2011年1月18日火曜日

『貝と羊の中国人』

お金の形を模った餃子をたべたり、お葬式には、あの世でお金に困らないようにと、紙銭(お札に似せた紙の銭)を燃やしたり・・・。中国を旅すれば、交通整理の警察官が賄賂で買収されるし、手術の順番も賄賂次第・・・(!?)。

現代中国の表層をみていると、お金しか信じていないのか~~~という印象を抱いてしまいます。

あまりに広大で、あまりに多面的で、他民族的で、とらえようのない国として手に負えない感が強い中国ですが、この中国の本質を丸ごと大きくとらえて、先祖から受け継ぐ貝の文化と羊の文化で語っているのが、著者の加藤徹氏。

「貝の文化」とは、有形の物在に関わる漢字、寶(宝)、財、費、貢、貨、貧、販、貸、買、賜、賃、賭、贅・・・など。

「羊の文化」とは、義、美、善、養、犠、祥、羨・・など。

日本民族が、弥生人と縄文人の融合からはじまるように、イギリス人が在来のケルト人と征服したアングロサクソンで生まれたように、中国も、東方の豊かな地で財貨的な価値を信じていた殷と、その後から入ってきた遊牧民族的で羊を宝としてきた周の気質が合わさっているといいます。

東方のユダヤ、華僑の商才と儒教や共産主義に象徴されるイデオロギー性。

でも、"羊の文化をリファインして創られた" 儒教の産みの親、孔子は、貝文化の殷人の末裔なのだそうです。

なるほど、日本の物差しでは測りきれない国な訳です。

軽やかな語りだけれど深~い話が盛りだくさん。

貝銭の形の餃子を作っていたら、『貝と羊の中国人』を読み返したくなりました。




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