2018年7月16日月曜日

白干し




“五月蝉聲送麥秋”
(ごがつのせみのこえはばくしゆうをおくる)

陰暦の五月になると、蝉が鳴きはじめて、
過ぎゆく麦秋(陰暦四月)の季節を見送っている様だ。
初夏から盛夏への季節の移り変りをうたう。
蝉、麦秋、梅雨明け、梅干し、紫蘇と時間差を感じる言葉達。
旧暦に43日前後を足すと新暦になる為か。
紫蘇と云えば青、赤ジソがお馴じみ。
共に整腸、抗菌、防腐、健胃、鎮咳、発汗と良い事づくめです。
三国時代曹操の侍医だった、華佗が瀕死の若者に紫の薬草を与えて蘇えられた
故事によるものとな。

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竹爐山房 山本豊シェフが、月替わりでHPに掲げている漢詩の抜粋と解説です。

「紫の薬草」紫蘇で、お薬として中国大陸から伝わった梅を漬ける。
梅干しが赤いのは、色付けのためだけでは無かったのでは???
そんな気がしてきます。

紫蘇を使わない梅干し。なんだか薬効果半減で、残念に思われるかもしれませんが、素材そのものの風味にこだわってしまう自分に、どうしようもなく「日本人」を感じます。

華陀は、日本でいえば弥生時代のお医者様。この時代に麻酔薬まで編み出していたといいます。歴史に残る名医の逸話は数知れず。『三国志演義』と共に語り継がれているようです。
曹操は、身分を問わず能力の高い人材を重用したり、武勇、知略に長けた武将ということで、ヒール役ながら人気の人物。ジョン・ウー(呉宇森)監督の映画『レッドクリフ』では、チャン・フォンイー(張豊毅)が好演していました。

その曹操の主治医華陀。世は戦国時代、外科治療に携わることが多かったことでしょう。麻酔薬「麻沸散」が生まれた背景は想像に難くないです。
曹操の持病の頭痛を「頭を開いて治療しましょう!」と曹操に進言し、怒りを買った(当時の認識では、頭を開くなんて「死ね」と言うのと同じ!)逸話も有名です。
また、関羽の右腕に刺さった毒矢の毒抜き(トリカブトの毒だったそう)に骨を削ったなーんて話は「ほんまかいな??」ですが、きっと麻酔薬を使って深くメス(?)を入れるような、なんらかの外科手術をしたのでしょう。
その他、寄生虫の虫下しとか、堕胎薬とか、華陀は様々な名薬を生み出していたようですが、「麻沸散」を始め、数々の処方は、華陀自らの手で焼かれてしまって残っていないそうです。あ〜〜)))。
それでも、千年の年月を経て華陀の名前やお薬が日本にまで届いているのだから、いや、すごい。

ああ。。。華陀さんにあやかり紫蘇漬けにしたくなってきました。
もとい、誘惑を抑え、自分の中の日本人をあたためるぜぃ。

たかが数十粒の梅に、そんな思いを馳せる土用入り前の今日この頃。

私の頭、暑さにやられたかな。






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