2007年11月18日日曜日

マムール






アラブのお菓子「マムール」(ma'amul)。


大きめのクッキーのようだが、実は月餅に近い。中にはナッツと棗の餡が・・・。

自然な甘さで、濃い紅茶が欲しくなる。

横浜のアラブ料理レストラン アル・アインで分けてもらったお菓子です。

ちなみにこのテのアラブの伝統菓子の歴史は月餅より古いようで、月餅の「月」は、アラビアの太陰暦の「月」に由来するとか。

よく見たら、マムール(左)の真ん中にあるのはアラビア語!?

2007年11月17日土曜日

神保町のスヰートポーズ




久しぶりに神保町古書店街をぶらつきました。ついつい時間を費やしてしまい・・・お腹も空いてきて・・・。
で、気になっていた店「スヰートポーズ」に入った。

餃子と包子だけのお店。
ポーズ=包子。パオズがナマったのかしら。
「スイート」は何でだか気になったけど、お店の方が忙しそうだったので聞きそびれてしまった。別に甘い餡が入っているわけではないですよ。

昭和11年「食堂満州」の名で創業。創業者は中国で天津包子を修行して大連でもお店をしていたそうです。現在は3代目。

餃子屋は数あれど、うならせる餃子を食べさせてくれるお店というのには、なかなか出会うことがない。
やっぱり皮は手作りでないと。
・・と思いかけて、まてよ、ではなぜ北京の屋台の餃子は、あんなに旨かったんだろう?

その答えは・・市販の皮でもおいしい(!)。市場の麺類売り場には、その場で麺を打ち、餅(ピン)を捏ね、様々な小麦粉の加工品が作りながら激安価格で売られていた。

それからタレ。香醋と生ニンニクを各自で直接タレに入れてプリプリの水餃子をひょいと付け、つるつるっと食べるからなのだわ・・・。餃子の餡にはニンニクを入れずにタレに・・・。

中国の食品がコワイ、信用ならないと言われる一方で、中国人たちは結構ダイナミックで美味しい食べ物をごく日常的に食べているじゃあありませんか!?

とにかくまあ、そんな現地の味への哀愁が「スヰート」という名前に込められているのではないかと勝手な解釈をした次第。

注文は、包子と焼餃子小(8ヶ)。
皮のコチコチ感にちょっと顔がほころびます。




2007年11月5日月曜日

シュークリーム





一昨日『Always3丁目・・』を見て、急にシュークリームが食べたくなりました。

「六ちゃん」がお腹を壊しても食べたかったシュークリーム。

昭和30年代のシュークリームはどんな感じだったのかなあ)))。

学生時代、卵や牛乳よりもコーンスターチのとろみでせんたくのりみたいな甘ーいクリームのシュークリーム。部活の後に食べたあのエコノミーなシュークリームも、あの頃は美味しかった。

久しぶりに、シュークリームを焼いてみる。

クリームは、生クリーム無し、ラム酒の利いたカスタード100%、中の空洞はクリームでうめつくされているずっしり重たいシュークリームがいい。

手でつまんでパクパクっとほおばる。

はやく続編を見にいきたいなあ~))))。




2007年10月23日火曜日

どぶろく



  写真:左から
・ヨコワ(鮪の稚魚)のなめろう
・どぶろく漬け(お漬け物)
・角寿司:一見普通の押し寿司ですが、弥栄町のコレは、
真ん中に栗や豆、牛蒡などが入っている(!)

その他この日の料理は、自家製豆腐、猪肉のすき焼き、煮しめ、ゼンマイの白和え、芋天、こんにゃく、茗荷の味噌漬け、あけび、鮎等々・・・多数。

島根県弥栄町のどぶろくの会に行ってきた。

http://www.city.hamada.shimane.jp/jinzai/hanbai/doburoku.html

地元の食材で次々とお料理が出来てくる。

地元のおばさん達が持ち寄る料理も並ぶ。

自ら採ってきたねずみ茸、一本しめじ・・・射止めた猪肉に近くの川で釣られた鮎・・・。

豆腐だって、この辺の家では各家庭でつくっているそうな。

繰り返しから生まれる確かな味。農村の食文化。

これを「スローフード」というカタカナ言葉で括ってしまうのは失礼な気がする。

会に来ておられた農学博士の堀江氏に、氏特製のしめ鯖のタタキ風を薦められた。

すり下ろしたニンニクと生姜がたーっぷり、刻み葱が埋まるほどたーっぷり掛かったこのタタキ。

「せ・・先生、美味しそうですけど、こんなの食べたら帰りの車の中で(匂いで)大変なことになりますー」

「いや、どぶろくをしっかり飲んでおけば大丈夫なんだよ。ホントだよ!どぶろくに含まれる酵素がニンニクの匂いの元を分解してくれるんだ」

最初は半信半疑だったけれど、アレ不思議。ほんとに臭くない!

私を含むニンニク好きのみなさん、どぶろくがあれば、恐くない(笑)!




2007年10月21日日曜日

武相荘







白州次郎と白州正子さんの家。

かやぶき屋根は今でこそ稀少ですが、お二人がこの家を購入した昭和15年頃は、ごくごく普通の農家だったそうです。使い込まれたものが醸し出す風情がじんわり・・・。

お二人の人となりを鑑みると、これは随分とまた質素な暮らしとも見えますが、お二人が愛用した品々が置かれていて、暮らしを楽しんでいた感じが伝わってきます。


2007年10月12日金曜日

吉田牧場のカマンベールチーズ


「こだわりの・・」「美味しい!」「本格派」と評判の吉田牧場(岡山県御津郡の吉備牧場)のチーズ。

当地を訪れても売り切れでなかなか買えないと聞いていたけれど、天然酵母パンの店ドリアンさんでカマンベールが買えました(!)。

どれどれ))))。
おぉぉぉーー・・・外側トロリ、中ポソポソ。

熟してクリーミーな中にフェタチーズの食感でまだ酸味が残る未熟の芯がある。そして綿のような外側。
この外側のカビのところが好物なので、包み紙を開けた瞬間歓喜。

白カビチーズは熟々なのが美味しいと思うけれど、この半熟ぶり・・そして不揃いの気泡が残っているところは、そして成長過程を見たようで、なんだかチーズとお近づきになった気分。

ブラウンスイスのミルクでできたこのチーズは意外とさっぱりしていて甘味があります。
チーズといえば、ワイン・・・といきたいところだけど、ビールもいいな。)))



2007年10月1日月曜日

モロッコのお菓子(1)




脳みそも醗酵してしまったかのような日々が去り、秋))))。スポーツの秋、読書の秋、文化の秋・・・。

私にとっては、料理の秋。料理は読む、動く、食べるの3拍子そろっている訳です。

今日はモロッコで教えてもらったお菓子たちの試作♪

手持ちのメモや資料を基に、配合を組み立てているところです。

本のレシピには、「1ティースプーン」とか「1スープスプーン」とか「1グラス」という表現がフランス語でならんでいて、クエスチョンいっぱい。1ティースプーンとは、その名の如くティースプーンサイズなのですが、要するに小さじ1杯(5cc)位。スープスプーンというのは、いわゆる「テーブルスプーン」ということで考えると大さじ1杯(15cc) 。
しかーし、1グラスって???

グラスといえば、ミントティーを入れるあのティーグラスのことかというところまでは何とか察しがつくけれど、なにせ造りが造りなので同じ型のグラスでも微妙にサイズが違い、軽量にも誤差がでるのです。

それにしても、これは最も簡単だ・・・と、タカを括っていた「コリシラット」という焼き菓子に、こう苦戦させられるとは・・・。

コリシラットは、おじゃましたサイダさんのお宅で、お手伝いさんが作ったものをご馳走になり、すっかり気に入ってしまった一品。カンパンとクッキー、ビスケットを足して3で割ったような、素朴な焼菓子。シンプルなだけに食感が大切なのです。

ゴマとオレンジフラワーウォーター、スパイスのコンビネーションが美味しさの要。
全ての材料が噛みしめたときにお口の中で融合するほどよい硬さを目指して・・・・。

レシピを書き留めたメモには「小麦粉2キロとサラダオイル500ccに、砂糖が・・・・」とある。いきなり、1単位が大きすぎやしませんか(苦笑)。


そういえば、このお手伝いさん、読み書きが出来ないっていってました。
いつも手加減でつくっておられるのです。

何はともあれ、2,3回配合を変えている内に、現地で戴いたのにかなり近い代物が出来上がりました。これからモロッコのお菓子を再現するのは、思っていた以上に大変な作業になりそうです。

2007年9月18日火曜日

葡萄:キャンベル

子供の頃、病気になると、季節を問わず「ぶどうが食べたい」・・・と悲壮な声を上げていたらしい話を、この時期実家に帰るといつも聞かされます。

昭和40年代、水疱瘡の病の床で1月に食べた葡萄は、確かしなびたマスカット。当時、「青いぶどう」と呼んでいた。

ぶどうといえば、その「青いぶどう」か、種なしぶどう(デラウエア)、黒いぶどう(キャンベル?)ぐらいだったような気がする。(巨峰はあった??)

