2021年1月12日火曜日

テリーヌ v.s.パテ





12月半ばに注文しておいたオー・ボン・ヴュー・タンのテリーヌがやっと届きました。
セットのみの販売。

テリーヌは、とてもフランスらしい食べ物だと思う。
フランス人のやっているビストロでは必ずメニューにはテリーヌやパテがあるし、またそれが美味しいのだ。
少々乱暴な言い方かもしれないが、料理のルーツを鑑みて言うなら、日本のお魚料理でいうところの「あら炊き」や「煮こごり」、あるいは「かまぼこ」、「はんぺん」…だろうか。半端な部位をキモや血など合わせて練り固め、ハーブやスパイスの芳香でまとめ、型焼きしたりパイ生地に包んだりして美しくまとめるのである。肝を美味しく食べること、内臓や皮等をくまなく食べる料理があることは、その食材がその土地の食文化の、それこそまさにキモになっている証拠だと思う。
そんな料理を、フランス料理を愛する料理人が大事にするのも、そしてアートと昇華させるに至るのも必定か。))


河田勝彦さんのフランス伝統菓子の店オー・ボン・ヴュー・タンは、2015年に移転拡大。その折に、河田さんの次男 力也さんがシャルキュトリ部門を開かれました。こちらもフランスそのままの味を提供しておられます。
シャルキュトリとは、ハム、ソーセージ、パテ、テリーヌなどの食肉加工職のこと。その職人のことをシャルキュティエといいます。日本にはあまり馴染みがないけれど、中国料理に点心師という専門職があるように、フランスにはシェフとは別にシャルキュトリやパティシエがあり、力也さんは日本のその分野における開拓者のひとりとも言えます。
戦後、平和の象徴・甘い洋菓子に始まり、ワインブームを経て、21世紀はワイン通フランス通には必須のシャルキュトリ・・・。オー・ボン・ヴュー・タンは、店名でもある「古き良き時代」を醸し出しつつも、ぐいぐいと時代の先頭を行くパイオニア親子のお店なのだ。

「現地の味をそのままに」という思いは、その土地に対するリスペクトでもある。
愛にはあふれているものの、とんでもない日本料理を提供している海外のお店へ日本のプロフェッショナルが乗り込むというバラエティ番組があったけれど、愛はひとりよがりではダメなのよん。
お店にはフランス修行経験者や同業者の訪問も多いご様子。フランスでの修行から帰ってきたところなのか、スーツケースを引きずるお弟子さん(?)を見かけたこともありました。イートインコーナー(現在は新型コロナ対策でクローズ)では、味わいもボリュームもフランスらしい定食を食べて語り合ったり、黙々と何種類かのケーキを味わったり(研究したり?)している姿がみられます。フランスのカフェ同様長々と居座っても、お店の方に嫌な顔されることはありません(笑)。

足を運ばなければ味わえなかったお味が、今、コロナのお陰(??)で、地方発送していただけるようになっているのは有り難い。。。


ところで、テリーヌ(Terriene)とパテpâté)の違いをご存知でしょうか?
添付写真にも、ほとんど同じ風貌にもかかわらずパテ—と呼ばれるものが2品あります。
「テリーヌ」とは、もともと蓋付きの陶製の焼き物容器のことなので、肉や魚のすり身などを香辛料等で味付けし、そのままテリーヌ型に入れて焼上げると「テリーヌ」、パイ皮で包んで焼上げると「パテ」というのが本来の違いだったようです。
即ち、素焼きがテリーヌ、生地で包んで焼いたものがパテ。
パテ(pâté)という呼び名は、パイやパスタの語源にも通じる言葉。
語源辞典で調べてみたら、ギリシャ語Paste(=小麦粉の粥)、ラテン語のpasta(=練り粉) にはじまり、古いフランス語ではPaste(今日のpâte) 小麦粉の生地を指すことばになっているのでした。パイ皮のpâteを指すようになったのは12世紀以降だとありました。
練り粉teが、麺類やパスタを指すPastaへ、14世紀になって英語のペーストPasteという言葉になっていったようです。歯磨き粉(teeth paste)がパイと親戚かと思うとちょっと違和感があるが、ルーツは同じなのだ。ちなみに英語では、パテのようなお料理のことをPastyと呼んだりする。
昨今では、パイ皮の代わりに脂や網脂(クレピーヌ)や葉野菜でくるんだり、型もいろんな形があるようで。
なんだか米文化圏で見る漢字の米偏のような語なんですねえ)))。

最後に、パテ&テリーヌの祭典をご覧あれ!














「現代ビュッフェ料理の真髄」(2007~2015)
ゴブラン会 Association Gastronomique au Japon より


めっちゃ美味しかった・・・!




河田力也さんインタビュー記事(2018)
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