監督:『ベイブ』のクリス・ヌーナン
ビジネスセンスにも長けていて、ライフワークと経済的なことを両立させていた部分は、とてもイギリス的で自立していて素敵です。
出演:『ブリジット・ジョーンズの日記』のレニー・ゼルウィガー、ユアン・マクレガー、エミリー・ワトソン 他
あの、ピーターラビットの生みの親、ビアトリクス・ポターの物語。
時代は20世紀初め(ピーターラビットの初刊が1902年)、まだビクトリア朝の封建的な空気漂うイギリス。
タイタニックの船上で"レディ"教育を受ける小さな女の子が、恭しくレースのハンカチーフを膝に置くシーンがとても印象に残っているけれど、それとほぼ同時期の女性なのでした。
当時のイギリス上流階級の暮らしや女性の生き方がよく描かれていて興味深かったです。
当時のイギリス上流階級の暮らしや女性の生き方がよく描かれていて興味深かったです。
植民地でのビジネス等で得た富を、更に婚姻関係で確固たるものにしていくイギリスの上流階級。ビアトリクス・ポターは、そんな家に生まれながら、何不自由ない暮らしの為の結婚を拒み、湖水地方で出会った動物たちとの物語の中に生きていました。
湖水地方は、ビアトリクス・ポターが幼少の頃より夏の間、ロンドンを離れ過ごしていたところ。慣れ親しんだ動物たちを夢中で描き続け、本の出版に成功。ベストセラーを次々と生み出すアーティストとして大成していきます。
彼女の真の理解者であり編集者でもあったノーマンとの死別を機に、湖水地方へ移り住み、自分の「友達」である動物たちや農村の風景を、開発ブローカー達の思惑から守りたい一心で、印税で次々と農地を買い取り、従来通りの姿のままに運営。ナショナルトラストの設立にも尽力。
彼女が購入した4000エーカーもの広大な土地も、遺言によりナショナル・トラストに寄贈された。イギリスきっての美しい自然と農村風景はこうして守られ、世界中の観光客を魅了する土地となっているといいます。
日本語には「ライフワーク」の直訳が無いのだとか。
「使命」とか「天命」なんて言葉がそれに当たるのかもしれないけれど、ライフワークには、もっと能動的なニュアンスがある。この言葉が使われるようになったのは、いつ頃からなのでしょう。この時代の女性の語彙にこのことばあったかどうかは知らないけれど、彼女のアーティスト人生にはこんな言葉も相応しいように思えます。
ビジネスセンスにも長けていて、ライフワークと経済的なことを両立させていた部分は、とてもイギリス的で自立していて素敵です。
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