2005年8月14日日曜日

ストックホルム(5)


福祉の国・モラルの国 !?

宿泊ホテルで朝食時に知り合った日本人女性2名。社会学の学会に出席するためにきているという研究者で、リタイアメントハウスなどを視察してきたという。多くの日本人が福祉施設を視察に来ているというが、その成果を我々が日本で実感できる日は来るのか。

昨今の話題では、留意すべきアスベスト問題、’80年にWHOが発ガン性物質と断定してから、最初に全面禁止に踏み切ったのは北欧の国々だった。アイスランドに続き、ノルウェーが‘’84年、スウェーデンは’86年・・・以下、オランダ、ドイツ・・とヨーロッパ諸国がつづく。

「環境問題はもちろん、人間にとってためになることには積極的な国。なんでもさっさと議会に通して法律にしているように思う」とMさんは言う。去る6月には「飲食店内での喫煙禁止」が施行された。ロンドンでは既に行われている市内への車の乗り入れ規制もこの秋から施行になるらしい。また、暖房についても、従来の重油を焚く設備からクリーンエネルギー利用への切り替えには補助金が出るそうだ。考えてみれば、とても常識的なことなのに、いちいち感心してしまう自分が悲しい。

街のマナーも、法律で厳しく規制し、厳しい罰則を強いているので、タブー意識が徹底したという。これらの話を聞くと、福祉の国、いや、モラルの国!? と呼びたくなる。

スウェーデンも他の先進国と同様に、少子化問題をかかえているが、数々の対策に取り組み、成果をあげているそうだ。

男女共に、育児休暇を取ることが義務づけられているそうで、具体的には、男性側が絶対取らなくてはいけない育児休暇の日数が決められているらしい。また、出産に掛かる費用も、驚くほど安い。医療行為を伴わない入院は、一日当たり800円程度で済むケースも・・・!?。過剰な抗生物質の投与もない。その他、街の段差には必ずといっていいほど車輪が通れるようにレールを敷いてある。これは車いすの為というより、乳母車対策なのだそうだ。バスに乗る際、乳母車を牽いている人は、乗り降り自由(無料!)で、前乗り後ろ降りのルールが控除される。これは、乗り降りにかかる時間の節約にもなるからということかもしれないが、なんとも寛大だ。

その功あってか、美術館、フェリー、公園、レストラン、どこに行っても、乳母車を牽く親子連れがとても多かった。産後体重をもどしていない(?)ような逞しいお母さん達が、子供達を連れて悠々と歩いているさまは、なんとものびのびしていていい。

ほんの4日間の滞在、しかも中心街を歩き回っただけで、福祉の国、モラルの国と言うことはできない。背景も違うし、単に日本と比較するのは適当でないし、もちろん、それなりの税金を払っているが故の結果であることも否めない。

ただ、ずっと日本に暮らしていると、当たり前になってしまっていること、麻痺している感覚があるような気がする。目にした美しい風景には、それなりの理由があることを、改めて考えさせられた次第である。

2005年8月9日火曜日

ニシンのマリネ


タイムリーにも、イギリスのテレビ番組で、スカンジナビア風ニシンのマリネをやっていたので、ご紹介します。

マリネソースのバリエーションは様々ですが、マリネソースに漬ける前の下ごしらえは、共通です。

番組では、ニシンは既に塩漬けにしたものがあるようでしたので、塩漬けの漬かり具合はわかりませんが、大量にまとめて漬け込まれているので、かなりしょっぱそう・・。

1)まず、塩漬けニシンを、たっぷりの水を張った中に入れて、約12時間ぐらいかけて塩抜きにします。(ニシンの脂も浮いてきます。)

2)水を捨てて、ニシンをきれいに洗い、水気をきっておきます。

3)マリネ液をつくります:

蒸留酒300cc、さとう2カップ、水1.5リットル、ローリエ2-3枚、 スパイス(粒で、オールスパイス、白コショウ、黒コショウ、クローブ 各少々)これらを鍋にいれて2、3分煮立ててからそのまま冷まします。

