなる。いやいや、野菜のバリエーションも、ニラに白菜、青菜や根菜まで入って野菜料理にもなり得る。
    西安の餃子宴コースとは行かなくても、いろんな種類を食べれば「餃子は完全食!」と言い切れる気がしてきました。

    まだ料理教室を初めて間が無い頃、5色5種の餃子に挑戦し、大奮闘しましたが、余りに慌ただしいので今は2種類ずつ・・・。
    そう、料理は「一を聞いて十を知る」の心意気。

    餃子の包容力に感服しながら、餃子指南が続きます。



    2015年 沢山つくった鶏冠型


    2016年の陰陽餃子



    2013年変わり餃子
    昔から作っている五行五色餃子 

    2014年の紅白餃子
    日本の大晦日にピッタリ!?(笑)





    2017年1月11日水曜日

     核桃酪(胡桃汁粉)


    今月のNHKカルチャーは、薬膳の真骨頂「核桃酪」。西太后の美肌と不老を支えたと言われる胡桃のお汁粉です。

    美食家でならした西太后の食べたアレコレ談は、枚挙に暇がないので、何処までが伝説か真実かは分かりませんが、コレは食べていた気がする(!)。
    実際、清朝の御膳房の記録にも記されている一品です。

    宮廷料理らしい点は、見た目ではなく、何と言っても胡桃の薄皮剥きというプロセス(!)。
    デコボコを覆う薄皮を楊枝で丁寧に取っていく工程に「女官」の二文字が頭に浮かびます。宮中の御膳房のお仕事。技術的に難しくはなくても一人でやるには、なかなか骨折れる仕事です。

    皮むき作業は皆さんにもお手伝い頂くつもりですが、1回分は、私が予め用意しておかなくては。

    なんとか剥ききりました。
    キレイに取れた時は、妙に気持ちが良く、だんだん無心になってきます。)))

    この温かいデザート、満州族の王朝、清の名物に相応しい一品です。
    材料の西域から伝わった食材、胡桃は勿論のこと、「核桃酪」の酪の文字に、遊牧系民族を感じるのです。ナッツミルク。(ちなみに「酪」の文字はまた、ペースト状を指すこともあります。)正にそんな感じのデザートですが、酪の文字の懐の深さは意外です。
    左の酉偏は、酒器、壺を指していて、右側は上から下向かうことを意味する象形なんだとか。転じて、神霊が降って来るといったニュアンスが添えられているようです。
    漢字文化の漢民族社会に外から入ってきた遊牧民の食「乳」は「酪」で現される訳です。

    日本では、奈良時代に大陸から伝わったアレコレの中に「酪」があり、今で言うところのバターを指していたようです。「蘇」や「醍醐」と呼ばれるチーズの一種と共に、とても貴重な食べもので、高貴な方のお口にしか入らなかったようですけれど。
    19世紀、開国したての日本でびみょ〜な存在だったバターやチーズに牛乳。
    平安時代の高貴な方たちのお口には、それこそ「醍醐味」だった!?? それが言葉の語源です。


    余談ですが、今年の干支は酉(トリ)。「鶏」「鳥」と書かないのは何故でしょう??

    思えば、十二支は全て動物とは関係の無い漢字を使用しています。
    これは、庶民が覚えやすいように、身近な動物を当てはめ、1~12の数えなどに用いたことによるのだそう。

     子  丑  寅  卯  辰  巳  午  未  申  酉  戌  亥

    酉は、10番目。12カ月でいえば、10月。お酒を作る季節でもあり、また農作物を「トリ込む」収獲の季節でもあるというもの。


    こうやってみると、2017年最初のお料理に相応しい「核桃」ではありませんか!?


    胡桃のお汁粉、気合いが入ります!


    2017年1月2日月曜日

    2017年 教室案内


    あけまして おめでとうございます

    高千穂の祝酉

    2017年 酉年。

    また1年、滋味な鶏スープを沢山トリます。

    鶏スープは、お粥と並んで薬膳の原点。両者は胃を開かせ、食事の為のウォームアップ役でもあります。漢方薬も、お粥かスープを一杯飲んでからとると、体に巡り、効果がUPすると言われます。

    鶏スープには、秘められた素晴らしい薬効がいろいろ(!)。
    中国清代の料理書『隋園食単』に「鶏の功は最も大きい・・・」とあるように、鶏肉は、古より万病に良いものとされてきました。鶏のスープは基礎代謝を上げ、血糖血、血圧の安定、免疫力UP、疲労回復に効果的であることが明らかにされています。特に鶏胸肉は、イミダペプチドという抗酸化力のある成分が含まれ、スープで効率よく摂取できます。信じがたいですが、鶏のご先祖は渡り鳥(!)。渡り鳥が何日も羽ばたき続けていられるのは、この成分が翼の付け根である胸の筋肉に含まれているが故。
    イミダペプチド、私も肩や腰に注入したいところだけれど、そういう仕組みにはなっていないようなので、ガンバってスープを取って頂くしか無い。
    疲労回復に、老化予防、生活習慣病予防に、一碗のスープを♪



    さて、お正月、沢山用意したいのは、鶏スープではなく、お魚のスープ、お出汁の方。

    お出汁のことを、「だし汁」と言われるようになって久しい。
    ですが、未だどうも違和感を拭えないのでアリマス。

    だって、出汁は汁でしょ。漢字で書くと、出汁汁。
    う〜〜〜ん。)))

    だし汁と言うようになったのは、いつからなのでしょうか。
    粉末出汁の素が生まれたころからでしょうか??
    「だし汁」は「粉出汁ではなく出汁の汁のほうですよ」という含みがあるのかな?
    鶏スープの場合はそのものズバリ「粉末鶏スープ」。出汁だって「粉出汁」とすればいいようなものですが、ひょっとして、粉出汁や出汁パックが如何に定着しているかという裏返しでしょうか??

    インスタントコーヒー然り。侮れない粉末のクオリティーもあるのかもしれませんが、粉だし、粉スープに食塩抜きのものものはお見かけしたことがありません。
    粉にできないことは・・・
    出汁の濃さで味を出したいときの、追いがつお、またはスープでスープを取るという作業。

    "レシピには、粉出汁は使わない。"
    スープやお出汁の力を信じ、今年もこれを続けていきたいと思います。

    いきなり干支を食べる話で、なんだか面目ない。


      さて、2017年最初の教室は・・・
     
    春節だから、やはり餃子。毎年変わり餃子を手がけますが、今年は原点に返り、オーソドックスなエビ韮餃子を。プラス和食にもピッタリの春菊と鶏肉の餃子で幕開けです。スープ仕立て or 鍋仕立て、焼き餃子等々いろんな食べ方に合わせた皮作りもご紹介します。
    あ、もちろん、唐辛子の赤色の中に黄色のウコンがしっかり染み出た赤くて黄色い自家製辣油もご用意しましょう!
    デザートは・・・ギリギリまで悩みます。

    おたのしみに!!

     日時: 2017年 1月24日(火)、2月4日(土)、5日(日)