2019年8月21日水曜日

「薬食い」と肉食

「ローストビーフ」というより、しっかりめに火を通した「たたき」
ここ数年、毎年夏は、甘い物を控え、おやつにプチローストビーフを少〜し頂くようにしています。塩と蒜を擦り込んで、粗挽き胡椒を塗してあぶり焼きした、「ローストビーフ」というより、しっかり目に火を通した「たたき」です。(この暑いのに、オーブンに火なんていれられようかいw。)

お陰で(たぶん)夏バテ知らず。

6−7年前までは、夏と言えば食欲減退で体重減、だる重〜で。。夏は苦手な季節でした。
いえ、今でも苦手には違いないのですが、付き合い方を心得てきたという事でしょうか。

どうも暑さに弱い方は、痩せ型で胃腸の弱い方が多い気がします。
夏はどうしても水分補給で胃液も薄まりがち。冷たいモノも欲しくなって、内臓を冷やしがち。素麺、冷や麦、冷麺・・・と、つるつるっと頂ける炭水化物に偏りがち。
それら諸々が、少しずつ脾胃に負担を掛け、夏後半に悲鳴を上げるのかもしれません。そもそも体内の消化液も蛋白質から作られるので、夏だって蛋白質はしっかりいただきたいものです。

お店に並ぶ定番は、牛肉、豚肉、鶏肉ですが、この中で、最も脾胃のエネルギーをくれるお肉が牛肉。
牛肉は、補気、健脾、養血強壮の食べ物。内臓下垂にもよいとされています。
高級な霜降り肉ではなく赤身モモ肉などを、トマトや玉葱スライスなんかと一緒に、またはお酢の利いたマスタードや柑橘香る柚子胡椒などと共にさっぱりと頂くと、なーんか元気でいられるのです。

思えば、日本人の肉食は明治維新以降・・・というのは、たてまえで、江戸時代の人も「薬食い」と称し、または「ぼたん(猪)」、「もみじ(鹿)」に「桜(馬)」と隠語で呼んで、禁忌の肉を食していたそうな。それに、鶏肉や卵を食べることには、比較的寛大だったようで(もちろんご馳走だった)。

でも、家畜を連れ歩いて戦争していたヨーロッパの人達に比べたら、やっぱりお肉との距離は遠いのですね。日本人。
蛋白源は、お肉よりお魚だった・・・。
中国も、あの庖丁とまな板を見れば一目瞭然。「肉食」だ〜!あの、斧のような庖丁は、豚骨だってぶっ切ってしまうのだから。
また、あの万里の長城! あんなもので、異民族の侵入が防げたのだろうか???と、長年不思議に思っていたけれど、あれ、食糧の羊が越せない高さになっているのだそう。
米や味噌と違って、"食糧"自ら歩いて付いてきてくれるのだから、なるほど合理的な「兵糧」です。そう思うと、アチラの刀が、斧みたく太っといのも、ちょっと納得できます。

一方、日本といえば、三種の神器のひとつが剣でしょ。
仏教伝来以降、不殺生の教えを、宗教を担う僧侶らに留まらず、一般人までが広く守って来たのですから。 加えて、お肉を食べなくても、お魚があった(!)
刃モノはスーッと細くて美しいものになったのかもしれない・・・。
刺身包丁を見て、「刀みたい〜」と言ってる貴方。刀が「刺身包丁みたい」なのかもしれませんw!??

添付の写真のお肉、薄く削ぐには、刺身包丁が使い良いことw。


2019年8月17日土曜日

『千と千尋の神隠し』 イモリの黒焼きにミミズの干物



夏はアニメ、TVでジブリが恒例となっていますね。
ジブリ映画では『もののけ姫』が一番好き。テーマも、時代も、音楽も。(美輪さんの声も!)
今夜は『千と千尋の神隠し』でしたが、つい・・やっぱり見てしまいました。

一番好きなシーンは・・・もちろん最終の龍(ハク)が迎えに来て龍に乗って帰るところ。そして、腐れ神(かと思われたが実は名のある川の主)が薬湯に入って回復し、帰って行くところ。
能面の翁顔のおじいちゃん神様。お風呂の背景も能舞台みたいです。
要するに、龍の絵が好きなのだ。



