2017年1月11日水曜日

 核桃酪(胡桃汁粉)


今月のNHKカルチャーは、薬膳の真骨頂「核桃酪」。西太后の美肌と不老を支えたと言われる胡桃のお汁粉です。

美食家でならした西太后の食べたアレコレ談は、枚挙に暇がないので、何処までが伝説か真実かは分かりませんが、コレは食べていた気がする(!)。
実際、清朝の御膳房の記録にも記されている一品です。

宮廷料理らしい点は、見た目ではなく、何と言っても胡桃の薄皮剥きというプロセス(!)。
デコボコを覆う薄皮を楊枝で丁寧に取っていく工程に「女官」の二文字が頭に浮かびます。宮中の御膳房のお仕事。技術的に難しくはなくても一人でやるには、なかなか骨折れる仕事です。

皮むき作業は皆さんにもお手伝い頂くつもりですが、1回分は、私が予め用意しておかなくては。

なんとか剥ききりました。
キレイに取れた時は、妙に気持ちが良く、だんだん無心になってきます。)))

この温かいデザート、満州族の王朝、清の名物に相応しい一品です。
材料の西域から伝わった食材、胡桃は勿論のこと、「核桃酪」の酪の文字に、遊牧系民族を感じるのです。ナッツミルク。(ちなみに「酪」の文字はまた、ペースト状を指すこともあります。)正にそんな感じのデザートですが、酪の文字の懐の深さは意外です。
左の酉偏は、酒器、壺を指していて、右側は上から下向かうことを意味する象形なんだとか。転じて、神霊が降って来るといったニュアンスが添えられているようです。
漢字文化の漢民族社会に外から入ってきた遊牧民の食「乳」は「酪」で現される訳です。

日本では、奈良時代に大陸から伝わったアレコレの中に「酪」があり、今で言うところのバターを指していたようです。「蘇」や「醍醐」と呼ばれるチーズの一種と共に、とても貴重な食べもので、高貴な方のお口にしか入らなかったようですけれど。
19世紀、開国したての日本でびみょ〜な存在だったバターやチーズに牛乳。
平安時代の高貴な方たちのお口には、それこそ「醍醐味」だった!?? それが言葉の語源です。


余談ですが、今年の干支は酉(トリ)。「鶏」「鳥」と書かないのは何故でしょう??

思えば、十二支は全て動物とは関係の無い漢字を使用しています。
これは、庶民が覚えやすいように、身近な動物を当てはめ、1~12の数えなどに用いたことによるのだそう。

 子  丑  寅  卯  辰  巳  午  未  申  酉  戌  亥

酉は、10番目。12カ月でいえば、10月。お酒を作る季節でもあり、また農作物を「トリ込む」収獲の季節でもあるというもの。


こうやってみると、2017年最初のお料理に相応しい「核桃」ではありませんか!?


胡桃のお汁粉、気合いが入ります!


0 件のコメント:

コメントを投稿