それが今、ピオーネ、甲斐路、ネオ・マスカット、ロザリオ、レディースフィンガー、パラディ、種なし、種あり、皮も食べられるタイプ等々、いろんな葡萄が出回って、葡萄好きには目移りしてしまう。
外国品種の掛け合わせ等々まあ葡萄の種類が多いのは留意することではないのだろうけれど、ひとつ、とても気になることがある。

キャンベルが見当たらないのだ。

あの、ほどよく酸味、甘味、渋みがあって、つまんでいるうちに爪の間まで黒くなってしまうようなびががトロッとたっぷり皮の内側に付いているキャンベル。種だって、さほど大きくない実の中に3つ4つ入っていて、野生的だった。

マスカット、大好きなんだけど、白の後には赤も戴きたいわ))と、ワインじゃないが、黒いぶどうも食べたいのです。
ピオーネ、巨峰ほど大粒でも高級でもないのでいい。(だって私の脳には葡萄は「つまむ」ものとインプットされているのだから。)

先日、偶然通りかかった果物屋さんで、キャンベルの名残濃い小振りの葡萄の房を発見(!)。

車を路肩に止めて、いそいそと駆け寄った。

久しぶりに味わうキャンベル(風)の味は、子供時代の記憶を甦らせる。

「おにいちゃん、食べるの速すぎるよー」

兄は種を出さない主義で、ツルツルとお猿のごとくのみこんでいき、葡萄の房はみるみる茎だけに・・・。

そこへいくと、皮を手で剥き剥きしないといけないマスカットは、猿の・・・もとい、兄の敬遠しがちな品種だったので、いまでもいただくときにいささか心の余裕がある気がする。(今では皮ごと食べれる「青いぶどう」も出ているから手強いが、当時のものは皮に結構渋みがあって硬かったのだ。)

でも、キャンベルは、焼き肉と並んで、せわしく食べる家庭内競争のシンボルだった。

久々に手にしたキャンベル(らしき葡萄)を、ゆったりと口に運べる喜びを噛みしめる・・・脳裏によぎる猿兄妹の想い出がちょっと邪魔だけどさ。




2007年8月27日月曜日

『レミーの美味しいレストラン』



ミツバチ、カエル、豚の番犬、魚の大冒険、馬がしゃべる・・・動物の目線で人間の世界を描いたり、奇想天外な設定は、これまでにも数多くある。
が!
キッチンにネズミ・・・ネズミがシェフに!??
パリの一流レストラン、グストーを舞台に、厨房の仕組みや組織、パリのレストラン界の厳しさをユーモラスに織り込みながら、ネズミのレミーがシェフの夢を叶えていく物語。
ネズミは、ヒトの食べるものなら大体なんでも食べられるし、人間の生活空間にもすっかり馴染んでいる・・・といえば、まあ確かにそうなのだけれど。
素晴らしい五感をもち料理が大好きなネズミのレミーにとって、唯一の壁は、体の大きさ。それが、ひょんなことから見習いシェフのリングイニとの出会いで越えられる壁となってしまったからもう大変。ヒトの目を盗んでリングイニが台無しにしたスープの味を修正したレミーは、リングイニとコンビを組むことに。二人の生み出す料理は次々とグストーの新メニューとして話題を呼ぶことになる。料理評論家や衛生局のお役人も出てきて、クライマックスは・・・・。
ラタトゥユ。
南仏の家庭料理、野菜の炒め煮。Rat and Tattoo・・・なんてダジャレはさておき、レミーの作ったラタトゥユが、評論家の舌に、幼い頃の母の味を甦らせた。スープにはじまり、ラタトゥユで迎えるクライマックスは、厳しく華やかな料理の世界に、ほっと温かな風を吹き込むかのよう。
この映画、お勧め度200%です!
http://www.youtube.com/watch?v=O-8T1IxQAzA

http://www.disney.co.jp/movies/remy/flash/

2007年8月25日土曜日

冬瓜

暑い日がつづきます。
ここへ来て力尽き果てそうな今日この頃。

水っぽいものばかりが欲しくなって、お腹がチャポチャポし始めてしまった・・・。
いかん。これで胃が鈍ると、夏バテになってしまう。

こんな時は、西瓜は、いかにも水分増量でチャポチャポに輪を掛けてしまいそうですが、実は西瓜はとてもいいのだそうです(!)。

夏の瓜・・・冬瓜、南瓜、西瓜、糸瓜、ニガウリ、胡瓜・・・全て、湿を取る働きが有るのでした。

さて、冬瓜。冬の瓜と書くけれど、夏に収穫される(冬まで保存がきくから冬瓜という)。
この冬瓜は、夏バテにスバラシイ効果を上げてくれるそうなのです。
果肉はもちろん、皮は「五皮飲」という漢方薬になり、利尿作用を促進してくれ、体内にこもる湿を取り除く働きがあるのだそうだ。さらに、冬瓜の種は「冬瓜子」という生薬。化膿性疾患(おできなど)に、大変よいのだとか。ハトムギや大黄と一緒に煎じてディトックス漢方薬。

冬瓜は、捨てるところのない優れ野菜だった!

ついでに、ヘチマも夏のお役立ち瓜科植物。ヘチマの実は、冬瓜と同じように清熱、利尿、化膿、鎮咳、去痰などの効能がある。また、おなじみのヘチマ水は、肌の火照りをとってくれる夏のローション。
(繊維はタワシになって、汗と垢を落としてくれるし。)

瓜に頼るにはあまりに猛暑な今日この頃ですが、ささやかな努力と工夫。
・・・という訳で、今日は冬瓜入りトムヤンクンといきましょーか。

   
〔写真:冬瓜にはトゲがある!! 畑から取れたての冬瓜の表面〕




2007年8月3日金曜日

ポルボロン

ポルボロン(ポルボローネス)という、スペインアンダルシアの伝統菓子をいただきました。
粉砂糖、アーモンドパウダー、小麦粉、バターにシナモンなどで香り付けしただけの素朴な焼き菓子。

材料からすると、さっくりクッキーかな?と思われるだろうけれど、このお菓子の特徴は、小麦粉をきなこのようにから煎りしてから混ぜ合わせてあるところ。
その一手間で、このお菓子の、ほろっ、ふわっ、と口の中で落雁が溶けていくような食感が生まれる。なんとも美味しく楽しいお菓子だ。

ナッツ、お砂糖、小麦・・・これ以上シンプルにしようがないくらいのシンプルさ。
飽きない美味しさです。




2007年7月24日火曜日

アルガンオイル(1)


【アルガンツリー(マラケシュからエッサウィラへ向かう道中にて撮影)】
アルガンは、モロッコの南西部にしか生息ない木。

その木の実から取れるのが、アルガンオイルです。

木の実100キロで1リットルしかとれないといえば、その貴重さがよく分かるかと思いますが、石臼で10時間ぐらいかけて挽くのだとか。
オリーブ大の種を割り、その中にあるアーモンドのような仁をそのまま挽いたのがピュアオイル。主にコスメに使われます。
ローストしてから挽くとピュアオイルよりオイルが抽出し易いそうですが、こちらは主に食用として使われます。

こうして取れたオイルは、オリーブオイルの3倍ものビタミンEを含み、かつアルガンの木はその植生故正真正銘のオーガニックであること等から、大変重宝され、大半は、ドイツやフランスへ輸出されてしまい、地元の方も、自分の肌のお手入れに使うことは少ないそうです。
でも、アルガンナッツを挽いて絞る作業を手がける女性達のその手は・・・シミひとつなく美しい!!

市販されているものは、ごまかしモノが多いため、農家を訪ねて挽いてもらうのが確実なんだそうです。
いいモノを手に入れるのには、お金もですが、それ以上に手間暇を掛けなければならないのですね。ホンモノを知らなければ、まやかし品も見抜けないのであります。
楽をしていい物だけを手に入れようったって、ここではそうはいかないのですね。

アルガンの木の葉は、山羊の大好物。木にのぼって(!)ムシャムシャ食べていました。

こんな食事をしている山羊のお乳は・・お肉は・・・イベリコ豚みたくリノール酸いっぱいの脂肪分を含んでいるので高級品だそうですよ。

2007年7月22日日曜日

アルガンオイル(2)アムルー







さて、アルガンオイル(ローストタイプ)の風味は???

ほんのりと香ばしくナッツィーな香りですが、ヘーゼルナッツやピーナッツのようなはっきりとしたナッツ香と異なりちょっと上品で控え目な感じです。

これを使ったお料理を一品ご紹介します。
アムルーAmlouといって、パンに付けるトロトロのディップです。

材料は、皮むきアーモンド 450g、シナモン 小さじ1/2、蜂蜜 300cc、アルガンオイル200cc。

サラダオイルで軽く炒ったアーモンドをペースト状にし、シナモン、蜂蜜、アルガンオイルを加えて混ぜ合わせるというもの。ハチミツは、ラベンダーやオレンジ、タイムの蜜が専ら使われています。

一度トライしましたが、アーモンドのロースト加減やペーストにする行程が微妙です。

アーモンドの油が分離しないように、そして全ての材料が一体化してトロリと仕上がるには何かコツがありそう・・・。これから試行錯誤やってみたいものです。

このアムルーに、アラビアパンを付けながらいただきます。
ハイカロリーなのですが、何ともいえない上品さと滑らかさが、幸せ感をよぶ一品です。




2007年7月10日火曜日

モロッコのミントティー


野外市場にて。
ミント(種類複数)、マジョラム、タイム、コモンセージ、パセリとコリアンダー等々。どれでもひと束1ー2DH(30円ぐらい)。

モロッコの朝は、ミントティーとホブスマグレブ(モロッコの扁平なパン)のコンチネンタルではじまります。

ガンパウダー*(中国緑茶)とミントを煮出して爽やかでしっかりした味のミントティー。

アラビアといえば、コーヒーでは??

そう思う人も多いかと思いますが、何処へ行っても、とにかく家庭ではコーヒーでも紅茶でもなく専らミントティーなのであります。

ですがその歴史は、さほど古くはなく、中国茶を陸路で輸送していた英国商人が、19世紀半ばに勃発したクリミア戦争で足止めされたため、本来イギリスへ持ち込むはずだったものをモロッコで売ってしまったことに始まったとか。(・・とすると、先のブログで書いた「銀と砂糖を交換していた時代」には、ミントティーはまだ無かったということになりますね!)

ミントティーはストロング!

ミントティーを飲んで眠れなくなったというのをよく聞きます(私もありました!)が、これは中国緑茶のカフェイン効果でしょうか。

ミントティーを作っているところを見ると、たいてい小さなヤカンでお湯を沸かし、その中へ中国茶 を加えて煮立ててから、ミントを加えていました。

正式には、煮立てて煎じた中国茶を、砂糖とフレッシュミントをたっぷり入れたバアラド(金属製のティーポット)に注ぎ入れ、それを、1杯150ccぐらいの小さなガラスに注いでサーブします。

熱いものも冷たいモノも、飲み物は専らこのグラス。
カフェでもコーヒーは、「グラスで」「カップで」と、選ぶことができ、地元の人は、専ら「グラスで」(もちろんホット)。

日本茶や中国茶のように、蒸らして茶葉をゆっくり開かせるという発想は皆無。

まあこれは、インドやトルコのチャイも同じですが、お茶の成分もしっかりと抽出され、ストロングになる訳です。

ミントは、たいていスペアミントを使っていますが、現地で"フリオ" と呼ばれる香りが尖って強いタイプのミント(見た目はちょっとマジョラムみたいで小さな葉っぱ)を少し加えたり、"ルイザ"(ベルベーナ)も少し加えたりとハーブをブレンドして使うこともあります。

砂糖は必須。

お客に出すときには、たいてい最初からポットに入れてあることが多かったですが、最近は、角砂糖を添えて出す家庭も少しずつ出てきたそうです。
砂糖は贅沢品。2キロのブロックが、12DH(180円ぐらい)で、こちらの平均所得からすれば、日本人の感覚でキロ400円ぐらいの感じではないかと思います。これが小さな角砂糖に加工されると、更に割高になってしまいます。

