2018年9月26日水曜日

ジブリ展で思ったこと

会期の終盤、ジブリ展(於・広島県立美術館)に行ってきました。
ファンタジーモノが必ずしも好みではなく、「ジブリ作品ならなんでも♥」という訳ではないのですが、「アルプスの少女ハイジ」「フランダースの犬」(当時、宮崎駿さん高畑勲さん在席の日本アニメーションの作品)など、あの絵の温もりで育った私には、やっぱり見なくちゃすまない展示会なのでした。

会場では、手書きの制作スケジュール表や映画のキャッチコピーが決まるまでの鈴木敏夫氏と糸井重里氏との、手書きファックスのやり取りをはじめ、舞台裏のあれこれが、私世代の大人たちを惹き付けておりました。

「生きろ」「生きて」「生きねば」「生きよう」・・・多くの作品のコピーに度々出てくる「生きる」の五段活用。

ジブリヒストリーを一気に垣間見ると、戦前生まれの二人の巨匠(監督)の根底にあるものが滲み出してくる気がします。
そして、それらを戦後生まれ(団塊)の糸井重里氏と鈴木敏夫氏が、もがきながら拾い上げる感じ。))

どの世代にとっても「永遠の名作」たり得るジブリ作品の数々ですが、作者の生きた時代もしっかりと汲み取りたいところです。

『もののけ姫』の、落選になったコピーに「神はなつかない」というのがありました。
自然への畏敬の念が、こんなシンプルな言葉に(!)。
落選だったけれど、なんかグッときました。糸井さん、流石。
(ちなみに、決定コピーは「生きろ。」でした。)

話題作『火垂るの墓』のポスターも、今回初めてじっくり観賞。

『火垂るの墓』が『蛍の墓』ではないこと、B-29から降る焼夷弾が描かれているこのポスターが明確に表しています。高畑監督は、ふわりとした美しさの中にドキッとすることを込める天才。この映画のコピーは、「4歳と14歳で生きようと思った」でした。でも、高畑さんには、もう一つの思いがあったようです。それは、このインタビューで顕著です。http://asita-wadai.com/seita-721   この時代のリアリティーを知らなければなかなか理解できないところかもしれませんが、今の物差しで、過去に起こったことを測ることはできないということを、改めて痛感させる作品です。
いろいろなことをこなす為に必要な学びに押され、歴史観を踏まえて考えることがおざなりになりがちな昨今ですが、時代をおもんばかりながらエッセンスを捉えることの大切さを改めて考えさせられます。

映画でも、絵画でも、小説でも、そして料理でも、きっとそうだと思います。

時代時代に注目された料理研究家がテーマにしてきたことは、その時代の映し鏡のようです。薬膳や漢方もきっとそう。健康不安や暮らしの中の違和感が、模索の中から導き出している一つのツールなのでしょう。
巻き戻すだけでは答えは出てきません。科学が紐解く説得力と共に、追いかけたいと思います。

とにかく最初から最後まで大混雑の人気展示会でしたが、こういうプロセスを見せてくれるものって、いいねー。)))
考えさせられました。



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