2024年1月17日水曜日

平安時代の食事(序章)

 今年の大河ドラマ『光る君へ』、舞台は久々の平安時代。
平安時代というと、遠い昔過ぎて、なんだかピンと来ない・・・
戦国時代に比べると、馴染みのある名前も少ない・・・
派手な戦闘もないのでどこか淡々としている・・・

過去のドラマの視聴率が今ひとつ上がらなかったりするのはそんな時代そのもののカラー故かもしれません。

・・・が!

実は、世界と関連付けてこの時代を見ると、キラキラ輝いてくるのです!
大和〜奈良時代のキーワードは、遣隋使、遣唐使。
いろんなシステムや文化をお隣の当時の超先進国から取り入れて、国作りに勤しんだ時代した。
それが日本らしくまとまりつつ形にとして見えるようになったのが平安時代。
ざっくりそんな風にも見えます。

唐のその先には、キリスト教の発展系のようなイスラム教が産声を上げ、さらにその先にはキリスト教社会国家権力と結びついて拡大していくヨーロッパがーーー。
空海が唐に渡った頃は、実は唐でもキリスト教が盛況だったといいます。
そのわずか100年後が平安の時代。
日本の世界観ははたして「曼荼羅」だったか??
いやいや、なかなかグローバルだったのでは?!

思えば、「太平の世」といわれる江戸時代よりも長い400年。大きな戦もなく続く平安時代。

本当に「平安」だったのか??



大河“ドラマ”の「たぶんそうだったんじゃないか劇場」を見ながら、
折々に、
  ドラマの登場人物は、実際にはどうだったか?
  ドラマで起こる事象は、実際には何だったか?

そんな風に紐解きながら、楽しみたいと思います。

・・・で、こんな本を買ってきました。



大河ドラマの公式サイトの登場人物相関図に、チンプンカンプンの方にはコレがオススメです。
なにせ、人物の半分以上が「藤原さん」ですから、人間関係が複雑です。

今風に言うと、超「親ガチャ」時代で、身分や階級の格差も半端無い時代ですから、社会背景を踏まえて見なければ迷路に入ってしまいます。



おっと、すっかり脱線してしまいました。
時代ドラマを見るときは、必ず登場人物の寿命をチェックするのですが、今回びっくりなのは、結構ご長寿がいらっしゃるということ。

女性では、
  藤原の道長の妻 源 倫子(90歳)。
  道長の娘で一条天皇の后となった藤原 彰子(87歳)。
  一条天皇の女御(後宮入りした女性・側室) 藤原 義子(80歳)。
  道長の妻 倫子の母(姑) 藤原 穆子(86歳)。
  藤原 賢子(紫式部の娘)不詳ですが80以上生きたのではと推測されています。

男性でも、結構います。
  道長の舅(倫子の父)で右大臣、左大臣を務めた源 雅信(74歳)。
  道長と倫子の息子 藤原頼道(83歳)。
  藤原公任(76歳)。
  道長時代、右大臣も務めた 藤原実資(90歳)。
  道長の従兄弟、藤原 顕光(78歳)。
  凄腕陰陽師 安倍晴明(85歳)。
  摂津源氏の祖、源頼光(74歳)。


「還暦」「喜寿」「米寿」「白寿」を祝うようになったのは、平安時代からだそうです。
この中には「白寿」を祝ってもらった方はいないですが、きっといらっしゃったからこの言葉があるのです。

早世するか、30〜40で他界するか、あるいはご長寿か。
食べ物の種類もさほど多くなかったであろうこの時代に、薬膳の工夫も出来た物ではなかったのでは??
だとすると、これはもう生まれ持っての天命宿命としか言いようがありません。
身分の高い方たちは、蘇*とか醍醐*とかいう乳加工品を召し上がっていたかもしれませんけれど??。



    

   

  



 

2024年1月7日日曜日

2024年の料理教室  〜1月のお料理〜

明けまして おめでとうございます


只の年 またくるそれで よかりけり


元旦の中国新聞1面「天風録」に、星野麥丘人の句が引用されていました。


地震に羽田空港の事故で、初っぱなから「只の年」にならなかった2024年。

昨年中に用意されていたであろうこの記事のタイトルは「ふつうの正月」。
ウクライナやガザのことを念頭に置いた文中には、彼の地での「炊き出し」とか「涙」とか、そんな文字が並んでおりました。