沙漠地方の人たちは、特にお茶に沢山砂糖を入れること等、6/27のブログでちょっと触れましたが、砂糖たっぷりのミントティーは、モロッコのおもてなしの心。

これにまた甘いお菓子が付いて、モロッコ人、相当の甘党です。

※「ガンパウダー(Gunpowder)」という名前は、お茶の製造工程で、茶葉を揉捻するときの方法で茶葉が丸く固められ、ツヤのある色になるので、その形状から火薬(Gunpowder)と呼ばれるようになったといいます。

2007年7月7日土曜日

モロッコ 食(3):ガム・アラビック



gum arabic


ガムアラビックは、アカシアの木のエキス。

先のメヘラーズで粉にして、オレンジフラワーウォーターやスパイス同様、香料としてお菓子に使われます。こちらではどこのスーパーでも買えるごく一般的な製菓材料のひとつ。ちなみにお値段は、1パック2g入り(小さじ1弱)で約120円(スーパー価格)。

『Secret of Moroccan cookery』by Fettouma Benkirane には、ガム・アラビックは、咳を和らげる効果があり、喉の粘膜のイガイガ感に効果的だとありますが、直接風邪薬としての効用は特に明記がありません。

メヘラーズで叩くと、ほんわりとムスクのような・・でも花のようでちょっと柑橘類の皮のような不思議な香りがします。

一粒口に入れて噛んでみると・・・柔らかいプラスチックのようで、唾液とも溶け合うことなく、とても食用の素材とは思えませんでした。

10年来のクエスチョンをひとつひとつ解消しながらも、新たに宿題が生まれつつある今日この頃です。

2007年7月6日金曜日

スパイス潰し:メヘラーズ



モロッコのスパイス潰し「メヘラーズ」


モロッコの調理器具で「これは!」と、思わず膝を叩いたもの。
先般(6/26)でちょっと触れた捏ね皿の「グスリア」、そしてこの「メヘラーズ」。
何てったって、よくつぶれるのです!
グラニュー糖だって、粉糖にしちゃうのです。
ハーブもニンニクも、程良くつぶれるのです。
胡麻は・・・やっぱり日本のすり鉢が一番ですね(笑)。

貧乏旅行とはいえども、これは買って帰らなくては!!
そう思って、スークを探し歩きましたが、店主が持ってくるものはいずれも金属テカテカで角もきれいに処理されておらず、そんなだから当然模様も何もなく、何とも殺風景なものばかりでした。
ちなみに、メヘラーズは、これ1ヶ(棒も一緒)で4キロもあります。
飛行機には持ち込めません。(立派な武器になりますので。)

スパイスは、ミルで引くより、やはりこんな道具でトントン叩いて潰したい。
スパイスの香り香り立つ中で、コトコト豆など煮込む・・・。

その国の料理に一番便利な道具があるものですね。

2007年7月5日木曜日

モロッコ: 食(2)


野外市場で売られていたオクラ


現地調達の食材で日本のものを作ろうとすると、何かと勝手がちがいます。

先般の「回教徒餃子」では、白ネギ代わりに西洋ネギのポワロを使い、牛の挽肉も、脂が少ないので、ごま油をかなり多めに加えて・・・・。

トマトとコリアンダーの組み合わせは、モロッコ人なら嫌いな人はいないはず。この2種をさらに加えて、かなり野菜たっぷりの餃子に・・・・。

そして、餃子の他に1点加えたサイドディッシュがオクラのゴマ和え。

インゲンでもよかったのですが、オクラは丁度出回り始めた旬の始め。気持ちも新鮮だろうとこちらにしたのでした。

この短くて太い、毛深い、硬いオクラ。

丁度枝豆みたいな手触りなので、枝豆を茹でるみたくしっかりともみ洗いしてから茹でることにしました。・・・が!? 依然毛深くチカチカ・・・。長めに茹でたら大丈夫かしら)))。

熱湯煮え立つ鍋の中へ放り込んで、

ーーー3分。まだちょっと硬いな・・・。

ーーー5分。まだ毛がピンピン・・・。

そうしているうちに、パスタを茹でるような大きめのクスクス鍋でを使っているにも関わらず、ゆで汁はどろどろになっていくではありませんか。

す・・・すごい。なんてチカラのある野菜なの!?

日本のオクラが長芋なら、モロッコのは自然薯級なのであります。

モロッコのスパイスつぶし「メヘラーズ」で突くようにして胡麻をすります。

銅製で重い擦り棒は、なかなか機能的な道具ではあるけれど、胡麻を擦るのは結構大変(笑)。

ともあれ、なんとかオクラのゴマ和えが出来上がりました。

こちらの野菜は野生的で濃い。

「モロッコの料理は煮物ばかり」という人も多いし、確かにそうなのだけれど、それは野菜がしっかりしていて濃いからでもあるように思いました。地の野菜が最も美味しく食べやすい調理法が生まれるのね。)))

人参らしい人参、豆らしい豆・・・曲がったキュウリにデコボコかぼちゃ、ズッキーニ・・・、甘味も酸味もたっぷりの果物。

食材本来の味を楽しむことができる。

これって最高のご馳走ではないでしょうか。

2007年7月3日火曜日

サヌジュ(ブラッククミン)



Nigella(仏語):ナイジュラ(ニジュール) / Sanuj(アラビア語):サヌジュ。

通称ブラッククミンとも呼ばれています(クミンとは全く異なるものです)。

『LES PLANTES DES MILLE ET UNE NUITS---Rituels de bien-etre au Maroc』によると・・・
"L'huile de cumin noir guerit toutes les maladies sauf la mort" ・・・

”コーランにも「ブラッククミンのオイルは、死以外の全てを癒す」とあり、古代エジプトでは「ファラオのオイル」とも言われていた。" だって。
万能薬らしい。

薬局の方に聞くと、スプーンひと匙程を布に包んで揉んで、それを片一方の鼻の穴を押さえて反対の鼻の穴にあてて匂いを吸い込む。ツーンとキツイけれど、これが頭痛に効くのだそうです。確かに頭がスッキリする感じ。嗅覚からの刺激の効用ってすごい・・・。

煎じたり砕いて軟膏に加えて外用薬に、煎じたり料理に加えて内服薬にもなるようです。

薬香屋で、このニジェールと何種類かの生薬を配合した軟膏を買いました。

極度の日焼けのせいか何かはわからないけれど、手の甲に湿疹ができていたのが、これを塗って一晩で痒みがなくなり、3日間で治癒。なかなかよく効きました(!)。




2007年7月2日月曜日

帰国




旅行と呼ぶには長いけれど、暮らしを味わうにはまだまだ短い滞在でした。

現地でお世話になったFさん&Mさん、Sクン・・・そしてそのご親戚の方々に心より感謝。そして癒し犬リキ・・・ありがとう。

昨日まで私の寝ていた部屋を、クンクン嗅ぎ廻っているらしい。)))

現地で購入した本なども参考にしながら、今後も料理や食文化の話のつづきを書いていきたいと思っています。

写真:帰路のカタール、ドーハーの空港で。

トイレの横に、足洗場がありました。

ムスリムのお祈りの前に手足を清める為か・・・と思いますが、

旅の途中のリフレッシュに、ちょいと足を洗っても宜しいでしょうか??

2007年7月1日日曜日

モロッコ:食(1)




これ(左上のフック)はなんでしょう?


屋上(こちらの家は、ボックス型でたいてい屋上があり物干し場などにつかわれている)の一角、どこの家でもたいていこのようなフックがついています。

これは、ムスリムの宗教的行事、メシュイ(犠牲祭)の羊を裁くときに使うフックです。
頸動脈を切り、血を抜いて、このフックにつるして裁いていくのだそうです。
羊は内蔵から足まで無駄なく食されます。 
一家で1匹。
集合住宅住まいの人は、実家にかえったり一族の誰かのお宅で一緒にやるそうです。
「『かわいそう・・・』なんて言わないこと。」
モロッコ人のFさんが言います。
「みんな命を食べているね。当然のこと。肉でも野菜でも、無駄にせず感謝して食べるだけだよ。」
市場にいけば、ハエを追い払いながら羊肉を売っています。
各部位に切り分けた肉と、足先、頭も並べられています。足先と頭は、皮付き。
茹でて毛をきれいに取り、煮込むと、豚足のような最高のゼラチン質が出る。
頭も同様に・・・。また、脳みそは、白子のようなあっさりとした味で人気の部位らしい。(私はまだたべていません。)スーパーの肉コーナーでは、毛付きのものはありませんが、脳みそや心臓、モツ肉ももちろん売られています。(心臓や脳みそは、人気の食材みたいで、夕方にはほとんど売り切れていました。)

野菜も肉も、食材を素のままの状態で購入する暮らし。

大変だけど、大切なことかもしれません。

写真右下:頭の煮込み。手前の白っぽいのが脳みそ。(at Jama El Funa)

2007年6月30日土曜日

モロッコ人とスパイス



意外にも、モロッコ人はスパイシーな味が苦手!?。私の滞在先のご家庭の味が、スパイス控え目の味付けなのかと思っていましたが、どうもそうではないようです。

何軒かのお宅でご馳走になる機会に恵まれましたが、どこもさり気なくちょっと使っているだけ。それも、クミンやナツメグ、シナモンといった類。
コリアンダーは、葉っぱは使いますが、シードはあまり使っていません。
モロッコ人、インドカレーは苦手な人が多いそうです。

こちらで人気のモロッコ人料理研究家、シュミーシャの料理番組を見ていても、ドライフルーツと肉を合わせたものに、ちょっとナツメグやシナモンを使って春巻きの皮のようなパスティラに包んで焼いたり揚げたり・・・。

先日は、鶏レバーとドライイチジク、チキンとプラムの合体にほんのりスパイスを加えていました。レバーとイチジク・・・。それを合体させる魔法がスパイスなら、スバラシイですが、どんな味やら。

スパイスは専ら隠し味にセンシティブな利用・・・。
やたらとスパイスを効かせた料理は、食材そのものの美味しさを覆い隠してしまいますから、そういうことがあまり好きでは無いようです。

お菓子を見ていると、ナッツに花の香り(オレンジフラワーウォーター:香油や香水を作る工程でとれる)を加えてほんのり香り付けしたり、アーモンドの、杏仁豆腐のような香りを利用したりと、なかなか繊細・・・・。

