2020年6月6日土曜日

マクビティビスケット


ヤンヤーヤ マクビティ〜♪
 
「ヤンヤーヤ」は、合いの手の言葉なんだとか。
ビスケット同様にイギリス生まれの民謡かなにかのフレーズかと思ったら、日本人 - - -「それ行けカープ」も手がけた宮崎尚志氏の作曲。

日本が戦後の安保闘争を経て経済の時代を迎えた70年代、食文化も大きく豊かさを求めはじめた頃の、外国人登用のCMでした。

この頃、ビスケットといえば、森永ビスケットシリーズ。
マリービスケット、チョイスビスケット(四角いヤツです)、ムーンライトクッキー、ハーバードクリーム・・・・。子どものお小遣いではちょっと手が届かない高級イメージでした。
遠足の時のスペシャルとして、毎回1種ずつ買ってもらっていたものでしたが、マクビティが現れたのも、そんな頃でした。

マクビティ(McBitie's)は、イギリスのユナイテット・ビスケット社の商標。明治製菓が商標権をもち、合弁で明治マクビティ株式会社を設立して国内生産していた商品です。

「戦争が強い国は食文化が乏しい」とか「カトリックは美味しい、プロテスタントは美味しくない」なんて言われ、食の名物が少々貧相な印象のイギリスですが、何故かビスケットとクラッカーだけは美味しいお国柄(!)。ビスケットには保存食の役割もあったせいでしょうか??
(イギリスの食を大切り、随分な言い方ででゴメンナサイ! その内「イギリスだって美味しい!」談致しますのでご容赦下さい。)

ちなみに、マクビティのサイトに行くとこんな解説が。

" マクビティブランドは1830年にロバート・マクビティ (Robert McVitie) がスコットランドエディンバラにおいて、パンの製造販売所として開業したのが始まり。最初のビスケットは、1839年に当時新入社員だったアレクサンダー・グラント (Alexander Grant) によって開発されたマクビティ・ダイジェスティヴ・ビスケット (McVitie's Digestive) である。消化作用のあるビスケットとしては、このとき世界初だった。この名前は、高い消化作用がある重曹が多く含まれていることから名付けられた。"

マクビティは、その名前(Macの接頭語)が暗示している通り、正確にはスコットランド生まれなのでした。(マクドナルドも、マコーミックもスコットランド名。俳優、実業家にも結構多いMc~のお名前です。)

それから、上の引用文の最後にある「ダイジェスティブ・ビスケット」という言葉も、当時は斬新な響きでした。
ところで、全粒粉で胚芽入りなのがなぜ「ダイジェスティブ」なのか?
玄米より白米の方が消化にはいいでしょ!?

先の解説文によると、その答えは「重曹」であるとのこと。
でも、そもそもビスケット全般に重曹は使われています。重曹説にはどうにも合点がいきません。確かに、アルカリである重曹は、胃酸を中和してくれる働きがあり、実際、多くの消化剤にも使われていますが、ビスケットの中に入っている微量の重曹がその効果を発揮しているかどうかは疑問です。

一方で、全粒粉の食物繊維が腸の働きを活発にするという解釈も見つかりました。
野菜が取りづらかったイングランドの食生活の中ではそれなりの効果が見いだせたかもしれません。イギリス紳士も淑女も、その食生活から、実はお腹にガスが溜まりやすいなんて話を耳にしたことがあります。もっとも、腸が変わるくらいの繊維質が、粉から取れるとは思えないのですが・・・。

ちなみに、中医薬膳学では、小麦粉やふすま、赤小豆粉などを醗酵させた「神曲(神麹、六麹などの別名あり)」というものがあり、主にデンプンの消化を助ける薬膳食材とされています。これには、食物繊維云々というより発酵させてあるところに意味があるように思えますが、いかがなものか。塩麹、酒醸(チューニャン)やヨーグルトなどの醗酵食品は、食材を柔らかくしてくれるだけでなく、実は消化にこそ大いに関与していることが経験的に知られていて、各文化圏でそれぞれ絶妙に組み込まれています。
例えば、インドやトルコ〜東欧では、ヨーグルトがそんな位置づけではないでしょうか。

このマクビティビスケット然り、美味しい工夫が結果的に健康的なのか、または健康的な工夫が結果的に美味しいのかははっきりしませんが、健康にいいからではなく美味しいから買い求めていた気がします。


明治マクビティビスケットは、昨年夏に終了となってしまいました。
現在は、商社が扱うトルコ産のマクビティが輸入食材店などで売られているようです。

私のモットーは、無いものは自分で作る!

本格的な夏になる前に、せっせとオーブンに火を入れる今日この頃です。


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PS:コチラは、ウォータークラッカーで知られるCarr'sの全粒粉クラッカー。(イギリスです!)甘さ控え目でおいしいですよ♪

Company Profile
 カーズ ”Carr's”は、設立は産業革命中の1841年。元々は、ジョナサン・カー (Jonathan Carr) 氏がイギリス・カンブリア州カーライルで営む小さなパン屋さんでした。1831年、保存食の堅いパンを元に、美味しく食べられるように工夫して作られたビスケットを販売したものが、船乗り達に人気が出て、瞬く間に知れ渡り、僅か10年で、ビクトリア女王から王室御用達に認められる程になりました。
その後現在に至り、1972年に、McVities ブランドで知られるユナイテッドビスケット社の一部として運営され、アメリカでは、コーンフレークで有名なケロッグ社から販売しています。

Carr'sの情報源はこちら→http://import-selection.ciao.jp/itm/item-0191.shtml

※Water Biscuitsは、フィラデルフィアで暮らしていた1988年にイギリス人のハウスメートがオススメだったクラッカーです。あまり見かけませんが、ブラックペッパー味があるのです!オススメです!!



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