日本人シェフとして初めてミシュランの星を獲得したグランシェフ、中村勝宏氏が会長を務めるゴブラン会。
フランス修行時代、修行仲間たちと悩みや苦労、そして夢を、ゴブラン橋の袂で語り合い励まし合ったことから、日本においても食に関わる人々の情報交換やモティベーションを上げる機会をつくろうと発足(1992年)した「食を創る人」「食を提供する人」「食を愛する人」の三位一体の会だそうだ。
年に数回、食文化に関わるエクスパートを招いての講演会や賞味会等を主催しており、これまでの講演会は、醗酵学でお馴染みの小泉武夫先生、国立民族博物館館長の石毛直道氏、イタリア食文化研究家の馬場裕氏をはじめ食の研究者らによるもので、今回で12回目。
今年は、パリ日本文化会館初代館長(現理事)の磯村尚徳氏が講演なさった。氏は本会の名誉顧問でもある。1950年代後半~現代に至るまでの日仏の料理の推移を、ジャーナリストとして、食通として、日本人としての視点から常に至近距離でとらえてきた方だ。あの、辻料理学園創立者、辻静雄氏がフランス留学中もパリで共に過ごし親交を深め、☆をもらう以前のロブションやポール・ボキューズらの料理も食し、数々の名シェフが世に出ていく姿をつぶさに見てきたという。
御年77才。海外通で常に外交の場の第一線で活躍された磯村氏の人生は、日本の洋食文化の歴史そのものでもある。
以前ブログで書いた「フレンチ外交」の話、村井弦斎の『食道楽』と、磯村氏のお話が頭の中で繋がり、近世からの日本の食文化の推移の輪郭がおぼろげながら見えてきたような気がする。
さて、賞味会の「ビュッフェ料理の真髄」について。
ホテル・メトロポリタンエドモンドの宴会フロア全室を会場にし、フレンチを中心に、中華、和食、デザート、ワイン、チーズのコーナーに分かれての大演出。特に、冷製10品、温製16品、デザート16品の洋食料理は、料理というより「作品」である。
中には、古典料理の再現モノも・・・。このような料理には滅多にお目にかかれない。よく見るとなかなか骨太のフランス人の食を感じさせる。
見とれて写真を撮っていると、みるみる料理が無くなっていっちゃった。
これだけの料理を配しても、200人もの人が皿を手に取り始めるとあっという間である。
是非とも賞味したいと思っていた料理の半分も食せなかった(涙)けど、目にも美味しい料理達であった。