唐辛子も、女性は殆ど苦手みたいです。胃ガンも少ないと聞きました。

異文化の食材や料理には保守的で、イタリアンやニンニクを効かせた料理も「イマイチ・・・」と、不評だとか。

今日は、私が餃子を作って食べてもらいました(もちろん、回教徒バージョンで、豚肉は使いません)が、タレを付けなくてもいいくらい具に味をしっかり付けた方がいいみたい。それから、北京風に茹で餃子にするより、焼き餃子の方が圧倒的に人気でした。
クリスピーなテクスチャーとオイルのグリーシーさがいいみたいです。
また、ベトナムの生春巻きよりも、やっぱり味を付けた具で揚げてあるものの方が好まれます。

一方で、お腹の痛いときはクミンを潰して飲んだり、タイムを煎じて飲んだり、薬用の使い方は幅広く、民間療法は根強い。

メディナの中央部にある薬局に足を運んでは、置いてあるハーブやスパイスについて説明してもらっています。


2007年6月29日金曜日

モロッコの魅力



アラブの国だけれど、中東とはちょっと違った流れの中で生きている。ヨーロッパやアフリカの影響を受けながらも独自の発展を遂げている国。それがモロッコ。

お祈りのエザーンが流れ、ラマダンがあり、犠牲祭があり、イスラムに厳格な国かと思えば、その実リカーショップもあればワインもビールも生産しているし、ラマダン開けには飽食(飢餓を味わうどころか、より食べるためにお腹を減らしているという感じ(笑))を満喫する。

生活用品は専ら中国製。中国製レベルのものなら、自国でもつくれそうなものだけど、製造業は全くダメっぽい国。(トレードで生きてきた民族だからなあ・・・)モノには定価がなく、言葉が操れないと、何も出来ない国。

口が達者で、のらりくらい、あーだ、こーだと会話には時間を惜しまず、手持ちのものを少しでも高く売ろうという粘り(粘りというより習性)、決して中国人みたいにムキになったり口論したりと戦闘ムードがなく、へらへらニコニコしながらことを運ぶしぶとさ、したたかさ・・・(と、私には見えるが、これも多分長い年月と風土で培った習性)。

言葉、読み書き。みんなどの程度理解しているのやら。フランス語、どのくらいわかってる?英語は殆どダメみたいだけど。それでも数字だけは、バッチリ言えたりして。「口八丁手八丁」という言葉がぴったり(笑)。

でも、どこか憎めない。それも彼らの処世術であり、この地中海性気候の暮らしのノウハウでもある。もっとも、ここに住んでいたら、そんな寛大なことはいってられないかもしれないですが。

料理。

専ら煮物とパン、セモリナ粉。

だだっ広い土地と乾いた空気と太陽と・・海、山、沙漠。

そんなモロッコだけれど、ヨーロッパ人は次々と押し寄せ、移り住む人も多数。

その魅力は??

品種改良されていない野菜。野菜の味が濃い(!)。旬がはっきりしている。
季節感が豊かなのです。
新鮮な肉、魚、野菜。(羊肉や鶏は、おろしたて! 鶏は生きたまま量り売りで、その場で処理してくれる)
そして、水(!)。

アトラスの雪解け水のお陰で、水は豊富だし、水道水も飲める(!)。
まあ、ちょっと硬質の味で、日本茶や紅茶を入れても美味しくはならないけれど、お腹を壊すことはない。
昔から灌漑設備が充実していて、農作物も豊富。

地球温暖化が進んで、アトラスに雪が降らなくなったら・・・・それを考えるとゾッとするけれども。

ここの人たちに「環境問題」という言葉はあるのか。

街角のゴミ捨て場には、生ゴミもカンもビニールもごっちゃまぜのゴミが・・・。

グロサリーショップ、よろずや、ファーマシー、スパイス屋、どこを見ても、分別とかカテゴリー別に整理するとかいうことは苦手そう。

洗濯石鹸と小麦粉のサックが、シャンプーとジャムが隣に置いてあったり、食用と薬用が、土産品と日常品が混在しておいてある。

この様子を見ていても「ゴミの分別は論外だろうな・・・」という気がする。

あまり遠目にとらえると、とりとめもなく、手に負えない国になってしまうから、私は、スパイスと食にフォーカスして、モロッコを楽しんでいます。

2007年6月28日木曜日

モロッコ style





7月を目前に、マラケシュもいよいよ夏真っ盛りになってきました。

日中表を歩くのが、かなり辛くなってきましたが、それは日本も同じかな。気温よりも日差しの強さで皮膚も目もやられそうです。肌を出している方が暑い・・・。

「ところ変われば、品かわるんです。」
昔、地理の先生が口癖のように言っていた言葉がリフレインする。
衣服、住居、道具・・・その全てに「なるほど・・・!」と、頷くだけの理由がある。

●甘いミントティー

サハラを縦断してきたキャラバン隊は、慢性的栄養失調だっただろうし、そんな時に、砂糖は最も即効性のある栄養剤。ミントは気分をスッキリしゃっきり気付け薬になったことでしょう。

砂漠地方の人たちは、特に甘いお茶を飲んでいるのだそう。そういえば、この前お茶をごちそうになったお店のおじさんも(写真左上)、ワルザザート(アトラスを超えてすぐの町)出身だと言ってた・・・。

●オイル

スキンケアは、専らオイル。

アルガンオイルといって、アーモンドのような実を付けるアルガンという木があり、その実からとるオイルは、オリーブオイルの3倍以上もビタミンEがあります。このオイルは、スキンケアにも料理にも使えますが、こちらでも大変高価で、コスメ用(ローストしていない)は100ccが2000円以上。

マラケシュから大西洋に向かって車を走らせると、乾いた大地にアルガンの木がボツボツと生えていて、放牧されている山羊が木に登って葉を食べている光景を見ることが出来ます。

アルガンがとれる地方出身の女性の肌が年齢の割に、シミもシワもなくて綺麗だったので、おおっ!?

これはアルガンオイル効果か!??・・・と思った次第。

今でも石臼で挽いてオイルをとっているところもあるそうで、その作業をしている女性は、手だけがとても綺麗なんだそうです。(仕事上、手にはオイルが馴染むけれど、自分用に使うことはないので顔のお手入れはしていないのでしょう。)

その他、軟膏類など、なんでもオイルベースが多いです。

(写真左下:60近く?にしてこのお肌!彼女は、アルガンがとれる地域から親戚を訪ねてマラケシュに来ているところ。)

●アイライン(コハル)

彫りの深い目鼻立ちにくっきりとしたアイライン、長いまつげ・・・。

エキゾチックな魅力に溢れたベルベルの女性のメイクにも、美の追究以外の効果が!

「コハル」という鉱物を潰して、黒いアイラインを作りますが、本格的には、これに更に薬草を加えて作るのだとか。これを、マツ毛の生えている内側にも塗り、バクテリア等から目を守っているという訳です。(写真左下)

沙漠の民の、砂埃から身を守る工夫。みんなまつげが長い(!)のも、身体が長い年月を経て気候に適応した結果かも。

マラケシュでも、時折砂嵐が吹き、目を開けていられない時があります。これじゃあコンタクトレンズは普及しないかな))))。

●アラビックコート:”ジャラバ”

砂嵐からも強い日差しからも身を守ってくれるのが、”ジャラバ”。

どんな格好をしていても、これを着れば、表に出られるし、ゆったりとしていてどんな服装の上にも着られる。

ジャラバと大きめのスカーフは、専ら化繊素材が多いのですが、その方が手入れが楽で誇りを吸ってもジャバジャバ洗えます。日本のように、汗でベトベトになることはあまりないので、化繊でも風が通ればOK。シワにもならない。

厳格なムスリムの女性は、バッチリ黒装束のジャラバに、目以外の顔も覆い、手袋までしていたりしますが、ジャラバは袖も大きくて長いので、手の甲も半分以上はカバーすることが出来る。

●家:モロッカンハウス

新市街や新しい住宅地の家の多くには地下室があります。

地下1階、地上2階に屋上付きというのが殆どで、家の中もタイルや石のフローリング・・・。

細かい砂埃が風と一緒に入ってくるので、タイルや大理石の床だと水を流してササーッと掃除ができるという訳です。家の中に水を流す!?・・・ちょっとビックリしましたが、水分は直ぐに乾くし合理的な掃除法なのかもしれません。

モロッコの家には沢山ベッドソファーが沢山。U字にソファーで囲って、歓談したり横になったりできる。

また冬は、3階や屋上、夏は地下室へ・・・。どの家も、大様に壁が厚く(外壁は30cmか50cm)、外が40度以上になっても快適(!)。さらに地下室にいくと、ひんやりしていてエアコン要らずです。

でも!!!

メディナ(旧市街)には、そんな家は少ないはず。

では、メディナの人たちは、どうしているのか?

その答えが、あの高い壁。見通しが悪く、視界も狭いし、風通しも悪いのでは・・・と思っていましたが、ああやって、太陽の光を遮っているのだということが分かりました。(写真右上:丁度正午頃。少し日が傾くと、影になります。)

日干し煉瓦やレンガが積まれた厚い壁の中は、案外涼しい!もちろん壁も厚い。

6月はまだ40度を超えることはないけれど、それでもかなり屋外は暑い。でもゴチャゴチャしたスークの中は、けっこう涼しかったなあ。

日が当たらない家・・・なんて、日本の感覚でいくとなんだかカビくさい不健康な感じがしますが、屋内ですら数時間で手絞りの洗濯物が、カラッカラに乾く気候なので、そんな心配はないのかな。そういえば、茸類は売ってない(笑)。日陰でも、椎茸栽培は難しいか??

(マラケシュ郊外の大型スーパーMETOROでイタリア産のポルチーニ(?)らしきもののドライが売ってましたけど)

ソーラー発電は多いに推奨すべきだと思うけど、取り付けにはお金がかかるので、普及率は今ひとつ。見渡すところ、屋上にはパラボラアンテナばかりです。(こちらはすごいマルチチャンネルなので大きなアンテナが沢山ついています。

新市街や新興住宅地には、屋上にセカンドキッチンがある家も多い。

プロパンガスにつなぐだけの簡単な作りのオーブンが置いてある。

村井玄斎の『食道楽』の中で出てくるおとわさんがブリキ屋に作らせていたオーブンも、きっとこんな感じだったろうなあ。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

●グズリヤ(写真右下)

6月19日にアップしたクスクスがもってあるお皿。

パンを捏ね皿。お菓子を作るのもこのお皿。ボウル代わり。クスクスの下ごしらえもこの皿の上で。

サラサラのクスクスに、オイルを加えて馴染ませ、蒸し器に入れて蓋をせずに蒸す。

(「クスクス鍋」という2段式の鍋があり、下でシチューを作り、その上にクスクスの入った蒸し器のパーツを乗せてシチューの水蒸気でジンワリと蒸す。)

何分かして、またクスクスをグズリアに開けて、塩水を打ちながら手でほぐす。これをまた蒸し器に戻して蒸す。この作業を3回繰り返して、パラパラで美味しいクスクスが出来上がる。

「昔はもっと大きいのをつかっていたんだよー」

マラケシュのメディナ育ちのFさん(50代)が、話してくれました。

グズリアは、タライ代わりに赤ちゃんを洗うときにもつかっていたし、ひっくり返して台所の食材などにかぶせて、猫から食べ物を守ったりしていたのだとか。

写真のサイズでも直径50cm。それより更に大きなグズリアは、相当重たくて、猫もお手上げでしょう。(猫、多いです!)

