「デリッシュ」(原題:Delicieux)
2020年/フランス・ベルギー合作フランス語のデリシャス。
そしてこの映画では、主人公・料理人マンスロン創作のポテト料理の名前であり、彼の開いたレストランの名前でもあります。
1789年フランス革命後に、主を失ったお城のお抱え料理人たちがパリの街に散り、飲食店を開業したのが「レストラン」の始まり。
そう料理史は語るけど、実際にはどんな風だったのか・・・・。
それを具体的に描いたのがこの映画。
もちろん史実ではなく「多分そうだったんじゃないか劇場」。
あるいは「こういうケースもあったんじゃないか劇場」。
当時の貴族達の暮らしぶりや、食周り- - -厨房の様子も興味深い。
Restaurantの「Rest」は「休息」、「回復」の意。「レストランの先駆け」が、体を癒す食事を提供しお代をもらう場所=旅籠 だったというのも頷けます。
映画では、客人が持ち込む噂話や利用客の会話、兵士の往来でのみ、フランス革命の足音を感じさせるのでした。あえてドンパチの革命は描かず「料理人の改革」を浮き彫りに。
フランスを旅してお城を訪れたときはいつも「厨房はどこだったのかな?」と思うのですが、ボーヌのオスピスをのぞいては、それらしい所を知り得ることは殆どありませんでした。
でもよく見ると、石造りのホール内のアーチ型の窠に煤が付いている箇所が。 食卓史の本に載っていた絵の様子とビンゴ(!)。ここに火をくべ肉を回しながら焙る絡繰り時計のような器具と作業台となるテーブルを置けば、中世の厨房になる(!)。あの時は、ちょっとワクワクしたな〜♡ 18世紀には、大きなストーブのようなオーブンが台頭しているけれど、肉の焙りは依然この絡繰りゼンマイ仕掛け。
料理は「火」(!)、フレンチは肉(!)なのだ。
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