2018年12月26日水曜日

八雲もち





私の母の好物のひとつに「泡雪羹」があります。泡雪は、明治元年からあるお菓子で、愛知の老舗備前屋さんが有名ですが、広島の三次(みよし)の名物でもあるのです。母は三次出身ではないし、何かの贔屓でもなくただ単純に「好き」なのです。

「淡雪」。きめ細かく泡立った卵白を寒天で固めたお菓子。カステラ作りで余った卵白を活用しようと生まれたお菓子かもしれません。フランス・ボルドーのカヌレと逆ですw。
(ちなみに、これをゼラチンで固めるとマシュマロ。「卵を泡立てる」という手法は、西洋的なのかも。)
そして、この八雲もちは、その、泡雪を求肥に練り込んでるってお菓子なのです。
一見シンプルに見えるけど、実は手が込んでいます。
泡雪の軽さと求肥のモチモチ感が見事に一体化した独特の食感が、皆に愛され、「ちもと」のロングランの看板菓子。さらにお砂糖は黒糖という有り難さです♪
しっかり甘さがあるけれど、カシューナッツがその甘さをちょっと中和してくれています。

ナッツと求肥といえば、広島には「川通餅」という素朴で美味しいロングランの銘菓があります。美味しいのに、広島駅のお土産横丁で買えるというお手軽さ。夕方に、売り切れになっているのを見て、すっかり浸透しているのだな〜と、嬉しくなります。ちなみに、川通餅には、刻み胡桃が入っています。

さてそこで、八雲もちと胡桃を一緒にお口に入れてみましたら・・・

胡桃の渋みが、黒糖の甘さと握手して、益々美味しい〜ではないか!

今日はクリスマス。
自家製フルーツケーキはとっくに食べてしまったし・・・
夫クンは帰りが遅いし・・・
「宿題」は山積みだし・・・
面白きことも無き我が家のクリスマス。

そんな日は、ひとりの時間をほっこり満たす、八雲もちと渋茶が一番♪

そうそう、母もこのお菓子が気に入っているようでアリマス(笑)。


2018年11月28日水曜日

井桁シェフのご本『現代に生きる老四川』 ①

インド料理談も未だですが、それはちょっと後回し。
先に、私の敬愛する方々のご本をご紹介したいと思います。

NHK 朝イチ月一回の三シェフ競演で中国料理を担当していた方といえば、ピンと来る方も多いのでは。テレビ側の無茶ぶりテーマ(?)にも穏やかな笑顔で対応し続けておられた井桁良樹シェフ。8年間の出演を経て、全国でもすっかりお馴染みになられましたが、この度、渾身の本を出版されました。
『現代に生きる老四川』旭屋出版。
(「老」は「昔ながらの」の意。)

井桁さんは、四川料理を主軸に置かれる中国料理人。現在、麻布十番と銀座三越、六本木ヒルズ『飄香(ピャオシャン)』のオーナーで、自身は麻布十番で鍋を振っておられます。
中国料理一筋の47歳。日本で料理修行の後、本場の料理を学ぼうと上海に渡り、四川省成都の由緒ある名店「松雲澤」へ弟子入り。「授業料を払いながら働き続ける」覚悟の学びで、本格四川料理を習得されました。多種多様な四川のお漬けものをはじめとする家庭料理も、どっぷり現地の食文化に浸って学び取られたものだけに、実に奥深く、かつ、幅広い!!

私が初めて「飄香」に伺ったのは、十数年前になります。当時は代々木上原の、とあるビル地下にありました。
細い階段を降りると、すぐ目の前が厨房で、額に汗して鍋を振るシェフの姿があり、その一角には、井桁さんが中国から抱きかかえて持って帰られたという「泡菜」(水床で浸ける中国のお漬けもの)の大きな壺が鎮座しておりました。壺の中のお漬けものを、取り出してはお料理に使われる・・・そんな様子がうかがえるお店でした。

その頃から井桁シェフのお料理は、(中国料理入門者だった私には)実に画期的で、いろんな味を楽しみながら「本当の中国を、私は知らないんだ・・!」と、何度も感じました。
麻布十番に移り、佇まいが一変。素敵な租界式になった今も、行く度に新鮮なお店です。

今や四川料理の象徴のようになっている唐辛子。しかし17世紀頃にはまだ中国には伝わっていなかったのですから、昔の四川料理も麻辣の辣の味は優しいものであったに違いありません。
そんな時代から継承されてきた四川料理に思いを馳せつつ、当世中国料理に取り組まれる井桁さんのご展開ぶりが、きっとこのご本の中に垣間見られることでしょう!

料理は時代と共に変化します。でも、今の味わいは、長きにわたって塗り重ねられてきた人々の工夫と叡智の結晶であり、らしさを取り繕っても形にはならないと思っています。

料理人の感じ取ってきたセンスは、語らずとも自ずと作品(料理)に出てきます。
井桁さんのお料理は、井桁さんが四川でつかみ取ったエッセンスが滲み出て、当に「現代に蘇る老四川」!
是非皆さんにも知っておいて頂きたいです。頁をめくった次は、飄香へ是非!!


<つづく>

2018年11月18日日曜日

インドうまいもの大会(1) カレー


Amritsarの黄金寺院(Harimandir Sahib)で頂いた食事です。
辛くないベジカレー(豆のカレー2種)とチャパティ、そしてミルク粥。
中国の南米北麦(ナンミィベイマイ)と同じくインドも南米北麦だと思ってきたけれど・・・
「インドの主食は豆だ!」
・・・と思うようになりました。
ムング・ダル、チャナ・ダル、マスール・ダル、ウラッド・ダル(「ダル」は豆の意味) をベースにしながらも実に豊富な種類の豆・・・!
豆の表情の違いがそのまま全く異なる豆カレーになっていくのでアリマス。
豆は宗教を選ばず、カーストを選ばず、年齢を選ばず、皆が食することができる最真部分集合の位置付けにある食材なのだ。
この日の、とーってもクリーミーであっさりした豆カレーに心を鷲づかみにされてしまった私は、翌日もまた・・・寺院へ出掛けてしまいました。

2日目のカレーがこちら。
右側の少しグリーンぽいのは、昨日のと同じものでしたが、メニューは常に変わっていくのですね。))
ミルク粥は、優しい甘さで、スパイスの口をリセットしてくれます。
食べるという行為の原点を感じさせるシンプルさと優しさ。
シンプルだけれど、全然犠牲になっていない美味しさ(!)
感動しました〜〜〜。
さて、もう一つ、冒頭のインド南米北麦について。
インド西北は大穀倉地! 高級バスマティ米など、北もお米が豊富に採れているのです!
なのに、やっぱり小麦文化!? それはやはり、イスラム文化の影響かな〜なんて、仮説を立ててみました。
その上で、この度で買ってきた本『A History of Food in India』の頁をめくりたいと思います。











<つづく>

2018年11月17日土曜日

12月の料理教室

12月。台所担当者は、年末年始の食材や料理を意識して過ごす日々ですね。
どの家庭にも、年越し蕎麦やおせち以外にも、年末年始の定番の食仕事があるはず。
ワタシの場合は11月からポン酢を仕込み、柚子茶や柚子味噌をつくり、ちょっとだけ焼き菓子の仕込みなどをします。
白菜漬けや干し柿までは手が回りませんが、そういうのこそお正月明けには食べたいなあと思ったりします。
(50歳を回ると人生の先行きに、さほど大きな夢はいだけなくなるもののようですが、ワタシはまだ心の片隅に「土間のある家に住みたい!」願望を飼っておりますw。宝くじ買おうかな〜w)

牡蠣も美味しくなるので、牡蠣フライ用に、ひとつ生パン粉も作って冷凍しておきたい。))

リンゴは生で食べるのもいいけど、果物の中で林檎だけは、生以上に煮たものが好きです。

そんなこんなのアレコレの中から、今年は最初のポン酢と柚子味噌を教室で作ることにしました。

ご家族の多い方には、少々物足りない量かもしれませんが、みんなで作った味を持ち帰って頂きましょう♪


  12月「季節の食仕事 ---まかない付き」

  ・ポン酢 or 出汁醤油
  ・柚子味噌 2種 
  ・まかない料理:
   ---  エビ麺(香港風の細麺)
            ---  柚子味噌でいただく田楽
      ---  美味しいお茶とお茶請けの自家製あまモノ(フルーツケーキ?)