龍が河川の神様という設定も素敵です。
水は命の根源。海よりも河川の恩恵を受けてきた中国らしく、その遡る水源は、天空の海とも賞される湖もありヒマラヤ以北に広がる「世界の屋根」チベット高原。
龍は、雲をおこし雨を降らせもする自然界の偉大な水の力。高貴で勇ましく、力強いイメージで、皇帝は龍の子孫とされています。物語の中の川の神様も、そんな中国の伝統的な意識から発想を得ているのでしょう。

春秋戦国時代以前の龍は、足が無い絵が殆どだったそうですが、後世で足(ちょっと鶏っぽい足ですw)が付きました。
映画では、手足が付いた龍です。鬚も長くてエレガント〜。
ちなみに、龍の顔は、ジブリではオオカミのような、どちらかというと犬系のカッコイイ顔にスッとシャープでインパラのような角ですが、中国の伝説では龍は「鹿の角、牛の顔、大蛇の体に魚の鱗、鷹の爪を持ち、口ひげが生え、顎の下には珠がある」姿の生き物とされています。(「鶏の足」という描写はない??)

ファンタジーの中で目一杯シンボリックに描かれた河川の汚染や開発という名の下に行われる自然破壊。「沼の底」駅は、ダムに沈んだ町のイメージでしょうか。
大人の為のアニメはやっぱり深い。


そうそう、釜じいの扱う漢方薬について。

①釜じいがリンに渡した「イモリの黒焼き」

@台北:漢方薬局で


















イモリは、滋養強壮の生薬。
日本では黒焼きが「惚れ薬」なんて呼ばれたりしたらしく、それがアニメの中でも描かれています。中国漢方だとこんな感じ(写真)。

強壮剤なので、雄雌対でくくって売られています。(「黒焼き」にはされていません)
漢方版バイアグラをこんなアニメに偲ばせるなんて、宮崎駿監督、何を考えているんだw。でもこれ、実は『千と千尋・・』は、「少女が娼婦に身を落として親の罪を償う」というのが元々の発想にあり、「湯女(ゆな)」も「娼婦」の隠語なんだという。
エグい設定をファンタジーというオブラードにくるみ、観客に謎掛けしてくる宮崎駿なのでした。

②ミミズの干物入り薬湯。

ミミズは、解熱の特効薬。生薬名は「地竜」(!)。
なかなかカッコイイ名前ですが、これ、オオミミズの乾燥です。
アニメでは粉末を薬湯に加えていましたが、そのままもどして煎じたりは・・・したくないなあ〜。
血圧降下、解熱、鎮痙、利尿、解毒薬としての効能があるといいます。
人間社会の汚物にまみれた神様が「油屋」に清めに来て入る薬湯ですから、生薬もちゃんと解毒のものを選んでいる(!)。 流石!

③苦団子。
何の生薬かは不明ですが、こちらも解毒剤のよう。解毒力のある食べ物は苦味のものが多いのです。同時に熱(炎症)を取ったりもします。

苦団子を食べさせられた「カオナシ」は、食べあさったものをぜーんぶ吐き出して元の無害な状態に戻りますし、龍姿のハクも、苦団子を食べさせて、魔女の印鑑を吐き出します。

昔の人ならこれらの描写の指し示す意味も、すぐに理解できたでしょうけれど、私達には、理解にちょっとワンクッション入ってしまうことも多々あります。
『千と千尋…』は、社会の入り口にいる若者へのメッセージをふんだんに盛り込んだ大人のアニメ。でも、もちろん子供も楽しめる作品。
映画にしても小説にしても、いろいろ盛り込まれていたとしても、見る側、読む側は、受け取れるところだけ受け取って、解るところだけ解ればいいのではないかと思ったりします。
また何年かして見た時、異なるメッセージを受け取ることが出来るーー。
読み返した小説に、違う面白さを見つけることができるのと同じようにーー。
それでいいのでは?

