2022年10月6日木曜日

ピータン 「皮蛋」

殻を割ると、コハク色のゼラチン質と灰色の黄味という、食べ物とは思えないエグイ外観。
初めて食べたのは、いつだったろうか??
ショッキングなルックスなのに、何故か記憶が稀薄です。

中国通の友人に連れて行ってもらった台湾料理屋で食べたのが初めてだったのではないかと思うのですが、おそらく念入りな解説付きでその正体に関する予備知識をトクと訊かせてもらったはずなので、そのお陰か、恐怖心がなく「イケる食べ物」と、インプットされたのだと思います。

友人がきっといろいろ教えてくれたはずなのに、すっかり忘れて、再び自分で調べることとなってしまった。。。

『中国食物事典』によると、現在の作り方は、水に紅茶、塩、木灰を入れて煮立てた中に、石灰や天然ソーダなどを加え、ここにアヒルの卵を入れて20℃~24℃を維持して40日ぐらい熟成させ、その後、卵を粘土で包み、籾殻をまぶして保存する---という製造工程。
生卵が固まるのは、アルカリの仕業ということのようです。

黄身がしっかりと固まっている「硬心皮蛋」と黄身が固まりきっていない「糖心皮蛋」の2種類があり、前者はアンモニア臭がつよく、あらかじめ皮むきをしてやすませる時間をとることが必須。(これをしないで、苦手になる方、結構多し!)
後者は台湾の皮蛋「松花蛋」によく見られますが、アンモニアの刺激臭がほとんどなく、すぐに使えます。

ピータンが考案されたのは明代らしいのですが、冷蔵庫の無い時代、卵を保存する方法をいろいろ探っていた結果うまれたのでしょうか?それとも偶然の産物??
保存といえば、塩漬けですが、塩卵というのはアジア各地にもある。ゆで玉子を塩漬けにするものです。こちらなら意図的な保存方法です。。。

かんすいや木灰・・・アルカリ使いについては、中国がダントツのような気がします。


写真は、竹爐山房風「皮蛋豆腐」。
和の設えにもフィットする一品です。




2022年10月4日火曜日

10月 琥珀茶会のご案内



8月予定だったお茶会が10月に延期となりました。
お茶もお茶請けも、秋バージョンに整え直しまして・・・
お話は・・・
お話したかったことが増えてしまって、今も取捨選択の日々です。

【歌<トーク】のさだまさしのコンサートのようにならないよう(【お茶<トーク】にならないよう)にしなくては。
 
皆さまのご参加、お待ちしております♪


2022年9月26日月曜日

王冠 の宝石

 大英帝国王冠  The Imperial State Crown


イギリス版、三種の神器のひとつ。
王冠に填め込まれた宝石の数々は、贈答品であり戦利品。
王冠は、大英帝国の栄華の象徴。そして、歴史絵巻。

英王室所有の宝石には、元植民地からの返還要求もあるのだそうで。

11世紀、エドワード懺悔王ウェストミンスター寺院を建てた王!)が所有していたサファイアとか・・・
14世紀、英仏百年戦争の渦中、カスティーリャ王(現スペイン)ペドロ1世からエドワード黒太子(1330年 -76)に贈られたルビーとか・・・
16世紀、教皇クレメンス7世(あの、ヘンリー8世を破門した教皇!)がカトリーヌ・ド・メディシス結婚の祝いに贈った真珠とか・・・
20世紀初頭、当時植民地だった南アフリカで発見された世界最大のダイヤとか・・・
19~20世紀、インドシーク王国やムガール帝国)のマハラジャたちの宝石も?!

重さ、910g もあるんだそう(!)。

ドキュメンタリー映画『エリザベス 女王陛下の微笑み』(八丁座で上映中)でも「My neck will break…!/ 首が折れそうなの 」…と。
あれはジョークではないな。

王冠の重みもさることながら、歴史の重みもズシリと女王の頭上に圧し掛かったことでしょう。


写真は、昔メトロポリタン美術館で購入した図録より。
宝石を産する国のふんだんな宝石使いにのけぞってしまう。
ストーン・パワーともいいますが・・・
こんな豪華なものを身に纏うには、纏う側にも石に負けない気力・体力・気迫…等々相当なエネルギーが必要でしょうね。。。

石のパワーに助けられるのか、石と張り合うのか??

