2022年10月27日木曜日

『デリッシュ!』




 久しぶりに、料理の映画を取り上げます♪

「デリッシュ」(原題:Delicieux)

2020年/フランス・ベルギー合作
フランス語のデリシャス。
そしてこの映画では、主人公・料理人マンスロン創作のポテト料理の名前であり、彼の開いたレストランの名前でもあります。
1789年フランス革命後に、主を失ったお城のお抱え料理人たちがパリの街に散り、飲食店を開業したのが「レストラン」の始まり。
そう料理史は語るけど、実際にはどんな風だったのか・・・・。
それを具体的に描いたのがこの映画。
もちろん史実ではなく「多分そうだったんじゃないか劇場」。
あるいは「こういうケースもあったんじゃないか劇場」。


当時の貴族達の暮らしぶりや、食周り- - -厨房の様子も興味深い。
Restaurantの「Rest」は「休息」、「回復」の意。「レストランの先駆け」が、体を癒す食事を提供しお代をもらう場所=旅籠 だったというのも頷けます。
映画では、客人が持ち込む噂話や利用客の会話、兵士の往来でのみ、フランス革命の足音を感じさせるのでした。あえてドンパチの革命は描かず「料理人の改革」を浮き彫りに。


フランスを旅してお城を訪れたときはいつも「厨房はどこだったのかな?」と思うのですが、ボーヌのオスピスをのぞいては、それらしい所を知り得ることは殆どありませんでした。
でもよく見ると、石造りのホール内のアーチ型の窠に煤が付いている箇所が。  食卓史の本に載っていた絵の様子とビンゴ(!)。ここに火をくべ肉を回しながら焙る絡繰り時計のような器具と作業台となるテーブルを置けば、中世の厨房になる(!)。あの時は、ちょっとワクワクしたな〜♡ 18世紀には、大きなストーブのようなオーブンが台頭しているけれど、肉の焙りは依然この絡繰りゼンマイ仕掛け。
料理は「火」(!)、フレンチは肉(!)なのだ。

『英国王室の食卓史』(スーザン・グルーム著)
中世のウインザー城での調理の様子。


マンスロンが使える「食通」公爵の城の厨房。
巨大なストーブオーブンが。火元は薪。



美食が貴族だけの特権だった時代から、庶民が  “料理を楽しむ”  時代の始まり。
それは18世紀末からだったのです。
レストラン「デリッシュ」では、マンスロンをクビにした公爵がギロチンに掛けられたかもしれない話には触れず。

ラストシーンは、「数日後、バスティーユが陥落した」と、スクリーンに映し出された文字のみ。

ちなみに、マリー・アントワネットが処刑台に散ったのは、10月16日。


「デリッシュ」は、秋の森の恵で行き交う人を癒したのだろうねえ)))。


以下、写真はゴブラン会2010より、古典料理の再現。

デリッシュそっくり♪
中身は・・・ジャガイモとトリュフ!?








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