小さな子供に「イモリの黒焼きって何?」て聞かれたら、どう答えよう??
そんな試練もまた一興。大人の試練かも。



PS:先のブログ、三国志についての説明に、一部誤りがありました。
   訂正を入れて更新済ですが、その前にご覧になった方、大変申し訳ありません。
   是非また読み返していただけたら幸いです。




2019年8月12日月曜日

クレオパトラと毒薬

夏闌の8月。デパートのブランドショップは、なんとウールのコートのディスプレイ(@@;)。「早すぎだよ〜〜!」と思いながらも翻って、私も今のうちに、秋冬の企画を出しておかねば!と、衿を正す。・・って、この暑さで、着ているのは衿なしアッパッパワンピースばかりなのですが。

精一杯の想像力で年末のお料理や茶会のテーマにお茶選び・・・の、その前に、今どうしてもやっておきたいのが、世界史の復習。
もはや料理のことだけ考えていては、料理もお茶も分からない!!
今世の中で起こっている様々な問題も、「そもそも論から知らなくては」という思いにも駆られます。
令和元年って、そんな年。
今を素通りしていたら、もう後が無い、取り返しが付かない。そんな世の中への危機感いっぱいの年のように感じているのです。
ピンチはチャンスとも言うから、これがいい転機となるよう祈りつつ・・・。

さて、昨今の発掘調査の飛躍的進展ぶり!!
最新科学の力で、次々と明らかになっていく古代の神秘!
先般も、東京国立博物館『三国志』展を見に行ってきたのですが、2009年に発見された曹操高陵(中国河南省)の出土品が幾つか来ていました。三国志といえば、時代は2−3世紀。『三国志演義』は、3世紀に書かれた歴史書『三国志』を元に、明代(14~16世紀)に想像力で膨らませてロングストーリーとなった不滅の大ベストセラー。
英題は『Romance of Three Kingdoms』。今も多くの人のロマンを誘います。
(ロマンスには、空想小説/作り話という意味もあるのです。)


高陵で見つかった曹操のものと思われる棺の中の骨の分析で、顔が復元されたり、持病(頭痛の伝説)の信憑性などもわかってきているのだそう(!)。

トルコのアナトリア地方の発掘調査でも、トロイの神話の根拠が見えてくるような発見があったり、リアリティが増すと共に数千年という時間がググッと縮まってきています。

時には、私の怪しい中年雑学の知識や旅の記憶が微かにリンクしたりすることもあり、そんなところも、ひと歳とってからのお勉強の面白さ♪
ついつい、寄り道も増えてしまってなかなかスピーディーにはいかないのですが・・・まあそれもじっくり関われるところも熟年勉強の旨みです。

歴史は、自分が興味が或る人や時代、ちょっと知ってるところから、その前後を探っていくと、芋づる式に知識が広がる気がします。
ブログでは、そんな、あえて脱線した「寄り道」部分を、出していきたいなあ。))


今日の「寄り道」は、今更いまさら・・の「クレオパトラ」。
一昔前の映画では、絶世の美女の誉れ高き女優さんが演じてきましたが、実際は美人かどうかは不明なんだそうですね。デスマスクのような再現をテレビで見たときは、鼻筋が太くてちょっと男性的な印象でした。
何カ国語も使いこなせる知性と教養の持ち主であったのですから、復元のお顔では表現できないカリスマ性とオーラに溢れていたことでしょう。また、当時最高レベルの文明を築いていたエジプトの富を纏っていたはずですから、服飾も美しい印象を増長していたことと想像します。
美容の為に酢に溶かした真珠を呑んでいたとか、絨毯にくるまってクーデターの中脱出してシーザーの元へ現れたとか、最期も美しく毒蛇(コブラ)に胸を咬ませて自害したとか、伝説も多く、映画ではここが華よと描かれています。最初の真珠を呑んだ話は、賢いクレオパトラなら大いにあり得そうな演出だけれど、後の二つは、あり得ないらしいです。