特に大柄なものは、マハラジャたちのターバン装飾に使われていた様子。
このすさまじく豪華な宝石に負けることなく堂々足る佇まい。
良くお似合いだこと。



















2022年9月18日日曜日

10月 料理教室


  テーマ:油脂考察と揚げものレッスン♪


  汗を沢山かいた夏の後は、乾燥肌になりやすいとか。
  現代人が油脂不足なんてことは、まず無いでしょうけれど、その昔、
  確かにあった、油脂不足(!)。
  
  あっさり揚がる揚げ方、そしてあっさりいただけるレシピをご紹介します♪


  ● 日時:10月,  2(日) ,  9 (日)


  ● 内容:

   ・開胃 & 潤いのスープ 
    (潤いで火照りを取る発想の薬膳スープ)

   ・揚げ春巻きバラエティー 点心の懐(お総菜〜おつまみ、おやつまで)
     エビ・ピータン・お芋、キノコ、お魚 etc..

   ・むかごとレンコンの一品 


   ・五子粥
    「チャングム」にもでてきた韓国のお粥   

   ・美味しい中国茶

   ・潤いの黄金デザート(腸と血のお掃除)



 

2022年9月8日木曜日

中秋節:月のお話

 中秋節。日本、中国それぞれのものがたり


日本では、月で兎が餅搗き。
中国の神話伝説では、月には金木犀が咲き、ヒキガエルがいて薬を搗いていると伝えられ、中秋の名月が美しいのは、月の金木犀が満開を迎えているからだという。

ところで何故ヒキガエルなのか。それを探ると中国版 古事記の『淮南子』、嫦娥奔月(じょうがほんげつ)/ 嫦娥月へ登る  へと導かれる。
各地の民話をまとめた物語故、ネットでググったりすると「諸説あり」が入り乱れ、矛盾のドツボにハマるのは必定。一筋縄ではいかなそうな気配ムンムン。
かなり手こずるが、大切りするとこんな感じになろうかと思う。
(※『淮南子』の原本を読んだわけではないので、これもまたかき集めのちゃんぽんになってます。)

まず、そのヒキガエルは、仙女だった嫦娥(じょうが)なのである。
嫦娥の夫、后羿(こうげい)は、弓の名手で、なかなか男前だったらしい。
この時はまだ結婚しておらず、※嫦娥さんが数々の求婚相手の中から后羿を選ぶという話もあって、その部分がかぐや姫に取り入れられているとも。嫦娥さんについては悪女説といい女説があり。

あるとき、天界に太陽が10ケも現れるという異常事態が発生し、地上は灼熱地獄に。
天帝(東王父)の命で后羿は、9つを射落とし、再び太陽1つの世となり平穏を取り戻した。
世を平定した后羿に、西王母(せいおうぼ)は、褒美として不老不死の薬を下賜する。
(ココ、后羿が不老不死の薬を手に入れる経緯に諸説あり。)

ところが、名を上げ出世した后羿は、だんだん横暴になっていったので、妻の嫦娥は、こんな男が不老不死になったらたまったものではないと、后羿が賜った不老不死の薬を盗んで飲んでしまう。嫦娥さんいい女説では、全然違う展開になる(末尾のリンク参照)ので、これは悪女説なのかな

西王母は、自分が渡した薬を盗んだ嫦娥をお咎めになり、ヒキガエルして月へ追放してしまいます。天界を追われた嫦娥は罪滅ぼしに(盗んだ薬を返すために)月でせっせと薬草を搗いているのだという。
・・・とまあ、細かいところを言及せずに流すとこんなお話なのだ。



