(遅ればせながらのレポート)
三寒四温の寒の戻りの頃。3月12日。
薬膳10周年の企画として、知味 竹爐山房(吉祥寺)の『薬膳の真髄 山本豊の中国料理を味わう会』無事催行。
「薬膳の真髄」としたのは、山本シェフが薬膳の実践であった宮廷料理・古典料理に造詣の深い方であること、山本シェフのお料理へのアプローチが、薬膳には欠かせないエッセンスであることを、常々感じてきたからです。
薬膳の基本はスープ!として、NHK教室では昨年1年間、スープに取り組んできました。
「煎じる」という概念は、紀元前一千年前には既に見出されていたらしく、当時(殷代)の「庖人」であり宰相の伊尹(いいん)により『湯液経』という書に記されているのだそう。
スープは、いってみれば食材の煎じ液。この発想は、火を使い煮炊きを始めた文明の発展と同じくらいにすごい気づきだったかもしれません。同時に、これは全ての健康食の根っこの部分。料理のベースとなるスープや出汁を丁寧に取ることは、薬膳そして全ての料理にとって大切な行程です。そして、スープを取る素材もその具材も、生命力のある食材であること。これらはシェフの言うところの「素材の氣」。氣のある食材を適切に調理し配することが根幹なのです。
シェフの言葉を借りるなら「火を入れても新鮮(素材を殺していないこと)」であり、「味が迎えに来る」タイミングを大事に気を配り、「自然界の“氣”を調理する」ことが、薬膳=本格中国料理なのです。
また、山本シェフの菜譜(メニュー)には、スープが3カ所に組み込まれ、胃を温め開くスープ、胃を洗うスープ・・といった風に、体に優しい構成となっていました。
何を食べるかも大切ですが、どう頂くかにも心配りされており、五味、五畜、五菜等を調和よく配したお料理の数々が最良の順番で次々と供されるのです。
当然、すっかり気をよくした私達の胃袋は、全開(!)w
実は、昨今の食について、懸念を感じる点があります。
それは「健康病」などという言葉で語られていることでもありますが、栄養や食べものの効能についてのうんちくが独走し、消費者は、溢れる情報に振り回され、五感を使うこと無くとかく頭で食に向かいがちだということです。
いくら「○○(食材)は、コレコレに良い」と効能を証されていても、氣の宿らない食材では、その効能は如何ほどのものやら。根っこのところがないままの「なんちゃって薬膳」になってしまいます。また、営利目的の健康情報のひとつとして「薬膳」という言葉を使われているとしたら、それもちょっと不本意。
そもそもの食べもののもつ気/エネルギー(生命力)を何より大事に考えること、自分の体を知り、食べものとの健全な向き合い方があってこその薬膳。
根っこの部分をしかと踏まえた山本シェフの料理哲学が、食の原点、薬膳の基本だと大いに共感し「薬膳の真髄」と名付けた次第。
欲張りな要望-----宮廷料理(古典料理)らしさ、ハレの食材、季節感を、上手く盛り込みまとめて下さって、オマケに三不粘(サンプチャン)というシェフ泣かせのデザートまで加えて頂き、大感激でした。
シェフ、本当にお疲れ様でした!!
体は正直。
翌朝、皆の「あんなに食べたのに、体が軽い!」「朝ご飯も美味しくいただけた!」と言う声続出。これを聞いて「伝わった! 食事会、大成功!」と、確信した次第。
料理人さんも世代交代していき、時代のニーズに合わせて料理も変化してはいきますが、受け継がれる中に一貫して流れる普遍性をこれからも探し続けたいと思っています。
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戦後日本の中国料理を牽引してこられた重鎮・山本豊シェフの料理解説 |
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山本氏と私は10周年! |
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同じく出会いから10年の料理研究家 冬木れい先生
現在江戸料理をテーマにご活躍 |
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日本中医学会理事 猪越恭也先生 会心の笑顔 |
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写真家で茶人の菊地和男先生の極品茶も・・・!
(お道具も素敵!!) |