殊、蛇の毒については、神経毒故、即死どころか、数時間〜数日苦しんだ末、最終的に呼吸困難で死ぬらしいのです。キングコブラだと数時間、エジプトに生息するアスプコブラの毒だと数日も掛かるとか!!
キングコブラ、ギャオ〜〜!
しかも、3mにもなるヘビは伝説にある「無花果の籠」にはとても入らないw。
だから、蛇の毒ではなく、服毒自殺であったというのが通説です。

さて、その毒とは・・・!!
 アヘン、ドクニンジン、トリカブトの混合薬 (“Hemlock, mixed with wolfsbane and opium”) であったろうと、古代の医学に関する文献を調査したドイツの歴史学者クリストフ・シェーファー (Christoph Schaefer) 教授。
http://edition.cnn.com/2010/WORLD/europe/06/30/cleopatra.suicide/index.html

アヘンは、昔は毒とされていなかったようですので、苦しまないように調合されたのかな??(古代中国の薬学書に、水銀やアヘンがしばしば高級なお薬として記されていたりします。秦の始皇帝は不老不死を求めて水銀を服用し水銀中毒で亡くなったとも。阿片もかなり後世になるまで、頓服のような形で使われるお薬だった。)


40年近く昔の里中満智子さんのマンガ『クレオパトラ』で、死刑囚を実験台に、女王が美しく死ぬための毒薬研究をしているシーンが描かれていましたが、あんな風だったかもしれません。(・・・と、帝政ローマのプルタルコスが書き残しており、それを元に描かれた絵画も有名になったらしい。漫画家さんて、ほんと専よく調べていらっしゃる!!)
阿片とドクニンジン、トリカブトの薬が、果たして“quiet and pain-free death” となるのか??

トリカブトは、根、葉、茎、種、花や蜜にまで全てに毒があり、葉っぱ1枚で致死量という猛毒。
昔の毒矢は、このトリカブトを使っていたらしいですが、皮膚からも毒が入るので、触るのも憚られる。毒を仕込む方も、さぞやハイリスクだったことでしょう。


漢方名は、附子(ブシ)。

「一説では、トリカブトの毒にやられた人が苦しみもがく形相のように歪んで見苦しい容姿のことをたとえて “ぶし” と呼ぶように也、それが現代語の “ブス” の語源になったとか?」https://tenki.jp/suppl/kous4/2016/10/12/16361.html

猛毒ですが、真武湯、桂枝附子湯、八味地黄丸等々、漢方薬の配合で、附子が微量使われているものも少なくありません。

トリカブト。これもやっぱりもがき苦しみ・・・ “ブス” になっちゃうではないか!
ブレンドされた阿片が、その苦しみをどの程度抑えてくれるのか・・・???
はたして、クレオパトラは、本当に「美しく死ぬ」ことが出来たのでしょうか??

最後に、マイコレクション、シネマアルバム⑰⑱(芳賀書店)より、不滅の美しさ、二人のクレオパトラ画像を♪

1963年制作『クレオパトラ』のエリザベス・テーラー
1945年制作『クレオパトラ』のヴィヴィアン・リー

2019年8月7日水曜日

9月の料理教室(2) スパイススタディ



9月のスパイスは、山椒を取り上げます。

山椒は、蜜柑の仲間って、ご存知でしょうか??

粒々を、よく見ると、みかんの皮のような小さな点点があります。
蜜柑の皮には、蜜柑を乾燥から守る精油成分含まれていますが、それはこの点点の部分に多く含まれています。
その主なものがリモネン。
リモネンは、柑橘類はもちろん、爽やかな香りのスパイスや、ハーブ類にも含まれているものが多く、血行促進、抗菌効果や鎮静、リラックス効果、食欲増進効果などで知られています。

柑橘類やセリ科のハーブや種の種類のバラエティは、土壌や気候の違いから生まれるのでしょうか。
山椒も、それぞれ産地や種類で香りも刺激も異なります。
そんな違いを、料理にも上手く活用していきましょう♪

お・た・の・し・み・に!