迷路のようなメディナの中の家々は、案外そんな合理的な道具で暮らしているのかも。

食事の際、取り皿はいりません。

大きなグズリアをみんなで囲んで、手でクスクスとシチューを上手く混ぜ合わせ、一口大のボウル状に丸めて食べるのです。クスクスの山が、四方八方から崩されていく。

無造作に見えるこの食べ方にも、一応マナーーーー自分の前から食べていき、遠くの具材を撮ったりしないーーがある。

こんなマナーのせいか否かは知らりませんが、料理もお菓子も放射状に並べられます。

2007年6月27日水曜日

モロッコの物価

元中央卸市場だった場所に、今も市が立つ。ここの野菜は、鮮度もよく、価格もリーゾナブルなものが多い。

モロッコの物価

モロッコの物価が高騰しているのには、びっくり。

「滞在費がかからない国」と思っていたのに、10年前と比べると、3倍ぐらい値上がりしている感じです。(不動産はその比どころではなさそう・・・)

<1DH(ディラハム)=15円>

卵(30ヶ入り)25DH

ぶどう、ピーチ、スモモ 10 - 20DH/kg

トマト(夏) 4DH/kg 

ジャガイモ4DH/kg

ハーブ類(ミント、マジョラム、セージ、ベルベナなど)1束1DH

国産ビール(33ml) 8DH

ハイネケン(33ml) 11DH

コロナビール1ビン 20DH

モエ・シャン・ドン(750ml) 470DH(ロゼは570DH)

リプトンのティーバック(25袋入) 10DH

モロッコのメーカーのティーバック(25袋入) 14DH

路上で売っている焼きトウモロコシ(夏) 1本2DH

名物、屋台のピュアオレンジジュース 1杯(180ccぐらい)3DH

グレープフルーツジュースは10DH

そして・・・ガソリン15DH/L(!)

こちらの感覚だと、日本で700円ぐらいで買っている感じ・・・。

これでは当分はロバ車やリヤカーはなくならない・・(!?)。いや、メディナ内は、リヤカーしか入れないところが多いから、リヤカーは永遠に無くならないかな(?)。

ワタシが滞在している新しい住宅地にも、朝夕リヤカーで洗剤などの日常品を行商に来ます。笛を吹いたり音楽を流したりということはせず、「ヘイッ」「ヘイッ」と、腹に力の入った声を5秒間隔ぐらいで出しながら歩いています。

鳥のさえずりと「ヘイッ」の声が目覚まし代わりの毎日。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

公務員の給料(郵便局員など)は、6,000DH/月ぐらいで、新市街のアパートが3LDKで6000DHぐらいからだというから、今モロッコではあちらこちらが価格破壊を起こしている状態のよう・・。

外国人が欲しがる野菜が出回るようになり、それはヨーロッパ人にとっては安い価格なのですが、地元の人間には、野菜にしては高く、手が出せない。こうして価格破壊が起こっていくのでしょう。

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

あちらこちらの路上に座り込んでいる女性をよく見かけます。

あまり小綺麗にはしていないし、ホームレス(?)かと思っていたら、彼女らは、いわゆる「洗濯女」といわれる日雇い労働者なのだそうです。

住み込みでメイドを雇わなくても、こういう人たちをちょこちょこ雇って家の掃除や絨毯の洗濯などをさせるのだとか。仕事内容にもよりますが、大体日当100DHぐらいだそうです。

貧しい人たちは、そうやって日銭を稼いで、家に生活用品が何にもなくても、お鍋やすり鉢などを近所の持っている人に借りて生活できるのだそうです。

なんだか『わらしべ長者』(だっけ?)の話みたいです。

2007年6月26日火曜日

モロッコのお菓子



砂糖とナッツをふんだんに使ったお菓子たち。

材料は、砂糖、ナッツ(アーモンドとピーナッツ、ゴマがほとんど)、小麦粉に、卵が入ったり入らなかったり。

特に道具がなくても作れるものばかり。

モロッコのお菓子は、ナッツやナツメヤシ、ドライイチジクを使ったものが多いですが、ナッツ類は地元の人にとっては結構高価(アーモンド450円/250g, くるみは930円/500g)なので、お菓子は贅沢品。手作りする家庭が多く、それでも専らつくるのは、ナッツが入らないビスコッティや胡麻やスパイスを使ったものが多いです。ナッツは、皮を剥いたりローストしたり、すり潰したりと下ごしらえも大変。

写真はギリーズ(新市街)のパティスリーですが、スークの中にもお菓子屋さんがあって、アイテムは割と似ています。でもスーク内のお店は半分露天状態なので、ハエが・・!!?と思ったら、ミツハチ!!!。

ハチミツと砂糖、カラメルのシロップを掛けてあるお菓子にミツハチがたかっていました。奪われた蜜回収・・・といったところか(笑)。

2007年6月25日月曜日

国民病は糖尿病

国民病は糖尿病...と虫歯。


モロッコ人の甘党ぶりにはビックリ。

150cc程のティーグラスに角砂糖を入れて、それを一日何杯も飲むのだから、砂糖の消費量も相当なものでしょう。 お店に入ると「ミントティー飲む?」・・というより「(当然)飲むよねねね??」と、断れない雰囲気でお茶を入れてくれるのですが、これがもう甘い甘い。グラスを持つ手も、ベトベトしてきます。

コレ(写真上)、角砂糖(2kg)です。 これが巷の甘ーいお茶の源です。どこの街角の雑貨やさんにも当たり前のように置いてあります。これを割ってまるでオンザロックでもつくるかのように、大きな塊をティーポットに入れるのですから・・・。(※大抵は最初から砂糖を入れてしまいますので、甘さの加減は個人では不可能・涙)

昔からこのように砂糖をふんだんに使っていたのかどうか、知りたいところです。 砂糖を銀と交換していた時代のミントティーも、こんなに甘かったのかなぁ)))。

さて、シロップのようなお茶を頂きながら、買い物をするときは、のらりくらりと価格交渉です。

I will give you a democratic price. の決まり文句には、笑ってしまいますが、外国人にはだいたい倍位の値段を言うみたい。値段を言わずに「いくらなら買う?」ときも・・・。

会話にエネルギーを惜しまないモロッコ商人には、脱帽。(でも、値引き交渉には負けるもんか(笑)。)

2007年6月24日日曜日

Inside the souk




スーク の中の道は、メイン道路でも馬車がようよう通れる位の幅しかないので、自分がどの道を通っているのかがすぐ分からなくなります。・・が、とにかく迷ったら、メイン広場の方向を聞いてジグザグ進む。 迷うと、視界の狭さと立ちふさがる塀に、多少の焦燥感、威圧感を感じることもありますが、案外スラムのように危ない空気がないのと、人がみんなおっとりとしていて基本的には親切で、迷路もどこかで繋がっているので、最終的にはどうにかこうにか塀の外へ出ることができます。

2007年6月22日金曜日

モロッコおもしろ談

Photo: a Boutique in Medina



モロッコおもしろ談

その1)着メロ。みんなやっぱりアラビックミュージックなのだ。 ヘビ使いみたいにヒョロローーーという音が携帯から鳴るのには笑ってしまった。

その2)信号。何故か縦横どちらかにしか付いていない。 片方が止まれば、信号が変わった印(?)なのか、もう片方が動き出す・・・というシステム!? (当然、信号無視も多し)

その3)モロッコ人はフォークが苦手。 パスタを短く刻んでスプーンで食べる人多し。(要するにロングパスタをフォークで食べるというのが苦手らしい。)フォークを使い始めたのは、ここ5,6年のことだとか。今もクスクスは、手づかみで食べる人が多い。

その4)スイカの種が美味しい!? こちらの人はスイカの種を出しません。 「ナッツだ」というのが言い分。カリカリが美味しいと果肉と一緒に種もがりがり噛んで食べる。

その5)すっかりお馴染みのマラケシュのジャマ・エル・フナ広場。パフォーマンス化した水売りのおじさんも、最近はかなり手抜きで、昔ながらの民族衣装・・のはずが、足下は、何故か革靴。9時過ぎには、そのままのスタイルで家路につく姿を見かける。・・・「浜までは、海女も衣着るしぐれかな」でしょ!?

その6)アラビックコート=”ジャラバ”は、かなりラフな上着だが、厳格なムスリムの黒装束(マスク付き)の女性、下は実はジーンズだったのが、とても親近感を持った。

2007年6月21日木曜日

Cous Cous



-picture from last Friday-


金曜日はクスクスの日)))

金曜のお昼、滞在先のファミリーの親戚サイダさんの家でゆったりとした昼食。

日本のナベ料理のように、人が集まる時は大皿に山盛りのクスクスが定番のようです。

この日のクスクスは、人参とチキン、ひよこ豆を柔らかく煮込んだシチューとタマネギを飴色に炒めて黄色いレーズン(酸味が少ない)とシナモンを加えたものを乗せています。(タマネギには砂糖が入っていると思います!)

人参の甘さをシナモンが引き立て、なんともいえない美味しさです。 チキンと人参、豆の煮込みには、本来ならサフランを使うのですが、サフランはこちらでも高級品なので、専ら黄色い色粉が使われています。 (※ちなみに写真は1キロ半のクスクス!!)