  日時:12月8日(土),  9日(日)10:30~ ,  16日(日)11:00~


* * * * * * 

その他の教室

14日(金)13:30~   
@中国新聞カルチャー メルパルク教室
口福薬膳「潤いと滋養のスープ」
じっくり抽出したスープは、てんてきのように体に優しく滲みます。薬膳の原点のお話と共に、滋味補益スープ(2種)や、蒸籠で作る花巻バリエーションをお楽しみいただきます。

21日(金)10:00~ 
@福田公民館 ※地区外の方でもご参加いただけます。
テーマ「集いの食」/ サブテーマ:添加物について
・納豆チーズの前菜
・チキンのソテー・オレンジ風味
・人参と栗のグラッセ・ポテトなど
・中国茶でつくるカクテル






2018年11月5日月曜日

名残のいちじく


無花果の語源は、毎日一個ずつ熟す=「一熟(いちじゅく)」で、だんだん「いちじく」になったのだとか。
庭に無花果の木があった夫クンは、9月になると、食べ頃の実をもいでは食べていたといいますから、1ケずつとはいわないものの、そんな感じなのでしょう。

さて、11月の名残のイチジクは、寒暖にさらされ、表皮が硬く、身が絞まり、紅葉にまけじと一際赤い口を開けています。
いや・・実はこの時期、お口を開けていないものも多いか・・・。

こんな、ちょっと硬くて種もガリガリっとするようになったイチジクが、私はお気に入り。

これを姿煮にして干して、フルーツケーキに入れるのだ〜♡
日本産の無花果を使うとジューシーで柔らかいので果肉の存在は、生地に同化されがちなのですが、種が「無花果いるよ!」と主張してくれて、嬉しいのです。

無花果は、沢山の種が多産や子孫繁栄を意味し、吉祥のお印とされています。

中国の「なりたいモノを食べる」教えからすれば、不妊症に効く食べものということになりそうですが、無花果は、瀉下・潤下効果、要するに便秘解消に役立つことが一番にあげられる食べ物なのでした。便秘性の方はドライフルーツになった無花果を召し上がれ。

じゃ、2番は?
お砂糖を加えて咽のお薬に♪
流石秋の果物。秋の咽がれや、呼吸器にきそうな秋の風邪に、そなえある効能です。

その他、イチジクの白い汁が、イボ取りにいいなーんていいますが、こちらはなんか、かぶれそうな気もしてあまり皮膚には塗りたくない感じ(苦笑)。やったことがないので、お薦めして良いものかどうか分かりません・・・。

無花果。この、どこか原始的な果物がフルーツケーキに入っているか否かは、私にとって結構重要なのでアリマス。
だって、もっさりと加えた大量のドライフルーツで羊羹のようになったケーキをスライスして口に運んだとき、ガリッと種の存在があるのは、なんとも楽しいもの。
そして、イチジクは、東西の吉祥! 年末年始にたくさんの吉祥を取り込み、世界平和を祈りたい。ほんと、切実に祈らなければならない情勢になってきました。)))


今年はクリスマスにMUNIさんでフルーツケーキと共に茶会を開きます。
また詳しいことは、後日♪



2018年10月28日日曜日

インド旅行のお供

10月中旬、インドに出掛けました。
インドといえば、よく「お腹大丈夫?」と心配されます。
「屋台モノを食べたらヤバイ」とか、「家庭料理ヤバイ」とか、インドの何が悪いと思うてか、ホテル以外の食べ物は皆あたると思ってる輩もいらっしゃるようで。
あらゆるものが川に流される、その川で沐浴(!)という驚異から、水が悪いところというイメージも強いのでしょう。確かにお水には気を付けなくちゃ。

ひどいのになると、仕事で仕方なく出掛けて行った方が、カロリーメイトだけで過ごしたなんて話も!??
あ〜〜なんともったいない!だって・・・

インドは美味しいのだ!!

そのことを改めて実感する今回の旅でした。
「インド、美味しい談」はまたいずれ。
今日は、ちょっと要注意な所への旅行に私が持参している代物をご紹介します。

「ミラノン」。
ムラサキオモトの抽出液ドリンクです。
ツユクサ科ムラサキオモト属の多肉植物。中国では、民間療法としてムラサキオモトの葉5〜20gを煎じて胃腸疾患の治療薬として使われてきたもので、日本でも戦中戦後に食中毒や疫痢などのお薬として使われていたようです。近年のO-157の時にも、コレが重宝されたといいます。
要は、体内に入ってしまった悪さをするものを、排出するのを助ける働きがあるのです。

人間の体は、不適正と判断したものは、自然に対外に排出しようとする能力を持っているので、大抵は菌が排出できたらおさまります。その排出作業をお手伝してくれるという、そんな備えがミラノンです。
いつもひと箱(10本入り)をスーツケースに偲ばせて出掛けますが、幸い旅先でお世話になったことは、まだありません。

漢方薬局さんでは、よく解毒効果のある「五行草」を薦められますが、赤痢やO-157に活躍した実績を買い、私はコレです。


さて、インドの何が悪いのか−?
その代表格は、きっとコレ!!

屋台やちょっとした飲食店に配達される氷屋さんの氷。
近づいてみてみると・・・

あ〜ばっちい。
一体どんな水から出来てるんだ〜〜〜っ!!


子供の頃、おんもで遊んでてあまりに咽が渇き、クーラーの室外機のお水も飲んだことがある私です(あの水は苦かった!)が、それでもお腹を壊したりはしませんでした。
でも、この氷には、流石にちょっと引きまする。。。。

インドのお料理は火が通っているものがほとんどで、大抵大丈夫ですが、付け添えのピクルスとか、悪い水でチャチャッと洗っただけの器、そして刃モノを使って切った野菜果物にも、リスクがあります。
ラッシーやジュースも、ひょっとしたらこの氷を加えて冷やしてあったりするかもしれないので、目の前で作るプロセスが確認出来るもの以外はパス。

後は自分の免疫力(≒腸の善玉菌の量)と、思っております。
出発前は、毎日納豆、ヨーグルト、キムチをはじめ、醗酵食の摂取に心掛け、善玉菌を増強しておいたつもりです(^^)V。快適な旅の為にも、腸内環境整備は欠かせません。
これからは、腸のことにフォーカスして、いろいろ勉強してみようと考えています。

腸を元気にして、楽しい旅をしましょう!!

