享年83歳、年男。
猪越先生は、日本における中医学の普及に大きく貢献なさった方。アグネス・チャンとテレビにお出になったりしていたこともあるし、講演、著書多数で、中医学、漢方に興味を持たれた方なら、何処かでご縁があったことと思います。
著書は、『新中国の漢方』、『よく効く漢方実用例50』、『顔を見れば病がわかる』、『隠れ病は肌に出る』、『自分でできる中国家庭医学』、『キッチン漢方の底力』等々。一般の方々向けで解りやすいアプローチのものが多くあります。
私も、季刊誌『チャイナビュー』に始まり、これらの本を通して一方的に猪越先生を存じ上げていました。
ずっと“本の人”だった猪越先生ですが、広島に講演にいらした折にご挨拶したのがきっかけで、先生の拠点、吉祥寺の東西薬局に折々にお訪ねするようになりました。
薬膳師の資格取得後の学びに専門書をご紹介いただいて、薬膳師の勉強の中では少し物足りないと感じていた方剤学の部分を補強できたのも猪越先生とのご縁のお陰です。
料理の師でもある山本豊シェフのお店「竹爐山房」も吉祥寺ですが、お店でお料理に使われる生薬の調達先が東西薬局さんというご縁もあり、「竹爐山房」での食事会には、ご参加下さいました。3年前のことです。夕方お店に差し入れた鹿児島銘菓「軽羹」を、食事会の前にペロリと食べていらっしゃって・・・!
会でも、痛快な食べっぷりをご披露下さったのでした。
健強な胃袋に加え、信じがたいかもしれませんが、猪越先生は、80にして老眼鏡要らず。
30代後半から杞菊地黄丸という補肝補腎の漢方薬を、自ら実験台として飲み続けておられた結果だとか。
昨年、お会いしたとき(あれが思えば最後でしたが)も、「中医学を英訳した本を出したいんだよねー」と、おっしゃっていて、まだまだ手がけられたいことが沢山あるといったご様子でしたのに、こんなに早く、突然にお亡くなりになろうとは。。。
とても残念です。
満州生まれで引き揚げてこられた10代の猪越先生が見た、ロシア軍、中国共産党軍(八路軍)、国民党軍、関東軍についてのお話は、先生の俯瞰力の源のようにも思えましたし、漢方も薬膳も、歴史や国民性を踏まえて考えるべしということに気が付かせてくれました。お会いした時間はとても短いのですが、そこからとても多くの学びのヒントを得ることができました。
もっと生きて、まだまだ先生にしか伝えられない諸々を教えていただきたかった!!
猪越先生、本当に、ありがとうございました!
こころより、ご冥福をお祈り致します。
こころより、ご冥福をお祈り致します。
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