この甘いクスクスには、ルブン(leben)というサワーミルクが付くのが定番だそうです。 ルブンは、少し醗酵が進んで酸っぱいヨーグルトのようなもので、何も加えずに飲みますが、コレ、マンゴージュースで割ったら、おいしいラッシーが出来そう・・・。

お昼にみんなでクスクスを突っつき、15分ほどのシエスタをした後、お手伝いさんにお茶の指示をして「ゆっくりしてってねー」と、再び職場に戻っていくサイダ。

モロッコでも、共働きの家庭が増えつつあり、家庭料理も、手を掛けない方向へと向かいつつあるようです。

2007年6月20日水曜日

タジン鍋 Tajine



街角の食堂で準備されているタジン。


タジンとは、この土鍋の名前でもあり、このナベで作る煮込み料理は全てタジンと呼ばれます。

とんがり帽子状の蓋の中を水分が循環する仕組みになっていて、加えた野菜の水分を上手く活用して調理します。 肉or魚+野菜類が基本。このナベは1-2人前用ですが、どの家庭にもこのふたまわり大きいタジンがあります。最近はガスの火にもかけられるタイプのものがあるけれど、巷に出回っているものは、炭火程度にのみ耐力。 この時期は、豆と肉の煮込みが美味しい(!)。 この鍋ごとデリバリーも・・・。 

2007年6月19日火曜日

Les koutoubia





クトゥビア メディナ(旧市街)の西にある高さ65mの塔。12世紀に、この塔(ミナレット)とモスクが建設されましたが、現在はモスク部分のみ。 10年前にマラケシュに来たときは丁度修復中でしたが、今回美しい姿を見せてくれました。 メディナ内で迷ったら、この塔を見上げて方角を確認・・・と思ったら、視界が狭すぎて案外見えない(苦笑)。

2007年6月18日月曜日

2007年6月14日木曜日

Jardin Majorelle Marrakech




壁から出ている配線もツルと一体化して・・・コレって意図teki!???

2007年6月13日水曜日

Jardin Majorelle Marrakech




10年ぶりのマラケシュ。そして、初めてのマラケシュの夏。

一周5-6キロの、日干し煉瓦の城壁で囲まれた旧市街メディナ(Medina)と、その西1.5kmに広がる新市街ギリーズ/Guelizがマラケシュの中心地。 薄煉瓦色の建物が連なり、ビターオレンジやオレンジ、椰子の木の街路樹がつづく。

この景色はさほど変わっていない気がするが、物価は急上昇中。フランス人を中心に、外国人ブローカーも沢山入ってきているという。 新市街には、アパルトメントやホテルが次々と建ち、ちょっとした建設ラッシュのようだ。

その外れにあるマジョレル庭園。 フランス人画家のマジョレルが造園、その後、イヴ・サンローランが所有している。ヨーロピアンのイメージする「モロッコスタイル」。真っ青な家、青、黄、緑のテラコッタ、サボテンガーデン・・・は、モロッコのまっさらな空と褐色の土壌に見事にマッチして美しい。 (このすぐ裏手に滞在しています。)

2007年5月21日月曜日

スフォリアテッラ パイ生地のロマン


ナポリのお菓子、スフォリアテッラ(Sfogliatella)。

スフォリアテッラとは「何枚も重ねた」の意だとか。イタリア版ミルフィーユといったところかな。
パイ生地モノのお菓子に弱いワタシ、デパートのイタリアンフェアでつい買ってしまった。
この手のお菓子、薄い皮にかぶりつくときの食感がなんともいえない。
でも、このスフォリアテッラは、どうやって成形してあるのかが妙に気になり、ガブリといかずに ”分解” してみることにした。
な・・・なんと、この薄い皮、リボン状の生地が渦巻き状になっているではないか。
ちなみに中は、チーズ生地。チーズ生地に薄い生地を巻き付けたコロネのような感じ。・・・スゴイ!





2007年5月20日日曜日

ドクダミ (十薬)




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ドクダミの花が咲き始めました。

ドクダミといえば、ドクダミ茶など、民間薬としてお馴染みですが、ドクダミを薬用に使うには、花が咲いている時の葉っぱであることが大切なのだそうです。

名前に「ドク」と付くから、子供の頃は、てっきり毒草なのだと思っていたけれど、天日干した葉っぱを煎じたものを、皮膚病や虫さされに使ったり、内服すると、利尿、整腸に有効らしい。

また、生の葉っぱを冷蔵庫に入れておくと、消臭効果もきたいできるといいます。(なんだか邪魔っけそうだけど・苦笑)

さすがは別名「十薬(重薬)」!

そんなありがたい植物ですが、地下茎でどんどん増える生命力の強い野草なのでプランターで栽培しているという話はあんまり聞かないですね。

5ガツ下旬から梅雨時に咲く白い花も、芳香のいい花ではありませんしね。

・・・が、昨年、八重咲のどくだみを根付きで一輪もらって、花がなかなか愛らしいので、ついついプランターに植えてしまいました。ちなみに、八重咲が見つかったのは、わりと最近のことなのだとか。

冬が来て、生きているやら死んでいるやら分からないまま、取りあえず水だけは撒きつづけていたら、いつの間にか地下でしっかり根を張り、春になると、長方形のプランター一杯に新芽を出し、今、次々に花が咲き始めました。

どうです!?可愛いでしょ。

それにしても、花が咲いて、やっと雑草で無くなったような・・・・。




2007年5月12日土曜日

京都: 原了郭の黒七味


原了郭は、祇園の香煎と薬味の老舗。創業元禄16年(1703年)。店名が、創業者の名前である。

創業者原儀左衛門(了郭)が、漢方名医・山脇先生のもとで香煎の処方を学んで開業したという。

漢方医が処方・・・!?と、ちょっと不思議に思うかも知れないが、「薬味」というぐらいですもの。香辛料は、薬という扱いなのだ。

先の清浄歓喜団(お香が入っています)もそうだが、香は邪気払いという縁起だけでなく、本当に病状を回復させるチカラがあるらしい。

効能が、消化器官を通して血液に入り働いていくだけではなく、嗅覚が脳に送るサインたるや、どうしてなかなかのもののようだ。「芳香性胃腸薬」なんていうのも、香が働いて効能となっている部分が多分にある胃薬である。

先日、アロマセラピーなどにつかうエッセンシャルオイルの「オリバナム」の香りを嗅ぐと、しゃっくりが止まると聞いて「まさかぁ」と思ったけど、気になったので買ってきて試してみたら、効いてしまって(!!)、香りの効能への認識をすっかり改めちゃった。

おっと、のっけから話しが思いっきり脱線してしまったが、今日は原了郭の黒七味がスバラシイ!という話がしたかったのだ。

うどん・そばに振りかけてももちろんいいけれど、なんだかお肉に使いたくなるこの香り。

焼き鳥はもちろん、豚・羊肉もいけそう・・・。

唐辛子、麻の実、白ゴマ、黒胡麻、山椒の粉、けしの実に青海苔・・・材料は巷の七味と変わらない。

だのに、何故黒い!?何なのこの香り!??

香り高さの秘密は、唐辛子の赤色が隠れるほど手もみをして仕上げる行程にあるようだ。

パウダー状ではなく、どこか少ししっとり感がある。

同封のしおりには、「ムニエル、フライ・・・・トマトソース」にと書いてある。山椒と唐辛子の利いた和風アラビアータなんてのも面白そう。

GWが開けてもなかなか締まらない気と心を、原了郭・黒七味の香りとピリリでシャキッとシメたい今日この頃。




2007年5月11日金曜日

京都: 和菓子


京都の楽しみ。そりゃぁ~やっぱり和菓子。

五条坂から八坂神社への道すがら、亀屋清永に立ち寄り、昨年末にブログで紹介した「清浄歓喜団」と、くるみ入り黒糖羊羹「月影」を購入。
本店が意外にこじんまりと慎ましやかな店構えだったり、GW中でも、定休日はきっちり休んでいたりするところが、いかにも京都の老舗らしい。デパ地下で華やかにやっているのとはまたひと味違って、そそられます。

・・・といいつつも、京都のデパ地下の和菓子屋は、アンテナショップとして色濃く、地方ではなかなか見られない生菓子の取り扱いなど、品揃えが面白い(!)。案外、最初にデパ地下で一通りチェックして本店を訪ねるというのも一考かもしれないと思う今日この頃。

今回デパ地下でちょっとそそられたのは、(有)紫竹庵の大徳寺納豆を使ったお菓子「松韻」は、ほのかに塩味が利いて、味噌味っぽいのにやぼったくない。

甘味と塩味の絶妙なバランスと、メレンゲと黒砂糖のユニークな食感。お饅頭と呼ぶべきが、砂糖菓子と呼ぶべきか・・・ジャパニーズマカロンとでも呼びたい一品だ。見た目も、形状が松ぼっくりで、可愛い。気取った感じがないのになかなか上品である。
これには、そば茶で立てたお抹茶ぐらいが合いそう・・・。
おいしいお茶を入れようかって気にさせてくれるのも、趣あるお菓子のチカラ。




2007年4月4日水曜日



桜満開。まだ花見らしい花見もしていないのですが、先日漢方のクラスで桜談になり、なかなか面白かったので、ちょっとそのお話を。

桜には、数十種類あるそうだが、私達が一般的によく花見で見ている桜はソメイヨシノという種の桜。
ソメイヨシノは、早いうちから花が付き、色づきもよいことから、広くあちこちに植林されています。このソメイヨシノはエドヒガンと大島桜の交配品種なのだそうです。

エドヒガンは、別名しだれ桜ともいい、花は小さくてピンク色が濃い。一方、大島桜は、花が大きくて白っぽいのが特徴で、桜餅に使う葉っぱは、この大島桜の方らしいのです。

葉っぱを塩漬けにして醗酵させると、葉に含まれる香り成分のクマリン配糖体を出す。私達が楽しむホワッと薫る桜餅の香りは、クマリンなのだとか。

このクマリン配糖体のアロマで癒し効果が・・・あるかどうかは定かではないが、桜もまた、桜皮(おうひ)を、漢方薬として江戸時代の民間療法として使われていたそうです。細身の山桜の樹皮を煎じて、魚の中毒、腫れ物、解熱、排膿、咳止め等に使われていたそうで、現在でも、桜皮のエキス製剤は、鎮咳去痰薬(ブロチン)として臨床に用いられているそう。咳止めなら、既にいろいろな薬があるから、あえて桜皮を使うこともない気がしますが、桜にロマンを感じる日本人には、高貴薬の気分かも??

薬効の話はさておき、とても気になることが一つ。

エドヒガンは、寿命が樹齢300-400年、大島桜は150-200年。ところが、ソメイヨシノは、60-70年なのだとか。

広島の平和公園に咲き乱れる桜の殆どはソメイヨシノ。戦後60年を過ぎ、そろそろ植え替え時期が来ているのかも・・・。いろんな意味で、これから10年は節目の年になりそう!??