●ムラサキオモト
 効能:食中毒・腹痛・下痢・腸カタル・腸チフス・赤痢・消化不良・嘔吐・小児緑便等

●五行草茶(スベリヒユ/馬歯莧)
 性味/帰経:寒・酸/大腸・肝 清熱解毒 涼血止血 
 効用:肝臓病 腫れ物、ニキビ、痔、イボ、タムシなど。


★ミラノン:アンプル20ml中 
     ビストール(ムラサキオモト有効成分)19.8ml
     原生薬換算量 3.5g
    メキシコ原産のムラサキオモトの葉より抽出した有効成分を含有する止瀉整腸薬。
 主成分の植物性色素成分アントシアニジン配糖体は、強い殺菌作用があり、
 細菌性の下痢や食中毒に速やかに作用する。
 適応:急性&慢性腸カタル、腸内異常醗酵、熱性下痢(赤痢・疫痢)、
    乳児の消化不良(緑便)等。

   


2018年10月24日水曜日

11月の料理教室



11月は、年末を意識した集いの為のお料理で展開予定です。
「藤井ベーカリー」では、我が家のオリジナル、ふんわりライ麦とスパイス香るブラウンブレッド、黒米のアントシアニン入りのパンを。そしてヨークシャープディングを簡単でヘルシーなスウィーツに変え、ご紹介します。
紅茶も、いろんな国籍と種類でお楽しみいただきます。

「集いの食」では、フルーティーなあまから味をご紹介。
このレシピは私の20年来のもの。身近な食材でできる演出を♪
 

 11月 7日(水) ※この回は、10月の繰り越しです。
  ・するする蒸しスープ
  ・野菜料理
  ・蒸肉豆腐
  ・黒米の花巻
  ・デザート
   ★満席につき、キャンセル待ちにて受付中です。


 11月10日(土) 、11日(日)
  「集いの食」
  ・人参と栗のグラッセ
  ・納豆チーズのオードブル
  ・チキンマーマレード
  ・柚子茶カクテル
  ・温の美味しいお茶



11月17日(土) 大人食堂  11:00~15:00 
   ・10,11日に同じ




2018年10月7日日曜日

スパイス講座



先日、成人病予防協会さんからの依頼で、スパイス1日講座をさせて頂きました。
1日で、スパイスの何をどれだけお伝えするか・・・!

スパイスは、性質が強いものが多く、だからこそ古代からお薬として重用されてきました。
でも、お薬だからこそ、アプリケーションは慎重に。
また、薬の効力としても使われている芳香や色、姿には、それ以上の魅力(魔力?)があり、古よりしばしば神事にも神事にも使われてきたのです。

テーマに悩みましたが、健康管理士の方々が対象ですから、スパイスのお薬としての一面と、健康的な活用法をご紹介することにしました。

そして何より、粉になる前の姿に触れて頂こう!

カレーだけでないスパイスの、さり気ない脇役ぶりを楽しんで頂こうという趣向で、3時間、スパイスの香りに浸って頂きました。

香りが誘う神秘の世界、効能にポッとする体。

自分が居る時代を再認識する上でも、ひとつの指標としてスパイスは面白い切り口だと思います。

ご参加頂いた皆様の食卓に、更なる彩りを添えられたなら、幸いです。






2018年9月26日水曜日

ジブリ展で思ったこと

会期の終盤、ジブリ展(於・広島県立美術館)に行ってきました。
ファンタジーモノが必ずしも好みではなく、「ジブリ作品ならなんでも♥」という訳ではないのですが、「アルプスの少女ハイジ」「フランダースの犬」(当時、宮崎駿さん高畑勲さん在席の日本アニメーションの作品)など、あの絵の温もりで育った私には、やっぱり見なくちゃすまない展示会なのでした。

会場では、手書きの制作スケジュール表や映画のキャッチコピーが決まるまでの鈴木敏夫氏と糸井重里氏との、手書きファックスのやり取りをはじめ、舞台裏のあれこれが、私世代の大人たちを惹き付けておりました。

「生きろ」「生きて」「生きねば」「生きよう」・・・多くの作品のコピーに度々出てくる「生きる」の五段活用。

ジブリヒストリーを一気に垣間見ると、戦前生まれの二人の巨匠(監督)の根底にあるものが滲み出してくる気がします。
そして、それらを戦後生まれ(団塊)の糸井重里氏と鈴木敏夫氏が、もがきながら拾い上げる感じ。))

どの世代にとっても「永遠の名作」たり得るジブリ作品の数々ですが、作者の生きた時代もしっかりと汲み取りたいところです。

『もののけ姫』の、落選になったコピーに「神はなつかない」というのがありました。
自然への畏敬の念が、こんなシンプルな言葉に(!)。
落選だったけれど、なんかグッときました。糸井さん、流石。
(ちなみに、決定コピーは「生きろ。」でした。)

話題作『火垂るの墓』のポスターも、今回初めてじっくり観賞。

『火垂るの墓』が『蛍の墓』ではないこと、B-29から降る焼夷弾が描かれているこのポスターが明確に表しています。高畑監督は、ふわりとした美しさの中にドキッとすることを込める天才。この映画のコピーは、「4歳と14歳で生きようと思った」でした。でも、高畑さんには、もう一つの思いがあったようです。それは、このインタビューで顕著です。http://asita-wadai.com/seita-721   この時代のリアリティーを知らなければなかなか理解できないところかもしれませんが、今の物差しで、過去に起こったことを測ることはできないということを、改めて痛感させる作品です。
いろいろなことをこなす為に必要な学びに押され、歴史観を踏まえて考えることがおざなりになりがちな昨今ですが、時代をおもんばかりながらエッセンスを捉えることの大切さを改めて考えさせられます。

映画でも、絵画でも、小説でも、そして料理でも、きっとそうだと思います。

時代時代に注目された料理研究家がテーマにしてきたことは、その時代の映し鏡のようです。薬膳や漢方もきっとそう。健康不安や暮らしの中の違和感が、模索の中から導き出している一つのツールなのでしょう。
巻き戻すだけでは答えは出てきません。科学が紐解く説得力と共に、追いかけたいと思います。

とにかく最初から最後まで大混雑の人気展示会でしたが、こういうプロセスを見せてくれるものって、いいねー。)))
考えさせられました。



2018年9月24日月曜日

10月の料理教室




10月。私がもっとも心地よいと感じるのは、生まれ月だからかも知れま
せん。人は生まれた季節が一年で一番調子が良いものらしいのです。反対に、裏側(12カ月を一周としたとき、裏にくる月、または季節)は、バランスを崩しやすい時期なのだとか。科学的根拠はありませんが、身近な人達に尋ねると、大体当たるので、統計的にはあってるかもしれない(!)と思っていますw。
心地よい季節ですが、特に春生まれの方は、秋の養生を念入りになさって下さいませ〜)))。

さて、(たぶん私は)絶好調であるはずの10月は、6月の食事会で神田雲林の成毛シェフが作って下さったお料理を幾つか取り入れて、点心薬膳に仕立てます。

お天気がよければ、ベランダにキリムでも敷いて、日向ぼっこしながら頂きたいところです。

10月3日(水)  
※あと2席  
この水曜日は一ヶ月ずれている関係で9月の内容と同じモノがあります。
  ・霊芝入り補気養生スープ
  ・老北京・白菜の和え物
  ・雲白肉(片)
  ・ごはん(プラスα)
  ・紹興酒風味のプリン
  ・温の美味しいお茶


 10月13日(土)※あと2席  、14日(日)

  ・干貝柱のお出汁するする蒸しスープ
  ・老北京の白菜の和え物
  ・蒸し肉豆腐
  ・黒米の花巻
  ・紹興酒風味のプリン
  ・温の美味しいお茶



10月26日(金) 大人食堂  18:00~21:00 
 ※満席 キャンセル待ち受付   ・干貝柱のお出汁するする蒸しスープ
  ・老北京の白菜の和え物
  ・蒸し肉豆腐
  ・ごはん(プラスαがあります)
  ・紹興酒プリン
  ・温の美味しいお茶


尚、NHKカルチャー広島「暮らしの薬膳」秋冬講座(第2水曜日 12:30~  ) は、10月開講♪
引き続き、一汁一菜の薬膳と美味しいお茶で、展開予定です。


2018年9月16日日曜日

参鶏湯 サムゲタン


立派な朝鮮人参♡をいただき、サムゲタンを作りました。
サムゲタンは、韓国では、土用入りの日に食べたりする夏の食べもの。
体が温まる食材ばかりを使うので、ちょっと意外でしょうが、どんなときも試練の時候には精の付くモノを!という意気込みなのでしょう。