4)2のニシンに3のマリネ液をかけて(紫タマネギのスライスなどを加えてもいい)、半日ぐらい冷蔵庫で寝かせたら、基本のニシンのマリネができあがり。(賞味期限は約2週間程度)

それを、下記のマリネソースにつけて、バリエーションを楽しむのだそうです。

<スウェーデン風マリネソース>

マスタード 1カップ、サラダオイル1カップ、さとう1/2カップ、ローリエ、白コショウ少々、ディル(できればフレッシュ)適宜

材料を合わせて、ぶつ切りにした4のニシンにかける。

<カレー風味のマリネソース>

サワークリーム1カップ、マヨネーズ1カップ、カレー粉適宜(好みで加減する)、砂糖大さじ2、レモン汁少々、刻んだキューリのピクルス(甘いもの)、リンゴ、紫タマネギ、適宜

材料を合わせて、ぶつ切りにした4のニシンにかける。

以上が番組でやっていた作り方そのままですが・・・・なんともダイナミックで材料もおおまかです。それに、一度に大量に作る作り方なので、ちょっと家庭向きではありませんねえ。

ただ、コレを見て分かるのは、最初に酢でしめていないこと。(マスタードに多少のワインビネガーは含まれていますが味が変わる程ではないと思います)。蒸留酒というところが、北欧らしい気がします。アクアヴィットなんか使うと、更にそれらしくなりそう・・・・。

この通り作ったものが美味しいかどうかは・・・正直疑問です。私が試食したニシンのマリネには、おそらく酢が使われていたと思います。

そこで、家庭で作るには、おそらく下記のような手順が良いのではないかと思います。(しめさばとママカリの要領をアレンジしてみました。)3枚に降ろしたニシン(8尾ぐらい)に粗塩をふり、冷蔵庫で3時間ぐらい置きまして、氷水で塩をざっと洗い流し、酢に20分ぐらい浸し、拭き取ってから皮を剥いて、容器にならべ(重なるところにローリエを挟む)、下記のマリネ液を流し込み、研ぎ石などで軽く重しをして冷蔵庫で寝かせます。

マリネ液:酢、白ワイン各100cc、砂糖大さじ3,水50cc 、パセリの軸、タマネギの薄切り、ローリエ、白コショウなど少々を小鍋で一煮立ちさせ、冷めてからレモン汁1ヶ分を加えておく。

頂く前に、サワークリームや、マスタード、マヨネーズを合わせたものに刻んだディルや小葱を加えて、マリネソースを作って和えたらいいのではないでしょうか??

酢で締めてあるので、北欧のそれよりはずっと身が締まっているのと、酸味がありますが、サラダと一緒に盛りつけてもおいしいと思います。

湿度の高い風土に暮らす日本人には、酢でシャキッとさせた方が美味しく感じられる気がします。 

2005年8月8日月曜日

ストックホルムの市場(4)


魚・魚・魚

お寿司の話になったので、スウェーデンのお魚について語りたい。市場では、豊富な種類の魚が出回っており、マリネや薫製などの魚の加工品も沢山売られている。ちょうど夏のこの時期は、カレイやヒラメなども沢山出回っているようだ。「左ヒラメに右カレイ」・・とすると、この巨大なのはカレイ!?日本のお魚図鑑にあるものとは比較にならない大きさ・・・。その横にはサバがある。いずれもなかなかの大振りだ。それから小イワシ。これは万国共通サイズ。スウェーデンで最も一般的に食べられている魚は、サーモン、タラ、ニシン等々。ニシンは、クリーミーなマリネソースに漬け込まれたものが日常的に食べられているそうで、マリネソースも、いろいろなバリエーションがあり、魚屋さんで扱っていたりする。

【写真上】写真上は右から、カレー風味、マスタード味・・・ニンニク風味やシェリー風味のものもある。

ニシンは漁場によってSillまたは、Strommingと呼ばれており、stillは、Kalmarsund(カルマル海峡)以南でとれるニシンのこと、Strommingは、バルト海のニシンだそうだ。

