日中表を歩くのが、かなり辛くなってきましたが、それは日本も同じかな。気温よりも日差しの強さで皮膚も目もやられそうです。肌を出している方が暑い・・・。
「ところ変われば、品かわるんです。」
昔、地理の先生が口癖のように言っていた言葉がリフレインする。
衣服、住居、道具・・・その全てに「なるほど・・・!」と、頷くだけの理由がある。
●甘いミントティー
サハラを縦断してきたキャラバン隊は、慢性的栄養失調だっただろうし、そんな時に、砂糖は最も即効性のある栄養剤。ミントは気分をスッキリしゃっきり気付け薬になったことでしょう。
砂漠地方の人たちは、特に甘いお茶を飲んでいるのだそう。そういえば、この前お茶をごちそうになったお店のおじさんも(写真左上)、ワルザザート(アトラスを超えてすぐの町)出身だと言ってた・・・。
●オイル
スキンケアは、専らオイル。
アルガンオイルといって、アーモンドのような実を付けるアルガンという木があり、その実からとるオイルは、オリーブオイルの3倍以上もビタミンEがあります。このオイルは、スキンケアにも料理にも使えますが、こちらでも大変高価で、コスメ用(ローストしていない)は100ccが2000円以上。
マラケシュから大西洋に向かって車を走らせると、乾いた大地にアルガンの木がボツボツと生えていて、放牧されている山羊が木に登って葉を食べている光景を見ることが出来ます。
アルガンがとれる地方出身の女性の肌が年齢の割に、シミもシワもなくて綺麗だったので、おおっ!?
これはアルガンオイル効果か!??・・・と思った次第。
今でも石臼で挽いてオイルをとっているところもあるそうで、その作業をしている女性は、手だけがとても綺麗なんだそうです。(仕事上、手にはオイルが馴染むけれど、自分用に使うことはないので顔のお手入れはしていないのでしょう。)
その他、軟膏類など、なんでもオイルベースが多いです。
(写真左下:60近く?にしてこのお肌!彼女は、アルガンがとれる地域から親戚を訪ねてマラケシュに来ているところ。)
●アイライン(コハル)
彫りの深い目鼻立ちにくっきりとしたアイライン、長いまつげ・・・。
エキゾチックな魅力に溢れたベルベルの女性のメイクにも、美の追究以外の効果が!
「コハル」という鉱物を潰して、黒いアイラインを作りますが、本格的には、これに更に薬草を加えて作るのだとか。これを、マツ毛の生えている内側にも塗り、バクテリア等から目を守っているという訳です。(写真左下)
沙漠の民の、砂埃から身を守る工夫。みんなまつげが長い(!)のも、身体が長い年月を経て気候に適応した結果かも。
マラケシュでも、時折砂嵐が吹き、目を開けていられない時があります。これじゃあコンタクトレンズは普及しないかな))))。
●アラビックコート:”ジャラバ”
砂嵐からも強い日差しからも身を守ってくれるのが、”ジャラバ”。
どんな格好をしていても、これを着れば、表に出られるし、ゆったりとしていてどんな服装の上にも着られる。
ジャラバと大きめのスカーフは、専ら化繊素材が多いのですが、その方が手入れが楽で誇りを吸ってもジャバジャバ洗えます。日本のように、汗でベトベトになることはあまりないので、化繊でも風が通ればOK。シワにもならない。
厳格なムスリムの女性は、バッチリ黒装束のジャラバに、目以外の顔も覆い、手袋までしていたりしますが、ジャラバは袖も大きくて長いので、手の甲も半分以上はカバーすることが出来る。
●家:モロッカンハウス
新市街や新しい住宅地の家の多くには地下室があります。
地下1階、地上2階に屋上付きというのが殆どで、家の中もタイルや石のフローリング・・・。
細かい砂埃が風と一緒に入ってくるので、タイルや大理石の床だと水を流してササーッと掃除ができるという訳です。家の中に水を流す!?・・・ちょっとビックリしましたが、水分は直ぐに乾くし合理的な掃除法なのかもしれません。
モロッコの家には沢山ベッドソファーが沢山。U字にソファーで囲って、歓談したり横になったりできる。
また冬は、3階や屋上、夏は地下室へ・・・。どの家も、大様に壁が厚く(外壁は30cmか50cm)、外が40度以上になっても快適(!)。さらに地下室にいくと、ひんやりしていてエアコン要らずです。
でも!!!