人参は、気を持ち上げる働きが強いので、高血圧の方やのぼせのある方は、控えた方がよい生薬。気を降下する働きのある大根を加えるなど、一工夫をプラスするよいかもしれません。

夏に長時間煮込む料理は、作り手にとってはあまり喜ばしくはないけれど、やってみると、人参の芳香に殊の外癒され、いい感じ♪
コンソメに加えるブーケガルニが如く!人参は、ハーブの如し!・・なのデス。

教室でご紹介するのは・・・やっぱり、秋以降にしたいけどさ(笑)。

・・・といいつつ、美味しいモノは早く伝えたいので、9月のNHKカルチャー教室に登場させました。食べる先から皆さん「体が温まるぅ〜」「暑くなった〜」と連呼w。
夏にスッキリと汗がかける料理というのもいいもののかもしれません。

デザートには、クールダウン出来るモノがありがたいかもw。







2018年9月15日土曜日

9月の料理教室2





ずっとずっと昔に習った「雲白肉(または雲白肉片)」という名のお料理。
豚バラの煮豚を薄くスライスして並べた様子を「空に浮かぶ雲のようだ」と、描写したことが、名前の由来といいます。こんな名付けをするなんて、江南あたりで隠遁暮らしの元官僚の詩人とか、そんなインテリかな?♪ 
「雲のよう」なのだから、もっと脂の多い部位で作るものなのかも知れませんが、今日は赤味が多いバラブロックか肩ロースブロックで作りました。

潤い薬膳なら、スパイシーは「禁」ですが、ままま、そこは堅いこと言わずにやっぱり美味しくして食べてほしい〜。

2018年9月5日水曜日

9月 料理教室より


9月5日(水)。夏休み明け最初の料理教室では、中国料理に英国の影響が入った香港スタイルのいろいろと、高温多湿の香港の夏のデザートを。

お茶は・・・香港といえば、プーアール♪

菊地和男先生が産地から持ち帰られた普洱生茶。
寝かせながら、毎年少しずつ呑んでみている。

昨年よりさらに少し熟成が進んでおりました。

味云々、香り云々とはまた異なる世界観の普洱茶。
熟成の味に、茶馬古道の風景が浮かんで来ます。)))

そんな世界に、ご参加の皆さんを付き合わせちゃいましたw。

「薬膳」。
食材の、コレがアレが、何に効く、アレに良い。
そんな向き合い方から少し離れて、食べることの、何を大切にするのかを改めて少し考えたいと思う今日この頃です。


2018年9月4日火曜日

9月の料理教室 (updated)


自宅教室、NHKカルチャー、中国新聞カルチャー、福田公民館のお教室の内容と現在の空席状況です。
(※福田公民館は年に4回、春夏秋冬の展開で、9月は「秋」版です。)

自宅教室>
 9月5日(水)*満席
 ※既に満席ですが、キャンセル待ち、承り中です。

  ・翡翠ビシソワーズ
  ・名残野菜と豚肉のマスタード風味  香港スタイル
  ・ごはん
  ・南国のデザート 
  ・美味しいお茶 
  

 9月8日(土)*満席、9日(日)空席アリ、15日(土)*あt

  ・霊芝入り滋養スープ (季節の変わり目に免疫力を高めておきましょう!)
  青椒・如意菜の炒め
  ・雲白肉片 自家製辣油のソース (豚肉のお料理です)
  ・むかごごはん
  ・熱冷ましのデザート
  ・美味しいお茶

 
<NHKカルチャー>
 9月12日(水)  今期最終日 1,2名なら1日参加可能です!

  ・夏の疲れをサムゲタン風スープ
  ・ごはんが進む一工夫(中国式)
  ・熱取りデザート(ゴーヤを使います)
  ※お申し込みは、NHKカルチャー広島へ


<中国新聞カルチャー>
 9月14日(水)*5日前まで受付ております。カルチャー窓口にお訪ね下さい。

  〜潤いの薬膳デザート〜
  ・宮廷式 ほんとうの杏仁豆腐
  ・腸から美しくなる潤いデザート
  ・胡麻の花巻&桂花醤(金木犀のソース)
  ※お申し込みは、中国新聞カルチャー・メルパルク教室


<福田公民館>
 9月21日(水)

  ・季節のスープ
  ・青椒・如意菜と牛肉の炒め
  ・ごはんが進む一工夫(中国式)
  ・プチデザート&美味しいお茶
  ※お申し込みは、福田公民館へお尋ね下さい。




2018年8月30日木曜日

涼茶@MUNI



中国茶イベント終了。
茶会に合わせてMUNI広島オーナーが飾って下さった絨毯で、ちょっとお祭り気分に♪

多種多様な中国茶の中から、今回は緑茶を中心にお淹れしました。
緑茶は、DNAにも舌にも刻まれた日本の緑茶と比べてしまい、なーんかしっくりこないと感じる方も少なくないでしょう。(なんてったって、私がそうだった!)
年齢を重ねると、慣れ親しんだ味をよしとする傾向も・・・。

でも、そんなとこにこそ、文化的個性が宿っているのだ♪

そんなところを楽しんでもらえたと思います。


いらして下さった方々の、さり気なく素敵な言葉の数々。
丁寧に生きておられる方の言葉。
自分のリセット法を心得ておられる方の言葉。

そんな言葉を反芻しながら、いい時間だったな〜と思う。

ありがとうございました!


2018年8月8日水曜日

涼茶 @MUNI





一服どうぞ。
ご来店、お待ちしております♪

「行きまーす」というご連絡をぼつぼつ頂いております。
それを反映すると、こんな感じになっております。

※8/26 時点でのお席の空き状況
26日 ①13:30~ 満席 ②15:00~ 満席   ③16:30~ 満席
27日 ①13:30~ 満席 ②15:00~ 満席           

お陰様で、満席御礼となりました。


2018年8月5日日曜日

『暮らしに漢方』東洋医学で健康チェック


 〜  Vol.1  自分の体を正しく知ろう  〜

東洋医学や薬膳への関心が深まる昨今。「暮らしに取り入れてみたいけど、どこから始めたらよいか分からない」という方が少なくないようです。
薬剤師、中医師、薬膳師がタッグを組んで、そんな貴方をサポートします。
まずは自分の体質やコンディションを、正しく知ることから始めましょう!

   ● 日時:2018年9月2日(日) 11:00~13:00  /  15:00~17:00

   ● 内容:中医診断学に基づく未病チェック
       プチセミナー
       漢方茶や薬膳デザートの試食
       お土産付き

   ● 会場:「漢方なつめ」 中区幟町12-18  1F

   ● 参加費:千五百円


*  *  *  *  *  


昨年末に広島市中区幟町にオープンした「漢方なつめ」さんと、こんなイベントを展開することになりました。

漢方なつめさんとは、漢方塾の先生との、共通のご縁で親しくお付き合いさせていただいています。

社長で薬剤師の福山謙太さんと国際中医師の福山亜紀さんは、これまでご実家の漢方薬局でお客様(患者さん?)のご相談に携わってこられたこともあり、2世代にわたる臨床とエビデンスをお持ちです。

ここ数年解釈の幅が広くなってきた薬膳ですが、各々の体に合ったモノが「薬膳」であるという原点があることから、まずは自分の体を正しく認識するところをもっとしっかりできたらなあ))と、常々思っていたワタシ。
そんな折、脈診のように血流量まで分かる血圧計や未病のサインが分かる毛細血管スコープを使ったりして中医学的な観点から総合的に診断できる方との出会いは、タイムリーでした。
また、お二人によると「食事をととのえると漢方薬の効果も上がる」、または「薬だけでは治せない症状がある」とのことで、食のサポートがあればとお考えで、私の培ってきたことがお役に立つようなのです。
お互いのニーズが合致し、今回の企画展開へと至ったのでした。

当日は、私は司会とデザートを担当します。
お元気印の亜紀センセイのプチセミナー、私も楽しみにしています。

デザートは何ですかって??