このStrommingを発酵・貯蔵させた"Surstromming" という食べ物があるそうだ。これは北部の人が食べるらしいが、想像するに、塩辛かカピ(海老を発酵させたもので、タイ料理に使われる他、類似のものでキムチ造りに使うものがあるし、魚醤なども発酵のプロセスを踏んだ食品)のようなものであろう。かなり臭いらしいが「日本人なら大抵の人が食べることができると思う」とMさん。味覚は慣れと訓練。納豆、塩辛等で鍛えた舌ならではということであろうか。熟成チーズで鍛えられたフランス人もイケるのではないかと思うが、食感が加わると・・??スウェーデンの人は、小エビもよく食べるそうだ。北海で捕れた小エビをすぐに塩ゆでしたものが、冷凍で沢山出回っている。また、この日の夜行ったイタリアンレストランでは、「イカを切らしたので海老をつかいました」と、小エビが沢山入ったパスタを持ってきてくれた。あれはひょっとしたら冷凍食品だったかも・・・。ちょっとしょっぱかった。

スウェーデンでは、あまりイカやタコは食されないらしい。Mさんによるとウニも食べないとのこと。だんだん寿司ネタが減ってきた・・・。やはりストックホルムの寿司屋には入るまい。また、貝はストックホルムではあまり無いらしいのだが、西海岸(ヨーテボリあたり)では、ムール貝が食べられるとか。また、季節限定(秋~冬)で、ロブスターやザリガニ(夏)もよく食べられるそうだ。

この辺の話を聞くと、ここではやっぱりイタリアン?と思ってしまうではないか。ストックホルムでもイタリアンは大人気。あちらこちらで本当に沢山のイタリアンレストランがある。

世界で一番愛されている料理はイタリアンか!?

ニシンのマリネを試食しては「このしろやままかりの美味しさには叶わないな」とつぶやき、寿司屋をのぞいては「ネタは日本のに限る!」、イタリアンも「やっぱり素材よね」などと、魚介になると、ついふるさと自慢したくなる。ひょんなところで、自分の中に眠っている郷土愛(?)が首をもたげていることに気づき、つらつらと思っては、ひとり苦笑してしまうのだった。

★この日記は、別途サイトでアップ予定の旅レポートの一部なので、本ブログ上では《○○の写真》などとなっているところがあり、一部、本文と一致しない場合がありますのでご了承ください。また、文中のスウェーデン語は、全て英語式の表記に代えて表記している為、スウェーデン語が正確に表せていないところが多々ありますこと、ご了承ください。

2005年8月7日日曜日

ストックホルムの市場(3)


スパイス

市場で必ずチェックするもののひとつが、スパイス。あちこちの市場を見ていると、その国にある食材や料理に合わせたブレンドスパイスが見つかったりするのが、なんとも面白い。ここ、スウェーデンにも・・・あった!

「Jagar Mix」。"Jagar" には、「狩猟の」という意味があるそうなので、これはおそらくシビエ(野禽獣の肉)料理に使うものではないかと思われる。マスタードシード、レッドペッパー、オニオン、キャラウェイ、タマネギ、パセリなどがブレンドされている。ラベル上にも"Kott"(鹿肉は"algkott", トナカイ肉は"renkott")の文字がある。

また、メキシカン風、ハワイアン風、イタリアン風、タイ風、など、 (接尾語「~sk」で「~風の」の意となるそうだ) 数々の「なんとか風」、「なんとか料理」用ブレンドスパイスがあり、他の主都市と同様インターナショナルな現代のスウェーデンの食卓が想像できた。

【写真:寿司用ライス&ワサビ】
さて、JAPANSKは・・・というと、こんなものがあった。お寿司はスウェーデンでも大変人気のある食べ物のようで、寿司レストランも数多く見かけた。市場の一角にも寿司屋さんがあったが、サーモン10カンが乗っかった皿を見ると、思わず後ずさりしてしまう。外国ではとかく日本食=寿司と思われているのが悲しいが、それだけ個性的な料理ということなのだろうか。



