2018年4月24日火曜日

たけのこ ~ 春の養生

筍とコシアブラの揚げ浸し
筍饅頭
桜が終わり、4月は、たらの芽、つくし、うるい、山葵の花、こごみ、こしあぶら、うど、わらび、ふき、ぜんまい・・・と、山菜のオンパレード。
いずれも短い旬を謳歌し、最後にトリをとるのがタケノコでしょうか。

今年も尾道から沢山筍をもらって帰りました。
先っぽの柔らかい所は、サッとお出汁で炊いたり、筍ごはんにしたり、揚げ出しにしたり・・・そして下部のちょっと硬めのところはフードプロセッサーで砕いて筍饅頭にします。

筍は淡味。中国料理にも相性抜群の筍ですが、筍の淡味を最大に引き立てるのは、お出汁だと思うので、専ら和食で頂いております。

旬の食材を効能だのなんだのといった視点から語るのは、なんだか野暮な気がしますが、筍の有り難さを噛みしめて頂くためにちょっとご紹介します。


   筍   性味 / 帰経 → 寒・甘/胃・大腸  
       清熱化痰 解毒透疹 順調通便  
       ※チロシン豊富  

   竹葉   性味 / 帰経  寒・甘・淡/心・肺・胃・小腸 
       清熱除煩 生津利尿  
       ※クロロフィル(葉緑素)豊富

   淡竹葉 性味 / 帰経   寒・甘・淡/心・胃・小腸・肝・胆  
       アミノ酸、ビタミン、カルシウム、鉄分など含む
       ※クロロフィル(葉緑素)豊富

   cf.熊笹 性味 / 帰経  寒・甘・苦/肺・肝
       疎風清熱 清肝明目
       殺菌 止血 理血   
       ※ビタミンK、クロロフィル(葉緑素)豊富

竹の仲間は、総じて、体の熱や炎症を取る働きがあり、ディトックス効果に優れ、冬の間の体の錆落としのような働きがあることが分かります。
春の山菜には、体をリセットするお助け成分満載ということでしょう。

農業節である二四節気の始まりは、立春(2月4日)。
ふきのとうにはじまる山菜暦も同じ頃かと思います。

春は気巡りを良くすることも大切。自然の中に身を置き、山菜摘み…お花見…と、山菜を行楽とともに楽しむことも、春の養生に繋がります。
次々に出てくる山菜を楽しみながら、気がつけば5月の立夏の頃までに、体はすっかりリセットされるという訳です。

科学の知識やうんちくからは少し距離を置き心を解放し、季節を丁寧にお料理して、只ただ「おいしいわぁ〜)))」と味わうこと。
これが、実は、体にも最高の仕事をしていることになるなんて、自然の摂理は常に人間の叡智の上を行ってます。

さて、筍料理を前に、一献。
・・・こちらは、人間の人間たる所以でしょうか(苦笑)。
ま、少量なら百薬の長ですもんね(^_-)-☆。


※チロシン:非必須アミノ酸の一種。必須アミノ酸のフェニルアラニンから合成されます。
アドレナリンやノルアドレナリン、ドーパミンなどの神経伝達物質の原料となります。
また、成長や代謝、自律神経の調整を行う甲状腺ホルモンや、メラニン色素の原料となります。
バナナやアボカド、リンゴなどの果物にも多く含まれています。

※クロロフィル:
クロロフィル(葉緑素)は、体内で、コレステロールやカドミウムやダイオキシンなどを排出してくれる働きがあり、動脈硬化などの生活習慣病の予防に役立っています。
また、鉄分と結びついてヘモグロビンを生成しています。
つまり、抗酸化作用、デトックス効果(カドミウムやダイオキシン)、貧血予防に役立つ成分ということ。
ヨモギ、小松菜、ほうれん草など、様々な緑黄色野菜に含まれる成分です。

※ビタミンK(K1とK2):脂溶性ビタミン(脂肪組織や甘草に貯蓄される)の一種。血液凝固促進(プロトロンビン)、骨の形成などに関与している栄養素。動脈の切開かを抑制する作用もあり。
葉野菜や豆類、海藻類、食肉や乳製品にも含まれています。
茶、紅茶や、海苔、ワカメ、ひじき、ケールやパセリ、モロヘイヤ、アシタバ、ほうれん草、春菊、ヨモギ、バジルえ納豆等々。
ビタミンKは止血作用があるため、血流をよくする薬「ワーファリン」などを摂取している人は要注意。