霊芝を使った滋養と潤いの一品を!!
社長のセンスが光るウッディな店内で、カフェ気分もお楽しみ頂けるかと思います。

※お問い合わせは、HPよりお願い致します。
尚、未病チェックは、イベントの限りではなく、普段でも店頭でやっていらっしゃいます。出来ればお電話で予約を入れてからお訪ねになって下さい。
 



2018年8月4日土曜日

9月の料理教室

暑中お見舞い申し上げます   

暑さたけなわですが、秋に思いを馳せて凌ぎたいもの。。。
私なんて、もう年末のメニューまで考案中です(って、これは流石にちょっとつらいw・・・)。

自宅教室、NHKカルチャー、中国新聞カルチャー、福田公民館のお教室の内容を一挙ご案内致します!
(※福田公民館は年に4回、春夏秋冬の展開で、9月は「秋」版です。)

自宅教室>
 9月5日(水)
 ※既に満席ですが、キャンセル待ち、承り中です。

  ・翡翠ビシソワーズ
  ・名残野菜と豚肉のマスタード風味
  ・ごはん
  ・南国のデザート
  ・美味しいお茶


 9月8日(土)、9日(日)、15日(土)*

  ・霊芝入り滋養スープ (季節の変わり目に免疫力を高めておきましょう!)
  ・季節の野菜料理
  ・雲白肉片 自家製辣油のソース (豚肉のお料理です)
  ・ごはん
  ・熱冷ましのデザート
  ・美味しいお茶

 
<NHKカルチャー>
 9月12日(水)

  ・潤いスープ
  ・木耳とマコモダケの炒め
  ・ごはんが進む一工夫(中国式)
  ・熱取りデザート(?)
  ※お申し込みは、NHKカルチャー広島へ


<中国新聞カルチャー>
 9月14日(水)

   潤いの薬膳デザート二種
  ・宮廷式 ほんとうの杏仁豆腐
  ・腸から美しくなる潤いデザート
  ・胡麻の花巻&桂花醤(金木犀のソース)
  ※お申し込みは、中国新聞カルチャー・メルパルク教室


<福田公民館>

 9月21日(水)

  ・季節のスープ
  ・青椒・如意菜と牛肉の炒め
  ・ごはんが進む一工夫(中国式)
  ・プチデザート&美味しいお茶
  ※お申し込みは、福田公民館へお尋ね下さい。




2018年8月1日水曜日

偉人達の健康診断 〜 勝海舟と徳川慶喜 〜

大河ドラマ『西郷どん』も、丁度勝海舟が出てきたところ。
NHK、やっぱりタイムリーに取り上げてきました。

その切り口は、勝海舟と徳川慶喜、幕府崩壊後、第2の人生の過ごし方。
お二人とも、77歳までアクティブに生きたスーパー老人だったとか。
勝海舟は、持ち前の記憶力で歴史をまとめたり、元幕臣たちの暮らしを時に身銭を切ってサポート。慶喜は、教養人らしく趣味に嵩じる。
勝の脳トレになっていた習慣的行動や、慶喜の健康グルメぶりを紹介するという内容。

健康を切り口にすると、その人の暮らしぶりが滲み出てきて、これまで散々取り上げられた人物でも、鮮度を与えている気がします。

・・・が!
相変わらずなのは、「人生50年」の設定!!

天寿を全うすることなく戦で命を落とす方が多かった戦国の世からずーっと「人生50年」!と言い続け、健康オタクだった家康の75歳を長寿と位置づけている(!)。

ちょっと調べてみると、その前も後も、70歳以上生きた方なんて、ざらにいるのですよ。それを知らない番組制作スタッフではなかろうに・・・と思うのですが、番組構成上、何かと便宜なのでしょうかねえ。

歴史に名前が残る武将たちは、怪我をしたり病気をしたり、ときには自刃に追い込まれたり・・・50未満でこの世を去るものが多かったのは事実ですが、それらを尻目に、生き運・武運逞しく、家康さながらに70、80以上に達した武将も多いのです。
有名処をザッとあげただけでも、下記の通り。

   尼子経久 82歳(1541)
   尼子義久 70歳(1610)
   北条早雲 87歳(1519)
   毛利元就 73歳(1571)
   毛利輝元 72歳(1625)
   島津忠良 75歳(1568)
   島津義弘 84歳(1619)
   宇喜多秀家83歳(1655)
   細川忠興 82歳(1646)
   ちょっと前の大河ドラマにもなった『真田丸』の兄、真田信之は92歳(1658)。
   伊達正宗は70にちょっと足りなかったけれど、50は優に超え68歳(1636)。


大名クラスは、とかく重責ーーーストレスも多いはず。それでも、こんな調子です。
さらに、下級武士や商人にまでターゲットを広げてみると、80歳以上のご長寿が沢山いらしたようなのです。何分庶民の記録は非常に少ないのですが、歴史に名を残した人物の中で捜すと・・・

 最上徳内  
山形県の農家の長男で、寺子屋にも通わせてもらえなかったようですが、下働きをしながら学問を身に付け、大抜擢により蝦夷地調査の荷物持ちで随行。日本の領土問題に大きく貢献した人物です。
きっと、にぎりめしで寒い大地を歩き回ったに違いないのですが、最後は武士に取り立てられ、82歳で没。

 伊能忠敬
最上徳内さんと同じく日本の国土調査に民間から関わった人物。「大日本沿海興地全図」作成に携わった伊能忠敬は、商家のご隠居さんでした。なんと人生50年ならとっくに終わった人生の55歳から日本沿岸の測量を始め、各地を旅して地図に興したのです。
享年73歳。

コンビニも無い時代ですから、行く先々の宿場で用意してもらったにぎりめしを抱えてあちこち歩き回ったことでしょう。一日何品目どころか、漬物と玄米のお握りを連日食べていた可能性も!?? 

この二人に共通しているのは、おそらく健脚。足は第2の心臓ですから、心臓も強かったのかも知れません。
中医診断学的には、心臓や足の筋力がしっかりしていることは、消化器系も丈夫だったと考えられます。粗食でも消化器系の吸収力がしっかりしていれば、食材のもつ栄養を余すこと無く取り入れられ元気でいられるといいます。
そう、栄養の吸収力(率)は、人それぞれなのだ。だから、「一日どれぐらい食べる」論は、あくまで参考ぐらいにしておくほうがよいと、私は思います。

さて、更に調べてみると、百歳越えのご長寿だって居ました!

石田三成の嫡男で、関ヶ原の後出家した石田重家は、103歳!(誕生がハッキリしないため諸説アリ。でも長生きだった!)十代前半でお父さんが関ヶ原敗北。その直後に臨済宗のお坊さんに保護され、剃髪して出家。大河ドラマ「直虎」の「明智光秀の男の子も同様に描かれていましたが、まあ、そんな感じだったと想像します。そもそも血筋を隠して仏門に入れられたのですから、記録が定かではないのもやむなし。

そうそう、時代がちょっと遡りますが、私世代はアニメで親しんだ「一休さん」も、90歳近くまで生きていたのでした。
統計がないので何とも言えませんが、もし、お坊さんに長生きが多いとしたら、精進料理は長生きの秘訣〜なんて話になりそうです。
昨今は「お年寄りも肉(動物性タンパク質)を食べなさい」と言われていますが。あるいは、実は、生臭坊主が多かったというオチか!??(破天荒坊主の一休さんは、その可能性も大!?)