他国のことでは無くなってしまったこの状況に、言葉も見つからないですが、
こんな境遇の時、一番食べたい物は何だろう?…と、思いを馳せてみました。

私なら、やっぱり「いつもの」ゴハンと味噌汁。とにかく温かくて優しいもの。
ぜんざいとお餅もいいな。
お餅って、毎日食べても飽きないもの。

「只の」「いつもの」「お決まり(定番)の」って、実はストレスフリー。
優しくて、平和なことなのでした。


今年は、そんな「当たり前」を改めて温めていきたいと思う次第です。

さて、1月の料理教室。

中国の行事食と日本の定番料理での幕開けです♪

「古典料理」とか「伝統料理」は、現代の舌では必ずしも「美味しい!」と瞬時にリアクションできるものばかりではないかもしれません。しかしながら、現代まで続いてきた味には何とも言えない深みがーーー。食べている内に「あら、以外と美味しいね」なんて思えてくるのが「滋味」な味。そんなお味を教室で体験していただきたいと思っています。


<1月のお料理内容> ★は今月の注目アイテム♪

★臘八粥 
 旧暦の中国は、まだ“年末”。年末に頂く行事食をご紹介します。

・万能白醤油ダレ

・白醤油ダレを使った青菜or白菜炒め

黄金辣明蝦(黄色いエビチリ)

・ごはん

・美味しいお茶



2024年1月1日月曜日

謹賀新年 2024



明けまして おめでとうございます

古代…紀元前2世紀頃迄の龍には足が無い。

中華民族の始祖・伏義と女媧が蛇身だったことが、龍の原形とか。
伏義と女媧は、古事記のイザナキとイザナミのような存在。
中華民族のトーテム・龍は、やがて鹿の角、牛の頭、大蛇の体、魚の鱗、鷹の爪が備わり最強となり、地上の天子 皇帝のシンボルに。
さて、日本。
龍の、雨をもたらすパワーは、瑞穂の国 日本でも畏敬の念を以て崇められて久しい。
十二支の辰は、12のサイクルの中で植物のピークの時期をあらわすのだそう。

こんなスケールで、こんなロングスパンで想像の世界を展開し、あらゆる事象を宇宙の摂理から導き出そうとした古代人の、なんと伸びやかなこと(!)。

そしてそんな中から、陰陽五行説が生まれました。


自然観察から生み出された陰陽五行説。
身体感覚の構築から生まれた中医学。

AIにはできない諸行です。

自分の体と向き合うのは、医者でもAIでもなく自分です。


一見、合理性で洗練されすぎる(?)便利すぎる(??)世の中ですが、生身の人体は、伝説の頃から殆ど変わっていません。


中医学、薬膳の学びは、やはり原点だと、改めて思う今日この頃です。



  今年も、どうぞ宜しく お願い致します。


 

2023年12月7日木曜日

福袋の製作、はじまりました♪

 

3年前からはじまった 教室の皆さんへの福袋。

昨年今年と教室で調味料やタレ、ソースをご紹介してきたので、今回は調味料いろいろと、それらをベースにしたソースなどを中心に♪

本日手掛けるのは、怪味ソース。

「怪味」とは、怪しい味ではなく、五味がそろった味のこと。

使う調味料が美味しければ、必ず美味しくなるのだ(!)。

味覚センサーをフル稼働させて味わって頂きたい。


それにしても、作る度に、つい微調整をいれてしまいます。

レシピいつもはupdat “ing” ♪
今日の「おいしい」をそのまま。
味覚センサーは体の声。
料理は「今」の舌に忠実に♪

おたのしみに!


2023年11月12日日曜日

『ロスト・キング 〜500年越しの運命〜』



 「ロスト・キング 〜500年越しの運命〜」(於・サロンシネマ)を観てきました。

キング”とは、リチャード三世のこと。イングランド王位継承を巡る内紛 薔薇戦争の渦中の人。そしてプランタジネット朝(ヨーク家)最後の王。

後世のシェイクスピアの戯曲で悪役に仕立てられたものだから、長い間すっかり嫌われ者の王となっていたのでした。

悪人のイメージは、二人の王子(甥)をロンドン塔に幽閉し密かに殺害したのでは?との疑惑があること、そしてシェイクスピアによる設定「せむしの醜男」により、体だけでなくコンプレックスによる性格の歪みがあるとされているから。(1674年には、塔内で、王子たちと思われる二人の子供の頭蓋骨が発見され、何者かによる殺害の事実は明かされている。)