2018年4月16日月曜日

タイの「ロイヤルプロジェクト」

写真は、タイの故プミポン国王立案(1969年)、王室自ら開発と支援を行っている「ロイヤルプロジェクト」で生まれた完全醗酵茶=ブラックティー。

「ロイヤルプロジェクト」とは、プミポン国王の治世のとき、タイ北部の山岳地帯のケシ栽培を目の当たりにした国王が、国民が違法なアヘン栽培などに手を染めないよう、農業や食品加工の分野で自立しできるようにと考えらた支援策。
王室の私財を投じ、新技術も取り入れ様々なプロジェクトを運営しているのだそう。
売上げは生産者に還元されるので、それらを購入することは、社会貢献にもなる(!)。

このプロジェクトは、50年を経て、素晴らしいお茶も生み出していました(!)。
ストレート向きのこの紅茶、ちょっと烏龍茶(岩茶)ぽくもあり、なかなかイケてます。

タイ〜中国の雲南省にかけては、お茶の原産地であると同時に、しばしば麻薬街道とも重なる地域。
思わず、昔観た映画「イヤー・オブ・ザ・ドラゴン」(1985年制作/ミッキー・ローク&ジョン・ローン主演)で、NYCのチャイニーズ・マフィアがケシの栽培地に出向いているシーンを、思い浮かべてしまいました(古くてスミマセンw)が、「麻薬ではなくお茶で堂堂身を立ててもらいたい!美味しいお茶が出来るに違いない!」そんなとこからスタートしたのですね。

その国の文化を深く理解している王室が、その立ち位置でもって興したのがこのプロジェクト。深い知性を感じます。


振り返って日本。国民の税金を使って展開する様々な行政事項、いろんな支援策が、ちゃんと根っこの支援になっているだろうか? 深い知性でもって、10年20年先を見据えたものであってほしいもの。。。






2018年4月12日木曜日

滷水


写真は、台湾の抽化街で買ってきた小滷包。滷水の香スパイスブレンドです。
滷水は、香辛料入りの煮込み用のタレで、滷汁ともいいます。
醬油や酒に、スパイスを加えて香りづけし、そこへ下ごしらえした肉やキモ肉を加えて煮込みます。

日本でいうところの、鰻や焼き鳥の秘伝のタレみたく、足しながら使い続けることが出来る煮タレ。「秘伝」に育てるまでにはいかないけれど、ちょっとスパイスの配合を工夫するだけで「我が家の味」を生み出すこともできます。


4月の料理教室では、これをつかってお肉を煮込み、サッと糯米と一緒に包んで粽代わりの一品に。
このタレがあると、いろいろ放り込んで込んで作りたくなります〜。

でも、煮込み料理、実は私、スパイスなしの美味しい甘辛醤油だれでつくるのも好きです。香辛料に邪魔されることなく、竹の葉や蓮の葉の香りをごはんに移して楽しむ。
日本の風情にはこっちの方がしっくりくる気もするのですが、内臓類など、ちょっと一癖あるものを煮込むには、スパイスの香りが一役かってくれるのです。
日本人は、お肉と言えば、筋肉の部位ばかり食しがちですが、肉食に慣れ親しんだ食文化の国々では、内臓も幅広く食べられています。
類は類を補う=補いたいところと同じ部位を食べるとよい。
(内臓を食べたら、内臓が丈夫になる。)
そんな考え方もあってか、中国ではキモを始めあらゆる部位がしっかり調理され食べられています。

キモは要。丈夫な体をつくりたいなら、いろいろつくって、いろいろ食べてみよう!

ちなみに、滷水に使うスパイスは・・・
八角、花椒、小茴香、草果、桂皮、陳皮など。
甘草や草果、ローリエなんかも入れたりします。

美味しい煮込みができますように。

2018年4月1日日曜日



「健美膳 BLOG」は、「暮らしのスパイス」へと模様替えしました。
引き続き、食にまつわるいろいろ、料理、古今薬膳などなど書いていきます。宜しく♪