茶人にも沢山70歳越えがいます。
惜しくも秀吉に切腹させられた千利休は69歳でしたが、もっと生きられたはず。
古田織部は71歳、今井宗久73歳。時代は遡りますが『喫茶養生記』をまとめた栄西、74歳、江戸期に入ってお煎茶を広めた売茶翁も87歳。

こうしてみると、栄養事情の善し悪しって、(極端なものを除いて)あまり関係無かったのでは!??という疑問も湧いてきます。)))

おっと、例によって、すっかりテーマから脱線してしまいました。


勝海舟と慶喜の健康長寿(77歳は長寿ってほどでもない・・と言いたいが)の秘訣は、
勝さん、訪問者と雑談をしながら書を書く。多いときにはその数月7百枚。
この“デュラルタスク”(一度に2つのことをする)は、前頭前野が活性化して非常によい脳トレなのだそう。
勝さんの自慢の記憶力は、こうして保たれていたのでは?という話。
一方、慶喜さんは、無類の豚肉好きであり、和食+豚肉の組み合わせで、豚肉の含むビタミンB1、アルブミン効果で、スリムな体と免疫力UPの健康食になっていた!という話。

あれぇ〜〜、やっぱりお肉がいいのかなー??

現時点での私の答えは・・・

いえいえ、人それぞれだわさ。

食べないより、食べる方がいい。栄養は、足りないのも過剰なのも良くないけど、何がどうその人のためになっているかは、人によって違うのではないでしょうか?
ただ、現代みたいな、本来食べものではないものが食べものに添加されていたり、自然界のバランスを越えた砂糖や油脂の量が日々摂取されていたり、また不思議な加工方法だったりしないことには、留意しておきたい。

勝海舟も、脳トレと思ってやっていたのではなく、「コレ(書)を売って多少のお金にしとくれ」(元幕府No2で人気モノの勝さんの書は高値で売れたらしい!)と、手土産代わりに書いていたのだし、慶喜さんもきっと、ビタミンBの存在なんて知らず(まだこの頃は脚気の原因も解っていない!)、薩摩の黒豚(たぶん?)好きだったにすぎません。水戸藩は井伊家(近江)からの近江牛も食べていたようですから、お肉には慣れ親しんだ家系ですw。

ともあれ、激動の時代を77歳まで、時代に翻弄されながらもしっかりと生き、歴史を築かれたお二人。賞賛に値する77年ではありませんか。 





2018年7月31日火曜日

辰巳芳子『サワコの朝』より

『サワコの朝』に、辰巳芳子。

「料理研究家」と、ざっくり言われがちですが、作家で生活史研究家の阿古真理さんの辰巳芳子評を借りるなら、
「食の思想家 辰巳芳子。どんなレシピを提供するかより、どんな発言をするかで注目を集める人。食を入り口に、人の生き方、社会のあり方まで視野を広げて発言する人。」

新しいレシピや作り方、献立のアイディアを生み出すところで勝負する人ではない。わずか30分足らずのトークの中でも、そのことが顕著に出ています。

(サワコ持参のしいたけスープについて)
「こういう味のものを作ろうと思わないこと。食材(この日はしいたけ)の命をどのように、損なわないで頂けるか。そういうことなんだ(!)」
「シイタケ、ふかした方が、ごきげんがいいな〜」と・・。他人と違うオリジナリティーを作ろうなどということは要らない。何をどのように食べたらいいかということを、もっと根本的に考え無ければいけない」



新しい料理の作り方や献立のアイディアが巷に溢れる昨今。
いろんな方々の智恵やアイディアへのアクセスもぐっと簡単になった。

   ・・・で、料理は美味しくなっていってるのか?
   進化しているのか??
   健康的になってきたのか????

   日々違う料理を作ったり、食べたりすることは必要なのか???
   作って見たい料理、食べてみたい料理は増えたか??

大いに疑問が湧く現世に、この方の言葉がグッと響きます。


   豊かな食卓  貧しい食卓

   異国情緒溢れる豪華な食卓イコール豊かな食卓なのか?
   孤食、買ってきた総菜、コンビニ弁当などの「製品」の食事が、貧しい食卓なのか?

90歳を過ぎて今尚、社会の変化に敏感に、食と社会の関係を捉えて発言を続けておられます。いや、1世紀近くを生きてこられたからこそ、物事の推移が捉えられるのかもしれません。
いろんな価値観に触れ、ご馳走や贅沢も知り、また戦争体験も。。。
特に、戦争体験というのは、あらゆる物事の本質を掴むセンサーを育てるのでしょう。

「食べることは生きること」という根本から、離れつつある所もある昨今、食の安全や食生活の大切さをなおざりにしない取り組みが大切になっていると確信します。 

一見難しく聞こえるかも知れませんが、その答えも、シンプルに
「食材と対話すること。まずどんな食材かを理解し、その上で、法則に叶った入れ方をする」
・・・と。

辰巳先生談の中で僭越ですが、「自分の体との対話」も、ココに加えたいところです。
体は正直で、良くないモノ、意味の無いモノは、とかく「飽きる」(または、麻薬的にアディクティブになってしまう!?)ように出来ている気がするのです。


「薬膳」とか「アーユルベーダ」「ヨーガ」とか「マクロビ」とか、「フレンチ」「イタリアン」「チャイニーズ」「和食」・・・巷に展開している様々な食と健康のアプローチ。どんな切り口であっても、本質のところをしっかり踏まえることの大切さを、しみじみ考えさせられる今日この頃です。

せわしない時代。急がば回れの「根本に帰る」思考を唱える辰巳先生でした。






2018年7月16日月曜日

白干し




“五月蝉聲送麥秋”
(ごがつのせみのこえはばくしゆうをおくる)

陰暦の五月になると、蝉が鳴きはじめて、
過ぎゆく麦秋(陰暦四月)の季節を見送っている様だ。
初夏から盛夏への季節の移り変りをうたう。
蝉、麦秋、梅雨明け、梅干し、紫蘇と時間差を感じる言葉達。
旧暦に43日前後を足すと新暦になる為か。
紫蘇と云えば青、赤ジソがお馴じみ。
共に整腸、抗菌、防腐、健胃、鎮咳、発汗と良い事づくめです。
三国時代曹操の侍医だった、華佗が瀕死の若者に紫の薬草を与えて蘇えられた
故事によるものとな。

*  *  *  *  *  *

竹爐山房 山本豊シェフが、月替わりでHPに掲げている漢詩の抜粋と解説です。

「紫の薬草」紫蘇で、お薬として中国大陸から伝わった梅を漬ける。
梅干しが赤いのは、色付けのためだけでは無かったのでは???
そんな気がしてきます。

紫蘇を使わない梅干し。なんだか薬効果半減で、残念に思われるかもしれませんが、素材そのものの風味にこだわってしまう自分に、どうしようもなく「日本人」を感じます。

華陀は、日本でいえば弥生時代のお医者様。この時代に麻酔薬まで編み出していたといいます。歴史に残る名医の逸話は数知れず。『三国志演義』と共に語り継がれているようです。
曹操は、身分を問わず能力の高い人材を重用したり、武勇、知略に長けた武将ということで、ヒール役ながら人気の人物。ジョン・ウー(呉宇森)監督の映画『レッドクリフ』では、チャン・フォンイー(張豊毅)が好演していました。

その曹操の主治医華陀。世は戦国時代、外科治療に携わることが多かったことでしょう。麻酔薬「麻沸散」が生まれた背景は想像に難くないです。
曹操の持病の頭痛を「頭を開いて治療しましょう!」と曹操に進言し、怒りを買った(当時の認識では、頭を開くなんて「死ね」と言うのと同じ!)逸話も有名です。
また、関羽の右腕に刺さった毒矢の毒抜き(トリカブトの毒だったそう)に骨を削ったなーんて話は「ほんまかいな??」ですが、きっと麻酔薬を使って深くメス(?)を入れるような、なんらかの外科手術をしたのでしょう。
その他、寄生虫の虫下しとか、堕胎薬とか、華陀は様々な名薬を生み出していたようですが、「麻沸散」を始め、数々の処方は、華陀自らの手で焼かれてしまって残っていないそうです。あ〜〜)))。
それでも、千年の年月を経て華陀の名前やお薬が日本にまで届いているのだから、いや、すごい。

ああ。。。華陀さんにあやかり紫蘇漬けにしたくなってきました。
もとい、誘惑を抑え、自分の中の日本人をあたためるぜぃ。

たかが数十粒の梅に、そんな思いを馳せる土用入り前の今日この頃。

私の頭、暑さにやられたかな。






2018年7月10日火曜日

教室はあります!