描かれた時代はかなり下るけれど、ミレイとドラローシュの絵画はあまりにも有名。中野京子さんの著書『名画の謎』の表紙になるほど。

【塔の中の王子たち】(ジョン・エヴァレット・ミレイ作)
書かれたのは1878年。
少年たちがロンドン塔に幽閉されたのは1483年。


【幼きイングランド王エドワード5世とその弟ヨーク公リチャード】(1830年) 
作者ポール・ドラローシュ(ルーブル美術館蔵)



ちなみに、シェイクスピアは、1564年生まれ。

エリザベス1世(1533-1603/在位1558~63)が、織田信長と1つ違いなら、シェイクスピアは、もろ豊臣秀吉と重なる。(重ねる意味は特にないんですがw)エリザベス1世の治政後、イギリスは、革命で王が処刑されるような時代に突入しているのでした。日本は戦国時代。

シェイクスピアが「リチャード三世」の戯曲を書いたのは、実際のリチャード3世没後100年の1592年。

日本では秀吉の朝鮮出兵(文禄の役)の頃。1680年には『リア王』が。黒澤明監督がこれをモチーフに『乱』を製作したことは有名。

別に戦国時代だから・・ではなく、シェイクスピアの物語の普遍的テーマ性にこそその理由はあったのでしょうが、なんだかつい重ねてしまいたくなります。


映画は、歴史好きの主婦フィリッパ・ラングレーさんが2012年にリチャード三世の墓を見つけた(!)という事実に基づくもの。

フィリッパ・ラングレーさんの独自リサーチで浮かび上がるリチャード三世は、真っ当な政治を行おうとする心優しき王でした。お墓の発掘は、そのイメージを以て突き進んだ彼女の信念でした。

2009年には、イギリスの歴史作家フィリッパ・グレゴリーが『ホワイトクイーン』を書き、ベストセラーに。これは2013年にBBCでドラマ化されましたが、その中でも、リチャード三世は、フィリッパ・ラングレーさんのイメージに近いものでした。

この二人のフィリッパが、リチャード三世の名誉回復に大いに寄与したとも言える??!

勝者によって造られている歴史。

世界でも日本でも。

リスキリング」と盛んに言われる昨今、歴史は万事のそもそも論、学びの一丁目一番地。

常にUP−DATEが大切だなとしみじみ思う次第。



PS:映画によれば、リチャード3世は「疑わしきは罰せず」の原則を取り入れたり、印刷技術のを推奨したりと、実はかなりの名君だったようです。





2023年10月30日月曜日

「三献茶」のウソ・ホント

 大河ドラマの最後にある『紀行潤礼』コーナー、好きなんです。

先週は、三成・秀吉の出会いの地、長浜・米原で、有名な逸話「三献茶」が紹介されていました。
鷹狩り帰りに秀吉が休憩に立ち寄ったのが観音寺。
そこで、お茶を所望した秀吉とお茶を供した小姓の佐吉(三成)。
彼の地では、三成人気にあやかり、亀山茶畑、そして「こだかみ茶」の復活が試みられているとのこと。
でも、「三献茶」については、様々な説が。
『紀行潤礼』では、その場所が長浜市石田の観音寺と紹介されていましたが、木之本の古橋にある法華寺という説もあるようです。
観音寺は、三成の父が有力檀家だったお寺(三成は長男ではなかったので寺の小姓にだされていた)で、法華寺は母の出身地であり関ヶ原の後三成が最後に頼ってかくまわれた地にある。
(『近江が生んだ知将・石田三成』大田浩二著)
お茶談にも「ん?」ってなところがあります。


  最初にぬるめの1杯。
   ーーお茶の成分テアミン流出で甘味、旨み、リラックス効果。
  おかわりを所望され、やや熱めで1杯。
   ーーバランスのよい味わい。
  さらにもう一服ご所望。熱々の1杯。
    ーーカフェイン効果でシャキーン!


温度によって味わいや体への作用が変わるお茶。
それを演出できるのは、お茶が「煎茶」になってからのような気がします。
この時代は、まだお茶といえば「抹茶」で、お煎茶は生まれていないはず。
煎茶製法が、中国から伝わるのは17世紀半ば。
さらに、普及するのは18世紀にはいってから。
(ちなみに玉露の製法が生まれたのは1835年。)
抹茶や碾茶でも「三献茶」ができなくもない気はするけれど、「三献茶」のエピソードが初めて記されたのは、100年以上のちの『武将感状記』(1715) だと聞くと、どうもこのエピソードが書かれた時代のお茶談のような気がしてくるのです。


遣唐使として中国に渡った最澄が、茶の木の実を持ち帰り、各地に植えたところに始まり、長い間、お薬的存在に留まっていたのが、12世紀に宋に渡った栄西が抹茶の飲み方を広め、喫茶儀礼が重ねられ、やがて茶の湯の文化へと昇華。そして江戸中期になってやっと庶民に喫茶文化が普及するーー。

