2013年3月31日日曜日

『食道楽』ー①

牛込早稲田の大隈伯爵家の台所実写の図。
中央の黒いものは、英国より取り寄せられた“ストーブ(オーブン)” 。
ここでは毎日50人前以上の食事が用意されていたとか。




京都・半兵衛麩本店の2Fにある「お弁当箱博物館」で、恭しいお膳と一緒に展示されていた『食道楽』の本。これまた、恭しく木箱に入っています。
『食道楽』は、明治36年1月から『報知新聞』(読売新聞の前身)に連載され、大人気だった新聞小説。料理に関するうんちくから和洋中の様々な料理レシピ、ひいては栄養学、食育等の情報を盛り込んだ壮大な物語で、単行本になるとまた、空前の大ベストセラーとなった本。当時、良家のお嬢さんが嫁入り道具に持たされたりしたそうです。

こんな風に木箱に入れられていたのでしょうか。[写真上])))

第1巻の口絵[写真下]には、大隈伯爵家の台所の様子が描かれています。
この物語のヒロイン「お登和嬢」のモデルとなったのが、著者・村井弦斎の妻で大隈重信の親戚(母方の従兄弟の子)多嘉子夫人。料理上手で大隈家からも随分と便宜を図ってもらっていたようです。

今読んでもちっとも古くない料理の数々・・明治の上流階級が西洋文化をここまで取り込んでいたとは、驚きです。

物語の中で、主人公の大原(大腹)は、料理上手のお登和嬢にがっちり胃袋を捕まれていくのですが、これは、村井弦斎と多嘉子夫人にも通じるところが多々あったのでは???

<つづく>



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