2009年5月24日日曜日

古典料理の滋味

竹爐山房の山本シェフのご協力により、国際薬膳師合格祝いを兼ねた中国古典料理を味わう会が実現しました。

食べ物の持つ氣を取り込むことが、健康の根本であると山本シェフ。
食べ物の氣が最も盛んなのは、やはり旬の野菜たちや新鮮な食材。

さらに、清朝までの宮廷料理というのは、食医に管理された「医食同源」に基づくものであったことから、あまねく薬膳に通じるとして、清朝までの宮廷料理にならう「ホウ膳」(人偏に方と書いて「ホウ」)=「御膳房:皇帝の厨房を倣う」という意味)と言うそう---のお料理を、作って下さいました。

石垣島より届いた新鮮な中国野菜もいろいろに、滋味あふれるお料理の数々に、目から鱗を落としながら舌鼓を打ちつつ食べ進みます。

その中でも、特に歓声が上がった一品「燻火畏(火片に畏)肉(シュンウェイロウ)」は、ブリア・サバランの『美味礼讃』の中国版とも言われる『随園食單』にある200年前のレシピに基づくお料理。


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柔らかく煮込んだ豚の皮付き三枚肉をハスの葉にくるんで燻し焼きにした一品。お肉に滲みた香辛料と蓮の葉の香りがふわ〜っとお口に広がり、何とも言えません・・・。

また、赤児のような肌だったと言われる西太后が、美容のために毎日のように飲んでいたと言われる「胡桃酪」(くるみ汁粉)。


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手間暇の掛かる一品だけに、特別にリクエストして作っていただきました。

滑らかな舌触りと自然で優しい甘さ・・・「酪」という文字が宛がわれていることに思わず頷いてしまいました。 

食材の流通の自由と料理人達の柔軟な発想で、様々な食文化が交差し、垣根を越えた新しいお料理が次々と生まれている昨今ではありますが、長い年月守られてきた味の意味するところの大きさもまた、何かしら感じ入るものがありました。