メディナ(旧市街)には、そんな家は少ないはず。
では、メディナの人たちは、どうしているのか?
その答えが、あの高い壁。見通しが悪く、視界も狭いし、風通しも悪いのでは・・・と思っていましたが、ああやって、太陽の光を遮っているのだということが分かりました。(写真右上:丁度正午頃。少し日が傾くと、影になります。)
日干し煉瓦やレンガが積まれた厚い壁の中は、案外涼しい!もちろん壁も厚い。
6月はまだ40度を超えることはないけれど、それでもかなり屋外は暑い。でもゴチャゴチャしたスークの中は、けっこう涼しかったなあ。
日が当たらない家・・・なんて、日本の感覚でいくとなんだかカビくさい不健康な感じがしますが、屋内ですら数時間で手絞りの洗濯物が、カラッカラに乾く気候なので、そんな心配はないのかな。そういえば、茸類は売ってない(笑)。日陰でも、椎茸栽培は難しいか??
(マラケシュ郊外の大型スーパーMETOROでイタリア産のポルチーニ(?)らしきもののドライが売ってましたけど)
ソーラー発電は多いに推奨すべきだと思うけど、取り付けにはお金がかかるので、普及率は今ひとつ。見渡すところ、屋上にはパラボラアンテナばかりです。(こちらはすごいマルチチャンネルなので大きなアンテナが沢山ついています。
新市街や新興住宅地には、屋上にセカンドキッチンがある家も多い。
プロパンガスにつなぐだけの簡単な作りのオーブンが置いてある。
村井玄斎の『食道楽』の中で出てくるおとわさんがブリキ屋に作らせていたオーブンも、きっとこんな感じだったろうなあ。
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●グズリヤ(写真右下)
6月19日にアップしたクスクスがもってあるお皿。
パンを捏ね皿。お菓子を作るのもこのお皿。ボウル代わり。クスクスの下ごしらえもこの皿の上で。
サラサラのクスクスに、オイルを加えて馴染ませ、蒸し器に入れて蓋をせずに蒸す。
(「クスクス鍋」という2段式の鍋があり、下でシチューを作り、その上にクスクスの入った蒸し器のパーツを乗せてシチューの水蒸気でジンワリと蒸す。)
何分かして、またクスクスをグズリアに開けて、塩水を打ちながら手でほぐす。これをまた蒸し器に戻して蒸す。この作業を3回繰り返して、パラパラで美味しいクスクスが出来上がる。
「昔はもっと大きいのをつかっていたんだよー」
マラケシュのメディナ育ちのFさん(50代)が、話してくれました。
グズリアは、タライ代わりに赤ちゃんを洗うときにもつかっていたし、ひっくり返して台所の食材などにかぶせて、猫から食べ物を守ったりしていたのだとか。
写真のサイズでも直径50cm。それより更に大きなグズリアは、相当重たくて、猫もお手上げでしょう。(猫、多いです!)
迷路のようなメディナの中の家々は、案外そんな合理的な道具で暮らしているのかも。
食事の際、取り皿はいりません。
大きなグズリアをみんなで囲んで、手でクスクスとシチューを上手く混ぜ合わせ、一口大のボウル状に丸めて食べるのです。クスクスの山が、四方八方から崩されていく。
無造作に見えるこの食べ方にも、一応マナーーーー自分の前から食べていき、遠くの具材を撮ったりしないーーがある。
こんなマナーのせいか否かは知らりませんが、料理もお菓子も放射状に並べられます。
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