「富貴鶏(ふうきどり)」(別名:叫化鶏/こじき鶏)
先日、久〜しぶりに「こじき鶏」をいただく機会に恵まれました。
「乞食鶏」とは、お腹に野菜や御飯を詰めた鶏を、蓮の葉でくるんで粘土や小麦粉の生地で覆いオーブンで3−4時間・・・蒸し焼きにするお料理。時間が作る美味しさを味わう一品です。
このお料理の由来は、明代〜清代初期の江蘇省常熟県虞山の麓辺りが舞台なのだとか。
- - - - - - - -調理道具も持っていない貧乏な男二人がいて、ひとりは近所で鶏を盗み、もうひとりは野菜や米を盗み出し、料理して食べようということに。
付近には西湖の蓮の花がいっぱい咲いている場所でした。そこでふたりは、大きな蓮の葉をちぎりその葉で鶏を包みました。鶏のお腹にはお米や野菜を詰めて、湖畔の泥の中に埋め、その上でたき火をしたのだそうです。
そうしていると、ドロボウ(男ふたり)を探しに役人がやって来て、たき火に当たりましたが、まさかたき火の下に「盗品」が埋まっているとは気付きません。役人が去り、二人がやっと泥の中から鶏を掘り出せたのは半日後。二人は、たき火の熱でかちかちに固まった粘土の固まりをもって林の中に行き、石で粘土を割りました。中の鶏は、蓮の葉の香りが移り、柔らかく蒸し上がっていたのでした。
その素晴らしい芳香が、先の役人にも届いてしまい、二人は見つかってしまうのですが、役人は、ふたりから鶏料理を横取りして食べ、その美味しさに驚き、ふたりに大金を払って作り方を聞き出しました。
役人は、この料理を宮廷で紹介し、大変な評判になり大出世。貧乏だった男達ふたりは、お金持ちになったので、後に「富貴鶏」ともよばれるようになりました- - - - - -とさ。
蓮の花が咲いているのは夏の時期。追っ手の役人がたき火に当たるくだりなど、この物語には季節の矛盾がありますが、当時の役人の有り様など、なるほど分かる気がして、面白い逸話です。
ともあれ、この鶏の蒸し焼き料理の手法は、蘇州から杭州、広東、四川へと広がっているよう。今では中国で、おめでたい祝いの席には欠かせない料理のひとつになっているのだとか。
ちなみに、皇太子と雅子妃の婚約の時にも、このお料理が出されました。
さて、時を経て随分と進化して一層美味しくなっているであろうこの乞食鶏、今回は、神田雲林の成毛シェフによるもの。覆いには、本格的に粘土をつかってあります。
一物全体食の賜ですわ。))))ボ・ナ・ペ・ティ。
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デーン! |
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トンカチで粘土をかち割ります。 |
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更に香りづけするため、葉っぱに点火 |
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取り分けられた、こじき鶏。
ぎゃお! 私のお皿には、鶏のお頭が・・・!!
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