余談その1:

関東では桜を庭に植えないそうで、以前広島に昭和天皇が訪問された時、庭に桜が植えてある家を、不思議そうにご覧になったというエピソードがある。桜は虫が尽きやすい上、横に広がって成長するため、庭先には不向きとされたのか・・実際のところ、私もよく知らないが、西日本では、まま見られる光景のようだ。

余談その2:

北海道旅行から帰ってきた友人によると、北海道の人は花見の習慣が無い(!!?)のだとか。

北海道の桜は、雪深い気候に適応してか枝を張らないので「木の下で・・・」というイメージそのものが希薄なのだという。北海道の桜は重たい雪が乗っからないよう、スリムに成長しているらしい。

余談その3:

さくらんぼ・・は桜の実。正確には、セイヨウミザクラの実。ヤマザクラやソメイヨシノの実は苦くて食用にならない・・・ということですが、アメリカンチェリーと山形のサクランボの違いは??? 調べてみます。




2007年3月28日水曜日

『マリー・アントワネット』

何を今更・・・・と、思ったけど、やっぱり観てしまった。
ソフィア・コッポラの描く「マリー・アントワネット」。
ソフィア自身が「教科書に出てくるマリー・アントワネットを撮る意味はない」と語っている通り、映画は、政治ナシ、血なまぐささナシで一人の女性と宮廷生活を、ポップな音楽に乗せて足早に描いている。
日本人にとっては「ベルサイユのばら」のお陰(!)で、フランス革命の頃のフランスには馴染みが深い。マリー・アントワネットが、無邪気でおしゃまな少女だったこと、その浪費ぶり、フェルゼン、ポリニャック夫人の人物像等々については、日本人のほとんどが確固なイメージを持っていることだろう。
が!!
マリー・アントワネット役のキルスティン・ダンストは、この映画に出演が決まる前は、マリー・アントワネットのことを知らなかった(!)らしい。(これが、アメリカ人の歴史意識なのか??)
でも、ソフィア・コッポラが描きたかったのは、特殊な人生を歩んだ女性の中にもある普遍的な部分だから、それでよかった・・いや、その方がよかったのかもしれない。観ている方が、マリーの感覚や心のひだを、オーバーラップさせて感じ取れる程に現代的で「当時の現代っ子」マリーであればいい。そう納得させられるに十分な配役だった。
ソフィア・コッポラは、セピア色ではなくマカロン色のベルサイユを完成させた。
音楽のセンスがいい! スージー&ザ・バンシーズ, バウ・ワウ・ワウ, ザ・ストロークス, レディオ・デプト等々・・・。
私がこの映画で期待していたもののひとつは・・・お菓子!
マリーアントワネットがフランスに持ち込んだと言われるオーストリアのお菓子「クグロフ」は出てこなかったが、ケーキ! ケーキ!! ケーキ!!! 、シャンパン! シャンパン!! シャンパン!!! の嵐には目を奪われた。
どのシーンにも必ずといっていいほど素晴らしいお菓子が登場する。パリの老舗、ラデュレが担当したという。
ベルサイユのデコレーションにも埋もれないゴージャスでいて愛らしいお菓子達には、思わず顔がほころぶ。
(ちなみに「パンがないのならお菓子を食べればいいじゃないの」という有名な言葉は、マリー・アントワネットではなくルイ15世の娘(ルイ16世の叔母)であるヴィクトワール内親王がかつての飢饉のときに言った言葉だそうだが。)
フレンチの食事マナーも、マリー・アントワネットが辟易させられた細やかな慣習と規律も、ルイ14世によって確立されたものらしいから、食事のシーンにも興味津々。
そして、マリー・アントワネットが、ベルサイユに押し寄せた民衆にバルコニーからしたお辞儀。
優雅で気品あふれていたというお辞儀ーーーー。
映画は、マリー・アントワネットとルイ16世がベルサイユを離れるところで終わる。
バステューユもギロチンも描かない。フランス革命の話ではないから。

2007年2月27日火曜日

ゴブラン会のこと


日本人シェフとして初めてミシュランの星を獲得したグランシェフ、中村勝宏氏が会長を務めるゴブラン会。


フランス修行時代、修行仲間たちと悩みや苦労、そして夢を、ゴブラン橋の袂で語り合い励まし合ったことから、日本においても食に関わる人々の情報交換やモティベーションを上げる機会をつくろうと発足(1992年)した「食を創る人」「食を提供する人」「食を愛する人」の三位一体の会だそうだ。

年に数回、食文化に関わるエクスパートを招いての講演会や賞味会等を主催しており、これまでの講演会は、醗酵学でお馴染みの小泉武夫先生、国立民族博物館館長の石毛直道氏、イタリア食文化研究家の馬場裕氏をはじめ食の研究者らによるもので、今回で12回目。

今年は、パリ日本文化会館初代館長(現理事)の磯村尚徳氏が講演なさった。氏は本会の名誉顧問でもある。1950年代後半~現代に至るまでの日仏の料理の推移を、ジャーナリストとして、食通として、日本人としての視点から常に至近距離でとらえてきた方だ。あの、辻料理学園創立者、辻静雄氏がフランス留学中もパリで共に過ごし親交を深め、☆をもらう以前のロブションやポール・ボキューズらの料理も食し、数々の名シェフが世に出ていく姿をつぶさに見てきたという。

御年77才。海外通で常に外交の場の第一線で活躍された磯村氏の人生は、日本の洋食文化の歴史そのものでもある。

以前ブログで書いた「フレンチ外交」の話、村井弦斎の『食道楽』と、磯村氏のお話が頭の中で繋がり、近世からの日本の食文化の推移の輪郭がおぼろげながら見えてきたような気がする。

さて、賞味会の「ビュッフェ料理の真髄」について。
ホテル・メトロポリタンエドモンドの宴会フロア全室を会場にし、フレンチを中心に、中華、和食、デザート、ワイン、チーズのコーナーに分かれての大演出。特に、冷製10品、温製16品、デザート16品の洋食料理は、料理というより「作品」である。

中には、古典料理の再現モノも・・・。このような料理には滅多にお目にかかれない。よく見るとなかなか骨太のフランス人の食を感じさせる。

見とれて写真を撮っていると、みるみる料理が無くなっていっちゃった。

これだけの料理を配しても、200人もの人が皿を手に取り始めるとあっという間である。

是非とも賞味したいと思っていた料理の半分も食せなかった(涙)けど、目にも美味しい料理達であった。

2007年2月23日金曜日

ゴブラン会「現代ビュッフェ料理の真髄」


食の祭典 であり、 シェフの発表会
「現代ビュッフェ料理の神髄」に行ってきました!
左上&右下「オードブルとアミューズ・ブーシュの盛り合わせ」
左下「花ズッキーニの詰め物とムール貝添え」右上「豚足の網脂包み カタロニヤ風」


「オードブルとアミューズ・ブーシュの盛り合わせ」more and more!!

   左上より「バケット」
   「台湾産科もの姿香港風窯焼き」「鹿児島産黒豚の肩ロース広東窯焼きチャーシュー」
   「フランス・イタリア・スペイン産チーズのプラトー シチリア産蜂蜜と各種フランス産ジャム添え」
   左下「鹿児島えこふぁーむの豚で作った自家ジャンボンのブレゼ・パパイヤ風味」
   右下「牛胃の詰め物ブレゼ・リヨン風」

2007年2月16日金曜日

スフレオムレツ




神田・フルーツパーラー万惣のスフレオムレツ。
朝食代わりには、ちょっと軽すぎましたが、ちょっとスペシャルな気分を楽しみました~。

2007年2月5日月曜日

中山神社(じんしゃ)


愛新覚羅 浩さんの本『食在宮廷(食は宮廷にあり)』を読みました。

昭和36年に初版されたものに次女の〓生(こせい)さんが校正を加えられ1996年に復刊されたもので、清朝宮廷の食事や歴史、そして宮中料理160品あまりのレシピがまとめられています。

愛新覚羅浩さんは、料理に対して大変関心が深く、満州国の溥傑に嫁いだ頃から紫禁城に代々勤めてきた名人級の料理人に直々に宮廷料理を学びばれたそう。

いわゆるお妃教育として身につけられた教養---清朝の政事や料理の変遷、中国、清朝の秘史など---や、宮中での生活体験を併せ持つ浩さんの記述は、視点が料理におかれているので、清朝や皇帝の生活についての叙述も大変わかりやすく興味深い。妃としての「料理交流」を実践され、晩年まで手料理で客人をもてなすことを楽しまれたようです。

浩さんといえば、「流転の王妃」。著書『流転の王妃の昭和史』はドラマにもなりました。

終戦後の混乱に巻き込まれ、幼い〓生(こせい)さんを抱えて家畜同然の扱いを受けながら1年4カ月もの間、中国大陸を流浪させられ・・・。

浩さんが書き綴っていた料理や清朝についての記録は、その殆どを戦渦と流転の日々の中で失ってしまったとのことですが、日本に書き送った手紙や記憶を元に、この本をしたためられたとか。

下関の中山神社の境内には愛新覚羅社があり、浩さん、溥傑さん、そして長女の慧生さんが祭られていると聞き、行ってきました。

’87年、溥傑さんは、北京で亡くなった浩さんの分骨に来日され、中山神社を2度訪れています。
激動の時代、混乱の中で生き延びた物語はどれも壮絶ですが、国を背負ったお二人のそれは、歴史の証人としても一層深いものがあります。

鎮座祭の折、溥傑さんと言葉を交わしたある方によると、溥傑さんは、とても穏やかで、知性溢れる方だったとか。映画『ラストエンペラー』の感想を尋ねられると、こう答えられたらしい。
「映画は、素晴らしかったです。大変よくできていました。でも・・・、東洋人の心は(欧米人には)わかりません。」
否定のない寛容に包まれた口調だったといいます。

神社には溥傑さんの穏やかで理知的なお人柄がにじみでている字が刻まれている石柱があります。

決して遠くない歴史に思いを馳せるひとときでした。

中山神社は、日本海を背に南を向いているけれど、その敷地内にあるちいさな愛新覚羅社は、西北方、玄界灘のはるか彼方の中国大陸に向かって建てられています。




2007年1月29日月曜日

ビスケット

ホットケーキ談で思いがけずおやつ懐古したついでに、今日はビスケット談。

〔森永マリービスケット1箱〕V.S. 〔チュッパチャプス、チョコベビーかチョコボール、そして小梅か小夏〕。

小学校の頃、遠足のおやつは、まずこの両者を天秤に掛けることに始まるのが常だった。

駄菓子屋通いの下町育ちには、森永マリーはスペシャル感あふあれ、友達との交換率の高いお菓子。このビスケットを、なんとか日常的なものにできないか))))。

そこで、私は「自分で作る」ことを思いついた。

お菓子は買わないが材料費なら出すのが教育ポリシー(?)だった我が家。

レシピさえあれば何とかなる。

母の書棚から『手づくりのお菓子』/日本放送出版協会を引っ張り出し、ページを捲ると・・・

「ホットビスケット & ビスケット」があった。

写真には、今で言うスコーンらしき代物と、その三分の一ぐらいの厚さのビスケットが載っている。

ホットビスケットってなんだ?