日時:2019年  8月31日(土) 11:00〜15:00
           9月 4日(水) 10:30〜14:30
                       7日(土)、8日(日)10:30〜14:30

2019年8月6日火曜日

『間違いだらけの腸活の常識』



本屋さんの書棚、レイアウトのニュートラルな立ち位置は、しばしば読者にとって「ずるい!」となる。特に健康関連書物のコーナーなど、それが顕著なの。
腸にイイコト満載の腸活の本の横に、こんな新刊が! そのウソほんと!? 的に並んで置いてあるのです。

大きな文字に軽快なタッチの見出し。一見軽く読めそうな類に見えて、立ち読みでは済まされそうにない内容故、購入。


たとえ簡単に読めそうな本でも、時間のない私は、更にザッと要点だけ知りたい!
そんな方の為に、エキストリーム・ストリームと行きましょう♪


この本は、他論を批判するモノでも、反論でもなく…要するに、著者の藤田紘一郎先生がおっしゃりたいのは、
「自分の体(ここでは腸!)の声を聞きましょう〜! そしてその声は、体をリセットしたら聞こえてきますよ〜!」ということのようです。

タイトルの「間違い」が示唆するのは、「発酵食品を積極的に摂ることが、体にいい結果をもたらす」という考えで、「"いいこと"とされていることばかりすることが、良い結果になるとは限らない」ということ。

人の嗜好には、脳がほしがるものと、腸がほしがるものがあって、後者が生理的に体が必要とする食欲なんだそうです。
--- そもそも食べ物の好き嫌いを知っているのは「腸」。
「脳はバカで腸はかしこい」バカな脳は「体によいか、悪いか」よりも
 「気持ちがよいか、悪いか」を求めがち。
(→だからジャンクフードや甘い物がやめられなくなる。)

本のオビにある「長生きする人ほど扁食家」という言葉も、その扁食が、「腸の欲するがままに!」のものであるという前提です。
自分の体が分解できないもの=自分が持っている菌との相性がわるいものは、腸が拒絶するんです。そして嗜好として「好きじゃないもの」に。だから無理して食べなくて宜しい…と。

なんだか人間の意志は、まるで腸内細菌が決めているかのような話になってきましたが、あれれ、こんな話、何処か他でも読んだな。。。
ハイ、ジュリア・エンダースさんの『おしゃべりな腸』

人間の生理現象は、脳でコントロールできるような簡単なものではないのですね。))

モノに溢れ、情報に溢れ、私達はアップアップしている。そんな中で、何を買うか、何を食べるか・・・モノや情報を選びきるために、脳を駆使している現状。脳ありきで生きていることの落とし穴を言及する書となっているのでした。
そこを主軸に、最後の具体的提案には、これまでも語られてきている健康的な食生活のための諸々を、改めて列挙してあります。


--- エネルギー源、ミトコンドリア系 v.s. 解糖系
  細胞無いのミトコンドリアで酸素を作ってエネルギーを作る=ミトコンドリア系
  血中のブドウ糖を細胞内に取り込む=解糖系
  50過ぎたら、前者が優先的になる方がいいという提案。

--- 50歳過ぎたら、炭水化物を少なめに、週2回は肉を(野菜と共に!)。
  ホルモンの材料となる蛋白質を!
  体の主成分は蛋白質。20種のアミノ酸(内9種が必須アミノ酸)で出来ている。
  幸せホルモン、セロトニンの材料は「トリプトファン」。   
  体重1キロ当たり1gの蛋白質が目安。
     (肉魚100gには20g, 卵60gには7g, 豆腐300gに20g)

 --- 1日大さじ1杯の酢を摂る。
  腸内細菌が作り出す物質、短鎖脂肪酸を摂りたいから。

 --- 抗酸化食品を摂る。
  マトのリコピン、人参のβカロチン、 赤パプリカのカプサイシン、緑茶のカテキン
  ブロッコリーのゼアキサンチン、ホウレン草のルティン等々がそれ。
  これらはプラス油脂で、吸収力UP。

