2018年2月23日金曜日

パヴェ (オーボンヴュータン)

「パヴェ」


「オーボン ヴュータン」河田勝彦の『フランス郷土菓子』に、コレと酷似のお菓子が載っている。
「ガトー・ブレストワ」。
ブレスト(Brest)とは、ブルターニュ半島の西端に位置し、ローマ時代から栄えてきた港湾都市の地名。そこのスペシャリテなんだそう。
河田さんのご本には、「アーモンドパウダーやレモンエッセンス、オレンジのリキュール入りの生地を、小さなブリオッシュ型かマンケ型*で焼く。いうれもアンズジャムを詰めたり表面にぬったりし、アーモンドスライスを貼り付ける。きめ細やかでむっちりした触感と、卵のまろやかで優しい味わい・・・」とある。

・・が!!
私は店頭で「パヴェ」を買ってきたのです!!
「パヴェ」と書いた札が付いていましたし、レシートにだって「パヴェ」とあるのです!!
厳しく管理されているオーボン ヴュータンで札の付け間違いなど有る訳もなく、これはどうしたことか。

調べてみたら「パヴェ(Pave)」とは、石畳のことなのでした。
「パヴェ・ド・ヴェニス」=ベニス風アーモンドの焼き菓子なんてのもあるようで。
要するに、この形が「パヴェ」ということのようでありまする。

ご本にある「ガトー・ブレストワ」は、パヴェ・ドゥ・ブレストワと呼んでいい!??


河田さん、以前「お菓子にとって、型はとっても大切」と、力説していらっしゃいました。
どうやら、お菓子の型(形)は、まるで俳句の季語のように、お菓子の存在を確固たるものにする存在だということを、このお菓子からしみじみ感じ取った次第。

材料にアーモンドプードルが入っているか否か・・とか、コンフィチュール入りか否かとか・・・そんなことではなく、この形。形が醸し出す趣が、お菓子を叙情的なものとして重なって、人の心に残る伝統菓子になっていく。)))
型が違えば、趣も、導き出される情緒も変わるのだ。

だから、型は大事。

小麦粉、バター、砂糖、卵・・・アーモンドにフルーツ。
素材は大体が極めてシンプル。これらの素材を使って時に似通いながらいろいろに展開されているけれど、人の心に寄り添う郷土菓子だからこそ「型」は大事。

河田氏の意味するところが、少し紐解けた気がして、なんだか清々しい気持ち。

そんな訳で、もう少し、オーボンヴュータン通いは続きそうです。




*マンケ型(monque) :マンケ型とは、上面と下面の面積に差があり、側面からみると台形の形をしている型のことで、丸型のマンケや四角、楕円のマンケなど、いろんなタイプがある。
 


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