レシピを比較すると、前者には卵が入るが後者は卵が入らない。

解説には「お菓子というより主食に近い甘味の少ないもので、硬めに焼いたビスケットは大急ぎの朝食にも便利です。ホットビスケットはバターや手作りのジャムを付けてどうぞ」とだけある。そういえば、コマーシャルで「牛乳だけで練った・・」なんてコピーを聞いたことがあるゾ。

そこで私は、ホットビスケットはさておき、後者の「ビスケット」のレシピに従ったのだった。

・・・が、なんだか甘さの足りないパサパサクッキーもどきが出来上がってしまった。

うーーーん)))

次に、市販のビスケットの裏表示「原材料」のところをチェックしてみた。

「小麦粉、砂糖、生乳、植物性油脂、練乳、膨張剤、食塩、膨張剤、香料」とある。

先のレシピに練乳とショートニングを加えて再チャレンジした。

その出来は、なんとなく味はイメージするビスケットに多少近づいたかと思えたが、やはりほど遠い出来だった。))))

それからしばらくしたある日、図工の授業で粘土で作品を作った。

肌色の土を平らにのばし、コップで型抜きし、数カ所竹串で穴をあける。乾くとビスケットに見えた。

大きなため息がでた。

これで私のビスケットの思い出は終わり。

前振りのつもりがすっかり長くなってしまったが、ここで、語りたいのは、ホットビスケットが、ハットビスケットではないか!?ということ・・・・じゃなくて、ホットビスケットとスコーンについて。

アメリカでビスケットといえば、プレーン・スコーンのこと。

もう昔話になってしまうが、ルームメートが円柱のパッケージに焼くだけにしたスコーン生地が入った冷凍食品を買ってきた。

製品名は確か「(Quickとかなんとか)ビスケット」とあった。

これをオーブンで焼いて、ソーセージやオムレツと共にパン代わりに食べる。

甘さが殆ど無く、おまけにショートニングが使われていたのかバターの香りも殆どしない粉っぽいもので、あまり美味しいとはいえなかったが、小麦粉が主食だとこういうのもアリなのかと妙になっとくしたものだ。

一方、お店で「スコーン」という名前で売られていたのは、レーズンやブルーベリーを混ぜ込んだ生地を団子にして焼き上げたようなジャンボソフトクッキー(?)のようなものだった。

クッキーがお茶菓子というよりはカロリー補充用軽食として食される文化の国を実感したものだが、なかなか大らか大ざっぱで面白い。

さてイギリスでビスケットといえば、ハードタイプのクッキーのようなもの。ホット・ビスケットに当たるものは専らスコーンと呼ばれている。スコーンのルーツはスコットランドのオーツ麦とバターミルク(またはサワークリーム)で練った生地でつくられる菓子パンなのだとか。

そもそもビスケットの語源は、ラテン語のビス・コクトゥス(bis coctus)




2007年1月26日金曜日

ホットケーキの日

たまたまラジオで、「今日はホットケーキの日」なんて言ってたので「なになに?」と、思わず耳を傾けてしまった。

なんでも、日本の最低気温が記録された日が1月25日(1902(明治35)年、北海道旭川市で、日本の最低気温の公式記録・-41.0℃を記録)なんだそうで、そんな日はホットケーキを食べて温まりましょうというのがはじまりなんだとか。

そんなこと言い始めたのはどうせ食品メーカーでしょうが(笑)あまりのこじつけに、「ワタシはホットケーキで温まったことないゾ」と突っ込みを入れたくなる。


・・ということで、今日の話題は「ホットケーキ」。

無知だった私は、かなり大きくなるまで焼きたての温かいのをいただくからホットなのかと思っていた。

さらに私は、少女漫画か何かでホットケーキのことを英語圏では「パンケーキ」と呼ばれることを知った後も、その「パン」はパンと御飯のパンぐらいにとらえており「食事のように食べるケーキ」だからパンケーキなのだと思いこんでいた。だから、パンケーキの「パン」が、フライパンの「パン」、要するに鍋焼きケーキだと知ったときは、かなりの衝撃だったのだ。

で、なんで日本では「パンケーキ」ではなく「ホットケーキ」なのか。

なんでも、ホットケーキは、日本に伝わった当時は「ハットケーキ」と言われていたそうで、「ハット」に文明開化のモダンなニュアンスが含まれていたらしい。(そういえば、「モダン焼き」の皮の部分はホットケーキのようなものだ。)

大正時代には、東京のデパートの食堂のメニューに「ハットケーキ」という名でホットケーキが登場し大人気を博し、更に戦後には「ホットケーキ」の名称で、ホットケーキの素が発売され、昭和34年頃から、広く庶民に親しまれるようになったという。

ホットケーキといえば、子供の頃、『ちびくろサンボ』(原作は『The Story of Little black Sambo』:ヘレン・バナマン作/1899出版) の絵本を読んでもらったことを思い出す。

サンボの脱ぎ捨てた服を取り合いグルグルグルグル駆け回った虎がバターになってしまったので、お母さんにホットケーキを焼いてもらっ食べたというシーンの絵)))。次々と焼き上がるきつね色のホットケーキが山のように重ねられている絵を眺めながら、「食べたいなぁ~」と、指をくわえていたものだ。

後に「サンボ」という言葉が黒人の差別的呼び方だとして問題になり、加えて日本語版では「Little」を「チビ」と訳してあったために差別用語とみなされ、'80年代にはいつの間にか姿を消した。(最近は復刻版がでているらしいが)

母と一緒に出掛けたときに入る喫茶店では必ずクリームソーダとホットケーキを注文した。

祖母がホットケーキを作ろうとして、天ぷら粉で作ってしまったこともあったな。

こんなことを思い出して、正体不明の「ホットケーキの日」が、ホントにそれらしくなってしまった(笑)。

ホットケーキと『ちびくろサンボ』。鯨肉世代の私はまた、ホットケーキ世代でもあるのね。

PS . そういえば、"パンケーキ"なんて商標のファンデーションもありましたねー。




2007年1月16日火曜日

奥出雲葡萄園のワイン

市内のレストランの催し、奥出雲ワイナリー長安部紀夫さんを迎えてのワイン会に参加しました。

奥出雲葡萄園は、1990年創業。有機あるいは低農薬栽培で風土に根ざした農業を志すワイナリーです。

昨年ワイナリーを訪れた時は、その衛生管理の徹底降りと緻密な仕事ぶりに感嘆したものです。とても日本的なワイナリー。さて、そのお味は???

本日のワインは6種類。
1)2005 奥出雲ワイン シャルドネ 
2)2005 奥出雲 ワイン シャルドネ・アンウディッド
3)NV 奥出雲ワイン 白  
4)NV 奥出雲ワイン ロゼ 
5)2005 奥出雲ワイン カベルネ・ソーヴィニョン
6)2005 奥出雲ワイン 小公子

シャルドネは、樽熟成のものと、樽を使わないで造られたタイプ2種。同じブドウを使ったワインが、樽の有無で色も味わいもこんなにも違うということに、改めて驚きました。樽熟成の1)は、ちょっとブドウが樽に負けてるような気もしなくもなかったけれど、それなりの味わい。

3つ目の白は、ホワイトベガールというヤマブドウ交配品種。ヤマブドウは黒葡萄なので、色もちょっと紫のニュアンスが感じられます。香りは、とてもフルーティーで、ソーヴィニョン・ブランを思わせる青リンゴの香り。酸もしっかり感じられます。山ぶどうは酸の強い葡萄なのだとか。これを飲んだ後、再びシャルドネアンウディッドに戻ると、なんだか薄くて物足りない感じがしてしまいました。けっこう華やかで、和食に合わせやすそうな辛口。

ロゼ。
なんでも、このロゼの誕生は、カベルネの不出来にあったとか。着色のわるかったカベルネを、無理に技術を駆使して「赤」に仕上げるのではなく、ロゼに仕込んでみたところ、国産ワインコンクールで銀メダルを獲得するほどの出来になったというから面白い。「完璧を目指すのではなく、最善を目指す」。自然派、共生をポリシーにしている奥出雲葡萄園らしい個性が生まれたというわけです。
しっかりとした醸造の基礎の元にこの柔軟な取り組みがあることが、個性を生む鍵なのかもしれません。試飲会等で、よくピノ・ノワールのロゼを飲みましたが、美味しいモノに当たった試しがありません(涙)。まあ、そもそも高級品種をロゼにしようというのだから、よっぽどブドウの出来が悪かったんでしょうが・・・。鉄臭さが目立つものばかりでした。その印象があったので、このロゼは私に取ってはかなりポイントが高いように思いました。安部さん曰く「缶からでてくるドロップの苺味」。確かに、ボジョレーっぽい味を感じます。
ロゼが生まれてしまうくらいだから、やっぱりカベルネはイマイチだったけど(笑)。まあそれも、カベルネがかくあるべしというイメージを持ってしまっているから故。タンニンに弱い人にはこんなカベルネもよしかな。

小公子。
渋みは決して強くないけれど、濃い!なんでも、こちらの葡萄品種は、中央アジアのカラコルム地方が原産のブドウと山ぶどうを交配しているのだとか。山ぶどうは、糖度が23-24%まで行きながらも熟しても酸が落ちないのが特徴で、濃いけどしっかりしたバランスのよい味わい。名前から、つい紹興酒を思い浮かべてしまった私は、香りが「陶陶酒」に感じてしまいました。

恐るべし、先入観。

お料理も、思いっきりフレンチな食材にもかかわらず、あっさり仕立てのソース。油脂のとろみではなくコラーゲン質によるとろみが舌にも美容と健康にも嬉しい一品。豚足のファルス。ワインの重さとバランスを考えてのことでしょうか。

いやぁ~))))参りました。

おまけ:親会社の木次乳業さん。ここの低温殺菌牛乳はおいしい!
最近牛乳はあまりのまないけど、ここのはちょっと安心感がある。さほど高くもないし。クロテッドクリームやサワークリームも造っています。