おやま、月と下界は天上界の流刑の地なのか。)))
楽園を追われるアダムとイブしかり、地上とは苦しみの多いところという認識は東西共通なのですね。

『西遊記』では、孫悟空が西王母が所有する不老不死の仙桃を盗んで下界に降ろされたという設定だった。猪八戒も、天上界で嫦娥さんを見初め、ストーカーしたことが訴えられて、下界へ追放処分となったということだ。(法政大学比較文学者 王敏 「中国「花」文化ー桂花考ー」より)。

『西遊記』に出てくる豚・猪八戒は、三蔵法師に拾われ天竺への長い旅路をお供するとなるのだが、これは明代(16世紀)になってから承恩(1504?- 1582)によって書かれた白話小説での展開。※猪八戒も后羿も、美しい仙女 嫦娥さんに猛アプローチを掛けていたのだ。「猪突猛進」という言葉はそんなもうアタックぶりも彷彿とさせる(!?)。

この『西遊記』の時代背景は、三蔵法師=玄奘(602 - 664)の頃。唐前期(李世民〜武則天の頃)。日本が倭国から日本になった奈良〜平安の遣唐使全盛期である。
そして『西遊記』は、玄奘の記した旅の記録『大唐西域記』(646) が基となっている。
猪八戒も后羿も、仙人という設定なので、タイムラグはひじょ〜〜に長いのだ。(だからいかようにでもムリクリ辻褄合わせが出来てしまう民話w)


中国のあんなそんな物語が日本に伝わり、日本社会のいろいろに置き換えられメタファーが盛り込まれて「竹取物語」になったともいわれている。ジブリの 高畑 勲監督の映画タイトル「かぐや姫の物語〜姫の犯した罪と罰」も、なるほど意味深だ。

さて、中国版の物語は、何のメタファーなのだろうか??
中国の神様だの仙人だのを紐解くのは私にはハードルが高すぎるが、こんなことも想像できる。


后羿が射落とした9つの太陽。
それは、天帝(東王父)の10人の子供の跡目争い!?

天帝の時代、それは、殷、周、春愁戦国と始まる中国年表の、その殷の前、中国最古といわれる王朝「夏」の頃ではと言われていて、皇帝と神話の神がオーバーラップしているような時代。(日本の神武天皇みたいな感じかな。)地図上では、洛陽や開封といった多くの王朝の首都が置かれた黄河流域を含むエリアにあったようだ。

天帝=東王父に対して西の西王母。西王母は、崑崙山いるという。
崑崙山は、遠くタリム盆地と青蔵高原の狭間にある崑崙山脈のことではなく、中国古代の伝説上の山で、黄河の源流辺りだと考えられていた。いわゆる桃源郷のイメージもこの辺りで、玉を産み、不老不死の水が湧くその地に、女仙人西王母が暮らしていると考えられていた。

「兄弟の争いを平定して参れ」と帝の命を受けた軍師后羿は、“平定ではなく結局9名を死に追いやる結果となってしまい、息子達を殺された東王父に「そこまでやれとは言っとらん!」と疎まれた??(wikiにはそういう結末の説も。←中国ドラマをいろいろ見る限り、そんな情めいたことは一切無かったろうと私には思えるのだが。)
また、10人の皇子は皆母違いで、西王母の子供のみが、生かされた「太陽」だったことで、后羿は母西王母から、褒美を賜ったとか?  

天下平定に大奮闘した后羿の働きが帝に評価されなかったことで、后羿と嫦娥は、天界=都を離れて、月=田舎で暮らし、華やかとはかけ離れ、豚とヒキガエルのようになっちゃった……なーんてねw??  