2005年8月5日金曜日

2005年8月4日木曜日

ストックホルムの市場(2)

Fruits & Very Berry

海外の市場を訪ねるたび、フルーツの豊富さ、売り方のダイナミックさには、思わず興奮を覚える。

苺やサクランボ、アプリコットを、計り売りで買えるのも嬉しい。
エステルマルムの広場で商うフルーツスタンドで、ちょっと見慣れない果物を発見。【写真右】

これはKrusbar/クルーズベア(スウェーデン語読み)=グースベリー。この色だとマスカットの味を想像してしまうけれど、これは更に皮の渋み、種の食感がしっかりとあり、ちょっとワイルド(?)な味。

それから、このPhysalis/フィサリス=食用ほおずき。【写真下】ヨーロッパでは各地でよく見かける。(ココで売っていたのはコロンビア産のようでしたが。)

以前フランスでコーヒーに添えられたプチフールで、フィサリスを飴でコーティングしたものを出されたことがある。縁日の出店のリンゴ飴や苺飴のような感じで、飴のカリッとした食感と中からプチッと出てくるジューシーさがなんとも楽しく美味しかった。ハート型の皮を広げて丸い実を出し口に運ぶこのプロセスがまた面白いのである。(味を記憶すべく、これもひとつ購入。)

北欧の特産品といえば、いろいろなベリー。
Hjorton/ヨーロトン(=Cloudberry), Lingon(=Cowberry, コケモモ)、Akerbar(=ラズベリー)、Blaabar(=Blueberry)・・・原産のベリーの種類も豊富にある。※barはberryと同じ。 

Hjortron/ヨートロンは、黄色いラズベリーのようなベリーで、スウェーデンのネイティブフルーツだそうだ。ほのかな甘みとちょっとエキゾチックな独特の風味がある。ジャム(プリザーブ)にしたヨートロンを、暖めて、カマンベールチーズや、バニラアイスにかけて食べるのがスウェーデン風の食し方だそうだ 。また、Lingon/コケモモのジャムは、ミートボール添えて一緒に食したりするとか。日本では、ベリー類はちょっと高価ということもあってか、このような食べ方は、何となくもったいない気がしてしまうが、アメリカの感謝祭の定番メニュー、ロースト・ターキーでも、クランベリーソースを添えて食べる。ビタミン&ミネラル豊富なベリーをお肉に合わせるのは、食い合わせとしては理にかなっているのかもしれない。

スウェーデンの味として、このヨートロンと、コケモモのジャムを購入することにした。これは、Mさんのオススメのブランドで、他に比べてフルーツ含有量が65%と高い(!)。

それから・・・何と言っても美味しかったのは、ラズベリーとストロベリーの混交品種。外観はちょっとストロベリーに近い感じだが、割ってみると中の空洞が大きく、ラズベリーそのもの。口に含むと、確かに「混合」の味だ。ラズベリーの酸味が加わると、野いちごらしさも加わり、なんともいえない甘酸っぱさである。シ・ア・ワ・セ。








2005年8月3日水曜日

ストックホルムー市場:(1)


★この日記は、別途サイトでアップ予定の旅レポートの一部なので、本ブログ上では《○○の写真》などとなっているところがあり、一部、本文と一致しない場合がありますのでご了承ください。

また、文中のスウェーデン語は、全て英語式の表記に代えて表記している為、スウェーデン語が正確に表せていないところが多々ありますこと、ご了承ください。

Market

7月4日(月)と5日(火)を使って、他の観光も織り交ぜながら、市場を回った。この日は半日、ストックホルム在住12年のMさんにご案内いただけることになった。

ストックホルム市内には、3カ所の市場がある。スウェーデン語で屋内市場のことをSaluhall/サルハールというのだそうだが、市内の市場は、いずれも屋根付き、あるいはショッピングモールのような建物の中にあり、様々な食材店がブースを設けて商っている。夏場は、屋外のスタンドも集まり、花の市や野菜、果物が売られている。

《写真:野外市場の風景》