この度の大雨の影響、まだまだ続きそうです。
交通の不自由はもちろん、それに準じて流通の滞りも多く見られます。

明日のNHKカルチャー、今週末の「大人食堂」、来週の「奈良漬け教室」、予定通り決行致します!!

なんだかとっても不思議なのですが、日曜日に白瓜が届き、今日はお江戸から鰹節が届き・・・あちこちの道路が遮断されているという情報が飛び交っている中、ぼちぼち予定通りに届く宅急便、魔女が届けてくれているのでは??(ジブリの見過ぎかw)
・・・と、思ったりして。

今日は、県境の柿の木村からとれとれのお野菜をゲットすることができました。
明日のカルチャーでは、新鮮なお野菜を味わって頂けそうで、ホッとしています。

いろいろあるさ。生きていれば。
その時、その時、できることを精一杯。

生産者さんも、それを使わせていただく側も、そんな気持ちで食材に向き合えたらと思います。
白瓜〜





2018年7月5日木曜日

偉人達の健康診断 〜空海〜

万能の天才、日本のレオナルド・ダ・ビンチ(!?)空海。
宗教的天才で、字が上手くて、土木工事においても知識が豊富で、美術にも造詣が深かったのだとか。要するに、当時の最先端化学者であり、宗教家である。

外国文化を持ってきてそこから文化を作るというのが日本の文化。遣隋使、遣唐使は、その要ともいえる役割を担っていた。

空海は、その遣唐使として唐に渡り、都である長安で、密教の最高権威である恵果阿闍梨に伝承者として選ばれ、日本に帰り、真言宗の開祖となる。

ざっくりと言ってしまえばこうなるのですが、番組では、まず、遣唐使として中国に渡る旅に着眼します。

無事大陸に渡れる能力と体力、そして運もさることながら、唐の都にたどり着くまでの旅、そこでの学びや見聞を吸収する力、さらにそれを持ち帰り展開させる力。
これらの非凡な能力の源流をさぐっていきます。

1)遣唐使船での船酔いの巻

空海が遣唐使として派遣されたのは、空海31歳の時。
今なら、飛行機で2時間、船で2日のところですが、当時の小さな船(全長30m程だったとか)で、東シナ海の大波に揺られ揺られて、博多から福州まで1カ月掛かって命がけの旅。
空海は、船酔いしていなかったのでは?という説があるようです。

嵐に見舞われた船先に不動明大王像を括り付け、祈り続けた行為は、意識を一点に集中させることによるプラセボ効果*を狙ったのでは?との分析も!?
また、医学的な知識がある空海は、生姜を使っていたかもしれないようです。
日本最古の医学書『医心方』には「吐き気には生姜を多食するとよい。生姜は吐き気の聖薬である」と記載されているそうです。
現代の乗り物酔いの薬に含まれる抗ヒスタミン。嘔吐中枢を刺激して吐き気を抑える作用がありますが、生姜に含まれるシンゲロールには、自律神経を調え吐き気を抑える抗ヒスタミンの効果があったのです。

船ごと難破するほどの荒波で、プラセボ効果や生姜にどれほどの効力があったか怪しいところですが、空海をはじめ遣唐使として指名を全うできた人達が、これらを乗り越え福州までたどり着く強靱な体力の持ち主であったことは確かです。


2)類希な語学力

恵果阿闍梨に伝承者として選ばれた理由。それは、サンスクリット語も中国語も全て受けとめられる語学センスだったそうです。
空海が生まれた当時の香川県には、渡来人が沢山やって来ており、空海は、幼い頃から中国語や韓国語が飛び交う環境に育ったというのです。中国語を文学としていた当時の日本で、外国語は文字で学ぶものでしたが、空海は、そんな環境で外国語を聞き分ける耳を育んでいたのでしょう。
彼の文才が学問の賜物であることは疑いもないことなのですが、この+α が、文化の習得に拍車をかけたことは、想像に難くない。通訳を解さずに直接"取材"できることで、より物事の核心に近付けるということが出来たでしょう。

空海の語学力は、健康には直接関係ありませんが、バイリンガルで使う脳は、アルツハイマーなどの病気になってしまうのを先延ばしにしてくれるのだとか。
時々外国語で物事を考えてみるのは、ボケ予防には良いのかも知れません。


3)空海うつ病説→うつの克服には「運動療法」

まじめで、責任感が強く、勤勉。こういった性格の人は、ウツになりやすいといいますが、空海もまた、そんな気質の1人。自ら「もうすぐ死ぬから」「長くは生きられないから」といった言葉を残しながらも、短期で回復している空海。具体的に病気があった訳ではなく、心の病だったーー心身症が出ていたーーと、『空海に出会った精神科医』の著者、保坂隆先生は分析しています。
でも、高野山での修行や京都への往復等々、高野山の原生林の中を歩きまわり、山歩きが心の病の克服に繋がった(!)。先生は、そうみているのだそうです。


以上3つが、この番組で空海を紹介する切り口でしたが、何より、私はとにかくこの時代に興味津々!! 

唐は、紛れもなく、世界最高峰の文化を持つ国でした。
遣唐使を含め、世界各地から唐を訪れた人達が、どんな旅をしてきたのか。
何を見聞し、何を考え、どう行動したのかーーー。

たまらないロマンです。

空海 享年61歳。類希なキャッチ力と叡智で、濃い中国体験をし、日本に多くの文化をもたらしたのですねえ)))。


余談:
春に公開された映画『空海-KU-KAI-』〜美しき王妃の謎〜で、空海が訪れた唐は、楊貴妃〜玄宗帝時代から50年後。詩人、白楽天(白居易)との交流を描いていました。
白楽天とは2つ違い。衰退していく唐が一時的に盛り返している時です。(14代憲帝の時代)




2018年7月4日水曜日

「大人食堂」

トムヤンクンに必須のバイマックルー(コブミカンの葉):Tさん栽培

大人だって、主婦だって、たまには誰かに作ってもらって、ゆっくり食べたい。

里帰りがそんな願望を満たしてくれているという方もいらっしゃるかもしれません。
自分を育んだ母の味は、DNAに組み込まれているのか、体が喜んでいるのを感じるでしょう。
団塊2世あたりからは、「母の味は○○(食品メーカー)の味」なんて時代になっちゃっているのかも知れませんが。

私は両親が共に仕事を持っていたため、母の味ではなく祖母の味で育ちました。
なので、残念ながら、里帰りで満たされる体験は、とても短かった気がします。
でも、祖母の料理は、「○○のタレ」とか「○○の素」といった便利なモノが無い時代の料理なので、華はないけれど、味付けには独特の個性があったように思います。
市販のものやお総菜では、なかなか満たされない舌が育ってしまったのでした。

おっと、冒頭から話のて逸れてしまいました。「祖母の味」については、後日。今日は、「母の味」以前のお話、大人の充電食についてです。

いつも家族の食事のことを考えながら日々を送っていると、御飯のことを考えないですむことがちょっとした息抜きに、更にもし作らなくてもいいなら至極の休日になる。
コレ、主婦共通の心情だと思います。

私は料理好きな方ですが、それでも外食などすると「あ〜楽チン!」、旅行などすると、「あ〜極楽!」と思いますし、普段と異なる味付けは、自分の味付けを客観的にみるきっかけにもなったりもして新鮮です。

そう! 他所のお料理(食品メーカーの味ではないものですよ)というのは、新鮮な気持ちにしてくれるのです。パーティー料理のような非日常ではなく、他人に作ってもらった普段着のお料理をちょっといろいろ美味しく食べられる機会がつくれたら)))。
そんな発想から「大人食堂」を企画してみました。

今回は、タイハーブ栽培のTさんから、フレッシュハーブをご提供いただけるとのことで、
究極のトムヤンクンやタイカレーなどをベースに、ちょっとアジアンな家庭料理の食卓に。
・・・あ、ちょっとパーティーっぽいですね(^^;).
暑気払いパーティーになっちゃうかな?

