『プラダを着た悪魔』、これは、まさしくビタミンムービー!
ジャーナリストを目指してニューヨークにやってきたアンディ(アン・ハサウェイ)が、ファッション誌ランウェイのやり手編集長ミランダ(メリル・ストリープ)のアシスタントとして奮闘する日々を描くドラマ。
悪魔・・・とは、メリルストリープ扮するミランダのこと。
24時間、ミランダの公私堺ない強引な指示に振り回され、いつの間にかキャリアの為に恋も友情も犠牲にする生き方に引きずり込まれていくアンディ。憤慨しながらも、仕事の厳しさやカリスマ編集長の孤独を知り、成長していくアンディには、誰しも共感できるはず。
登場人物が着こなすプラダ、シャネル、ドルチェ&ガッバーナ、ジョン・ガリアーノ、エルメス等々のファッションも見モノだ。
それにしても、この映画でのアンカー的存在は、メリル・ストリープ。目や唇の動きだけで、周囲のムードを一変させるドラゴン・レディの迫力は、役柄を越えた大物女優の存在感そのもの。ミランダが単なる悪役に治まらない魅力を放っているのは、彼女だからこそ描けた役柄だと思う。
グッと着た台詞がある。
ファッションにはあまり頓着のないアンディ。ファッション業界に身を置きながらもこれまで通りのロー・モードな服装で仕事を続ける彼女に、ある日、ミランダが容赦なく厳しい言葉を投げかける。くじけたアンディが、スタイリストのナイジェルのオフィスを訪ねて自分の努力を分かってもらえない悔しさを訴えたときの、ナイジェルの一言。
Get up at 6:00, she(ミランダ) is just doing her job.
ファッション誌ランウェイというアートを生み出す作業の為にみんな働いているのである。誰かに褒められるため、認められる為ではなく、素晴らしいものを造る為に頑張っているのだ。ミランダは、ドラゴン・レディと言われようがスノー・クイーンと言われようが、自分にしか出来ないという自負のもと、より完璧を求めて仕事をしている。プロの仕事には、努力賞などない。
確かに、アシスタントや秘書という仕事は、「自分の為の仕事」と考えにくい業務であるかもしれない。言われたことをこなすことに右往左往させられることも多々ある。自分のフィルターの使い所を心得ていないと、虚しさばかりが募る。
ナイジェルの言葉で、アンディは、仕事へのアプローチを一新、ナイジェルの陰のサポートを貰いながら、ミランダもハッとするようなファッションに身を包み、仕事への覚悟と意欲をアピール。周囲も、次第にアンディを認めるようになる。
昼夜ない多忙な日々の中での、同僚たちとのやり取りが何とも小気味よい。
テンポのよい場面展開に、マドンナの『ヴォーグ』がしっくりハマっている。
ラストの、ミランダの笑顔が印象的。))))
デヴィット・フランケル 監督。
ローレン・ワイズバーグ 原作。
ローレン・ワイズバーグは、ファッション誌『ヴォーグ』の編集部で、当時のカリスマ編集長アナ・ウィンターのアシスタントとして勤務していた経験があることから、ミランダのモデルはアナ・ウインターではないかとささやかれているそうだ。作者本人はこれを否定。アナ・ウインターも「自分とは似ていない」とコメント。メリル・ストリープはというと、(ウインターではなく)幾人かのビジネスマンを参考に、役作りに取り組んだとフォロー(?)しているそうだ。
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