2020年8月16日日曜日

ガンパウダー



ガンパウダー(Gunpowder)とは、火薬のこと。

最近は、オーガニックガンパウダーもあるらしい(!?)

ハイ、これはお茶です。

中国名を「平水珠茶」といって、浙江省平水の緑茶。
しっかりと小さく揉捻され球形なので「珠」茶。

写真は、保存版にしているちょっと古いものです。(古いですが、見た目はそんなに変わっていません。)
数年前、日本のお茶屋さんで「上等のガンパウダーです」というのをみせてもらった時「え?これが??」と思ってしまった。お茶づくりもだんだん技術が変わってきちゃってるのかと、少し残念な気持ちになり、手元に残っていたものをサンプル用「保存版」にしました。
世の中が変わっても、自分の中のスタンダードは守りたい。


それにしても、お茶にこんな物騒な名前を付けるなんて、茶を輸入していたイギリス人の仕業かな。緑茶だけど少し燻香があるところも、このネーミングの「引き金」になってたりしてw

17〜18世紀、専ら輸出用だったらしいガンパウダーは、今はイギリスの紅茶専門店などで見かけることがあるくらいで、他では滅多にお目に掛からない。元々油脂の多い食文化圏であった欧米では、緑茶より発酵茶が好まれるのは必然。19世紀後半英国がインドでの紅茶栽培に成功して以降、欧米は専ら発酵茶(紅茶)を所望し、高価で品質管理が難しい緑茶とは縁遠くなっている。

フランス領でもあったモロッコでは、今でも緑茶がたっぷりのフレッシュミントとお砂糖と共に「ミントティー」として飲まれています。
フランス経由ではなく、アラブ人のルートでスパイスと共に流通していたのでは?などと想像が膨らみます。

モロッコ式ミントティーに出会ったのは、アメリカ東海岸で在学中。中近東料理のフードトラックが供するのが、コレでした。
一日の終わりのハーブティーのつもりで購入したら、なんともストロングな煮出し緑茶。
苦み、渋みにスーッとパンチのある清涼感。
眠気覚ましのガムみたいな味で、リラックスどころか、あらゆるスウィッチがオンになってしまったのでした。

何年かして、同様のものをモロッコで味わいました。
ドライミントがフレッシュになり、砂糖倍倍増(!)。
しぶっ!
あまぁ〜っ! 
スー〜〜!

圧倒的に違うのは砂糖の量で、モロッコでは、それはそれは・・甘〜くして飲むのだ。
聞けば、モロッコ国内でも沙漠に近い地方に住んでいる人達は、更に甘いのを飲んでいるのだという。ベルベル人(サハラ付近に暮らす沙漠の民)のお茶は確かに一層甘かった。))

これは飲む点滴。何日も飲まず食わずで沙漠を旅してきた人にとっての気付け薬だった名残なのだ・・!ーーー強い陽射しと乾いた風の中で頂いた一杯のお茶から得た持論です。

遠く中国から運ばれた緑茶。
スパイスと並んで取り扱われる砂糖。
地の逞しいミント。

旅の思い出と東西歴史絵巻の一片が、脳裏にぶわぁ〜〜っと広がったのでした。



記憶のトリガー(引き金)、ガンパウダー。

おや、物騒な響きも、的を得た名前に思えてきたぞ。

暑さでぼ〜っとしているところに ズキューン!



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