  2018年7月14日(土) 11:00〜15:00

   ・タイ風サラダ
   ・生ハーブのトムヤンクン
   ・夏野菜の揚げ浸し、または蒸し料理 
   ・シンガポール風チリ
   ・スリランカ風ポテトカリー
   ・タイカレー
   ・バスマティライス(緑豆入り)
   ・自家製ジンジャーエールか梅ソーダ
   ・フルーツバスケット
   ・おいしいお茶
      ・・・・等々

2018年6月20日水曜日

季節の食仕事 〜奈良漬〜


叔母から受け継いだ奈良漬けづくり。
いつもお世話になっている方々へのプレゼントにしてきたのですが、今年はたってのリクエストで、教室でご紹介することになりました!

・・・とは言ってもですね。。。)))

ふた月掛かりの仕事をどうやって1日の教室でやるか!?

ああ、また下準備が大変な月になりそう。))

とほほ。。。

でも、これも今年のチャレンジ企画です。
教室の皆さんの面白がる顔を思い浮かべながら、漬物樽3つ分の下漬けを担当します!!

ちょっとイレギュラーな教室ですが、いつもの時間に始めていつもより多分少し早めに終わる(?)かと思います。
4.1Lの漬物容器ごとお持ち帰り。和定食(2017年度の奈良漬け付き)の賄い付きです(笑)。お楽しみに!



 日時:2018年 7月18日(水)、20日(土)10:30~14:00頃
 定員:各5名
 会費:容器代 800円を別途頂きます。

  ※この回は、新規の方はご参加頂けません。







季節の食仕事 〜梅ジャム〜



6月11日、入梅。

梅雨入りを意味する言葉ですが、梅仕事の始まりでもあります。

今年は梅は表の年。そして、梅のタイミングは例年より少し早めの印象です。
梅は追熟する果実。カリカリの青梅も、みるみる柔らかく黄色になってしまいます。
今年は、例年の梅仕事に加え、熟してフルーティーな梅で作る梅ジャムも作りました。

酸抜きの手間暇に、いっそ桜桃かアプリコットでいいのでは??と、思うこともありますが、梅ならではの何とも言えない芳香は、やはり梅でなければ出ません。
この香りを活かせる梅ジャムは、まさに「和ジャムの代表」だと思うのでアリマス。

教室で、皆で仕込んだものが、美味しいジャムになりました。来月、お渡しですよ〜♪





2018年6月14日木曜日

弾丸上海


6月9〜11日、弾丸上海へ。

蘇州滞在中の健脚5名と合流し、歩き、食べ、歩き、食べ・・・。

世はネット時代ですが、空気を感じるということの替え難い意味と説得力を、改めて痛感した次第です。健脚メンバーは、そのことを熟知している「足を運ぶ」世代。
私も、その末尾におります。

これまで、徒労もあります。失敗も、ちょっとコワイ経験も。
だから度胸が付くというものでもなく、怖さを知るほど恐がりに、心配性になる気もする。
でも、起こったことに、向き合う強さは身に付いている気がするなぁ)))。

今回は、仲間を得て、ある意味気楽な旅でした。

毎日1万2千歩ぐらい歩いたけどさ〜w。




2018年6月8日金曜日

食事会レビュー 〜フカヒレ七変化〜

6月2日「神田雲林 成毛幸雄シェフのエスプリを味わう会」

かつて、中国のミシュランの★は「(スープに使う)鶏の数」だったとか。贅沢にとったスープでお料理が決まるということから、仕入れる鶏の数でお店の格が決まったということです。
その醍醐味が、フカヒレなどの乾貨!
乾貨とは、乾物のこと。その中でも高級なのが、フカヒレ(魚翅)、なまこ(海参)、鮑、燕の巣/魚の浮き袋(魚肚)で、鮑参翅肚を四大乾貨とよばれています。 
フカヒレを筆頭に、なまこ、燕の巣、魚の浮き袋などは、それ自体はとても淡白な食材だけれども、美スープの味を滲ませて滲ませて、重ねていく手間暇で素晴らしいお料理になっていくーーーー。
スープが素晴らしいからこそ輝ける食材なのでした。いや、スープのお陰で高級食材たり得る食材なのでした。

旭屋出版『コースの構築〜人気シェフのコース料理の組み立て方〜』(2014年初版)の中でも、「あらゆる料理に用いるスープは、お店の味の根幹をなすもの。スープに力をいれていれば、おのずと他の部分にも力は抜けません」と語り、スープには、とことんこだわる成毛シェフ。「フカヒレを作るのは中国料理に携わる面白さの極み」なんてこともおっしゃっていたことがあります。
成毛シェフのフカヒレが、またはその他のお料理が美味しいのは必然のことなのだ!

そんな信条に基づく今回のお料理は・・・・
なんと、前菜12種、コースの品数は前菜を含む9種類!!
これら全部をココで解説すると、長い巻物のようになってしまうので、ピンポイントでいくつかご紹介しましょう。
開胃スープは、夏草花(冬虫夏草の人工栽培で生まれた茸)がトッピングされたスッポンの上湯*スープ。その後、青鮫のフカヒレを含む四大乾貨の極上スープ煮込み、活ワタリガニのお料理、キヌガサ茸、ヤクの膠、燕の巣の入った黄燜湯*ベースの一品・・と続き、メイン級のお料理が散りばめられて、なんとも豪華な印象です。

シメの和え麺だって、自家製全粒粉、シコシコです。
(今回は多人数ですので、麺がのびてしまわないように配慮され、和え麺でしたが、こちらのスープ麺も絶品です!)

そして3品を少しずつ盛り合わせたデザート!
この1つが「鍋蒸」と呼ばれる老四川の甜菜、麦焦がし。
レストランでは、まず見かけることがない一品です。

見た目は地味なのですが、これが「印象に残った」「美味しい!」と、ご参加の皆さんの♡をつかんでおりました。
お店のオリジナル、美味しい紹興酒のプリンと一緒に出てきましたが、コチラを言及する皆様。
こういう滋味を解する皆さんにご参加いただけて、本当に嬉しいです。

広い国土の中国、加えてグローバルになった食材・・・現代の中国料理の幅の広がりは、留まるところを知らないようにも見えますが、成毛シェフ、しっかりと、古典料理の滋味と共に中国料理らしさをご提示下さいました。


さて、今回の食事会のお料理の写真全てを・・とも思いましたが、今日はこれまで神田雲林さんでいただいたバラエティー豊かなフカヒレの姿を、羅列してみたいと思います。


四大乾貨の最上級スープで煮た家式(2018.6.2)
譚家式の黄燜湯で (2017.5)
蟹味噌が絡まるフカヒレ
蟹と松茸でステーキ仕立て 香ばしい!!

上海煮込み

トリュフと合わせて

左手前がフカヒレ(前菜)
フカヒレのお刺身〜(生ではありませんよ)

フカヒレのお料理は、神田雲林の折々の季節のコースに盛り込まれています。
機会があったら、是非コースをいただいてみてください♪


*上湯  丸鶏と鶏ミンチでじっくり煮出したスープをベースに更に手を加えた上級スープ

*黄燜湯  丸鶏、豚脛、鴨、鴨脂などからじっくりとったスープ