このスープの、あまりの良い香りに、徳の高い坊さんでさえ垣根を飛び越えてやって来るーーーという名前のスープ。
噂には聞いていましたが、食べるのはこれが初めて。
塀の向こうにまで香りが届くのだから、さぞやいいにおいがするのだろうと想像していたけれど、特に香草が使われる訳でもなく、また香りの強い食材が入っているわけでもない。
スープの具は、作るヒトによって違うらしいのですが、写真の沸跳墻は、フカヒレ、干しアワビ、豚の筋肉、なまこ、しいたけ、浮き袋、ガツ、金華ハム 海老芋(認識できたのはここまで)がはいっていました。
フカヒレ、アワビ、なまこ、豚の筋(蹄筋)、浮き袋などは、どれも下ごしらえに手間暇のかかる食材。もどして、掃除して、蒸らして、煮込んで、また蒸して・・・・。
俗に「高級食材」と言われるものは、食材そのものの価値もまあさることながら、美味しくいただけるようになるまでの長い長いプロセスへにかかる手間暇のことであるを痛感します。
そんな具材がいろいろ入っている沸跳墻は、さぞや長時間調理され、長時間香りを漂わせたことでしょう。「跳」という文字、スープにじらされた時間がバネになった感じがして、ちょっと笑みがこぼれまする。
スープはさらっとあっさり。体液とすぅーっと同化しそうなこの味・・・「滋味」とはこういう味!
(於・吉祥寺 竹廬山房)
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