2019年6月26日水曜日

「ワインという物語」



美味しいワインて、どんな味??


イタメシ(なんて呼んでいた!)ブーム第一波と共に、甘めの白ワインなどがジワジワと広がりつつあった頃のこと。まだ、ワインは甘さが美味しさだった気がします。
甘いワインといえば、赤玉パンチ(笑)。大正生まれのモダンガールは、養命酒のようにたしなんだとか。
あの時代に、今「美味しい」とされているワインの味は「渋い」「辛い」「マズイ」・・と言われてしまっていたかもしれません!??
いや、ワインは醗酵物だもん。醗酵が生み出す味と香りの受容体は、日本人のDNAにはしっかりと組み込まれているのだ!
その後のワインブーム〜バブルが弾けても尚浸透し続ける様相が、その証拠?!
今や、フランス人をうならせるワインを生み出したり、フランス人と一緒に生み出したり・・・(!)、そして、日本の料理と共に、日本人の味覚が世界的に高評価を博しているのだから。

そう♪ 湿度の高い日本に暮らす日本人は、微生物と付き合うのは得意なはずなのよ。
だからもう、「抗菌」なんて言葉は捨てて、菌と共存の道を歩みましょう♪


おっと、今日はそんな話ではないのだ。腸活談でも薬膳でもなく、目から鱗のワイン談のつもりなのです。

・・・というのも、『ワインという物語』の著者でもある大岡玲先生ご夫妻とヴァン・ナチュールのワインを呑んで、とっても楽しい時間を過ごしたから。


この本は、ヨーロッパの古典本をワインで紐解く・・・という、なんとも敷居の高そうなことを、「旨い、旨い!」とワインを呑み、酔っ払いながら、まるでつまみのように語っている、なんとも愉快な本なのです。

実はコレ、2000年に出版された本の再版で、田崎真也氏監修の『WINE LIFE』に1999年に連載された「文学なんて、ワインでわかる」をまとめたもの。

この頃、私と言えば、折々にワインセミナーや試飲会にも参加したりして、ソムリエの解説を聞きながら、手の届くグラン・ヴァン(=しばしば高価で長期熟成型の、ブランド力のあるワインを指す言葉)にお小遣いをつぎ込んでいたっけ。(5千円のワインが「安い!」と感じたとき、ああ、これはヤバイ!と、足を洗いましたけど・苦笑)
ワインを選ぶときに参考にする解説文には、「パーカーポイント○○点」とか、「黒スグリ」「なめし革」「リコリス」「麝香」「ブーケ」etc...ソムリエの教科書にあるような形容は、どれも自分の語彙には無いものばかり。思えば、感覚を解説の方に歩み寄らせるような、そんな試飲も多かったように思います。

事前にインプットした情報をちょっとばかりの経験で肉付けし、解ったような気持ちになる。何でも手軽に学べる便利な時代の実体は、そんなところかもしれません。

学びの後に「問い」がなければ「学問した」とは言えないのでは?
ちょっとばかりの経験をしながらも「何故?」「どうして?」「ホントに!??」と、問いと自分なりに出した答えを重ね塗りしていくことが、本当の意味での理解へのプロセスなのではないでしょうか。

21世紀を前に、すでにこんな風にワインを楽しんでいた大岡玲先生と故・勝山晋作氏は、非凡な方々であることは、疑いの余地もありません。

さて、そのワインとは・・・

  古代ローマ人が飲んだであろう味わいだったり…

  聖戦で飲まれたであろう酸っぱいワインもあったり…

  お漬けものを彷彿とさせる味と香りがするものまであったり…!!

  先生の言葉をお借りするなら、「ただれたワイン」。

あんまり褒め言葉になっていないような響きだけど、癖になる味〜〜〜。


うんちくよりも、体で感じて、心を旅立たせるような、そんな味わい方で挑むと、こんなところにもたどり着けたりするのですね。
ワインは異文化故に、なかなか勇気が要るアプローチかもしれませんが、行き着く先は、案外身近なところだったりします。

私も、その「ただれたワイン」とやらを、晴れて実物と結びつけることができ、膝を叩いた次第です。


お二人の愉快なワイン談と、大岡先生の膨大な読書歴に基づく「ワイン万事塞翁が馬」物語。
お二人は、ローマ神話のワインの神バッコス(Bacchus)の使いに違いないw!








※故・勝山晋作氏がオーナーを務めた楽記は、2019年6月22日を以て閉店となりました。
 
 

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