逢蒙殺羿(ほうもうさつげい)


こんな故事があるそうです。
弓の名手だった后羿は、弟子で家僕の逢蒙(ほうもう)に弓の手ほどきをしてやっていた。
逢蒙は上達し、やがて自分は師、后羿よりも上だと考えるようになった。
后羿がいなければ自分が「天下一」。野心を抱いた逢蒙は、后羿を殺してしまう。
そこから、身内に裏切られることを「逢蒙殺羿」と言うようになったのだそう。転じて、弟子や友人はよく選ぶべきだという教訓でもある。
どうやら先の私の妄想「田舎に引き込んで豚のようになった(チャンチャン)」は、早くもハズレということか。

語り継ぐ人の「こうであったらいいのにな」という思いにストーリーも盛られ、伝説というものは果てしなく広がっていき、今日の私達を悩ませるのでありまするなあ〜。)))


嗚呼、今や「嫦娥」は中国の月探査ロケットの名前。
千年の伝承を打ち砕く月の真実を明かすロケットの名前になろうとは。


聘珍樓のサイトには、「嫦娥いい女説」のお話が載っています。
切なさもあって、この説なら「竹取物語」に通じるところ多々ありかなという気がしますデス。






2022年8月13日土曜日

セイロン紅茶とスリランカ

 1990年代後半。今思えば、あれもひとつの“ブーム”だったのでしょうか。
豊かな品揃えの紅茶専門店が楽しくて。
当時、好奇心が先行して前のめりの私は、度々通って「ここのお茶、全部制覇しちゃうぞ!」と、本気で思っていたものですw
今は「制覇する」なんて言葉の薄っぺらさに恥ずかしさばかりですが。

バラエティーを遊ぶお年頃を過ぎ、ここ十年以上はずーっと、神田神保町のティーハウス・タカノさんのヌワラエリヤを飲んでいます。
タカノさんは、多種をそろえるのではなく「今年はコレ!」と、味の絶対値でもって買い付けられるのです。だから品揃えは10種に満たない。でも、その中に、ストレートで美味しいもの、ミルクティー用、スパイスティーや煮出しチャイ用それぞれのベストが揃っているのです。
嗜好品ですから、客観的に「ベスト」といえば、もっといいもの、高級なものはいろいろあると思いますが、今風に言うとSDGsな価格と美味しさのものが揃っているのです。

5〜6月、ダージリンのファーストフラッシュ、続いてヌワラエリヤ入荷のお知らせというのが恒例。

が、今年は未だ船荷が着かない・・・とか。
手元の茶葉が少なくなってくると、途端に当たり前の美味しさが貴重なものになってきました。
7月5日のスリランカ「破産宣言」からひと月。現在、スリランカはどんな様子なのでしょう??

同じ味が頂けるってことは、平和ってことなのですね(!)。

17世紀以降、ポルトガル - - - - オランダ - - - - イギリスと、支配の上塗りを重ねられてきたスリランカ。
イギリスの支配は「胡椒の後に、唐辛子が来た」と表現されるほど「辛い」ものだったという。
プランテーションもコーヒーから紅茶へーーー。

写真は、10年前、スリランカ・ヌワラエリヤを訪れた時に宿泊した
チューダー様式のホテル(=元イギリス人の館)に飾ってあった写真です。










2022年8月7日日曜日

9月の料理教室

 皆さま、お元気でお過ごしでしょうか?

まだまだ猛暑が続きそう・・・!

9月は、ドカーンと疲れが出そうな予感もします。

そんな訳で、テーマは「滋陰補腎の養生ごはん」。

夏の疲労がたまった体に優しいお料理をーーー。

実は、料理教室を始めてから「初」のフカヒレです!

フカヒレは、特別なお料理ですが、ご家庭でも美味しく頂けます。
いろんなものがお取り寄せ出来るようになった時代の、こんな活用法いかが??
というご提案も♪
少しずつですが、召し上がって頂こうと思う次第です。

秋〜冬、補陰補腎に繋がるお食事に仕立てて展開予定です。
是非、ご参加下さい♪


●日時:9月 3日(土),4日(日),10日(土),11日(日)
    10:30~14:30


●内容:
「滋陰補腎養生ごはん」

   ・客家擂茶(←7月より繰り越しの一品)
   ・老虎菜
   ・季節の野菜炒め
   ・フカヒレ 湯葉トロ煮込み
   ・桑甚ごはん
   ・極上中国茶(※ワンランク上の中国茶)
   ・季節のプチデザート