2008年3月22日土曜日

『食の未来』 〜The Future of Food〜

米国の遺伝子組み換え作物を巡る問題を取り上げたドキュメンタリー映画『食の未来』(「The Future of Food」2004 米国 Lily Film デボラ・ガルシア監督)を見てきました。

遺伝子組み換え作物を使った製品は何となく本能的に(?)避けてきたけれど、具体的に遺伝子組み替えってどういうことなのかをこの映画は見せてくれます。

その実態は・・・・!?

・寒さに強いトマトや苺には、寒さに強いヒラメの遺伝子が組み込まれている!
・豚にほうれん草の遺伝子!(栄養たっぷりの豚肉)
・食べ物以外でも、観賞用の光る魚には、蛍の遺伝子が組み込まれているものも!?

動物と植物、魚と植物・・・こういった種の壁を越えた遺伝子操作が行われているとは、なんとも不自然を越えて奇妙。)))

さらにさらに、例えばトマトの細胞にヒラメの遺伝子を注入する際、ただミクロの注射器でさして入れるのでは何も起こりませんが、細菌やウィルスを使うことによってそれが可能になるといいます!
そんな具体的手法もですが、そもそも何故遺伝子組み換え作物の研究が進められてきたかというところが、また身震いするほど恐ろしい話なのでした。

『華氏911』『シッコ』等の映画で、マイケル・ムーア監督が各業界政府の裏側のシステムの存在を映画にしたのと同じような、膨大な裏の力が働いて、一部の富みの為に地球を搾取するからくりが(!)。

種苗会社を買収した米国の農薬企業が遺伝子操作された種の特許取得に乗り出し、特許料で巨大企業が潤うというシステム。
その巨大企業の幹部から、環境保護庁次官、最高裁判所判事、商務長官、農務長官、米国食品医療品副長官などが輩出されている事実(!)。あの、ラムズフェルド国防長官も、遺伝子組み換え菜種(キャノーラ)を作り特許に乗り出している元モンサントの子会社社長だったのでした。(だからアメリカでは、遺伝子組み換え容認、その上食品への表示もしないまま。)

遺伝子組み換えのトウモロコシが実際に生産に掛かるコストよりも安く国内外に売られるなど、本来ならあり得ないことですが、そうやって、小規模農民たちを押しやる・・・。
これは、なんだか中世の砂糖生産と極似。

中世では砂糖が、20世紀の石油のような世界商品としてもてはやされました。
欧米は、アフリカから連れてきた奴隷を導入して中南米やアジアにサトウキビの単一栽培(モノカルチャー)を展開し、膨大な供給を可能にしていたのでした。インドの綿花なんかもそんな感じでしょうか。とにかくこのモノカルチャー化で、自給自足が出来なくなり、安い賃金で生活せざるを得ない状況になっていきました。
このモノカルチャーが、次々と農薬の必要性を生み、バイオテクノロジーによって遺伝子組み換え作物をも生み出す。
これは、地球規模の悪循環スパイラルです。

搾取される側とする側。
「飢餓問題は、生産の問題ではなく配分の問題である」。
バイオエネルギーは、これにさらに拍車を掛けることにもなるのです。
まったく、知らないところで、奢れる人間の、とんでもないプロジェクトが進められているのです。

この映画を見ると、遺伝子組み換えのたどり着くところが、種の絶滅、土地の食文化の破壊、地球生命の危機に繋がるということが見えてきます。

フランスやイタリアは、ほとんど全土で遺伝子組み換えをやっていませんし、ポーランド、スイス、オーストリア、ギリシャに至っては、ほぼ100%遺伝子組み換えナシ。さすが! 
方や、日本は、カロリーベースで自給率39%。遺伝子組み換えで大量生産された食糧なしにはやっていけない現状です。情けない・・・。

消費者として何を買うかは、政治への一票。
そういえる時期すら過ぎ去ってしまっているのかもしれません。



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