お茶が庶民の身近なものになりつつある頃にまとめられた『武将感状記』に、当時の世相を現すお茶が使われたのかもしれません。


さて、『紀行潤礼』で紹介された「こだかみ茶」は、実はこの辺りの在来種(最澄が持ち帰った茶木の実!?)で、21世紀になってから(たぶん観光資源としての意味も多々あり) 地元農家さんの手で復活させたものらしい。



大河ドラマは「ドラマ」だもの。
その末尾の『紀行潤礼』も、観光的紹介コーナー。
真実の追究ではないのだ。

でもね、ウソから引き出す誠ってのもある。
浮かび上がる人物像や、登場人物。そしてそのの縁(えにし)が、やっぱり楽しいのであります。

来週の大河ドラマ、いよいよ関ヶ原!!


公益財団法人日本城郭協会 公認サイト「城びと」より「関ヶ原」



追記・「三献茶」科学編:
アミノ酸は 旨み、甘味成分で、低温にも溶けやすい。
お茶に含まれるアミノ酸は、半分以上がテアニン、その他、グルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニン、セリン等。テアニンには、リラックス効果が。

カテキンは、ポリフェノールの一種。苦み・渋みの成分で、80℃以上で溶出。

カフェインは、苦み成分で、高い温度で溶出する。脳の中枢神経に興奮的に作用。覚醒作用、利尿作用。

三成(佐吉)は、結果的に、最初の1杯でアミノ酸効果を、次にカテキンで疲れを癒し、三杯目で出立に向けてシャキッと覚醒効果を利用し、秀吉の「休憩」に、見事なホスピタリティーで応えたということですね♪



2023年10月15日日曜日

MUNI Carpets オーナー楠戸謙二氏のお話


さて本日は、 MUNI 絨毯ギャラリー広島で、MUNIオーナー 楠戸謙二のトークイベント開催。
私は、録画係と茶話会担当、二刀流の裏方で参加しました。

「出藍」= 青は藍より出でて藍より青し


「弟子が師を越えること」と習った気がするけれど、本来の意味は<学問は中断しなければ、すぐれた効果を上げるということ>と、辞書にはあります。
荀子の、この言葉の前後は、<学問は中途でやめてはいけない。青という色は藍(あい)という草から取るが、その色は元になっている藍よりもいっそう鮮やかな青色になる。氷は水が元になってできるが、いったん氷になると、水よりももっと冷たい>…と。
たまには、辞書も引いてみるものですね。
植物の藍から青を作り出す製法を知らなければ、この喩えは出来ないのでした。))
言葉とその対象がしかと結びついているからこそ、賢者の言葉も、しかと伝わったのではないかと思います。


トークイベントは「MUNI絨毯が出来るまで」がテーマ。

中国明代最高峰の絨毯 “クラシカル・チャイニーズ・ラグ” 。
いったん消滅していたその製法を蘇らせようと、大陸を奔走した20代の楠戸氏。
それは、羊毛(糸)を探し、藍を探すエピソードに始まりました。

植物由来の天然染料。
中国での染料探しは漢方薬の生薬*の産地へ行き着いたといいます。

  ↑
開くと、藍色が飛び込んできます。

やはり藍。それは最初に生み出した色。原点の色だったからなのでしょう。

伝統絨毯、そしてMUNIのアイコンカラーは“ブルー”(!)・

*「藍」生薬名:板藍根  
  清熱涼血解毒・解毒利咽、抗炎症、抗菌作用等の効能。


さて次は、文様について。

様々な吉祥文の中で、ちょっとユニークな「柿のヘタ」の文。
そのデザインが施されたアンティーク絨毯(MUNIのプロトタイプ)も見せて頂きました。
コレです。




柿のヘタ=柿は、音通 が「如意」と似ているため吉祥となったそう。

色とは関係ないですが、柿のヘタも一応生薬なのです。


蔕:
脾胃虚寒、しゃっくり止めや夜尿症に使います。
柿は体を冷やすと言われますが、蔕は温。陰陽の縮図が1ヶの柿の実にも見て取れます。



楠戸氏が大陸を奔走されていた ‘80年代末〜’90年代という時代にも、思いを馳せるひとときでありました。

トークイベント、第2弾がささやかれています(!)

楽しみです。

*「藍」生薬名:板藍根  
  清熱涼血解毒・解毒利咽、抗炎症、抗菌作用等の効能。