 ---- 体によい油脂を摂る。
  油脂は、腸の細胞膜を作る材料。必須脂肪酸、オメガ3系:6系=1:4が目安。

 --- 発酵食品を摂る。
  ※偽発酵食品を摂らない!
     味噌、ぬか漬け、ヨーグルト(人によって相性が異なる)、納豆、みりん酒、かつお節


--- 免疫力を高める食品を摂る。
 腸に70%以上集中している免疫細胞を活性化させる。
 キャベツ(イソチアシネート)、ニンニク/玉葱(アリシン)、大根、山葵、菜の花、ブロッコリー等々。コレラは血液サラサラ効果、体悪玉コレステロール

--- 食物繊維が豊富な食品を摂る。
 水溶性食物センチと不溶性食物繊維それぞれ必要


ああ・・・こんなに書いたら、全然ストリームじゃないですね。
本を読むのと変わらないじゃないかとお叱りをうけそうです。
でも、これだけ読んだら、本を読みたくなってくるのではw?


読み終えた印象は、編集さんの売れて欲しい気持ち溢れるカバーにタイトル、見出しに反してそれほどの奇抜な内容ではなく、おしなべて真っ当な理論の展開。
栄養科学談も、ごくごくシンプルに解説してあって、すぐに実践に活かせるようにという優しさたっぷりのご本でした。

押さえるべきツボは押さえつつ、ほどほどいい加減が健康の秘訣かも??
(^_-)-☆

2019年8月1日木曜日

苦うま


写真は、昨日のNHKカルチャーでご紹介したゴーヤ寒天入りフルーツポンチ。
ゴーヤ寒天には少々苦みと青臭さがあるのですが、暑さたけなわの時にはなんともウマイ一品です。(今期は腸活がテーマなので、甘味は全てオリゴ糖シロップをベースにしました。)
33℃越えの正午過ぎ、皆さん、湯気が立ちそうな様子で会場にご到着。
皆一様に美味しく感じたようでした。

五行、五味では、夏は、苦み・・・に相当しますが、ゴーヤを食べるとそのことに偽りなしと、膝を叩きたくなります。

高校野球の選手達には、ゴーヤ寒天ではなく、沖縄仕込みの「ゴーヤしりしり」(ゴーヤのすり下ろし汁を加えたジュース)をゴクッゴクッといかせてあげたいところ。咽の渇きがスーッと引くぞ〜♪

ところで、苦いものを食べたわけでもないのに、口の中がやたら苦く感じる時、それは熱がこもっている状態(熱証)であるサインかもしれません。
「ゴーヤが美味しい〜♪」というのとは違って、本来苦くないはずのものを苦く感じたりするのです。
例えば、蛍の歌じゃないけど、水が苦いと感じたりするのです。
ついでに、口が甘い、粘るのは、湿熱。
味を感じないのは、脾胃気虚(消化器のエネルギー不足)。

味覚は、体調によって左右されるということです。
同じレシピで料理しても、味が違って感じたりすることがあるのは、調味料など素材そのものの味が変わったりすることに帰因することも多少あろうかと思いますが、たぶんその殆どは体調のせいでしょう。

味の絶対値がある舌をもつには、体調管理が万全でなくてはなりませぬ(!)。

だから料理人が健康であることは、とっても大事だと思います。

余談ですが、祖母が昔、お腹が痛くなったとき、「もぅ〜苦るとも、苦るとも・・・」と訴えていたのを覚えています。
「苦る」とは、一般には、苦々しく思うこと、不愉快な様子をさすらしいですが、広島弁では、ズキズキ痛いとか、鈍痛とか、体の中が痛む時の、痛みの表現に使います。
私の語彙にはない言葉なのですが、なんとなく口が苦い時に「苦る」と言う言葉が頭に浮かびます。でもこの使い方は間違いですね。

また、胃薬にも苦いものがけっこうあります。
「熊胆(ゆうたん)」なんて漢方薬は、熊の胆汁を配合したお薬で、その代表。他の動物の胆汁を配合しているものもあるようです。
「センブリ」も苦いお薬。「当薬」=「当にお薬とすべし」とも呼ばれています。
「良薬口に苦し」なんて言葉は、こんなお薬から生まれた言葉かも知れません。

苦みのあるものには、体を冷やすモノが多々あるので、今の時期にはとかくプラスも多いけれど、冷えが原因の疾病には、気を付けましょう。